令和6年度(2024年度)過去問

令和7年・2025|問2|基礎法学

裁判員制度に関する次の記述のうち、裁判員法* の規定に照らし、誤っているものはどれか。 (注)* 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

  1. 裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、くじその他の作為が加わらない方法で選任される。
  2. 一定の事由があれば、検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対して、選任された裁判員の解任の請求をすることができる。
  3. 裁判員は、地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続に参加する。
  4. 裁判員の関与する判断は、合議体を構成する裁判官の意見を聞いた上で、裁判員の過半数の意見によって行われる。
  5. 裁判員が、その関与する判断のための評議の秘密を漏らしたときは、当該裁判員は、刑罰を科される。

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【答え】:4
【解説】
1.裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、くじその他の作為が加わらない方法で選任される。

1.正しい

裁判員法13条は、「裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、この節の定めるところにより選任するものとする」と規定しています。

選任はくじその他の作為が加わらない方法(裁判員法26条以下)によって行われ、特定の者を恣意的に選ぶことがないよう手続が設けられています。

2.一定の事由があれば、検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対して、選任された裁判員の解任の請求をすることができる。

2.正しい

裁判員法41条1項は、「検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対し、次の各号のいずれかに該当することを理由として裁判員または補充裁判員の解任を請求することができる」と定めています。

解任事由としては、不公平な裁判をするおそれがある場合や、裁判員の義務に違反した場合などが挙げられます(41条1項各号)。当事者(検察官・被告人・弁護人)が解任を請求できる制度が設けられている点が重要です。

3.裁判員は、地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続に参加する。

3.正しい

裁判員法2条1項により、裁判員が参加するのは地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続です。

対象となる事件は、①死刑または無期の拘禁に当たる罪に係る事件、②法定合議事件(裁判所法26条2項2号)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件です(2条1項1号・2号)。高等裁判所・簡易裁判所では裁判員は参加しません。

4.裁判員の関与する判断は、合議体を構成する裁判官の意見を聞いた上で、裁判員の過半数の意見によって行われる。

4.誤り

裁判員が関与する判断は、「裁判員の過半数の意見」によって行われるのではありません。

裁判員法67条1項は、「裁判所としての判断は、裁判官および裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による」と定めています。

これは、裁判官・裁判員の全員(合計9人)のうちの過半数(5人以上)の意見によることを意味し、かつその過半数の中に裁判官1人以上および裁判員1人以上が含まれていなければなりません。

「裁判員だけの過半数」や「裁判官の意見を聞いた上で裁判員が過半数で決定する」という仕組みではなく、裁判官と裁判員が対等に評議に参加した上での合算による多数決という点が重要です。

※裁判員裁判の合議体の構成は、裁判官3人+裁判員6人が原則です(裁判員法2条2項)。

5.裁判員が、その関与する判断のための評議の秘密を漏らしたときは、当該裁判員は、刑罰を科される。

5.正しい

裁判員法108条は、裁判員または補充裁判員であった者が評議の秘密を漏らした場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると定めています。

評議の秘密として守秘義務が課されるのは、①評議の経過、②各裁判員・裁判官の意見、③その多少の数です(裁判員法70条1項)。評議の自由な意見表明を保護し、公正な審理を担保するための制度です。

なお、守秘義務は退任後も続く(終身義務)点も重要です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和6年・2024|問24|地方自治法

普通地方公共団体の条例または規則に関する次の記述のうち、地方自治法の定めに照らし、妥当なものはどれか。

  1. 普通地方公共団体の長が規則を定めるのは、法律または条例による個別の委任がある場合に限られる。
  2. 普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を定めることができるが、条例において罰則を定めるためには、その旨を委任する個別の法令の定めが必要である。
  3. 普通地方公共団体は、特定の者のためにする事務につき手数料を徴収することができるが、この手数料については、法律またはこれに基づく政令に定めるものを除いて、長の定める規則によらなければならない。
  4. 普通地方公共団体の委員会は、個別の法律の定めるところにより、法令等に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を定めることができる。
  5. 普通地方公共団体は条例で罰則を設けることができるが、その内容は拘禁、罰金、科料などの行政刑罰に限られ、行政上の秩序罰である過料については、長が定める規則によらなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.普通地方公共団体の長が規則を定めるのは、法律または条例による個別の委任がある場合に限られる。

1・・・妥当でない

この選択肢は、「普通地方公共団体の長が規則を定めるには、法律または条例による個別の委任が必要だ」としていますが、それは誤りです。

地方自治法第15条第1項では、次のように定められています。

普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務について規則を制定することができる。

つまり、法律や条例の個別の委任がなくてもその長の権限に属する事務については、法令に反しない範囲で自由に規則を定めることができるのです。

2.普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を定めることができるが、条例において罰則を定めるためには、その旨を委任する個別の法令の定めが必要である。

2・・・妥当でない

確かに、普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができます(地方自治法第14条第1項)。
しかし、この選択肢の後半「罰則を定めるには個別の法令の委任が必要である」という部分が誤りです。

罰則付き条例は、個別の委任がなくてもOK

地方自治法第14条第3項では、次のように定められています。

普通地方公共団体は、法令に特別の定めがある場合を除いて、その条例中に、違反者に対して一定の刑罰または過料を科す旨の規定を設けることができる。

つまり、個別の法令による委任がなくても、条例の中に罰則を設けることが可能です(包括的授権)。

設定できる罰則の範囲

条例により科すことができる刑罰・過料の範囲は、以下のとおり上限が定められています(地方自治法14条3項)。

  • 2年以下の懲役または禁錮
  • 100万円以下の罰金
  • 拘留
  • 科料
  • 没収
  • 5万円以下の過料

※ 刑の内容の詳細(例:科料は1000円以上1万円未満など)は刑法等に規定があります。

3.普通地方公共団体は、特定の者のためにする事務につき手数料を徴収することができるが、この手数料については、法律またはこれに基づく政令に定めるものを除いて、長の定める規則によらなければならない。

3・・・妥当でない

選択肢の前半部分「普通地方公共団体は、特定の者のためにする事務について手数料を徴収することができる」という部分は正しいです。

しかし、後半部分「長の定める規則によらなければならない」は誤りであり、正しくは「条例」によって定めなければなりません。

地方自治法第227条
普通地方公共団体は、その事務で特定の者のためにするものについて、手数料を徴収することができる。

地方自治法第228条第1項
分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。

つまり、手数料の徴収については、個別の規則ではなく、議会の議決を経た条例による定めが必要です。

特例:政令による標準手数料

なお、次のような特例もあります。

全国的に統一が必要な事務については、政令で定める手数料額を標準として条例を定めなければならない(同条後段)。

たとえば「旅券事務」など、全国一律の取扱いが求められるケースが該当します。

「特定の者のためにする事務」とは?

具体例としては次のような事務が該当します。

  • 住民票・印鑑証明の交付
  • 戸籍の附票の写しの交付
  • 書類・公簿の閲覧

これらはすべて、申請者個人の利益のために行われる行政サービスであり、費用の一部を手数料として負担してもらうことが正当とされます。

4.普通地方公共団体の委員会は、個別の法律の定めるところにより、法令等に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を定めることができる。

4・・・妥当である

普通地方公共団体には、長(知事・市町村長)だけでなく、委員会形式の執行機関が設けられていることがあります。たとえば、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員などがそれに該当します。

こうした委員会は、独立した合議制の機関として、地方自治法等の定めに基づき、一定の事務を執行します。

地方自治法第138条の4第2項では、次のように規定されています。

委員会は、法律の定めるところにより、法令・条例または規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。

この規定により、委員会も法律の委任を受けて、自己の権限に関する範囲で規則を定めることができるのです。
ただし、「法令等に違反しないこと」が前提です。

5.普通地方公共団体は条例で罰則を設けることができるが、その内容は禁錮、罰金、科料などの行政刑罰に限られ、行政上の秩序罰である過料については、長が定める規則によらなければならない。

5・・・妥当でない

この選択肢の誤りは、「過料(行政上の秩序罰)は規則でしか定められない」としている点にあります。
実際には、過料は条例にも規則にも規定することができます

条例による罰則(地方自治法第14条第3項)
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがある場合を除き、次のような刑罰・過料を条例に規定できます。

  • 2年以下の懲役または禁錮
  • 100万円以下の罰金
  • 拘留
  • 科料
  • 没収
  • 5万円以下の過料

つまり、条例においても過料を含めた罰則規定が可能です。

規則による過料(地方自治法第15条第2項)
普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがある場合を除き、次のように規定できます。

規則に違反した者に対して、5万円以下の過料を科すことができる。

つまり、長の定める規則においても過料の規定が可能です。

 


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和6年・2024|問11|行政手続法

会社Xは、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という)に基づく免許を受けて不動産取引業を営んでいる。ところが、Xの代表取締役であるAが交通事故を起こして、歩行者に重傷を負わせてしまった。その後、自動車運転過失傷害の罪でAは逮捕され、刑事裁判の結果、懲役1年、執行猶予4年の刑を受けて、判決は確定した。宅建業法の定めによれば、法人の役員が「拘禁以上の刑」に処せられた場合、その法人の免許は取り消されるものとされていることから、知事YはXの免許を取り消した(以下「本件処分」という)。 この事例への行政手続法の適用に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

(参考条文)

宅地建物取引業法

(免許の基準) 第5条① 国土交通大臣または都道府県知事は、第3条第1項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合または免許申請書もしくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、もしくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。

一~四 略

五 拘禁以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

六 以下略

② 以下略

(免許の取消し) 第66条① 国土交通大臣または都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。

一 第5条第1項第1号、第5号から第7号まで、第10号または第14号のいずれかに該当するに至ったとき。

二 略

三 法人である場合において、その役員または政令で定める使用人のうちに第5条第1項第1号から第7号までまたは第10号のいずれかに該当する者があるに至ったとき。

四 以下略

② 以下略

  1. 本件処分は、許認可等の効力を失わせる処分であるが、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出に対する応答としてなされるものであるから、行政手続法のいう「不利益処分」にはあたらない。
  2. 本件処分は、刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官または司法警察職員がする処分を契機とするものであるので、行政手続法の規定は適用されない。
  3. 本件処分は、その根拠となる規定が法律に置かれているが、地方公共団体の機関がする処分であることから、行政手続法の規定は適用されない。
  4. 本件処分は、申請に対する処分を取り消すものであるので、本件処分をするに際して、行政庁は許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。
  5. 本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。

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【答え】:5

【解説】
1.本件処分は、許認可等の効力を失わせる処分であるが、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出に対する応答としてなされるものであるから、行政手続法のいう「不利益処分」にはあたらない。

1・・・妥当でない

本件は、宅建業者である会社Xの代表取締役Aが「懲役1年・執行猶予4年」という拘禁以上の刑を受けたことで、X社の免許が取り消されたという事例です。この処分が、行政手続法における「不利益処分」に該当するかが問われています。

結論からいうと、この処分(免許取消し)は、「不利益処分」に該当するので、記述は妥当ではありません。

行政手続法第2条第4号では、「不利益処分」とは、許認可の取消しや停止など、相手方に不利益となる行政処分をいいます。

本件で行われた免許取消しは、法人の業務に重大な影響を与えるものなので、まさにこの「不利益処分」にあたります。

問題文では、「この処分は、事実が消滅した旨の届出に対する応答としてなされるものだから、不利益処分ではない」としていますが、これは誤りです。

行政手続法2条4号ただし書きニで規定されている「届出に対する応答」とは、たとえば「営業廃止届」など、事業者自らの意思による廃止を届け出た場合に行政庁が形式的に応じるものです。

今回のように、刑罰を受けたことによって当然に免許取消しの要件に該当することになったというのは、「届出に対する応答」ではなく、行政庁が主体的に判断して行う処分です。

したがって、この処分は不利益処分に該当し、処分の理由の提示などの行政手続法上の手続が必要です。

行政手続法2条4号ただし書きニ
許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるものは、不利益処分に該当しない
2.本件処分は、刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官または司法警察職員がする処分を契機とするものであるので、行政手続法の規定は適用されない。

2・・・妥当でない

本件は、会社Xの代表取締役Aが「懲役1年・執行猶予4年」の有罪判決を受けたことにより、会社Xが宅建業法第66条第1項第1号・第3号に該当し、免許取消処分を受けたケースです。

このような免許取消処分は、あくまで知事(行政庁)による行政処分であり、行政手続法の定める「不利益処分」にあたります。

選択肢では、「刑事事件に関する法令に基づいて検察官等がする処分を契機とするものなので、行政手続法は適用されない」とありますが、これは誤りです。

確かに行政手続法第3条第1項第5号では、「刑事事件に関する法令に基づき、検察官や警察官などがする処分」には行政手続法が適用されないとされています。しかし、本件の処分を行ったのは検察官や警察官ではなく、「宅建業法に基づく免許権者(都道府県知事)」です。よって、この規定は当てはまりません。

したがって、本件処分には行政手続法の規定が適用されます。

行政手続法第3条第1項第5号(適用除外):
刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
3.本件処分は、その根拠となる規定が法律に置かれているが、地方公共団体の機関がする処分であることから、行政手続法の規定は適用されない。

3・・・妥当でない

本件のように、都道府県知事が行う免許の取消しは、確かに地方公共団体の機関が行う「処分」にあたります。しかし、ここで重要なのは、その処分の根拠が「どの法令に基づいているか」です。

行政手続法第3条第3項では、次のように定められています。

地方公共団体の機関がする処分、行政指導及び届出については、その根拠が条例または規則にある場合は、行政手続法は適用されない

つまり、行政手続法の適用が除外されるのは、条例や規則に基づく処分などの場合です。

ところが、本件の免許取消処分は、宅地建物取引業法という国の法律(法第5条・第66条)に基づいています。よって、行政手続法の適用除外には当たりません。

したがって、本件処分には行政手続法が適用されるため、記述は妥当ではありません。

4.本件処分は、申請に対する処分を取り消すものであるので、本件処分をするに際して、行政庁は許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。

4・・・妥当でない

本件は、宅地建物取引業者である会社Xの免許が取り消されたという事案です。これは、許認可を与える処分(申請に対する処分)ではなく、すでに与えた免許を取り消す処分です。このように、行政庁が国民に対して何らかの不利益を与える処分は、「不利益処分」と呼ばれます。

不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準を「処分基準」といいます。

審査基準」は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準です。そのため、本肢は妥当ではないです。

関連ポイントも重要なので、個別指導で解説します。

5.本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。

5・・・妥当である

行政手続法では、原則として重大な不利益処分(例:免許の取消し)をする際には、名あて人に言い分を述べる機会(=聴聞)を与える必要があります(行政手続法13条1項1号)。
しかし、以下のような例外があります。

行政手続法13条2項2号:

以下の要件を満たす場合、聴聞は不要になります。

  1. 法令上、必ず行わなければならない不利益処分であること
    → 今回のように、宅建業法66条により免許を「取り消さなければならない」とされているケースが該当します。
  2. 資格喪失の事実が客観的資料によって証明されていること
    → 今回は「裁判で有罪判決を受けた」という事実が、判決文などの客観的資料で確認できます。

    本肢に適用

    • Aが「拘禁以上の刑(懲役1年)」に処せられた。
    • その結果、会社Xの免許は法律上、必ず取り消さなければならない。
    • その事実(Aが有罪になったこと)は裁判の判決で証明されている。

    よって、行政手続法13条2項2号に該当し、「聴聞は不要」となります。

     


    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問50|基礎知識

    自由貿易体制と関税に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

    1. 第二次世界大戦後に「関税および貿易に関する一般協定」(GATT)が締結され、現在では世界貿易機関(WTO)が設立されている。
    2. 環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が離脱した後、新たにアジア太平洋経済協力(APEC)として締結された。
    3. 輸入の急増によって国内産業に重大な損害を与える、あるいは与える恐れがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等を行うことを、セーフガードと呼ぶ。
    4. 関税以外の手段で行われる、自由貿易を妨げる障害を総称して非関税障壁と呼ぶ。
    5. 国内産業保護のために、相殺関税やアンチダンピング関税が用いられることもある。

    >解答と解説はこちら


    【答え】:2
    【解説】
    1.第二次世界大戦後に「関税および貿易に関する一般協定」(GATT)が締結され、現在では世界貿易機関(WTO)が設立されている。

    1.妥当である

    第二次世界大戦の背景には保護貿易主義が一因となっていたという反省から、自由貿易の促進を目的としてGATTが1948年に発足しました。その後、計8回にわたる多角的貿易交渉(ラウンド)を通じて世界貿易の発展に貢献し、1995年にWTOへと発展解消されています。

    ※「GATT」とは、「関税および貿易に関する一般協定」の略称で、自由貿易の促進を目的とした多国間の国際協定です。
    ※「WTO」とは、「世界貿易機関」の略称で、GATTを引き継ぐ形で設立された国際機関です。貿易ルールの策定や貿易紛争の解決を担っています。
    ※「多角的貿易交渉(ラウンド)」とは、GATT加盟国が一堂に会して関税引き下げ等を交渉する会議のことです。

    2.環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が離脱した後、新たにアジア太平洋経済協力(APEC)として締結された。

    2.妥当でない

    TPPを離脱したのは日本ではなくアメリカです。アメリカ離脱後、残った11ヵ国によってCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)が締結されました。またAPECはTPPとは別の枠組みであり、両者を混同しないよう注意が必要です。

    ※「TPP」とは、「環太平洋経済連携協定」の略称で、太平洋を囲む国々の間で関税撤廃・貿易自由化を目指した協定です。
    ※「CPTPP」とは、アメリカ離脱後に残った11ヵ国で締結された協定で、「TPP11」とも呼ばれます。
    ※「APEC」とは、「アジア太平洋経済協力」の略称で、TPPとは別の、アジア太平洋地域の経済協力を目的とするフォーラムです。

    3.輸入の急増によって国内産業に重大な損害を与える、あるいは与える恐れがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等を行うことを、セーフガードと呼ぶ。

    3.妥当である

    輸入の急増によって国内産業に重大な損害が生じる、または生じるおそれがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等の緊急措置を発動できる制度をセーフガード(緊急関税制度)といいます。1994年GATT第19条およびWTOセーフガード協定に基づいており、内外価格差の範囲内で緊急関税を課すことができます

    ※「セーフガード」とは、輸入急増から国内産業を守るための緊急措置の総称です。「緊急輸入制限」とも呼ばれます。

    4.関税以外の手段で行われる、自由貿易を妨げる障害を総称して非関税障壁と呼ぶ。

    4.妥当である

    非関税障壁とは、関税以外の方法で自由貿易を妨げる障害の総称です。輸入手続きの煩雑化、輸入品の検査要求、数量制限、国内産業への助成金などが代表例です。一方、輸入品に高い関税をかけることは関税障壁といいます。非関税障壁は原則として認められていませんが、現実には様々な形で存在しています。

    ※「非関税障壁」とは、関税以外の手段(数量制限・検査要件・補助金など)によって輸入を制限し、自由貿易を妨げる措置の総称です。

    5.国内産業保護のために、相殺関税やアンチダンピング関税が用いられることもある。

    5.妥当である

    非関税障壁とは、関税以外の方法で自由貿易を妨げる障害の総称です。輸入手続きの煩雑化、輸入品の検査要求、数量制限、国内産業への助成金などが代表例です。一方、輸入品に高い関税をかけることは関税障壁といいます。非関税障壁は原則として認められていませんが、現実には様々な形で存在しています。

    ※「非関税障壁」とは、関税以外の手段(数量制限・検査要件・補助金など)によって輸入を制限し、自由貿易を妨げる措置の総称です。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問1|基礎法学

    次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

    まず「者」、「物」そして「もの」の使い分け方であるが、このうち「者」とは、自然人にせよ法人にせよ、原則として法律上の[ ア ]を有する主体のことを指す用語である。これに対し「物」というのは、権利の客体となる[ イ ]であって、「者」が指すような法律上の[ ア ]を有する主体以外のものを指す。(・・・中略・・・)

    次に「もの」には三つの用法があり、第一は抽象的なものを指す場合(ただし、「者」や「物」にあたる場合は、これらが優先して使われる)であり、第二は[ ア ]のない社団や財団を指す場合で、時によりこれに自然人や法人を含めて指すこともある。第三として、あるものに更に要件を重ねて規定する場合に用いる。たとえば自然環境保全法第17条第5項第2号は原生自然環境保全地域内における行為を制限する規定の適用除外を掲げ、「通常の管理行為または軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの」としているが、この場合の「おそれがないもの」の「もの」は上記の[ ウ ]の用法であり、また「環境省令で定めるもの」の「もの」は[ エ ]の使い方である。

    (出典 山本庸幸「実務立法技術」2006年から<文章を一部省略した。>)

    1. ア:人格 イ:有体物 ウ:第三 エ:第一
    2. ア:実体 イ:所有物 ウ:第二 エ:第一
    3. ア:人格 イ:有体物 ウ:第一 エ:第三
    4. ア:実体 イ:所有物 ウ:第三 エ:第一
    5. ア:資格 イ:有体物 ウ:第二 エ:第三

    >解答と解説はこちら


    【答え】:3

    【解説】

    1. 「者」と「物」の区別(ア・イ)
    法律の世界では、主役(主体)と脇役(客体)を厳格に使い分けます。

    [ ア ]人格(権利能力)
    「者」という漢字は、人間(自然人)や会社(法人)など、自ら契約を結んだり裁判を起こしたりできる法律上の主体に使われます。これを「人格(法的人格)」を持っていると言います。

    [ イ ]有体物
    「物」という漢字は、民法上「有体物(ゆうたいぶつ)」を指すのが原則です。電気などの管理可能なエネルギーも含まれますが、基本的には「人格を持たない、権利の対象となるもの」です。

    2. 「もの」の3つの用法(ウ・エ)
    ひらがなの「もの」は、漢字の「者」や「物」に当てはまらない広い概念をカバーします。

    第一の用法(抽象的・一般概念)
    「おそれがないもの」の「もの」は、「事態」や「状態」という抽象的な概念を指しています。したがって[ ウ ]には第一が入ります。

    第二の用法(権利能力なき社団など)
    「権利能力なき社団(例:同窓会やサークル)」などは、法的には「者(人格)」ではありませんが、人間が集まっています。これらを指す際に「もの」が使われます。

    第三の用法(要件の重ね掛け)
    「……のうち、……であって、……なもの」というように、条件をどんどん絞り込んでいく時に使われます。問題文の「環境省令で定めるもの」は、直前の条件をさらに限定しているため、[ エ ]には第三が入ります。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問3|憲法

    法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

    1. 尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。
    2. 所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。
    3. 女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。
    4. 子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。
    5. 憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。

    >解答と解説はこちら


    【答え】:4
    【解説】
    1.尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。

    1.妥当でない

    本肢は、尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭和48年4月4日)に関する記述ですが、二点において誤りがあります。

    第一に、尊属という地位は「社会的身分」にはあたらないと解されています。尊属(父母・祖父母等)の殺害が通常の殺人より高度の社会的道義的非難を受けることは不合理ではなく、加重処罰の立法目的自体は合憲とされました。

    第二に、違憲の根拠は「社会的身分による差別」ではなく、刑罰の程度が立法目的達成の手段として均衡を失している(死刑または無期懲役のみで執行猶予も認めない点)という点でした。「通常より厳格な審査基準」を採用したものでもありません。

    2.所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。

    2.妥当でない

    本肢は、大島訴訟(最大判昭和60年3月27日)に関する記述ですが、「立法者の裁量を広く認める」という部分が判例の立場と異なります。

    同判決は、租税法律の制定・改廃において立法者の裁量が認められるとしつつも、それが「著しく不合理であることが明らかでない限り」合憲という基準を示したものであり、「立法裁量を広く認める」と断言したものではありません。

    また、憲法14条1項の後段列挙事由(人種・信条・性別等)は例示であり、これに該当しないからといって直ちに合憲となるわけではなく、合理的区別かどうかによって判断されます。

    3.女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。

    3.妥当でない

    本肢は、再婚禁止期間違憲判決(最大判平成27年12月16日)に関する記述です。

    同判決は、100日を超える再婚禁止期間の部分を違憲としましたが、その審査にあたって「性別以外による区別より厳格な審査基準」を採用するとは明示していません。判例は「過剰な制約を課すことが合理性を欠く」という比較衡量的な判断を行っており、いわゆる厳格審査基準(やむを得ない目的・必要最小限の手段)を明示的に採用したものではありません。

    なお、同判決は100日以内の部分は合憲(父性推定の重複を避ける目的に合理性あり)、100日を超える部分は違憲と判断しました。

    4.子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。

    4.妥当である

    本肢は、非嫡出子相続分規定違憲決定(最大決平成25年9月4日)の趣旨に関する記述です。

    同決定は、「子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄(出生の事情)を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されない」という考え方が社会に確立してきたとして、嫡出子と非嫡出子の法定相続分を区別していた旧民法900条4号ただし書きを憲法14条1項に違反すると判断しました。

    平成7年の最大決では合憲とされていましたが、社会情勢の変化・諸外国の立法動向・子の権利条約等を踏まえ、その合理性が失われたと判断が変更されたものです。この決定を受けて民法は改正されました。

    5.憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。

    5.妥当でない

    生存権(憲法25条)に関連する法的取り扱いの合憲性審査については、朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)等の判例が示す審査基準が基準となります。

    これらの判例は、社会保障立法においては立法者に広い裁量が認められ、「著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と認められる場合」にのみ違憲とするという緩やかな審査基準を採用しています。

    「厳格かつ慎重に審査」という本肢の記述は、これとは逆の方向であり、判例の立場と合致しません。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問4|憲法

    取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

    1. 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。
    2. 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
    3. 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。
    4. 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。
    5. 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。

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    【答え】:5
    【解説】
    1.公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。

    1.妥当である

    本肢は、博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭和44年11月26日)の趣旨に関する記述です。

    同決定は、報道機関の取材の自由も憲法21条の精神に照らし十分尊重に値するとしつつも、公正な刑事裁判の実現のためには報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められる場合、取材の自由がある程度の制約を受けることもやむを得ないと判示しました。

    取材の自由は絶対無制限ではなく、公正な裁判という重大な公益との比較衡量により制限が認められる場合があることを示した重要判例です。

    2.報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。

    2.妥当である

    本肢は、外務省秘密漏洩事件(最決昭和53年5月31日)の判示内容に関する記述です。

    同決定は、取材の自由は憲法21条の精神に照らし尊重されるべきであるとしながら、取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れない場合であっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪するなど、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱すると判示しました。

    取材の自由はその手段・方法においても制約があることを明示した判例です。

    3.不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。

    3.妥当である

    本肢は、サンケイ新聞事件(最判昭和62年4月24日)の判示内容に関する記述です。

    同判決は、意見広告に対する反論文の無料掲載を求める反論権について、不法行為(名誉毀損等)の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれがあるとして、法律の根拠なしに当然に認めることはできないと判示しました。

    反論権が認められるのは不法行為の成立が前提となる場合に限られるという重要な判断です。

    4.報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。

    4.妥当である

    本肢は、レペタ事件(最大判平成元年3月8日)の判示内容に関する記述です。

    同判決は、法廷でのメモ採取を司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ許可し、一般傍聴人には禁止した裁判長の措置について、報道の公共性および取材の自由に対する配慮に基づくものであり、憲法14条1項(法の下の平等)に反しないと判示しました。

    報道関係者と一般傍聴人を区別することには合理的な理由があるとして、平等原則違反を否定した事例です。

    5.報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。

    5.妥当でない

    本肢は、取材源秘匿事件(最決平成18年10月3日)に関する記述です。同決定は本肢とは逆の判断を示しています。

    同決定は、報道関係者の取材源は、民事訴訟法197条1項3号の「職業の秘密」に該当し得ると判示しました。取材源が明らかにされると将来の自由で円滑な取材活動に重大な支障が生じ、報道機関の社会的機能が損なわれることから、取材源に係る証言の拒絶が認められる場合があるとしたものです。

    本肢は「職業の秘密には該当しない」と述べており、判例の立場と正反対であるため妥当ではありません。

    ※「職業の秘密」(民訴法197条1項3号)とは、職業の性質上その業務において知り得た情報で、秘密として保護するに値するものをいいます。取材源はこれに該当し得るとされています。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問5|憲法

    国会の召集に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

    憲法は、国会について[ ア ]制を採用し、内閣がその召集を実質的に決定する権限を有するものとした上で、52条、53条および54条1項において、常会、[ イ ]会および[ ウ ]会の召集時期等について規定している。そのうち憲法53条は、前段において、内閣は、[ イ ]会召集決定をすることができると規定し、後段において、いずれかの議院の総議員の1/4以上による[ イ ]会召集要求があれば、内閣は、[ イ ]会召集決定をしなければならない旨を規定している。これは、国会と内閣との間における権限の分配という観点から、内閣が[ イ ]会召集決定をすることとしつつ、これがされない場合においても、国会の[ ア ]を開始して国会による国政の根幹に関わる広範な権能の行使を可能とするため、各議院を組織する一定数以上の議員に対して[ イ ]会召集要求をする権限を付与するとともに、この[ イ ]会召集要求がされた場合には、内閣が[ イ ]会召集決定をする義務を負うこととしたものと解されるのであって、個々の国会議員の[ イ ]会召集要求に係る[ エ ]を保障したものとは解されない。

    .(最三小判令和5年9月12日民集77巻6号1515頁)

    1. ア:会期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権限または権能
    2. ア:立法期 イ:臨時 ウ:特別 エ:権限または権能
    3. ア:会期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権利または利益
    4. ア:立法期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権限または権能
    5. ア:会期 イ:臨時 ウ:特別 エ:権利または利益

    >解答と解説はこちら


    【答え】:5

    【解説】

    本問は、最三小判令和5年9月12日(民集77巻6号1515頁)を素材とした空欄補充問題です。各空欄を順に検討します。

    【ア:会期】

    日本国憲法は、国会について「会期」制を採用しています。会期制とは、国会が活動できる期間(会期)をあらかじめ定め、その間に限り国会が立法等の権能を行使できる制度です。「立法期」という概念は憲法上存在しません。

    【イ:臨時、ウ:特別】

    憲法が定める国会の種類と根拠条文は以下の通りです。

    52条:常会(通常国会、毎年1回1月に召集)、53条:臨時会(臨時国会、内閣が召集決定。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば内閣に召集義務が生じる)、54条1項:特別会(特別国会、衆議院解散後の総選挙後30日以内に召集)。

    したがって、53条が規定するのは「臨時」会(イ)であり、54条1項が規定するのは「特別」会(ウ)です。

    【エ:権利または利益】

    令和5年最高裁判決は、憲法53条後段の臨時会召集要求の趣旨について、「国会と内閣の権限分配」という観点から内閣に召集義務を課したものと解した上で、「個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利または利益を保障したものとは解されない」と判示しました。

    これにより、召集義務違反を理由とした国家賠償請求(個々の議員の権利・利益侵害を根拠とするもの)は認められないとされました。「権限または権能」は議院・内閣の憲法上の権能を指す概念であり、個々の議員の私的権利を意味する「権利または利益」とは異なります。エには後者が入ります。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
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    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
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    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問6|憲法

    内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。
    2. 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。
    3. 内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。
    4. 国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
    5. 法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

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    【答え】:5
    【解説】
    1.内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。

    1.妥当でない

    大日本帝国憲法(明治憲法)には、内閣や内閣総理大臣に関する規定はなく、内閣総理大臣の地位は「内閣官制」(明治22年の勅令)によって定められていました。

    内閣官制上、内閣総理大臣は各大臣の「首班」と位置づけられてはいましたが、これは手続き的な意味での首位にすぎず、実質的には「同輩中の首席」に過ぎませんでした。天皇への輔弼(助言)関係では、内閣総理大臣も他の国務大臣と同格の扱いであり、現行憲法のような強い内閣の首長としての地位は認められていませんでした

    本肢は「内閣の首長と位置づけられていた」としている点が誤りです。

    2.内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。

    2.妥当でない

    憲法67条1項は、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と定めています。「衆議院議員の中から」指名するとは規定されておらず、参議院議員から指名することも憲法上は認められています(戦後は実例がありませんが)。

    また、衆参両院で指名の議決が異なった場合に衆議院の議決が優越することは正しい(同条2項・3項)ですが、前段の「衆議院議員の中から」という記述が誤りであるため、本肢全体として妥当ではありません。

    3.内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。

    3.妥当でない

    内閣法9条は、内閣総理大臣に事故があるときは、あらかじめ指定された国務大臣が臨時に職務を行うと規定しています。

    一般論としては、臨時代理は内閣総理大臣のすべての職務を行うことになります。ただし、国会において指名されたという内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については、臨時代理は行使できないとも解されています。

    もっとも、衆議院の解散は内閣総理大臣の一身専属的な権限ではなく、閣議決定に基づく内閣の行為(天皇の国事行為:憲法7条3号)であることから、これを「一身専属的な権限」と分類した点が正確ではありません。臨時代理による衆議院の解散も実務上は認められ得るとされています。

    ※「一身専属的な権限」の典型例としては、国務大臣の任命・罷免(憲法68条)や閣議の主宰などが挙げられます。

    4.国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

    4.妥当でない

    本肢の記述は、国会議員の不逮捕特権憲法50条)を国務大臣に転用したような内容ですが、憲法には国務大臣についてこのような規定はありません

    不逮捕特権は、議会の審議権を保護するために国会議員に認められたものです。国務大臣が国会議員を兼ねている場合は議員としての不逮捕特権が及びますが、内閣総理大臣の同意や要求を要件とする国務大臣独自の不逮捕・釈放規定は憲法に存在しません

    5.法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

    5.妥当である

    憲法74条は、「法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し内閣総理大臣が連署することを必要とする」と定めています。

    主任の国務大臣の署名は、当該法律・政令の執行について担当大臣が責任を負うことを明示するものです。内閣総理大臣の連署は、内閣全体としての意思決定を確認する意味を持ちます。

    「法律および政令」のすべてに署名・連署が必要とされている点が重要で、例外はありません。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和7年・2025|問7|憲法

    法令の形式に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

    1. 皇室典範は、皇室会議が定める規則であるが、憲法の授権により、皇位の継承や摂政など、本来は法律で定めるべき事項を規定することができる。
    2. 衆参各議院の規則は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を広く規定しており、本会議における議事や議決の定足数、議事を非公開にするための要件などの議事に関する重要事項も、専ら各議院の規則が定めている。
    3. 憲法は、内閣が定める政令についてのみ、法律の委任を条件に罰則を設けることを認めているので、各省大臣が定める省令については、法律の委任によって罰則を設けることはできない。
    4. 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について規則を定める権限を有するが、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
    5. 会計検査院は、憲法上独立性が保障された機関であることから内部組織に関する自律権が認められており、その組織・権限は専ら会計検査院自身が定める規則によって規定される。

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    【答え】:4
    【解説】
    1.皇室典範は、皇室会議が定める規則であるが、憲法の授権により、皇位の継承や摂政など、本来は法律で定めるべき事項を規定することができる。

    1.妥当でない

    皇室典範は皇室会議が定める規則ではなく国会の議決した法律です。

    憲法2条は「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めており、皇室典範の制定・改正には通常の法律と同様に国会の議決が必要です。

    皇室会議は、皇室典範に基づいて設置された合議機関(皇族・議長等で構成)であり、皇室典範を制定する機関ではありません。皇室典範が法律である以上、その改正は国会のみが行えます。

    ※「皇室会議」とは、皇室典範の定めにより、皇族の身分に関する重要事項(皇族離脱の許可など)を議決する機関で、衆参両議院の議長・副議長、最高裁長官・裁判官等で構成されます。

    2.衆参各議院の規則は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を広く規定しており、本会議における議事や議決の定足数、議事を非公開にするための要件などの議事に関する重要事項も、専ら各議院の規則が定めている。

    2.妥当でない

    議事手続の重要事項の中には、議院規則ではなく憲法に直接規定されているものがあります。

    例えば、本会議の定足数は「総議員の3分の1以上」憲法56条1項)、秘密会を開くには「出席議員の3分の2以上の多数による議決」が必要憲法57条1項)などが憲法本文に明記されています。

    各議院の規則制定権(憲法58条2項)は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を対象としますが、憲法が直接定めた事項については規則で変更することはできません。実際の議院規則は、国会法の施行細則を定めるような形になっています。

    3.憲法は、内閣が定める政令についてのみ、法律の委任を条件に罰則を設けることを認めているので、各省大臣が定める省令については、法律の委任によって罰則を設けることはできない。

    3.妥当でない

    憲法73条6号ただし書きは、政令について「特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」と定めています。つまり法律の委任があれば政令に罰則を設けることができます

    そして、各省大臣が定める省令についても、国家行政組織法12条3項により「法律の委任がなければ、罰則を設け、または義務を課し、もしくは国民の権利を制限する規定を設けることができない」と定められており、裏を返せば法律の委任があれば省令にも罰則を設けることができます

    憲法73条6号ただし書きは政令のみを明文で規定していますが、省令を含む命令一般が法律の委任により罰則を設けられることは、国家行政組織法上認められており、本肢の「省令については罰則を設けることができない」は誤りです。

    4.最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について規則を定める権限を有するが、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

    4.妥当である

    憲法77条1項は、最高裁判所が「訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と定めています。

    さらに同条3項は、「最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる」と規定しています。

    規則制定権の委任を明文で認めているのは、各下級裁判所の実情に応じた柔軟な規律を可能にするためです。本肢の記述は77条1項・3項に合致しており、妥当です。

    5.会計検査院は、憲法上独立性が保障された機関であることから内部組織に関する自律権が認められており、その組織・権限は専ら会計検査院自身が定める規則によって規定される。

    5.妥当でない

    会計検査院の組織・権限について、憲法90条2項は「会計検査院の組織および権限は、法律でこれを定める」と規定しています。「会計検査院自身が定める規則」によるのではなく、国会が制定する法律(会計検査院法)によって定められます。

    会計検査院は、内閣から独立した地位を有する機関であり(会計検査院法1条)、内閣の統轄の下には置かれていません。しかし、この独立性は、会計検査院が独自に規則によって自己の組織・権限を定められることを意味するのではなく、内閣の指揮命令を受けずに職権を行使できるという意味での独立性です。

     


    令和7年(2025年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
    問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
    問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 行政法 問52 基礎知識
    問23 地方自治法 問53 行政書士法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 情報公開法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 基礎知識
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略