令和6年度(2024年度)過去問

令和7年・2025|問33|民法

消費貸借契約に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。

イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。

ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。

エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。

オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:3

【解説】
ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。

ア.妥当でない

本肢は貸主と借主が逆になっています。書面でする消費貸借契約において、目的物の引渡しを受けるまでの間に契約を解除できるのは貸主ではなく借主です(民法587条の2第2項)。借主にとって事情が変わったときの保護規定です。また、その解除によって損害を受けた場合に賠償請求ができるのは借主ではなく貸主です。「貸主」と「借主」をそのまま入れ替えると正しい記述になります。

イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。

イ.妥当である

既存の債務を合意によって消費貸借上の債務に変更することを準消費貸借といいます(民法588条)。本肢のように、既存の消費貸借債務を新たな消費貸借債務に組み替えることも準消費貸借に含まれます(大判大正2年1月24日)。ただし、旧契約の利息約定が利息制限法の上限利率を超過する部分を含む場合、その超過部分を目的とする新たな消費貸借契約は無効となります(最判昭和55年1月24日)。

※「準消費貸借」とは、売買代金債務・損害賠償債務など既存の債務を、当事者の合意によって消費貸借上の債務に転換する契約です(民法588条)。
※「利息制限法」とは、貸付金利の上限を定めた法律です。元本額に応じて上限利率(15〜20%)が定められており、超過部分の利息約定は無効となります。

ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。

ウ.妥当でない

消費貸借契約は原則として無利息です(民法589条1項)。利息を請求するためには利息付きとする特約が必要です。「原則として利息が発生し、無利息とするために特約が必要」という記述は原則と例外が逆になっています。民法は利息の受取りを原則とはしておらず、当事者が利息を定める場合に特約を要する点を正確に押さえておきましょう。

エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。

エ.妥当である

貸主から引き渡された物が種類または品質に関して契約内容に適合しない場合、利息付き・無利息を問わず、借主はその物の価額を返還することができます(民法590条2項)。種類物として引き渡された物に瑕疵がある場合でも、借主が同種・同品質の物ではなく価額での返還が認められるため、借主保護が図られています。「利息の有無にかかわらず」という点が出題ポイントです。

オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。

オ.妥当でない

返還時期の定めがない場合、貸主は「いつでも」返還を求めることができるわけではなく、相当の期間を定めた催告が必要です(民法591条1項)。また、借主が履行遅滞となるのは返還請求の直後ではなく、相当期間が経過した後です。「いつでも返還を求めることができ」「直ちに履行遅滞の責任を負う」の2点がともに誤りです。なお、借主は返還時期の定めの有無にかかわらずいつでも返還できる点(民法591条3項)も合わせて覚えておきましょう。

※「相当期間」とは、借主が準備をして返還するために合理的に必要な期間のことです。何日が相当かは個別事情によりますが、突然の即時返還は認められません。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問34|民法

不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。
  2. 他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。
  3. 違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
  4. 不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。
  5. Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

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【答え】:4
【解説】
1.盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。

1.妥当でない

盗品を盗品と知らずに同種物の販売業者から購入した買主は善意占有者にあたります。善意占有者は、占有物から生じる果実(使用利益を含む)を取得する権利があり(民法189条1項)、所有者に対して使用利益相当額を支払う義務を負いません。「返還するまでの間の使用利益相当額を支払わなければならない」という記述が誤りです。

※「善意占有者」とは、自分に占有権限があると信じて占有している者のことです。善意占有者は果実を取得できますが、損傷・滅失した場合の賠償責任は現存利益の限度にとどまります(民法191条)。

2.他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。

2.妥当でない

売買契約が解除された場合、買主は原状回復義務として目的物を返還しますが、その間に目的物を使用していた場合は使用利益相当額も返還しなければなりません(民法545条1項・3項)。「使用利益相当額を支払う義務を負わない」という記述が誤りです。契約解除による原状回復は、物の返還だけでなく使用利益の返還も含む点を押さえておきましょう。

※「他人物売買」とは、売主が所有していない他人の財産を目的物として締結した売買契約です。有効な契約として成立しますが、売主は所有権を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。

3.違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。

3.妥当でない

違法な賭博は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、賭金を支払った者は不法原因給付(民法708条)にあたるため、その返還を請求することができません。民法708条は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めており、「いつでも返還を求めることができる」という記述は誤りです。不法に関与した者を法が保護しないという趣旨です。

※「不法原因給付」とは、公序良俗違反など不法な原因のために行った給付のことです。民法708条により、給付者は返還請求できませんが、ただし書により不法原因が相手方のみにある場合は返還請求できます。

4.不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。

4.妥当である

不倫関係の維持を目的とした贈与は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、所有権移転登記が未了の場合は、不法原因給付(民法708条)として給付が完成したとはいえません。不動産の場合、引渡しがあっても登記が完了していない段階では給付が完結していないと解されるため、贈与者Aは民法708条による返還請求の制限を受けず、契約無効を理由として丙建物の返還を求めることができます。引渡し済みでも登記未了という点が妥当であるとなる決め手です。

※「不法原因給付と不動産」:不動産では、引渡しに加えて所有権移転登記が完了してはじめて給付が完成したと解される場合があります。登記未了の段階では完全な給付とはいえず、民法708条の適用が制限されることがあります。

5.Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

5.妥当でない

騙取金による弁済があった場合、被害者Cが弁済受領者Aに返還を求めることができるかは、Aの善意・悪意によって異なります。Aが悪意または重過失であった場合にはCからAへの不当利得返還請求が認められますが、Aが善意・無重過失であった場合は認められません。「Aが知っていたか否かを問わず」という記述が誤りです。善意のAまで保護しないとすると取引の安全が害されるためです。

※「騙取金による弁済」とは、第三者から詐取した金銭を自己の債務弁済に充てることをいいます。判例は、債権者が悪意または重過失のある場合に限り、被害者からの不当利得返還請求を認めています。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問35|民法

認知に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 嫡出でない成年の子を、その父または母が認知する場合には、子の承諾を得なければならない。
  2. 父が胎内にある子を認知する場合には、母の承諾を得なければならない。
  3. 認知は、認知の時からその効力を生ずる。
  4. 認知をした父または母は、その認知を取り消すことができない。
  5. 子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができるが、父または母の死亡の日から3年を経過したときは、その訴えを提起することはできない。

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【答え】:3
【解説】
1.嫡出でない成年の子を、その父または母が認知する場合には、子の承諾を得なければならない。

1.正しい

成年の子を認知するには、子の承諾が必要です(民法782条)。未成年の子とは異なり、成年に達した子は自己の身分関係について自ら判断する能力があるため、一方的な認知から保護する趣旨です。なお、胎児の認知は母の承諾(肢2)、成年の子の認知は子本人の承諾が必要という違いを整理しておきましょう。

2.父が胎内にある子を認知する場合には、母の承諾を得なければならない。

2.正しい

胎児を認知する場合、父は胎内にある子を認知することができますが、母の承諾を得なければなりません(民法783条1項)。胎児は独自の意思表示ができないため、胎児を保護する立場にある母の承諾を要件とすることで、不当な認知から母子を守る趣旨です。「胎児の認知=母の承諾」とセットで覚えましょう。

3.認知は、認知の時からその効力を生ずる。

3.誤り

認知の効力は「認知の時から」生じるのではなく、「出生の時に遡って」生じます(民法784条本文)。これを認知の遡及効といいます。ただし、第三者がすでに取得した権利を害することはできないという制限があります(民法784条ただし書)。「認知の時から」という記述が誤りであり、「出生の時にさかのぼって」が正確な表現です。

※「認知の遡及効」とは、認知の効力が認知をした時点ではなく出生時にさかのぼって生じることをいいます。これにより、認知された子は出生時から法律上の親子関係があったことになります。

4.認知をした父または母は、その認知を取り消すことができない。

4.正しい

認知をした父または母は、その認知を取り消すことができません(民法785条)。認知は子の身分関係を確定する重要な行為であるため、認知者の恣意的な取消しを認めると子の地位が不安定になるからです。ただし、認知が詐欺・強迫によってなされた場合は取消しが可能です(民法786条・民法96条)。「取り消せない」という原則と「詐欺・強迫の例外」をセットで押さえておきましょう。

5.子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができるが、父または母の死亡の日から3年を経過したときは、その訴えを提起することはできない。

5.正しい

認知の訴えは子・その直系卑属またはこれらの者の法定代理人が提起できますが、父または母の死亡の日から3年を経過すると提起できなくなります(民法787条)。父母の死後も一定期間は訴えを認めることで子の権利保護を図りつつ、3年という期間制限によって法律関係の安定も確保しています。「3年」という数字を正確に覚えておきましょう。

※「直系卑属」とは、子・孫など自分より後の世代の血族のことです。認知の訴えは子だけでなくその子(孫)も提起できます。
※「法定代理人」とは、法律の規定によって代理権を持つ者のことで、未成年の子の場合は親権者がこれにあたります。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問36|商法

交互計算に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、当事者に別段の意思表示がないものとする。

  1. 交互計算とは、商人間での平常取引において、一定の期間内の取引から生じる債権および債務の総額について相殺をし、それによって生じた残額の支払いを約することをいい、商人と商人でない者との間での平常取引では、交互計算を約することはできない。
  2. 交互計算の当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、6か月とする。
  3. 交互計算の当事者は、債権および債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該計算書の記載の錯誤または脱漏の場合を除き、当該各項目について異議を述べることができない。
  4. 交互計算に基づく相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。
  5. 交互計算の各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。

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【答え】:1
【解説】
1.交互計算とは、商人間での平常取引において、一定の期間内の取引から生じる債権および債務の総額について相殺をし、それによって生じた残額の支払いを約することをいい、商人と商人でない者との間での平常取引では、交互計算を約することはできない。

1.誤り

交互計算は商人間に限らず、商人と商人でない者との間でも約することができます(商法529条)。商法529条は「商人間又は商人と商人でない者との間において平常取引をする場合において…交互計算を締結することができる」と明確に規定しており、「商人と商人でない者との間では約することができない」という記述は誤りです。

※「交互計算」とは、商人間等における継続的取引から生じる複数の債権・債務を一定期間まとめて相殺し、残額のみを支払う契約です(商法529条)。個別に決済する手間を省き、取引の効率化を図る商事制度です。

2.交互計算の当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、6か月とする。

2.正しい

交互計算の期間について当事者間で定めがない場合、その期間は6か月とされます(商法531条)。当事者が自由に期間を定めることができますが、定めがない場合のデフォルトルールとして6か月が法定されています。「3か月」や「1年」と混同しないよう正確に覚えておきましょう。

3.交互計算の当事者は、債権および債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該計算書の記載の錯誤または脱漏の場合を除き、当該各項目について異議を述べることができない。

3.正しい

当事者が計算書を承認した場合、原則として各項目について異議を述べることができなくなります(商法532条)。ただし、計算書の記載に錯誤または脱漏があった場合は例外として異議を述べることができます。承認によって確定効が生じるという原則と、錯誤・脱漏の場合の例外をセットで押さえておきましょう。

4.交互計算に基づく相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。

4.正しい

交互計算の相殺によって生じた残額については、債権者は計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができます(商法533条1項)。「計算の閉鎖の日以後」という起算点が重要です。残額確定後に遅滞なく支払いが行われることを促す規定として機能しています。

※「計算の閉鎖」とは、交互計算の期間満了や解除などにより、その期間内の債権・債務の相殺計算を締め切ることをいいます。

5.交互計算の各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。

5.正しい

交互計算の各当事者は、いつでも交互計算を解除することができます(商法534条前段)。解除した場合は直ちに計算を閉鎖して、残額の支払いを請求することができます。一方的な解除が認められており、相手方の同意は不要です。解除と同時に計算の閉鎖・残額請求が可能になる点も合わせて覚えておきましょう。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問37|会社法

発起人に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 発起人とは、定款に署名、記名押印または電子署名をした者をいうが、定款に署名、記名押印または電子署名をしていないものの、実質的に設立を企画し尽力した者であれば、会社の設立事務を行う義務と権限を有する発起人とみなされる。
  2. 発起人は、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付についてあらかじめ定めた期日またはその期間内に出資の履行をしないときは、直ちに当該出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利を失う。
  3. 設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対し当該不足額を支払う義務を負う。
  4. 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益について定款の定めがない場合には、株式会社の成立の時までに、発起人の全員の同意または創立総会の決議によって当該事項を決定することができる。
  5. 設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合には、発起人は、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければならない。

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【答え】:5
【解説】
1.発起人とは、定款に署名、記名押印または電子署名をした者をいうが、定款に署名、記名押印または電子署名をしていないものの、実質的に設立を企画し尽力した者であれば、会社の設立事務を行う義務と権限を有する発起人とみなされる。

1.誤り

発起人とは、定款に署名・記名押印または電子署名をした者をいいます(会社法26条1項)。実質的に会社の設立を企画・推進した者であっても、定款に署名等をしていなければ発起人とはみなされません。「実質的関与で発起人と認められる」という考え方は会社法上認められていない点に注意しましょう。

※「発起人」とは、会社設立の企画者として定款に署名・記名押印または電子署名をした者のことです。出資義務・設立手続義務・設立に関する責任など、会社法上の重要な義務と権限が与えられます。

2.発起人は、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付についてあらかじめ定めた期日またはその期間内に出資の履行をしないときは、直ちに当該出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利を失う。

2.誤り

期日までに出資の履行をしなかった場合、「直ちに」権利を失うのではなく、発起人から催告を受けた後にはじめて権利を失います(会社法36条)。具体的には、発起人は出資未履行者に対して一定の期日を定めて払込みを催告し、その期日までに履行がなされない場合に権利を失います。「直ちに」という記述が誤りです。

※「権利株」とは、株式の引受けがなされたが会社成立前の段階における権利のことです。会社成立前の権利株の譲渡は会社に対抗できません(会社法35条)。

3.設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対し当該不足額を支払う義務を負う。

3.誤り

募集設立において、現物出資ができるのは発起人のみです。設立時募集株式の引受人(一般の応募者)が行える払込みは金銭のみとされており(会社法63条)、現物出資は認められていません。したがって、「現物出資財産を給付した引受人」という前提自体が法律上あり得ない状況であるため、本肢は誤りです。

※「現物出資」とは、金銭以外の財産(不動産・有価証券など)を出資することをいいます。過大評価による不公正な資本充実を防ぐため、原則として検査役の調査が必要です(会社法33条)。
※「募集設立」とは、発起人以外の者にも設立時の株式引受けを募集する設立方法です(会社法57条)。

4.株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益について定款の定めがない場合には、株式会社の成立の時までに、発起人の全員の同意または創立総会の決議によって当該事項を決定することができる。

4.誤り

発起人が設立に際して受ける報酬その他の特別の利益(いわゆる「発起人報酬」)は、必ず定款に記載しなければなりません(会社法28条4号)。定款への記載がない場合、後から発起人全員の同意や創立総会の決議で追加・決定することはできません。これは、発起人が自己に不当な利益を付与することを防ぐための厳格な要式規定です。

※「変態設立事項」とは、現物出資・財産引受け・発起人の特別利益・設立費用の4つを指し、いずれも定款への記載がなければ効力を生じません(会社法28条)。会社や株主保護のために厳格に規制されています。

5.設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合には、発起人は、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければならない。

5.正しい

募集設立の場合、発起人は設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく創立総会を招集しなければなりません(会社法65条1項)。すべての払込みが完了したことを確認した上で、速やかに創立総会を開催して設立手続きを進める義務があります。「最も遅い日以後、遅滞なく」という文言を正確に覚えておきましょう。

※「創立総会」とは、募集設立において、発起人および設立時株主(設立時募集株式の引受人)によって構成される総会のことです(会社法65条)。定款変更・設立の廃止などを決議する権限を持ちます。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問38|会社法

取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。
  2. 株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
  3. 取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。
  4. 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
  5. 取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。

1.正しい

取締役会は業務執行の決定を行う機関であり、重要でない事項は取締役に委任できますが、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項の決定は取締役に委任することができません(会社法362条4項5号・676条1号)。これは業務執行者が独断で多額の資金調達を行うことを防ぎ、取締役相互のけん制を機能させるための規定です。

※「社債」とは、会社が資金調達のために発行する債券(借入証書)のことです。株式とは異なり、社債は元本返済と利息支払いの義務が生じます。

2.株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

2.正しい

競業取引を行った取締役は、事前に取締役会の承認を得るだけでなく、取引後も遅滞なく当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(会社法365条2項)。事前の承認に加えて事後の報告義務も課すことで、取締役会による継続的な監視・監督が可能となっています。「承認だけで報告は不要」と誤解しないよう注意しましょう。

※「競業取引」とは、取締役が自己または第三者のために、会社の事業の部類に属する取引を行うことです。会社の利益を損なうおそれがあるため、取締役会の承認が必要とされています(会社法356条1項1号・365条1項)。

3.取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。

3.正しい

取締役会は原則として各取締役が招集できますが、定款または取締役会の決議によって招集権者となる取締役を定めた場合は、その取締役のみが招集します(会社法366条1項)。実務では、代表取締役が招集権者に定められていることが多いです。招集権者を定めた場合でも、他の取締役は一定の手続きのもとで招集を請求できる点も合わせて覚えておきましょう。

4.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

4.正しい

取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができません(会社法369条2項)。自己に利害関係のある決議に参加すれば公正な判断が期待できないためです。特別利害関係取締役は定足数(議決に加わることができる取締役の過半数)にも算入されない点も重要なポイントです。

※「特別利害関係」とは、取締役が会社との利益が相反する関係にある場合などを指します。例えば取締役と会社の間の取引(利益相反取引)の承認決議が典型例です。

5.取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。

5.誤り

「みなされる」という記述が誤りです。正しくは「推定される」です(会社法369条5項)。「推定」と「みなし」は法律上の重要な区別であり、推定は反証によって覆すことができますが、みなしは反証を許さない確定的な扱いです。つまり、議事録に異議をとどめなかった取締役は賛成したものと推定されますが、実際には反対であったことを証明すれば推定を覆すことができます。試験では「推定」と「みなし」の区別が頻繁に問われますので正確に押さえておきましょう。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問39|会社法

監査役および監査役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、監査役を置かなければならない。
  2. 監査役は、特別取締役による議決の定めがあるときを除き、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
  3. 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
  4. 監査役会設置会社においては、常勤の監査役は、監査役の中から株主総会の決議によって選任しなければならない。
  5. 取締役、会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、監査役を置かなければならない。

1.正しい

会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、必ず監査役を置かなければなりません(会社法327条3項)。会計監査人が適正に職務を行っているかを監督する観点から、監査役の設置が義務づけられています。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社はそれぞれ独自の監督機関を持つため例外とされています。

※「会計監査人」とは、会社の計算書類等を監査する公認会計士または監査法人のことです。大会社や上場会社では設置が義務づけられています。

2.監査役は、特別取締役による議決の定めがあるときを除き、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

2.正しい

監査役は取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べなければなりません(会社法383条1項)。ただし、監査役が2人以上いる場合で特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって取締役会に出席する監査役を定めることができるという例外があります。「特別取締役による議決の定めがあるときを除き」という条件付きの記述が正確に反映されているため、正しい肢です。

※「特別取締役」とは、取締役会の決議事項の一部を迅速に処理するため、取締役の中から選定される者のことです(会社法373条)。

3.公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

3.正しい

公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)、いわゆる非公開会社は、監査役の監査範囲を会計監査に限定する旨を定款で定めることができます(会社法389条1項)。規模の小さい閉鎖的な会社に対する負担軽減のための特例です。この場合、監査役は業務監査(取締役の職務執行の監査)を行わず、会計監査のみを担います。

※「公開会社でない株式会社(非公開会社)」とは、発行するすべての株式の譲渡に会社の承認を要する旨を定款で定めた会社のことです。

4.監査役会設置会社においては、常勤の監査役は、監査役の中から株主総会の決議によって選任しなければならない。

4.誤り

常勤の監査役は株主総会の決議によって選任するのではなく、監査役の互選によって定めます(会社法390条3項)。株主総会で選任されるのは監査役そのものであり、その中から誰が常勤となるかは監査役同士の互選で決定されます。「株主総会の決議によって選任」という記述が誤りです。選任機関の違いを正確に押さえておきましょう。

※「常勤監査役」とは、監査役会設置会社において常時会社の業務に従事する監査役のことです。監査役会には必ず常勤監査役を1名以上置かなければなりません(会社法390条3項)。

5.取締役、会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。

5.正しい

取締役・会計参与・監査役・会計監査人が監査役の全員に対して個別に通知を行った場合は、改めて監査役会への報告は不要とされています(会社法395条)。監査役全員がすでに情報を把握している場合に、形式的な報告手続を重ねることは不要であるという合理性に基づく規定です。「全員への通知=監査役会への報告不要」という点を覚えておきましょう。

※「監査役会」とは、3人以上の監査役で構成され、そのうち半数以上が社外監査役でなければならない機関です(会社法335条3項)。監査役会設置会社においては、監査役会が監査の方針等を決定します。

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令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問40|会社法

株券に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.株券発行会社における株式の譲渡は、当該株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、当該株券発行会社その他の第三者にも対抗することができない。

イ.株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。

ウ.株券発行会社の株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければならない。

エ.株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、株券の所持を希望しない旨を申し出ることができ、当該株券は、当該株主が当該株券発行会社に提出したときに、無効となる。

オ.株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、非訟事件手続法の公示催告における除権決定により、当該株券を無効とすることができる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】
ア.株券発行会社における株式の譲渡は、当該株式を取得した者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載し、または記録しなければ、当該株券発行会社その他の第三者にも対抗することができない。

ア.誤り

株主名簿への記載・記録は、株券発行会社「その他の第三者」に対抗するための要件ではありません。会社法130条1項は原則として株主名簿の記載・記録を対抗要件と定めていますが、株券発行会社については例外が設けられており、株券の交付が譲渡の効力要件かつ対抗要件となります(会社法130条2項)。「株券発行会社その他の第三者にも対抗することができない」という記述が誤りです。

※「株主名簿」とは、株主の氏名・住所・保有株式数などを記載した会社が作成・管理する帳簿です。原則として、株主名簿への記載がなければ株式取得を会社や第三者に主張できません。
※「株券発行会社」とは、その株式に係る株券を発行する旨を定款で定めた会社のことです(会社法117条7項)。

イ.株券発行会社が自己株式の処分により行う株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなくても、その効力を生ずる。

イ.正しい

株券発行会社では、原則として株式の譲渡には株券の交付が必要ですが、自己株式の処分による譲渡については株券を交付しなくても効力が生じます(会社法128条1項ただし書)。これは会社自身が売主となる場面であり、株券が会社の手元にある特殊な状況であるため、例外が認められています。「自己株式の処分=株券交付不要」という例外を正確に覚えておきましょう。

※「自己株式」とは、株式会社が保有する自社の株式のことです。会社法では一定の条件のもとで自己株式の取得・保有・処分が認められています。

ウ.株券発行会社の株券には、譲渡による当該株券に係る株式の取得について当該株券発行会社の承認を要することを定款で定めたときは、その旨を記載しなければならない。

ウ.正しい

株券には法定の記載事項があり、定款で譲渡制限を定めている場合はその旨を株券に記載しなければなりません(会社法216条1項3号)。これにより、株券を取得しようとする者が譲渡制限の存在を知ることができ、取引の安全が図られます。譲渡制限の定めがある場合の株券への記載義務は頻出事項です。

※「譲渡制限株式」とは、定款によって譲渡による株式取得に会社の承認を要すると定められた株式のことです(会社法107条1項1号)。閉鎖的な会社経営を維持するために設けられます。

エ.株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、株券の所持を希望しない旨を申し出ることができ、当該株券は、当該株主が当該株券発行会社に提出したときに、無効となる。

エ.誤り

株券が無効となるタイミングが誤りです。株主が不所持の申し出をして株券を会社に提出しても、提出した時点では株券は無効になりません。株券が無効となるのは、会社がその申し出を受けた株式について株券を発行しない旨を株主名簿に記載・記録した時です(会社法217条5項)。「提出したとき」という記述が誤りです。手続のどの時点で効力が生じるかに注意しましょう。

オ.株券発行会社の株式に係る株券を喪失した者は、非訟事件手続法の公示催告における除権決定により、当該株券を無効とすることができる。

オ.誤り

株券を喪失した場合、非訟事件手続法の公示催告・除権決定の手続を利用することはできません。会社法233条が、株券については非訟事件手続法第4編の規定を適用しないと明示しているためです。株券喪失の場合は、会社法に定める株券喪失登録制度(会社法223条以下)によって対処します。公示催告と株券喪失登録制度を混同しないよう整理しておきましょう。

※「除権決定」とは、有価証券等を喪失した場合に公示催告手続を経て裁判所が行う決定で、喪失した証書を無効とするものです。ただし株券には適用されません。
※「株券喪失登録制度」とは、株券を喪失した者が会社に登録を申請し、一定期間(1年)を経過した後に株券を無効とする会社法独自の制度です(会社法223条)。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問42|行政法・多肢選択

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の[ ア ]と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、[ イ ]、内容および効果を比較し、両者の間に[ ウ ]があるかどうかによってこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の[ イ ]に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する[ イ ]と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一[ イ ]に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その[ エ ]に応じて、別の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの[ ウ ]はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。
(最大判昭和50年9月10日刑集29巻8号489頁)
1:立法事実 2:効力 3:対象事項 4:歴史的背景 5:整合性 6:目的 7:結果 8:相当性 9:状況 10:立法経緯 11:必要性 12:首尾一貫性 13:立法者意思 14:排他性 15:優劣関係 16:地方の実情 17:住民の意識 18:委任関係 19:矛盾抵触 20:手続

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:3(対象事項)、イ:6(目的)、ウ:19(矛盾抵触)、エ:16(地方の実情)

条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の[ ア:対象事項 ]と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、[ イ:目的 ]、内容および効果を比較し、両者の間に[ ウ:矛盾抵触 ]があるかどうかによってこれを決しなければならない。例えば、ある事項について国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合でも、当該法令全体からみて、右規定の欠如が特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反することとなりうるし、逆に、特定事項についてこれを規律する国の法令と条例とが併存する場合でも、後者が前者とは別の[ イ:目的 ]に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する[ イ:目的 ]と効果をなんら阻害することがないときや、両者が同一[ イ:目的 ]に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その[ エ:地方の実情 ]に応じて、別の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間にはなんらの[ ウ:矛盾抵触 ]はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。
(最大判昭和50年9月10日刑集29巻8号489頁)
【解説】
条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の[ ア ]と規定文言を対比するのみでなく…

ア・・・対象事項

本判決(徳島市公安条例事件・最大判昭和50年9月10日)は、条例と国の法令の抵触判断基準を示したリーディングケースです。単に「規定文言」を比較するだけでなく、まず両者が何を規律対象としているか(対象事項)を確認した上で、趣旨・目的・内容・効果を総合的に比較すべきとしています。よって、アには「対象事項」が入ります。

それぞれの趣旨、[ イ ]、内容および効果を比較し…後者が前者とは別の[ イ ]に基づく規律を意図するものであり…前者の規定の意図する[ イ ]と効果をなんら阻害することがないときや…両者が同一[ イ ]に出たものであっても…

イ・・・目的

条例が国の法令と重なる場合でも、両者の目的が異なる場合は矛盾抵触が生じないとされています。例えば、国の法令が環境保護を目的とし、条例が住民の安全確保を目的とする場合のように、目的が別であれば、条例が国の法令の効果を阻害しない限り適法です。文中でイが4回登場する点から、文脈全体に通じる語句であることが判断の手がかりになります。よって、イには「目的」が入ります。

両者の間に[ ウ ]があるかどうかによってこれを決しなければならない…国の法令と条例との間にはなんらの[ ウ ]はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じえないのである。

ウ・・・矛盾抵触

条例が国の法令に違反するかどうかの最終的な判断基準は、両者の間に「矛盾抵触」があるか否かです。規定文言の対比だけでなく、趣旨・目的・内容・効果を総合的に比較した結果として矛盾抵触が認められる場合に初めて、条例は国の法令に違反することになります。文中でウが2回使われており、前後の文脈から「違反かどうかの決め手となる概念」であることが読み取れます。よって、ウには「矛盾抵触」が入ります。

それぞれの普通地方公共団体において、その[ エ ]に応じて、別の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは…

エ・・・地方の実情

国の法令が全国一律の規制を意図せず、各地方公共団体がその地方の実情に応じて独自の規制を設けることを容認していると解釈できる場合は、条例が国の法令と矛盾抵触しないとされます。これは地方自治の本旨(憲法92条)にも通じる考え方であり、地域の特性や住民のニーズに応じた規制の正当性を認めるものです。よって、エには「地方の実情」が入ります。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問43|行政法・多肢選択

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

いわゆる在外邦人国民審査権訴訟は、現に国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(在外国民)が原告となり、在外国民に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われた事件である。原告は、被告・国に対し、①主位的に、次回の最高裁判所裁判官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めるとともに(本件地位確認の訴え)、②予備的に、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法の規定に違反して違法であることの確認(本件違法確認の訴え)を求めた。

これについて、最高裁判所大法廷は、最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するとし、とりわけ、本件違法確認の訴えにつき、要旨次のような判示を行った(最大判令和4年5月25日民集76巻4号711頁)。

①本件地位確認の訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され、国民審査法4条、8条の解釈に基づいて、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めているものと解される。しかしながら、国民審査法の規定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、[ イ ]である。

②本件違法確認の訴えは、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことが違憲であることを理由として、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であると主張し、その確認を求めるものである。このような訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され、当該訴えにおいて[ ウ ]が確定した場合、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると、結果的に上記の争いを解決するために[ エ ]な手段であると認められ、[ ア ]に関する確認の訴えとして適法である。上記の違憲判断を踏まえ、本件違法確認の訴えに係る請求も認容すべきものである。
1:法令の憲法適合性 2:処分もしくは裁決の存否またはその効力の有無 3:行政庁の公権力の行使に関する不服 4:公法上の法律関係 5:無効判決 6:上告不受理決定すべきもの 7:原審に差し戻すべきもの 8:簡易迅速 9:法律上の争訟に該当しないもの 10:却下すべきもの 11:棄却すべきもの 12:事情判決 13:裁判を受ける権利 14:公正透明 15:有効適切 16:形成判決 17:最終的 18:取消判決 19:効率的 20:確認判決

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:4(公法上の法律関係)、イ:11(棄却すべきもの)、ウ:20(確認判決)、エ:15(有効適切)

いわゆる在外邦人国民審査権訴訟は、現に国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(在外国民)が原告となり、在外国民に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われた事件である。原告は、被告・国に対し、①主位的に、次回の最高裁判所裁判官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めるとともに(本件地位確認の訴え)、②予備的に、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法の規定に違反して違法であることの確認(本件違法確認の訴え)を求めた。

これについて、最高裁判所大法廷は、最高裁判所裁判官国民審査法(国民審査法)が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法に違反するとし、とりわけ、本件違法確認の訴えにつき、要旨次のような判示を行った(最大判令和4年5月25日民集76巻4号711頁)。

①本件地位確認の訴えは、[ ア:公法上の法律関係 ]に関する確認の訴えと解され、国民審査法4条、8条の解釈に基づいて、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求めているものと解される。しかしながら、国民審査法の規定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、[ イ:棄却すべきもの ]である。

②本件違法確認の訴えは、国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことが違憲であることを理由として、被告・国が原告に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であると主張し、その確認を求めるものである。このような訴えは、[ ア:公法上の法律関係 ]に関する確認の訴えと解され、当該訴えにおいて[ ウ:確認判決 ]が確定した場合、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると、結果的に上記の争いを解決するために[ エ:有効適切 ]な手段であると認められ、[ ア:公法上の法律関係 ]に関する確認の訴えとして適法である。上記の違憲判断を踏まえ、本件違法確認の訴えに係る請求も認容すべきものである。
【解説】
①本件地位確認の訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され…②このような訴えは、[ ア ]に関する確認の訴えと解され…

ア・・・公法上の法律関係

本件地位確認の訴えおよび本件違法確認の訴えはいずれも、公法上の法律関係に関する確認の訴えと位置づけられます。これは行政事件訴訟法4条後段に定める実質的当事者訴訟の一類型です。抗告訴訟(処分の取消しなど)ではなく、国民審査に関する公法上の権利関係の確認を求める訴えである点が重要です。よって、アには「公法上の法律関係」が入ります。

しかしながら、国民審査法の規定により在外国民に審査権の行使が認められていると解することはできないから、本件地位確認の訴えに係る請求は理由がなく、[ イ ]である。

イ・・・棄却すべきもの

本件地位確認の訴えは訴訟要件(訴えの適法性)を満たしており、却下(訴え自体を門前払いすること)ではありません。しかし、現行の国民審査法の規定上、在外国民に審査権の行使を認める解釈ができないため、請求の実体に理由がなく、棄却(請求を認めないこと)すべきという判断です。「却下」と「棄却」の区別が問われる重要ポイントです。よって、イには「棄却すべきもの」が入ります。

当該訴えにおいて[ ウ ]が確定した場合、国会において、裁判所がした違憲である旨の判断が尊重されるものと解されることも踏まえると…

ウ・・・確認判決

本件違法確認の訴えは確認の訴えですから、認容された場合の判決は確認判決です。最高裁は、この確認判決が確定することで国会が違憲判断を尊重し立法措置を講じることが期待されるとして、本訴えの実効性を認めました。形成判決(法律関係を変動させる)や取消判決とは異なる点を押さえておきましょう。よって、ウには「確認判決」が入ります。

結果的に上記の争いを解決するために[ エ ]な手段であると認められ、[ ア:公法上の法律関係 ]に関する確認の訴えとして適法である。

エ・・・有効適切

確認訴訟が適法とされるためには、その訴えが紛争解決のために有効かつ適切な手段でなければならないという要件(確認の利益)が必要です。最高裁は、本件違法確認の訴えが、在外国民の審査権をめぐる根本的な争いを解決するために有効適切な手段であると認め、適法な訴えとして認容しました。よって、エには「有効適切」が入ります。

令和8年度行政法予想模試

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略