合名会社および合資会社(以下、本問において併せて「会社」という。)に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。
ア 会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。
イ 会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。
ウ 会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。
エ 会社の社員は、会社に対し、既に出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。
オ 会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
- ア・ウ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
【解説】
ア 会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。
イ 会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。
イ・・・正しい
持分会社の社員(無限責任社員)は、当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負います(会社法580条1項1号)。
ただし、有限責任社員については、その出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負うだけです(会社法580条2項)。
よって、本問は正しいです。
この問題は「合資会社」も含まれているので「誤り」のように見えますが、正しい問題となります。
持分会社の社員(無限責任社員)は、当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負います(会社法580条1項1号)。
ただし、有限責任社員については、その出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負うだけです(会社法580条2項)。
よって、本問は正しいです。
この問題は「合資会社」も含まれているので「誤り」のように見えますが、正しい問題となります。
その理由については個別指導で解説します。
ウ 会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。
ウ・・・誤り
会社の持分は、株式のように細かく分けること(細分化)はできません。一方、
株式会社が発行する株式は、細分化された割合的単位として示されます。
そして、株式会社は、細分化された割合的単位としての株式を発行することによって、多くの出資者から資本を調達することができます。
会社の持分は、株式のように細かく分けること(細分化)はできません。一方、
株式会社が発行する株式は、細分化された割合的単位として示されます。
そして、株式会社は、細分化された割合的単位としての株式を発行することによって、多くの出資者から資本を調達することができます。
エ 会社の社員は、会社に対し、既に出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。
エ・・・正しい
合名会社及び合資会社の社員は、持分会社に対し、既に出資として払込又は給付をした金銭等の払戻し(出資の払戻し)を請求することができます(会社法624条1項)。
合名会社及び合資会社には無限責任社員がいます。
そのため、金銭の払い戻しにより、会社内のお金が少なくなっても、会社の債権者は、社員(個人)に対して請求できるので、不利益を被らないです。
合名会社及び合資会社の社員は、持分会社に対し、既に出資として払込又は給付をした金銭等の払戻し(出資の払戻し)を請求することができます(会社法624条1項)。
合名会社及び合資会社には無限責任社員がいます。
そのため、金銭の払い戻しにより、会社内のお金が少なくなっても、会社の債権者は、社員(個人)に対して請求できるので、不利益を被らないです。
オ 会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
オ・・・正しい
持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行します(会社法590条1項)。そして、業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務(善管注意義務)を負います(会社法593条1項)。
よって、本肢は正しいです。
持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行します(会社法590条1項)。そして、業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務(善管注意義務)を負います(会社法593条1項)。
よって、本肢は正しいです。
当然と言ったら、当然の内容ですね!
平成28年度(2016年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 国民審査 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | プライバシー権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 国会 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 信教の自由 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政裁量 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政事件訴訟法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政事件訴訟法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・公文書管理法 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |