地方自治法の定める監査制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
- 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
- 普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
- 監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
- 監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。
【答え】:5
【解説】
1.戦後、地方自治法が制定された際に、監査委員による監査制度のみならず、外部監査制度についても規定された。
1・・・誤り
平成9年の地方自治法改正で、外部監査制度は導入されました。つまり、戦後すぐに制定された地方自治法には外部監査制度の規定はありませんでした。
平成9年の地方自治法改正で、外部監査制度は導入されました。つまり、戦後すぐに制定された地方自治法には外部監査制度の規定はありませんでした。
内部監査だけでは、馴れ合い的な監査になってしまい、監査の目的を達成できないことあります。
そのため、第三者である外部から監査させるために、外部監査制度が導入されました。
2.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、1人でも行うことができる。
2・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条)。よって、本肢の「1人でも行うことができる」は誤りです。
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条)。よって、本肢の「1人でも行うことができる」は誤りです。
1人でも行うことができるのは、「住民監査請求」です。
3.普通地方公共団体の事務の執行に関する事務監査請求は、当該普通地方公共団体の住民であれば、外国人でも行うことができる。
3・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条1項)。そして、選挙権を有する者とは、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」を指します(地方自治法18条)。
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求(事務監査請求)をすることができます(地方自治法75条1項)。そして、選挙権を有する者とは、「日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有する者」を指します(地方自治法18条)。
よって、外国人は、事務監査請求ができません。
したがって、誤りです。
4.監査委員による監査は、長、議会または住民からの請求があったときのみに行われるため、その請求がなければ監査が行われることはない。
4・・・誤り
監査委員は、毎会計年度少くとも一回以上期日を定めて監査をしなければなりません(地方自治法199条4項)。
また、監査委員は、上記のほか、必要があると認めるときは、いつでも監査をすることができます(地方自治法199条5項)。したがって、監査委員による監査は、請求がなくても行う行うことができます。
監査委員は、毎会計年度少くとも一回以上期日を定めて監査をしなければなりません(地方自治法199条4項)。
また、監査委員は、上記のほか、必要があると認めるときは、いつでも監査をすることができます(地方自治法199条5項)。したがって、監査委員による監査は、請求がなくても行う行うことができます。
5.監査委員の監査の対象となる事務には、法定受託事務も含まれている。
5・・・正しい
監査委員は、必要があると認めるときは、
監査委員は、必要があると認めるときは、
- 自治事務にあっては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除く自治事務について
- 法定受託事務にあっては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものを除く法定受託事務について
監査をすることができます(地方自治法199条2項)。
よって、法定受託事務も、監査委員による監査対象なので、正しいです。
平成21年度(2009年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 職業選択の自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 学問の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 国会 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |