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令和元年・2019|問2|基礎法学

裁判の審級制度等に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、簡易裁判所が第1審の裁判所である場合は、控訴審の裁判権は地方裁判所が有し、上告審の裁判権は高等裁判所が有する。イ.民事訴訟における控訴審の裁判は、第1審の裁判の記録に基づいて、その判断の当否を事後的に審査するもの(事後審)とされている。

ウ.刑事訴訟における控訴審の裁判は、第1審の裁判の審理とは無関係に、新たに審理をやり直すもの(覆審)とされている。

エ.上告審の裁判は、原則として法律問題を審理するもの(法律審)とされるが、刑事訴訟において原審の裁判に重大な事実誤認等がある場合には、事実問題について審理することがある。

オ.上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について、下級審の裁判所を拘束する。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】
ア.民事訴訟および刑事訴訟のいずれにおいても、簡易裁判所が第1審の裁判所である場合は、控訴審の裁判権は地方裁判所が有し、上告審の裁判権は高等裁判所が有する。

ア・・・誤り

■民事訴訟

民事訴訟の場合、第一審裁判所が簡易裁判所であるとき、控訴裁判所は地方裁判所で(裁判所法16条1号、24条3号)、上告裁判所は高等裁判所です(裁判所法16条3号)。

したがって、民事訴訟については正しいです。

■刑事訴訟

刑事訴訟の場合、第一審裁判所が簡易裁判所である場合、控訴裁判所は高等裁判所で(裁判所法16条1号)、上告裁判所は最高裁判所です(裁判所法7条1号)。

※刑事訴訟の場合、上告裁判所は常に最高裁判所です。

したがって、刑事訴訟については誤りです。

よって、本肢は誤りです。

イ.民事訴訟における控訴審の裁判は、第1審の裁判の記録に基づいて、その判断の当否を事後的に審査するもの(事後審)とされている。

イ・・・誤り

控訴審の裁判には「続審」「事後審」「覆審」の3つがあります。

日本の民事訴訟における控訴審の裁判は「続審制」が採用されています。
よって、誤りです。

■「続審」とは、下級審の審理を基礎としながら、上級審においても新たな訴訟資料の提出を認めて事件の審理を続行して判決をすることです。

■「事後審」とは、原判決の当否を原審の訴訟記録により上級審で審査すること言い、続審のように原則、新たに訴訟資料の提出を認めていません。

■「覆審」とは、上級審で第一審とは無関係に新たに審理し直すことです。

ウ.刑事訴訟における控訴審の裁判は、第1審の裁判の審理とは無関係に、新たに審理をやり直すもの(覆審)とされている。

ウ・・・誤り

日本の刑事訴訟における控訴審の裁判は「事後審」が採用されています。

「事後審」とは、原判決の当否を原審の訴訟記録により上級審で審査すること言い、続審のように原則、新たに訴訟資料の提出を認めていません。
つまり、第一審で取り調べた証拠に基づいて,第一審判決に上記の控訴理由が存在するかを事後的に審査します。

エ.上告審の裁判は、原則として法律問題を審理するもの(法律審)とされるが、刑事訴訟において原審の裁判に重大な事実誤認等がある場合には、事実問題について審理することがある。
エ・・・正しい
上告申し立ての理由として認められるのは、原審に対して憲法違反や憲法解釈の誤り、最高裁の判例と相反する判断をしたことなどに限定されています(刑事訴訟法405条)。これを「法律審」と言います。そして、上告審の裁判は、「法律審」です。そのため、この点は正しいですが、判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認等があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときには、原判決を破棄することができるため、事実問題について審理することがあります(刑事訴訟法411条)。よって、本肢は正しいです。この辺りは整理した方が良いので個別指導で整理して解説します。
オ.上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について、下級審の裁判所を拘束する。
オ・・・正しい
上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束します(裁判所法4条)

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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