令和5年度(2023年度)過去問

令和5年・2023|問21|国家賠償法

次の文章は、国家賠償法1条2項に基づく求償権の性質が問われた事件において、最高裁判所が下した判決に付された補足意見のうち、同条1項の責任の性質に関して述べられた部分の一部である(文章は、文意を損ねない範囲で若干修正している)。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

国家賠償法1条1項の性質については[ ア ]説と[ イ ]説が存在する。両説を区別する実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合や加害公務員に[ ウ ]がない場合に、[ ア ]説では国家賠償責任が生じ得ないが[ イ ]説では生じ得る点に求められていた。しかし、最一小判昭和57年4月1日民集36巻4号519頁は、[ ア ]説か[ イ ]説かを明示することなく、「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は損害賠償責任を免れることができない」と判示している。さらに、公務員の過失を[ エ ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ ]を問題にする必要はないと思われる。したがって、[ ア ]説、[ イ ]説は、解釈論上の道具概念としての意義をほとんど失っているといってよい。

None.(最三小判令和2年7月14日民集74巻4号1305頁、字賀克也裁判官補足意見)

  1. ア:代位責任 イ:自己責任 ウ:有責性 エ:組織的
  2. ア:代位責任 イ:自己責任 ウ:有責性 エ:重大な
  3. ア:代位責任 イ:自己責任 ウ:職務関連性 エ:重大な
  4. ア:自己責任 イ:代位責任 ウ:有責性 エ:組織的
  5. ア:自己責任 イ:代位責任 ウ:職務関連性 エ:重大な

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【答え】:1(ア:代位責任 イ:自己責任 ウ:有責性 エ:組織的)
国家賠償法1条1項の性質については[ ア:代位責任 ]説と[ イ:自己責任 ]説が存在する。両説を区別する実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合や加害公務員に[ ウ:有責性 ]がない場合に、[ ア:代位責任 ]説では国家賠償責任が生じ得ないが[ イ:自己責任 ]説では生じ得る点に求められていた。しかし、最一小判昭和57年4月1日民集36巻4号519頁は、[ ア:代位責任 ]説か[ イ:自己責任 ]説かを明示することなく、「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は損害賠償責任を免れることができない」と判示している。さらに、公務員の過失を[ エ:組織的 ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ:有責性 ]を問題にする必要はないと思われる。したがって、[ ア:代位責任 ]説、[ イ:自己責任 ]説は、解釈論上の道具概念としての意義をほとんど失っているといってよい。

【解説】
ア.イ.国家賠償法1条1項の性質については[ ア ]説と[ イ ]説が存在する。両説を区別する実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合・・・に、[ ア ]説では国家賠償責任が生じ得ないが[ イ ]説では生じ得る点に求められていた。

ア・・・代位責任、イ・・・自己責任

国家賠償法1条1項では、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責任を負う。」としています。これは、公務員が、その職務の執行にともなって国民に損害を与えた場合に、国又は公共団体がその賠償責任を負うという意味です。そして、この公務員と国家との責任関係を説明するために「代位責任説」と「自己責任説」があります。

代位責任説(通説・判例)
もともと加害行為(不法行為)を行ったのは、公務員(個人)だから、①公務員個人の不法行為責任が発生する。しかし、公務員個人に賠償させるとなると、多額となる場合、賠償できず、結果として、被害者を十分に救済できない可能性が出てくる。そのため、公務員個人の代わりに、国や公共団体が賠償責任を負うという考え方です。つまり、①初めに、加害行為を行った公務員個人の不法行為責任が成立する②その責任を国または公共団体が代わりに負う。という考え方、だから「代位責任説」と呼びます。

自己責任説)
もともと不法行為を行ったのは、公務員(個人)だけれども、これは、国や公共団体の職務執行として行った行為だから、公務員個人が行った不法行為であっても、はじめから国や公共団体の責任として損害賠償責任を負うという考え方。この場合、公務員個人の不法行為責任とはとらえない

ここで問題文を見ると「加害公務員又は加害行為が特定できない場合・・・に、[ ア ]説では国家賠償責任が生じ得ないが[ イ ]説では生じ得る」と書いてあります。代位責任説で考えると、加害公務員を特定できない場合①不法行為責任が発生しません。誰に不法行為責任が生じるか判断できないからです。そのため、国または公共団体には、責任が発生しません(賠償責任を負わない)。そのため、「ア」には「代位責任」が入ります。

逆に、自己責任説で考えると、加害公務員を特定できない場合でも、公務員の誰かしらが加害行為行ったのであれば、その時点で、国または公共団体の責任となります。そのため、「イ」には「自己責任」が入ります。

ウ.国家賠償法1条1項の性質については[ ア:代位責任 ]説と[ イ:自己責任 ]説が存在する。両説を区別する実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合や加害公務員に[ ウ ]がない場合に、[ ア:代位責任 ]説では国家賠償責任が生じ得ないが[ イ:自己責任 ]説では生じ得る点に求められていた。

ウ・・・有責性

問題文を見ると「害公務員又は加害行為が特定できない場合や加害公務員に[ ウ ]がない場合に、[ ア:代位責任 ]説では国家賠償責任が生じ得ない」と書いてあります。つまり、代位責任説に立った場合、どんな場合に、国家賠償責任が生じないのかを考えればよいです。選択肢は「有責性」又は「職務関連性」です。

【有責性を入れた場合】 加害公務員に「有責性」がないと仮定すると、『加害公務員に「有責性(故意または過失)」がない場合、国家賠償責任は生じない』となります。これは正しいです。なぜなら、不法行為責任が成立するのは、「故意または過失によって、他人の権利や法律上保護される利益を違法に侵害した場合」だからです(民法709条)。公務員に有責性がないと、公務員に不法行為責任は発生せず、結果として、国家賠償責任も生じない、ということです。そのため、「有責性」を入れれば妥当な記述となります。

【職務執行性を入れた場合】 加害公務員に「職務執行性」がないと仮定すると、公務員は、プライベートで加害行為を行ったことになります。この場合、そもそも、国家賠償責任の対象ではなくなるので、代位責任説でも自己責任説を考える理由がなくなります。よって、職務執行性は入りません。

エ.公務員の過失を[ エ ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ:有責性 ]を問題にする必要はないと思われる。

エ・・・組織的

問題文を見ると「公務員の過失を[ エ ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ:有責性 ]を問題にする必要はない」と言っています。選択肢は「組織的」又は「重大な」です。

【重大を入れた場合】 「公務員の過失を[ エ:重大な ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ:有責性 ]を問題にする必要はない」となります。公務員に重過失があるのであれば、当然に、この公務員に有責性があることになるのですが、何か意味が通じません。

【組織的を入れた場合】 「公務員の過失を[ エ:組織的 ]過失と捉える裁判例が支配的となっており、個々の公務員の[ ウ:有責性 ]を問題にする必要はない」となります。公務員の過失が組織的過失ととらえると、その前の判例の文章

「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は損害賠償責任を免れることができない

つまり、加害行為に、複数の公務員が関わっていて、誰が加害行為をしたか特定できない場合であっても、「組織的」な過失ととらえることで、国家賠償責任を認めるということです。つまり、組織としての有責性をもとに不法行為責任を考えるので、「個々の公務員の有責性を問題にする必要はない」ということです。よって、「エ」には、組織的が入ります。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問20|国家賠償法

道路をめぐる国家賠償に関する最高裁判所の判決について説明する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 落石事故の発生した道路に防護柵を設置する場合に、その費用の額が相当の多額にのぼり、県としてその予算措置に困却するであろうことが推察できる場合には、そのことを理由として、道路管理者は、道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れ得るものと解するのが相当である。
  2. 事故発生当時、道路管理者が設置した工事標識板、バリケードおよび赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたことは、道路の安全性に欠如があったといわざるをえず、それが夜間の事故発生直前に生じたものであり、道路管理者において時間的に遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことが困難であったとしても、道路管理には瑕疵があったと認めるのが相当である。
  3. 防護柵は、道路を通行する人や車が誤って転落するのを防止するために設置されるものであり、材質、高さその他その構造に徴し、通常の通行時における転落防止の目的からみればその安全性に欠けるところがないものであったとしても、当該転落事故の被害者が危険性の判断能力に乏しい幼児であった場合、その行動が当該道路および防護柵の設置管理者において通常予測することができなくとも、営造物が本来具有すべき安全性に欠けるところがあったと評価され、道路管理者はその防護柵の設置管理者としての責任を負うと解するのが相当である。
  4. 道路の周辺住民から道路の設置・管理者に対して損害賠償の請求がされた場合において、当該道路からの騒音、排気ガス等が周辺住民に対して現実に社会生活上受忍すべき限度を超える被害をもたらしたことが認定判断されたとしても、当該道路が道路の周辺住民に一定の利益を与えているといえるときには、当該道路の公共性ないし公益上の必要性のゆえに、当該道路の供用の違法性を認定することはできないものと解するのが相当である。
  5. 走行中の自動車がキツネ等の小動物と接触すること自体により自動車の運転者等が死傷するような事故が発生する危険性は高いものではなく、通常は、自動車の運転者が適切な運転操作を行うことにより死傷事故を回避することを期待することができるものというべきであって、金網の柵をすき間なく設置して地面にコンクリートを敷くという小動物の侵入防止対策が全国で広く採られていたという事情はうかがわれず、そのような対策を講ずるためには多額の費用を要することは明らかであり、当該道路には動物注意の標識が設置され自動車の運転者に対して道路に侵入した動物についての適切な注意喚起がされていたということができるなどの事情の下においては、高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして起こした自損事故において、当該道路に設置または管理の瑕疵があったとはいえない。

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【答え】:5
【解説】
1.落石事故の発生した道路に防護柵を設置する場合に、その費用の額が相当の多額にのぼり、県としてその予算措置に困却するであろうことが推察できる場合には、そのことを理由として、道路管理者は、道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れ得るものと解するのが相当である。

1・・・妥当でない

判例(最判昭45.8.20)によると、「落石事故の発生した道路に防護柵を設置する場合に、その費用の額が相当の多額にのぼり、県として、その予算措置に困却するであろうことは推察できる(予算的な制約があり、困ってしまうことは考えられる)が、だからといって、直ちに道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れることができると考えることはできない」と判示しています。

分かりやすく言えば
県が予算的な制約を理由に安全対策を講じるのが難しいからといって、損害の賠償責任が免除されるわけではない、ということです。

2.事故発生当時、道路管理者が設置した工事標識板、バリケードおよび赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたことは、道路の安全性に欠如があったといわざるをえず、それが夜間の事故発生直前に生じたものであり、道路管理者において時間的に遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことが困難であったとしても、道路管理には瑕疵があったと認めるのが相当である。

2・・・妥当でない

判例(最判昭50.6.26)によると、「事故発生当時、道路管理者が設置した工事標識板、バリケードおよび赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたことは、道路の安全性に欠如があったといわざるをえないが、それが夜間の事故発生の直前に先行した他車によって惹起されたものであり、時間的に、遅滞なくこれを原状回復させ道路を安全良好な状態に保つことが困難であったときは、道路管理に瑕疵がなかったと認めるのが相当である」と判示しています。

分かりやすく言うと
倒れた標識等が、道路上に放置されていることは、道路の安全性に欠如があるといえる。しかし、事故発生直前に他の車両によって標識等が倒され、その復旧が直ちに行って、安全な状態に保つことが困難であった場合には、道路管理者は免責されるということです。 本肢は「事故発生当時、道路管理者が設置した工事標識板、バリケードおよび赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたことは、道路の安全性に欠如があったといわざるをえず」という部分は妥当です。後半部分の「時間的に遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことが困難であったとしても、道路管理には瑕疵があったと認めるのが相当」が妥当ではありません。

3.防護柵は、道路を通行する人や車が誤って転落するのを防止するために設置されるものであり、材質、高さその他その構造に徴し、通常の通行時における転落防止の目的からみればその安全性に欠けるところがないものであったとしても、当該転落事故の被害者が危険性の判断能力に乏しい幼児であった場合、その行動が当該道路および防護柵の設置管理者において通常予測することができなくとも、営造物が本来具有すべき安全性に欠けるところがあったと評価され、道路管理者はその防護柵の設置管理者としての責任を負うと解するのが相当である。

3・・・妥当でない

判例(最判昭53.7.4)によると、「防護柵は、道路を通行する人や車が誤って転落するのを防止するために設置されるものであり、材質、高さその他その構造に徴し、通常の通行時における転落防止の目的からみれば、その安全性に欠けるところがないものであれば、転落事故の被害者が危険性の判断能力に乏しい幼児であったとしても、道路及び防護柵の設置管理者が通常予測することのできない行動に起因するものであった場合、営造物につき本来それが具有すべき安全性に欠けるところがあったとはいえず、道路管理者はその設置管理者としての責任を負うべき理由はない」と判示しています。

分かりやすく言うと防護柵は通行者や車両の転落を防止するために設置されるものであり、その安全性が通常の通行時において欠けていない場合、転落事故の被害者が幼児であったとしても、防護柵の設置管理者は予測できない行動によって事故が発生した場合には責任を負わない、ということです。つまり、防護柵が本来の安全性を備えており、通常の状況では安全性に問題がない場合には、その設置管理者は事故の責任を負わないということです。

本肢は「通常予測することができなくとも、・・・、道路管理者はその防護柵の設置管理者としての責任を負うと解するのが相当である」と書いてあるので妥当ではありません。

4.道路の周辺住民から道路の設置・管理者に対して損害賠償の請求がされた場合において、当該道路からの騒音、排気ガス等が周辺住民に対して現実に社会生活上受忍すべき限度を超える被害をもたらしたことが認定判断されたとしても、当該道路が道路の周辺住民に一定の利益を与えているといえるときには、当該道路の公共性ないし公益上の必要性のゆえに、当該道路の供用の違法性を認定することはできないものと解するのが相当である。

4・・・妥当でない

判例(最判平7.7.7)によると「道路の周辺住民から道路の設置・管理者に対して損害賠償の請求がされた場合において、当該道路からの騒音、排気ガス等が右住民に対して現実に社会生活上受忍すべき限度を超える被害をもたらしたことが認定判断されたときは、当然に当該住民との関係において道路が他人に危害を及ぼす危険性のある状態にあったことが認定判断されたことになる」と判示しています。

分かりやすくいうと道路からの騒音や排気ガスが、住民に実際に受け入れられるべき限度を超える被害をもたらしたと認定された場合道路は他人に危害を及ぼす危険性のある状態にあったと判断され道路設置者や管理者は被害の責任を負うということです。よって、本肢は「道路の供用の違法性を認定することはできないものと解するのが相当」と書いてあるので妥当ではありません。

5.走行中の自動車がキツネ等の小動物と接触すること自体により自動車の運転者等が死傷するような事故が発生する危険性は高いものではなく、通常は、自動車の運転者が適切な運転操作を行うことにより死傷事故を回避することを期待することができるものというべきであって、金網の柵をすき間なく設置して地面にコンクリートを敷くという小動物の侵入防止対策が全国で広く採られていたという事情はうかがわれず、そのような対策を講ずるためには多額の費用を要することは明らかであり、当該道路には動物注意の標識が設置され自動車の運転者に対して道路に侵入した動物についての適切な注意喚起がされていたということができるなどの事情の下においては、高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして起こした自損事故において、当該道路に設置または管理の瑕疵があったとはいえない。

5・・・妥当

判例(最判平22.3.2)によると「北海道内の高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして自損事故を起こした場合において、(1)走行中の自動車が上記道路に侵入したキツネ等の小動物と接触すること自体により自動車の運転者等が死傷するような事故が発生する危険性は高いものではないこと、(2)金網の柵を地面との透き間無く設置し、地面にコンクリートを敷くという小動物の侵入防止対策が全国で広く採られていたという事情はうかがわれず、そのような対策を講ずるためには多額の費用を要することは明らかであること、(3)上記道路には動物注意の標識が設置されていたことなどの事情の下においては、上記(2)のような対策が講じられていなかったからといって、上記道路に設置又は管理の瑕疵があったとはいえない。」と判示しています。

分かりやすく言うと、高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして自損事故を起こした場合において、

  1. 道路上での小動物との接触により、自動車の運転者が死傷する危険性は高くない
  2. 小動物の侵入を防ぐための柵を設置する費用が高額であり、一般的に採用されていない。
  3. 道路には動物注意の標識が設置されており、適切な注意が喚起されていた。

これらの事情から、道路に設置又は管理の瑕疵があったとはいえないと判示しています。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問18|行政事件訴訟法

行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の準用規定に関する次の会話の下線部(ア)~(ウ)について、その正誤を判定した組合せとして、正しいものはどれか。

学生A:今日は行訴法の準用に関する規定について学ぼう。

学生B:準用については主として行訴法38条に定められているけど、他の条文でも定められているよね。まずは出訴期間について定める行訴法14条から。

学生A:行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。訴訟の性質を考えれば当然のことだよ。

学生B:よし、それでは、執行停止について定める行訴法25条はどうだろう。

学生A:行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。

学生B:なるほど、当事者訴訟にも仮の救済が用意されているんだね。最後に、第三者効について定める行訴法32条はどうだろう。

学生A:「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。義務付け判決や差止め判決の実効性を確保するために必要だからね。

  1. ア:正しい イ:誤り ウ:正しい
  2. ア:正しい イ:誤り ウ:誤り
  3. ア:誤り イ:正しい ウ:誤り
  4. ア:誤り イ:誤り ウ:正しい
  5. ア:誤り イ:誤り ウ:誤り

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【答え】:2(ア:正しい イ:誤り ウ:誤り)

【解説】
ア.(出訴期間について定める)行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。訴訟の性質を考えれば当然のことだよ。

ア・・・正しい

質問されている内容は「出訴期間(行訴法14条)については、無効等確認訴訟その他の抗告訴訟にも準用されない」〇か×か?です。結論は、出訴期間(行訴法14条)については、無効等確認訴訟その他の抗告訴訟にも準用されていないので正しい〇です。 無効等確認訴訟、不作為の違法確認訴訟、義務付け訴訟、差止め訴訟すべてにおいて、取消訴訟の出訴期間の規定を準用していないです。詳細解説は個別指導で行います。

イ.(執行停止について定める)行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。

イ・・・誤り

執行停止について定める行訴法25条は、義務付け訴訟や差止訴訟だけでなく、当事者訴訟でも準用されていません(行政事件訴訟法41条1項)。よって、誤りです。この辺りは理解した方が良いので、個別指導で解説します。

ウ.「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。義務付け判決や差止め判決の実効性を確保するために必要だからね。

ウ・・・誤り

本肢は、「第三者効は、義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている」〇か×か?という質問内容です。結論は、第三者効は、義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されていません(行政事件訴訟法32条、38条)。よって、誤りです。この辺りは理解した方が良いので、個別指導で解説します。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問16|行政不服審査法

行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。
  2. 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。
  3. 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。
  4. 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。
  5. 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。

1・・・正しい

(処分庁等を経由する審査請求) 審査請求をすべき行政庁が処分庁等と異なる場合における審査請求は、処分庁等を経由してすることができます(行政不服審査法21条1項前段)。よって、本肢は正しいです。この点は関連ポイントも重要なので個別指導で解説します!

2.審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。

2・・・正しい

審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければなりません(行政不服審査法19条1項)。つまり、審査請求は、原則、書面で行い、例外として、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができるということです。

3.審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。

3・・・正しい

審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができます(行政不服審査法27条1項)。取下げの理由は、規定されていないので、どのような理由で取り下げても問題ありません。

4.審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。

4・・・誤り

審査請求書が審査請求書に形式上の不備がある場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければなりません(行政不服審査法23条)。つまり、本肢の「審理員を指名し、審理手続を開始しなければならない」というのは誤りです。

【関連ポイント】 審査請求人が期間内に不備を補正しない場合、審査庁は、審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができます(行政不服審査法24条1項)。

5.審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。

5・・・正しい

審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、原則、当該申立人に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません(行政不服審査法31条1項本文)。この場合において、審査請求人又は参加人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます(行政不服審査法31条3項)。よって、本肢は正しいです。この点は関連ポイントや理解すべき点があるので個別指導で解説します!

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問15|行政不服審査法

行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。
  2. 不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。
  3. 事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。
  4. 審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。
  5. 審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。

1・・・妥当でない

処分(事実上の行為を除く。)についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します(行政不服審査法46条1項前段)。そして、取消裁決をした場合、この裁決により処分は初めから効力はなかったことになります。これを「形成力」と言います。そのため、処分庁が改めて取り消す必要はありません。

2.不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。

2・・・妥当でない

裁決は、関係行政庁を拘束します(行政不服審査法52条1項)。これを「拘束力」と言います。そのため、取消しの裁決を受けた処分庁は、同一の事実関係の下、同一の理由では同一の処分を反復することができません。よって、本肢は「同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる」が妥当ではありません。

3.事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。

3・・・妥当である

事実上の行為についての審査請求が理由がある場合には、処分庁である審査庁は、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又はこれを変更します(行政不服審査法47条2号)。よって、本肢は妥当です。関連ポイントは個別指導で解説します!

4.審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。

4・・・妥当でない

処分についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更します。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできません(行政不服審査法46条1項ただし書き)。本肢は「審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも・・・変更することができる」となっているので妥当ではありません。不利益にならない処分の変更もできません審査庁が「処分庁の上級行政庁」か「処分庁自身」の場合、不利益にならない処分の変更ができます

5.審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。

5・・・妥当でない

審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、拒否処分が取り消されただけであって、処分をしていない状態に戻るだけです。つまり、許認可処分とみなされません。この点は理解が必要なので、個別指導で解説します!

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問14|行政不服審査法

不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる。
  2. 不作為についての審査請求について理由があり、申請に対して一定の処分をすべきものと認められる場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じる。
  3. 不作為についての審査請求は、審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない。
  4. 不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる。
  5. 不作為についての審査請求の審理に際しては、迅速な救済を図るために、審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるのではなく、審理手続を省いて裁決を下さなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】
1.不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者もすることができる。

1・・・妥当でない

法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。つまり、不作為についての審査請求は、処分についての申請をした者だけしか行うことができず「処分がなされることにつき法律上の利益を有する者」は、不作為についての審査請求はできません

2.不作為についての審査請求について理由があり、申請に対して一定の処分をすべきものと認められる場合、審査庁が不作為庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、当該不作為庁に対し当該処分をすべき旨を命じる。

2・・・妥当である

不作為についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該不作為が違法又は不当である旨を宣言します。この場合において、不作為庁の上級行政庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該不作為庁に対し、当該処分をすべき旨を命じます(行政不服審査法49条3項1号)。よって妥当です。関連ポイントは個別指導で解説します!

3.不作為についての審査請求は、審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない。

3・・・妥当でない

法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができます(行政不服審査法3条)。そして、不作為については、審査請求期間の定めはないので、不作為が続いている限り、いつでも審査請求が可能です。よって、「審査請求が濫用されることを防ぐために、申請がなされた日から法定された一定の期間を経過しなければすることができない」という部分が妥当ではありません。

4.不作為についての審査請求がなされた場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てによりまたは職権で、裁決が下されるまでの仮の救済として一定の処分をすることができる。

4・・・妥当でない

本肢のようなルール(不作為についての審査請求に対する「仮の救済」のルール)は行政不服審査法にはありません。よって妥当ではありません。

5.不作為についての審査請求の審理に際しては、迅速な救済を図るために、審査庁は、審理員を指名して審理手続を行わせるのではなく、審理手続を省いて裁決を下さなければならない。

5・・・妥当でない

本肢のようなルールは行政不服審査法にはありません。よって妥当ではありません。まず、不作為についての審査請求の審理でも、審理員は指名されます(行政不服審査法9条1項)。よって、本肢は妥当ではありません。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問13|行政手続法

行政手続法が定める行政庁等の義務に関する次のア~エの記述のうち、努力義務として規定されているものの組合せとして、正しいものはどれか。

ア.申請者以外の利害を考慮すべきことが法令において許可の要件とされている場合に、公聴会を開催すること

イ.申請に対する処分を行う場合の審査基準を定めて公にしておくこと

ウ.不利益処分を行う場合の処分基準を定めて公にしておくこと

エ.申請に対する処分の標準処理期間を定めた場合に、それを公にしておくこと

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:1(ア・ウが努力義務)

【解説】
ア.申請者以外の利害を考慮すべきことが法令において許可の要件とされている場合に、公聴会を開催すること

ア・・・努力義務である

行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。つまり、公聴会の開催は、努力義務です。

イ.申請に対する処分を行う場合の審査基準を定めて公にしておくこと

イ・・・法的義務である

行政庁は、審査基準を定めるものとされています(行政手続法5条1項)。つまり、審査基準を定めることは法的義務です。また、行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません(行政手続法5条3項)。つまり、審査基準を原則、公にしておくことも法的義務です。

ウ.不利益処分を行う場合の処分基準を定めて公にしておくこと

ウ・・・努力義務である

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません(行政手続法12条1項)。つまり、不利益処分を行う場合の「処分基準を定めること」及び「処分基準を公にしておくこと」は努力義務です。

エ.申請に対する処分の標準処理期間を定めた場合に、それを公にしておくこと

エ・・・法的義務である

行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該行政庁と異なる機関が当該申請の提出先とされている場合は、併せて、当該申請が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該行政庁の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。つまり、申請に対する処分の標準処理期間を定めることは努力義務ですが、申請に対する処分の標準処理期間を定めた場合に、それを公にしておくことは法定義務です。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問12|行政手続法

行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の終結後であっても、聴聞の審理の経過を記載した調書の閲覧を求めることができる。
  2. 聴聞の当事者および参加人は、聴聞が終結するまでは、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
  3. 当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
  4. 当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる。
  5. 当事者または参加人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等を提出しない場合、主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.聴聞の当事者または参加人は、聴聞の終結後であっても、聴聞の審理の経過を記載した調書の閲覧を求めることができる。

1・・・正しい

当事者又は参加人は、「聴聞調書」及び「聴聞の終結後に作成される報告書の閲覧を求めることができます(行政手続法24条4項)。報告書は、聴聞終結後に作成されるものなので、聴聞終結後に閲覧できないとなると、閲覧できるときはなくなってしまいます。当然、聴聞終結後に見れないと意味がありません。よって、本肢は正しいです。なお、聴聞調書と報告書について、閲覧期限は行手法に規定はないので、閲覧期限はありません。

2.聴聞の当事者および参加人は、聴聞が終結するまでは、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。

2・・・正しい

当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料閲覧を求めることができます(行政手続法18条1項前段)。本肢は正しいです。

3.当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。

3・・・正しい

当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、①意見を述べ、及び②証拠書類等を提出し、並びに③主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができます(行政手続法20条2項)。よって、本肢は正しいです。

4.当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる。

4・・・正しい

当事者又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。(行政手続法21条1項)。よって、正しいです。

5.当事者または参加人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等を提出しない場合、主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。

5・・・誤り

主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく聴聞を終結することができます(行政手続法23条1項)。本肢は「当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない」となっているので誤りです。当事者に対し改めて意見を述べる機会を与える必要もなければ、証拠書類等を提出する機会も与える必要もありません。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問11|行政手続法

行政手続法(以下「法」という。)の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 法の規定において用いられる「法令」とは、法律及び法律に基づく命令のみを意味し、条例及び地方公共団体の執行機関の規則はそこに含まれない。
  2. 特定の者を名あて人として直接にその権利を制限する処分であっても、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、法にいう不利益処分とはされない。
  3. 法の規定が適用される行政指導には、特定の者に一定の作為または不作為を求めるものに限らず、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供も含まれる。
  4. 行政指導に携わる者が、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる。
  5. 行政機関が、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ行政上特別の支障がない限りこれを公表しなければならないのは、根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】
1.法の規定において用いられる「法令」とは、法律及び法律に基づく命令のみを意味し、条例及び地方公共団体の執行機関の規則はそこに含まれない。

1・・・妥当でない

法令とは、「法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む)を言います(行政手続法2条1号)。つまり、法律及び法律に基づく命令のみを意味するのではなく、条例及び地方公共団体の執行機関の規則も含まれます。よって、本肢は妥当ではありません。

2.特定の者を名あて人として直接にその権利を制限する処分であっても、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、法にいう不利益処分とはされない。

2・・・妥当

不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうのですが、例外として、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は除かれます(行政手続法2条4号ハ)。したがって、特定の者を名あて人として直接にその権利を制限する処分であっても、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、行政手続法にいう不利益処分とはされないので妥当です。

不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く
イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分 ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの
3.法の規定が適用される行政指導には、特定の者に一定の作為または不作為を求めるものに限らず、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供も含まれる。

3・・・妥当でない

行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号)。つまり、行政指導には、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供は含まれません。よって、妥当ではありません。

4.行政指導に携わる者が、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる。

4・・・妥当でない

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければなりません(行政手続法35条1項)。これは、「法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られない」ので本肢は妥当ではありません。「法令に違反する行為の是正を求める行政指導以外」の行政指導については、個別指導で解説します!

5.行政機関が、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ行政上特別の支障がない限りこれを公表しなければならないのは、根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られる。

5・・・妥当でない

同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければなりません(行政手続法36条)。したがって、根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られない」ので本肢は妥当ではありません。つまり、どういうことをいっているのか?これが分からないと、応用問題で失点するので個別指導で解説します!

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和5年・2023|問9|行政法

行政上の法律関係に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.社会保障給付における行政主体と私人との間の関係は、対等なものであり、公権力の行使が介在する余地はないから、処分によって規律されることはなく、もっぱら契約によるものとされている。

イ.未決勾留による拘禁関係は、勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され、法令等の規定により規律されるものであるから、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して信義則上の安全配慮義務を負わない。

ウ.食品衛生法の規定により必要とされる営業の許可を得ることなく食品の販売を行った場合、食品衛生法は取締法規であるため、当該販売にかかる売買契約が当然に無効となるわけではない。

エ.法の一般原則である信義誠実の原則は、私人間における民事上の法律関係を規律する原理であるから、租税法律主義の原則が貫かれる租税法律関係には適用される余地はない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:3(イ・ウが妥当)

【解説】
ア.社会保障給付における行政主体と私人との間の関係は、対等なものであり、公権力の行使が介在する余地はないから、処分によって規律されることはなく、もっぱら契約によるものとされている。

ア・・・妥当でない

判例(最判平15.9.4)によると「労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものと解するのが相当である」と判示しています。よって、本肢の「社会保障給付における行政主体と私人との間の関係は、対等なものであり、もっぱら契約によるものとされている」という記述は妥当ではありません。

イ.未決勾留による拘禁関係は、勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され、法令等の規定により規律されるものであるから、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して信義則上の安全配慮義務を負わない。

イ・・・妥当

判例(最判平28.4.21)によると、「国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、信義則上の安全配慮義務を負わないというべきである」と判示しています。よって、妥当です。

未決勾留とは、まだ裁判が終了していない被告人や容疑者が、裁判の進行中に拘束されている状態を指します。つまり、まだ裁判が行われていない段階で、裁判所や警察などの権限を持つ機関によって拘束することを言います。そして、被勾留者とは、未決勾留より拘束された者(拘置所に収容された者)を言います。

ウ.食品衛生法の規定により必要とされる営業の許可を得ることなく食品の販売を行った場合、食品衛生法は取締法規であるため、当該販売にかかる売買契約が当然に無効となるわけではない。

ウ・・・妥当

判例(最判昭35.3.18)によると、「本件売買契約が食品衛生法による取締の対象に含まれるかどうかはともかくとして、食品衛生法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、食品衛生法により本件取引の効力が否定される理由はない」としています。よって、本肢の場合、食品衛生法の規定により必要とされる営業の許可を得ることなく食品の販売を行ったときであっても、当該販売にかかる売買契約が当然に無効とはなりません。売買契約は、有効です。よって。本肢は妥当です。

エ.法の一般原則である信義誠実の原則は、私人間における民事上の法律関係を規律する原理であるから、租税法律主義の原則が貫かれる租税法律関係には適用される余地はない。

エ・・・妥当でない

判例(最判昭62.10.30)によると、「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課稅処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである」と判示しています。よって、本肢の場合、信義誠実の原則は、租税法律関係に適用される余地があるので妥当ではありません。詳細解説は個別指導で解説します。

 


令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略