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行政不服審査法45条:処分についての審査請求の却下又は棄却

行政不服審査法45条の「処分についての審査請求の却下又は棄却」については、却下と棄却の違いがポイントです。どういった場合に却下になり、どういった場合に棄却となるのかを覚えましょう!

処分についての審査請求期間が過ぎた場合(不適法である場合)、審査庁は、裁決で却下します。

審査請求について、理由がない場合、審査庁は、裁決で棄却します。

却下と棄却の違い

この2つの違いについてよく行政書士試験で出題されるので必ず頭に入れておきましょう!

却下 手続の不備など、不適法な場合に、審理をせずに門前払いをすること
棄却 手続の不備はなく適法に行われているため、審理はするが、請求に理由がないとして請求などを退けること

事情裁決

審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるけど、処分を取り消してしまうと、公の利益に著しい障害を生ずる場合、諸事情を考慮した上で、公共の福祉に適合しないと認めるときは、例外的に裁決で棄却することができます。

つまり、処分は違法・不当だけど、公の利益を優先して、審査請求を棄却することができるということです。

この場合、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

(処分についての審査請求の却下又は棄却)
行政不服審査法第45条 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。

<<行政不服審査法44条:裁決の時期 | 行政不服審査法46条:処分についての審査請求の認容>>

行政不服審査法44条:裁決の時期

行政不服審査法44条の「裁決の時期」について、行政書士試験でのポイントは、「遅滞なく」という部分です。行政不服審査会等から諮問に対する答申(回答)を受けたときは、審査庁は遅滞なく裁決をしなければなりません。

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求は審理員に反論書を提出します。
  7. 審理員は審査庁に審理員意見書を提出します。
  8. 審査庁が行政不服審査会に諮問します。

裁決の時期

下記事由に該当するときは、審査庁は、遅滞なく、裁決をしなければなりません。

  1. 行政不服審査会等から諮問に対する答申(回答)を受けたとき
  2. 行政不服審査会等への諮問が不要な場合には、審理員意見書が提出されたとき

(裁決の時期)
行政不服審査法第44条 審査庁は、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第1項の規定による諮問を要しない場合(同項第2号又は第3号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第2号又は第3号に該当する場合にあっては同項第2号又は第3号に規定する議を経たとき)は、遅滞なく、裁決をしなければならない。

<<行政不服審査法43条:行政不服審査会等への諮問 | 行政不服審査法45条:処分についての審査請求の却下又は棄却>>事情裁決

 

行政不服審査法41条:審理手続の終結

審査請求の大まかな流れは下記の通りです。下記6の反論書の提出まで終わり、処分庁と審査請求人・参加人の意見を聴いて、必要な審理を終えたと認めるときは、審理員は審理手続を終結します。このページでは、審理手続を終える場面についての行政書士試験のポイントをお伝えします。

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求は審理員に反論書を提出します。

審理手続の終結

どのような場合に審理手続を終結するか?

  1. 審理員は、必要な審理を終えたと認めるとき
  2. 弁明書反論書意見書証拠書類等が、相当期間内に提出されなかったとき
  3. 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき

審理手続を終結したら何をするのか?

審理員が審理手続を終結したときは、審理員は、速やかに審理関係人(審査請求人、参加人、処分庁)に対し、審理手続を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を審査庁に提出する予定時期を通知しなければなりません。当該予定時期を変更したときも、同様に通知が必要です。

(審理手続の終結)
行政不服審査法第41条 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。
2 前項に定めるもののほか、審理員は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。
一 次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。
イ 第29条第二項 弁明書
ロ 第30条第一項後段 反論書
ハ 第30条第二項後段 意見書
ニ 第32条第三項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件
ホ 第33条前段 書類その他の物件
二 申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
3 審理員が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨並びに次条第一項に規定する審理員意見書及び事件記録(審査請求書、弁明書その他審査請求に係る事件に関する書類その他の物件のうち政令で定めるものをいう。同条第二項及び第四十三条第二項において同じ。)を審査庁に提出する予定時期を通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

<<行政不服審査法40条:審理員による執行停止の意見書の提出 | 行政不服審査法42条:審理員意見書>>

行政不服審査法42条:審理員意見書

審査手続が終わると、審理員は意見書を作成します。

審理手続の流れは下記をご覧ください!このページでは、下図の7の審理員意見書の提出の部分を解説します。行政書士試験では重要な部分なのでしっかり頭に入れましょう!

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求は審理員に反論書を提出します。

審理員意見書とは?

審理員意見書とは、審理手続を行った結果、「審査庁がどのような裁決をすべきか」という審理員の意見を記載した文書のことです。

そして、審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく審理員意見書を作成しなければなりません。

さらに、審理員意見書を作成したときは、速やかに、審理員は、審査庁に提出しなければなりません。

(審理員意見書)
行政不服審査法第42条 審理員は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、審査庁がすべき裁決に関する意見書(以下「審理員意見書」という。)を作成しなければならない。
2 審理員は、審理員意見書を作成したときは、速やかに、これを事件記録とともに、審査庁に提出しなければならない。

<<行政不服審査法41条:審理手続の終結 | 行政不服審査法43条:行政不服審査会等への諮問>>

行政不服審査法40条:審理員による執行停止の意見書の提出

意見書とは、行政不服審査法42条で勉強するのですが、審理手続が終結したときに、審理員が作成する書類です。これは、「審査庁がどのような裁決をすべきか」という審理員の意見をまとめた書類です。

その意見書に、「処分庁が行った処分について、執行停止すべきです!」という意見書を、審査庁に提出することができます。

行政書士試験のポイントでいうと「審査庁に意見をすることはできる」が、「審査庁に命令はできない」という点です。

(審理員による執行停止の意見書の提出)
行政不服審査法第40条 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる。

<<行政不服審査法39条:審理手続の併合又は分離 | 行政不服審査法41条:審理手続の終結>>

行政不服審査法39条:審理手続の併合又は分離

複数の審査請求があり、関連している内容であれば、審理員は、必要に応じて、審理手続きを併合することができます。

また、併合した審査請求における審理手続きを分離することもできます。

この点は、行政書士試験では深い理解は不要なので、そのまま覚えればよいでしょう!

(審理手続の併合又は分離)
行政不服審査法第39条 審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる。

<<行政不服審査法38条:審査請求人等による提出書類等の閲覧等 | 行政不服審査法40条:審理員による執行停止の意見書の提出>>

行政不服審査法38条:審査請求人等による提出書類等の閲覧等

行政不服審査法38条の「審査請求人等による提出書類等の閲覧等」について、行政書士試験で出題されるポイントは、「閲覧請求や交付請求は、審理手続きが終結するまでの間に行える」「第三者の利益を害するおそれがあると認めらる等の場合に限って閲覧請求や交付請求を拒むことができる」といった点です。この点をしっかり頭に入れましょう!

審査請求人等による提出書類の閲覧・交付請求

審査請求人又は参加人は、審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧又は当該書類等の交付請求ができます。

上記閲覧請求や交付請求があった場合、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき等正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができません

言い換えると、
正当な理由があれば、閲覧請求や交付請求を拒むことができ
正当な理由がない場合、閲覧請求や交付請求を拒むことができない
ということです。

閲覧日時の指定

審理員は、上記閲覧について、日時及び場所を指定することができます。

交付における手数料

提出書類の写し(コピー)の交付を受ける審査請求人又は参加人は、一定額の手数料を納めなければなりません。

そして、審理員は、経済的困難等の理由があると認めるときは、上記手数料を減額し、又は免除することができます。

閲覧・交付前に提出人の意見を聴く

上記閲覧請求や交付請求があり、審理員は、閲覧をさせたり、交付をしようとするときは、原則、事前に、提出書類等の提出人の意見を聴かなければなりません

ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、提出人の意見を聴く必要はないです。

 

(審査請求人等による提出書類等の閲覧等)
行政不服審査法第38条 審査請求人又は参加人は、第41条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等(第29条第四項各号に掲げる書面又は第32条第一項若しくは第二項若しくは第33条の規定により提出された書類その他の物件をいう。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)にあっては、記録された事項を審査庁が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
2 審理員は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審理員が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
3 審理員は、第一項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
4 第一項の規定による交付を受ける審査請求人又は参加人は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
5 審理員は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。
6 地方公共団体(都道府県、市町村及び特別区並びに地方公共団体の組合に限る。以下同じ。)に所属する行政庁が審査庁である場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「政令」とあるのは、「条例」とし、国又は地方公共団体に所属しない行政庁が審査庁である場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「政令で」とあるのは、「審査庁が」とする。

<<行政不服審査法37条:審理手続の計画的遂行 | 行政不服審査法39条:審理手続の併合又は分離>>

行政不服審査法37条:審理手続の計画的遂行

行政不服審査法28条は「審理手続の計画的進行
行政不服審査法37条は「審理手続の計画的遂行」。

「進行」と「遂行」の違いで、この違いは分からなくても大丈夫です。

まとめて覚えていただいてもよいでしょう。

今回解説するルールは、審理が複雑な場合に、内容を整理するために、審理関係に対して意見聴取できる旨のルールです。

審理員による意見聴取

審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、必要があると認める場合には、審理員は、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができます。

また、審理関係人が遠隔地に住んでいる場合には、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法(電話等)によって、審理員は意見の聴取を行うことができます。

上記意見聴取を行った時は、審理員は、遅滞なく、「審理手続の期日及び場所」並びに「審理手続の終結の予定時期」を決定し、これらを審理関係人に通知しなければなりません。また、当該予定時期を変更したときも、同様に通知が必要です。

(審理手続の計画的遂行)
行政不服審査法第37条 審理員は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜しているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第31条から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。
2 審理員は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審理員及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、前項に規定する意見の聴取を行うことができる。
3 審理員は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第31条から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第41条第一項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。

<<行政不服審査法36条:審理関係人への質問 | 行政不服審査法38条:審査請求人等による提出書類等の閲覧等>>

行政不服審査法36条:審理関係人への質問

審査請求の審理の途中で審理員が疑問に思った場合、審理員は審査請求人や参加者、処分庁に対して質問をすることができます

これは、審査請求人若しくは参加人申立てがあった場合も行えますし、職権でも行えます。

行政書士試験でも出題されるので、しっかり頭に入れましょう!

(審理関係人への質問)
行政不服審査法第36条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。

<<行政不服審査法35条:検証 | 行政不服審査法37条:審理手続の計画的遂行>>

行政不服審査法35条:検証

審査請求人又は参考人から、検証の申立てがあった場合は、または職権で、必要な場所で、検証をすることができます。

検証とは?

検証とは、ある場所の状況を確認し判断の材料を得る必要があるときに、当該「場所」に赴き、確認を行うものです。

そして、審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければなりません。

(検証)
行政不服審査法第35条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
2 審理員は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。

<<行政不服審査法34条:参考人の陳述及び鑑定の要求 | 行政不服審査法36条:審理関係人への質問>>