2020年過去問

令和2年・2020|問28|民法

占有改定等に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。

イ.留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

ウ.先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

エ.質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

オ.動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.即時取得が成立するためには占有の取得が必要であるが、この占有の取得には、外観上従来の占有事実の状態に変更を来たさない、占有改定による占有の取得は含まれない。

ア・・・妥当

【占有改定とは?】

代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得します(民法183条)。これが「占有改定」です。

分かりづらいので、個別指導で分かりやすく解説します。

【即時取得とは?】

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得します(民法192条)。
これが「即時取得」です。(これについても、個別指導で細かく解説します)

上記192条にある「占有」について、判例(最判昭35.2.11)では、

「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条(即時取得)によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさない いわゆる占有改定の方法による取得をもっては足らない」

と判示しています。

つまり、占有改定で占有を取得したとしても、即時取得は成立しないということです。

判決文の理解の仕方についても個別指導で解説します。

イ.留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

イ・・・妥当

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができます(民法295条1項本文)。

そして、この占有は、第三者による代理占有でもOKです(具体例や関連ポイントは個別指導で解説します)。

しかし、債務者は第三者ではないため、債務者を占有代理人とした占有は含まれません。

ウ.先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

ウ・・・妥当ではない

先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができません(民法333条)。

この「引渡し」について、判例(大判大6.7.26)によると

「現実の移転を伴わない占有改定による引渡しも含む」

と判示しています。

よって、本肢は妥当ではないです。

具体例は、個別指導で分かりやすく解説します。

エ.質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。

エ・・・妥当

質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生じます(民法344条)。

そして、質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができません(民法345条)。
つまり、質権設定者による代理占有は禁止されています。

言い換えると、質権設定者を以後、質権者の代理人として占有させる「占有改定」による引渡しは含まれないので妥当です。

実力をあげるための関連ポイントは個別指導で解説します。

オ.動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、公示性の乏しい占有改定による引渡しは含まれない。

オ・・・妥当ではない

動産に関する物権(例えば、動産の譲渡担保権)の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません(民法178条)。

そして、判例(最判昭30.6.2)によると、

「債務者が動産を売渡担保に供し、引き続きこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもって第三者に対抗することができる」

と判示しています。

つまり、占有改定による引渡しがあれば、動産の譲渡担保権を第三者に対抗できる、ということであり、

動産の譲渡担保権を第三者に対抗するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、占有改定による引渡しは含まれます。

よって、本肢は妥当ではないです。

具体例は、個別指導で分かりやすく解説します。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問26|行政法

自動車の運転免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。
  2. 道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。
  3. 運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。
  4. 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。
  5. 都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。

1・・・正しい

自動車等を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません(道路交通法84条1項)。

また、都道府県公安委員会は合議制の機関です。

2.道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。

2・・・誤り

免許停止期間が終了した際に、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っているのであれば、運転免許停止処分を争う利益はあるので、免許停止期間が終了したとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅しません。

関連する判例については個別指導で解説します。

3.運転免許証の「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。

3・・・誤り

「〇年〇月〇日まで有効」という記載は、運転免許の「有効期限」なので、附款のうち「期限」に該当します。

「条件」ではないので誤りです。

4.自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。

4・・・誤り

本肢は「特許」が誤りです。正しくは、「許可」です。

「許可」とは、禁止されている行為を、特定の場合に解除して、適法に特定の行為を行わせる行為です。

自動車の運転は、本来誰でも行うことができるのですが、それをいったん法律で禁止して、学科試験や実務試験に合格した人に限って、禁止を解除して、運転できるようにしています。

5.都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。

5・・・誤り

本肢は「都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たる」が誤りです。

都道府県公安委員会は、都道府県知事の所轄の下に置かれる機関です(警察法38条1項)。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問25|情報公開法

情報公開をめぐる最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。
  2. 行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。
  3. 条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
  4. 条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。
  5. 条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

(注)* 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、被告は、当該決定が適法であることの理由として、実施機関が当該決定に付した非公開理由とは別の理由を主張することも許される。

1・・・妥当

判例(最判平11.11.19)によると、

「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はない」

と判示しています。

つまり、通知書に理由を記して非公開の決定をした後、裁判となった場合、当初の理由以外を主張することもOKということです。

よって、本肢は妥当です。

2.行政機関情報公開法*に基づく開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟において、不開示決定時に行政機関が当該文書を保有していなかったことについての主張立証責任は、被告が負う。

2・・・妥当でない

判例(最判平26.7.14)によると

「開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては、その取消しを求める者(原告)が、当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負う」

としています。

よって、本肢は「主張立証責任は、被告が負う」となっているので誤りです。

なぜ原告が立証請求を負うのかについては、個別指導で解説します。

3.条例に基づく公文書非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合には、当該決定の取消しを求める訴えの利益は消滅する。

3・・・妥当でない

判例(最判平14.2.28)によると、

「愛知県公文書公開条例に基づき公開請求された公文書の非公開決定の取消訴訟において、当該公文書が書証として提出された場合であっても、上記決定の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。」

としています。

訴えの利益が消滅しない理由については、個別指導で解説します!

4.条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合には、そのことにより直ちに、国家賠償請求訴訟において、当該決定は国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける。

4・・・妥当でない

判例(最判平18.4.20)によると

「条例に基づく公文書非開示決定に取消し得べき瑕疵があった場合において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件決定を行った場合、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの評価を受ける」

と判示しています。

よって、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法と評価されるわけではないので、妥当ではないです。

5.条例に基づき地方公共団体の長が建物の建築工事計画通知書についてした公開決定に対して、国が当該建物の所有者として有する固有の利益が侵害されることを理由としてその取消しを求める訴えは、法律上の争訟には当たらない。

5・・・妥当でない

那覇市が、市の情報公開条例に基づいて、自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書付属資料を市民団体の請求に対して開示決定をしたので、「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案で

判例(最判平13.7.13)によると、

『公開されることで、本件建物の内部構造などが明らかになり、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されるため「法律上の争訟に当たる」』

としました。

よって、「法律上の争訟に該当しない」というのは妥当ではないです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問24|地方自治法

地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
  2. 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
  3. 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
  4. 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
  5. 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。

1・・・誤り

判例(最判昭55.2.22)によると、「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
したがって、本肢は誤りです。

住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、「相続人が当該地方公共団体の住民である場合」であっても、訴訟を承継することができません。

2.住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。

2・・・誤り

普通地方公共団体の住民は、住民監査請求をした場合において、裁判所に対し、住民監査請求の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって一定の請求をすることができます(地方自治法242条の2)。

そして、住民監査請求は「普通地方公共団体の住民」でないと請求することができません。
また、「違法若しくは不当な公金の支出(財務会計行為)」については、住民監査請求が可能です。(地方自治法242条1項)

本肢は、「その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である」が誤りです。
対象となる財務会計行為が行われた時点で住民である必要はありません。

3.住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
3・・・誤り
住民監査請求は一人でも行うことができます。

よって、「条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により」は誤りです。

【対比ポイント】

事務監査請求については、「選挙権を有する者の50分の1以上の者の連署をもって」行う必要があります

その他の対比ポイントは個別指導
で解説します。

4.普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。

4・・・誤り

判例(最判平24.4.20)によると、

「市の非常勤職員への退職慰労金の支給が違法であるとして提起された住民訴訟の係属中に、その請求に係る市長及び担当職員に対する市の損害賠償請求権を放棄する旨の市議会の議決がされた場合において、放棄に係る裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があった場合、権利放棄の議会の議決は無効となる」

としています。

したがって、不当利得返還請求権が裁判で確定した後も、裁量権の範囲内であれば、不当利得返還請求権を放棄する議決ができる場合もあるので誤りです。

5.住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。

5・・・正しい

住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができます(地方自治法242条の2第12項)。

よって、本肢は正しいです。

【相当と認められる額とは?】

判例(最判平21.4.23)によると、

「住民訴訟は、原告の死亡により終了する」と判示しています。
「住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい、その具体的な額は、当該訴訟における事案の難易、弁護士が要した労力の程度及び時間、認容された額、判決の結果普通地方公共団体が回収した額、住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべき」

としています。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問23|地方自治法

地方自治法の定める自治事務と法定受託事務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。
  2. 都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。
  3. 普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
  4. 自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。
  5. 都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

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【答え】:5

【解説】

1.都道府県知事が法律に基づいて行政処分を行う場合、当該法律において、当該処分を都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限り、当該処分は自治事務となる。

1・・・誤り

「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいいます(地方自治法2条8項)。

つまり、都道府県の自治事務とする旨が特に定められているときに限らず、法定受託事務以外は自治事務となります。

2.都道府県知事が法律に基づいて自治事務とされる行政処分を行う場合、当該法律に定められている処分の要件については、当該都道府県が条例によってこれを変更することができる。

2・・・誤り

普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、条例を制定することができます(地方自治法14条1項)。

「法律で定められている」処分要件を、条例で変更するということは、「法律に違反しているので」変更はできません。

よって誤りです。

3.普通地方公共団体は、法定受託事務の処理に関して法律またはこれに基づく政令によらなければ、国または都道府県の関与を受けることはないが、自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある。
3・・・誤り
普通地方公共団体は、その「事務」の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受けることはできません(地方自治法245条の2)。

「事務」とは、自治事務だけでなく、法定受託事務も含むので、「自治事務の処理に関しては、法律またはこれに基づく政令によることなく、国または都道府県の関与を受けることがある」という記述は誤りです。

法定受託事務と自治事務の両方とも、「法律や政令の根拠」がなければ、国や都道府県の関与を受けることはありません。

4.自治紛争処理委員は、普通地方公共団体の自治事務に関する紛争を処理するために設けられたものであり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員をおかなければならない。

4・・・誤り

自治紛争処理委員は、非常勤です(地方自治法251条3項)。

つまり、都道府県は、必ず常勤の自治紛争処理委員を置く必要はないので誤り。

関連ポイントは個別指導で解説します。

5.都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

5・・・正しい

本肢は下記1号の内容です。

都道府県知事は、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正または改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。

次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、「市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」は、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができます(地方自治法245条の6)。

一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する自治事務

二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する自治事務

三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する自治事務

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問21|国家賠償法

国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
  2. 建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たらない。
  3. 公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。
  4. 裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない。
  5. 検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。

(注)* 公害健康被害の補償等に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者の不正な行為によって個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接の目的とするものであるから、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使は、被害者との関係においても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。

1・・・妥当ではない

判例(最判平元.11.24)によると、

「当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が損害を被った場合であっても、具体的事情の下において、
知事等に監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り、右権限の不行使は、当該取引関係者に対する関係で国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受けるものではないといわなければならない。」

と判示しています。

つまり、不正な行為をした業者に対する行政庁の監督権限の不行使があったとしても、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるわけではないので、妥当ではです。

事案を含めた詳細解説は個別指導で行います!

2.建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認は、それに関する事務が行政庁の監督下において行われているものではないため、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たらない。

2・・・妥当ではない

判例(最判平17.6.24)によると、「建築確認を行う民間の指定確認検査機関による建築確認により、相手方に損害を与えてしまった場合、地方公共団体が国家賠償責任を負う」としています。
つまり、建築基準法に基づく指定を受けた民間の指定確認検査機関による建築確認も国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たるので、妥当ではないです。

この辺りは、関連ポイントも含めて個別指導で解説します!

3.公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、または同法を引き継いだ公害健康被害補償法*に基づいて水俣病患者の認定申請をした者が水俣病の認定処分を受けた場合でも、申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。

3・・・妥当ではない

判例(最判平3.4.26)によると、

「水俣病の認定申請を受けた処分庁には、不当に長期間にわたらないうちに応答処分をすべき条理上の作為義務があり、右の作為義務に違反したというためには、客観的に処分庁がその処分のために手続上必要と考えられる期間内に処分ができなかったことだけでは足りず、①その期間に比して更に長期間にわたり遅延が続き、かつ、②その間、処分庁として通常期待される努力によって遅延を解消できたのに、これを回避するための努力を尽くさなかったことが必要である。そして、①②を満たす場合、国家賠償法1条等に基づく損害賠償請求ができる。」

と判示しています。

つまり、「申請処理の遅延により相当の期間内に応答がなかったという事情があれば、当該遅延は、直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける」は妥当ではありません。

判例の理解の仕方や詳細解説については個別指導で解説します!

4.裁判官がおこなう争訟の裁判については、その裁判の内容に上訴等の訴訟法上の救済方法で是正されるべき瑕疵が存在し、当該裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられたとしても、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けることはない。

4・・・妥当ではない

判例(最判昭57.3.12)によると、

「裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく、
右責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である」

と判示しています。

つまり、「裁判官が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような事情がみられた」場合、
国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けます。

5.検察官が公訴を提起した裁判において、無罪の判決が確定したとしても、そのことから直ちに、起訴前の逮捕や勾留とその後の公訴の提起などが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるということにはならない。

5・・・妥当

判例(最判昭53.10.20)によると、

「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法である」

と判示しています。

つまり、検察官が公訴を提起したが裁判で無罪が確定したからといって、それだけで当該公訴提起は国家賠償法上違法の評価を受けるわけではないので、妥当です。

判例に関する流れについては個別指導で解説します!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問22|地方自治法

住民について定める地方自治法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。

オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】
ア.市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村およびこれを包括する都道府県の住民とする。

ア・・・正しい

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。

つまり、神奈川県横浜市に在住する人は、「横浜市の住民」でもあり「神奈川県の住民」でもあります。

この条文は重要なのですが、なぜ重要かは個別指導で解説します。

イ.住民は、日本国籍の有無にかかわらず、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

イ・・・誤り

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民となります(地方自治法10条1項)。これは外国籍の人も含みます。

しかし、日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する(地方自治法11条)ため、選挙権については、外国籍の方はありません。

よって、本肢は誤りです。

ウ.住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

ウ・・・正しい

住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負います(地方自治法10条2項)。

分かりやすいえば、住民は、「行政サービスを受ける権利」があり、逆に「税金を納めるという負担(義務)」を負います。

エ.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、その属する普通地方公共団体のすべての条例について、その内容にかかわらず、制定または改廃を請求する権利を有する。

エ・・・誤り

本肢は「日本国民たる普通地方公共団体の住民」が誤りで、正しくは「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)」です。

条例制定・改廃請求ができるのは、「選挙権を有する住民」です。

「日本国民たる普通地方公共団体の住民」となると、満18歳未満の人も含みます。

一方、「選挙権を有する住民」は「満18歳以上の者」で「3か月以上その市町村の区域内に住所を有する者」です。

よって、本肢は誤りです。

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる(地方自治法74条1項)。
オ.都道府県は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

オ・・・誤り

市町村は、別に法律(住民基本台帳法)の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録(住民基本台帳)を常に整備しておかなければなりません(地方自治法13条の2)。

よって、本肢は「都道府県」が誤りで、正しくは「市町村」です。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問19|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める義務付け訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。
  2. 行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。
  3. 義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。
  4. 処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。
  5. 義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、拒否処分の取消訴訟と併合提起しなければならないが、その無効確認訴訟と併合提起することはできない。

1・・・誤り

申請拒否処分がなされた場合における申請型義務付け訴訟は、「拒否処分の取消訴訟」や「無効確認訴訟」と併合提起しなければなりません(行政事件訴訟法37条の3第3項2号)。

よって、「無効確認訴訟と併合提起することはできる」ので誤りです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

2.行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。

2・・・誤り

本肢のような規定はありません。よって、裁判所は、行政庁の代わりに処分を行うことはできないので、誤りです。

3.義務付け判決には、取消判決の拘束力の規定は準用されているが、第三者効の規定は準用されていない。

3・・・正しい

義務付け判決については、拘束力の規定(33条)は準用されますが、第三者効の規定(32条)は準用されていません。

よって、正しいです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

4.処分がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある場合には、当該処分につき義務付け訴訟を提起しなくとも、仮の義務付けのみを単独で申し立てることができる。

4・・・誤り

仮の義務付けのみを単独で申立てることはできないです。よって、誤りです。

仮の義務付けを申し立てるためには、事前に「義務付け訴訟」の提起が必要です(行政事件訴訟法37条の5第1項)。

5.義務付け訴訟は、行政庁の判断を待たず裁判所が一定の処分を義務付けるものであるから、申請型、非申請型のいずれの訴訟も、「重大な損害を生じるおそれ」がある場合のみ提起できる。

5・・・誤り

義務付け訴訟は、申請型、非申請型の2つがあり、申請型の義務付け訴訟については「重大な損害を生じるおそれ」については要件ではありません。

非申請型の場合のみ「重大な損害を生じるおそれ」が要件となっています。

よって、誤りです。

この点は理解が必要なので、個別指導で解説します。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問20|国家賠償法

国家賠償法に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。

イ.税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。

ウ.国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

エ.国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】
ア.同一の行政主体に属する複数の公務員のみによって一連の職務上の行為が行われ、その一連の過程で他人に損害が生じた場合、損害の直接の原因となった公務員の違法行為が特定できないときには、当該行政主体は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。

ア・・・誤り

判例(最判昭57.4.1)によると、

「数人の公務員(医師)による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた(発生させた)場合において、 それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、
①右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、
かつ、
②それがどの行為であるにせよ、これ(一連の行為)による被害につき、専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもって右損害賠償責任を免れることはできない。」

と判示しています。

つまり、損害が具体的に「どの公務員の」「どのような違法行為」によるものであるかを特定できないときでも、国又は公共団体は、損害賠償責任を負うことはあるので、誤りです。

事案については個別指導で解説します。

イ.税務署長が行った所得税の更正処分が、所得金額を過大に認定したものであるとして取消訴訟で取り消されたとしても、当該税務署長が更正処分をするに際して職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていた場合は、当該更正処分に国家賠償法1条1項にいう違法があったとはされない。

イ・・・正しい

判例(最判平5.3.11)によると、

「税務署長Yのする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、
税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受けるものと解するのが相当である。」

と判示しています。

つまり、「税務署長が職務上尽くすべき注意義務を尽くしていたとき」は、国家賠償法上、違法とならないので、正しいです。

と判示しています。

事案については個別指導で解説します!

ウ.国家賠償法1条1項に基づく賠償責任は、国または公共団体が負うのであって、公務員個人が負うものではないから、公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される。

ウ・・・誤り

判例(最判昭30.4.19)によると、

「公務員の職務行為により、第三者に損害を加えた場合、国または公共団体が賠償責任を負い、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではない。また、公務員個人もその責任を負うものではない。従って、・・・県知事個人、農地部長個人を相手方とする請求は理由がないことに帰する。」と判示しています。

よって、「公務員個人を被告とする賠償請求の訴えは不適法として却下される」のではなく、「理由がないとして棄却されます」。

次回の試験で出題されそうな関連ポイントについて個別指導で行います!

エ.国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件については、公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らず、自己の利をはかる意図をもってする場合であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしたときは、この要件に該当する。

エ・・・正しい

判例(最判昭31.11.30)によると、

『国家賠償法第1条の「職務執行」とは、その公務員が、その行為の意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得ることができるものについては、職務執行にあたる。
すなわち、国家賠償法1条1項の「職務執行行為」があったというためには、公務員が、主観的に権限行使の意思をもってした職務執行行為に限定すべきではない。
したがって、国家賠償法1条は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず、自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償責任を負わせて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるから、国又は公共団体は、損害賠償責任を負うべきである。』

と判示しています。

つまり、公務員が、自己の利を図る目的でした行為をした場合でも、外形からみて職務執行行為と言えるとき、国家賠償法1条1項の「職務を行う行為について」に該当するということです。
よって、本肢は正しいです。

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

令和2年・2020|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法が定める出訴期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。
  2. 処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  3. 不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  4. 義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。
  5. 差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

1.処分または裁決の取消しの訴えは、処分または裁決の日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りでない。

1・・・誤り

取消訴訟は、「処分又は裁決があつたことを知った日から6ヶ月を経過したとき」または「処分又は裁決の日から1年を経過したとき」は、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条1項2項)。

本肢は「処分または裁決の日から6ヵ月」が誤りで、正しくは「処分または裁決を知った日から6ヵ月」です。

2.処分につき審査請求をすることができる場合において審査請求があったときは、処分に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、これに対する裁決があったことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

2・・・正しい

「処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合」又は「行政庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合」において、審査請求があったときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、「選択肢1の14条1項2項」の規定にかかわらず、これに対する「裁決があったことを知った日から6か月を経過したとき」又は「当該裁決の日から1年を経過」したときは、提起することができません。ただし、正当な理由があるときは、この期間を過ぎても提起できます(行政事件訴訟法14条3項)。

よって、正しいです。

3.不作為の違法確認の訴えは、当該不作為に係る処分または裁決の申請をした日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

3・・・誤り

本肢のような規定はないので、誤りです。

不作為の違法確認訴訟については、出訴期間はありません。
なぜなら、行政庁の不作為が継続しているということは、その間、ずっと行政庁の違法な状態が続いているということです。
そのため、その間はずっと、訴訟提起できます。

4.義務付けの訴えは、処分または裁決がされるべきことを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

4・・・誤り

義務付け訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

なぜ、出訴期間の規定がないかは個別指導で解説します!

5.差止めの訴えは、処分または裁決がされようとしていることを知った日から6ヵ月を経過したときは提起することができないが、正当な理由があるときはこの限りではない。

5・・・誤り

差止め訴訟については、出訴期間の規定はありません。
よって、誤りです。

なぜ、出訴期間の規定がないかは個別指導で解説します!

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令和2年(2020年)過去問

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 基礎法学 問33 民法:債権
問4 憲法 問34 民法:債権
問5 憲法 問35 民法:親族
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 情報公開法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:物権 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略