個人情報の保護に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。(2023年の改正対応)
ア 個人情報保護法の一部の規定は、国の行政機関のみならず、地方公共団体の行政機関に対しても適用される。(改)
イ 個人情報保護法において基本理念を掲げる規定は、地方公共団体の行政機関に対しても適用される。
ウ 地方公共団体は、法律の委任を受けずに、個人情報の保護に関する条例を定めることが可能であり、また、その内容は、地方公共団体ごとに異なってもよい。
エ 地方公共団体は、その機関が保有する個人情報の適正な取扱いが確保されるよう必要な措置を講ずることが、個人情報保護法上求められている。(改)
オ 地方公共団体は、個人情報の保護に関する条例を定めることが可能であるが、その職員に対する処罰については個人情報保護法が適用されない。(改)
- ア・イ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
【答え】:2
【解説】
個人情報保護法の「行政機関等」の定義は、「行政機関」と「地方公共団体の機関(議会を除く)」「独立行政法人等」を指す、としています(個人情報保護法2条11項)。
つまり、「地方公共団体の行政機関」も「行政機関等」に含まれ、個人情報保護法が適用されます。
個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることに鑑み、その適正な取扱いが図られなければなりません(個人情報保護法3条:基本理念)。地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、国の施策との整合性に配慮しつつ、その地方公共団体の区域の特性に応じて、地方公共団体の機関、地方独立行政法人及び当該区域内の事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有します(個人情報保護法5条)。つまり、個人情報保護法において基本理念を掲げる規定は、地方公共団体の行政機関に対しても適用されます。
地方公共団体は、法律の範囲内で、条例を制定することができます(憲法94条)。
つまり、法律の委任がなくても個人情報の保護に関する条例を定めることができます。また、判例では、条例の内容については、地方公共団体ごとに異なることも認められています(最大判昭33.10.15)。
個人情報保護法の罰則は、地方公共団体の職員に対しては、適用されます。
よって、誤りです。
例えば、行政機関等の職員(地方公共団体の職員)若しくは職員であった者などが、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(個人情報保護法176条)。
平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 内閣 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 内閣 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 財政 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 法の下の平等 | 問36 | 商法 |
問7 | 社会権 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |