民法のテキスト

連帯債務

連帯債務とは?

連帯債務とは、数人の債務者が同一の債務を負担し、一人が弁済すれば他の債務者の債務も消滅する債務関係を言います。

例えば、甲土地の売主Aが、買主Bと買主Cに対して1000万円で売却したとします。

この場合、「売主Aが債権者」「買主B・Cは連帯債務者」となります。

そして、買主Bが売主Aに対して1000万円を支払ったら、買主Cは売主Aに対して1円も支払う必要がなくなります。

連帯債務者に対する履行の請求

債権者は、その連帯債務者の「一人」に対し、全部又は一部の履行を請求することができます。

また、「全ての連帯債務者」に対し、「同時にまたは順次に全部又は一部の履行を請求することもできます(民法436条)。

連帯債務における絶対効と相対効

絶対効とは?相対効とは?

絶対効とは、連帯債務者はそれぞれ関連していると考え、連帯債務者の1人に生じた事由が他の債務者に影響することを言います。

相対効とは、連帯債務者はそれぞれ独立していると考え、連帯債務者の1人について生じた事由が他の債務者に影響しないことを言います。

連帯債務における絶対効

「相殺」は絶対効です。

例えば、甲土地の売主Aが、買主Bと買主Cに対して1000万円で売却したとします。そして、買主BがAに対して以前から1000万円を貸しており、返済してもらっていなかった。

ここで、買主Bが相殺を主張すると、買主Bの1000万円の債務は消滅します。

また、これが買主C(他の連帯債務者)にも影響し、買主Cの1000万円の債務も消滅します。

連帯債務における絶対効は「相殺、混同、更改」があります。

各具体例と細かい解説は個別指導で解説します。

連帯債務における相対効

「履行請求」は相対効です。

例えば、甲土地の売主Aが、買主Bと買主Cに対して1000万円で売却したとします。売主Aが買主Bに「1000万円を支払え!」と履行請求したとします。

すると、買主Bの消滅時効の完成が猶予されます。

しかし、履行請求を受けていない買主Cには上記履行請求は影響せず、買主Cの消滅時効の完成は猶予されません。

連帯債務における相対効は「履行請求、免除、時効の完成、債務の承認」等があります。

各具体例と細かい解説は個別指導で解説します。

連帯債務の求償関係

連帯債務者の一人が、弁済をすると、自己の負担部分を超えるかどうかに関わらず、負担割合に応じて求償権を有します(民法442条1項)。

例えば、例えば、甲土地の売主Aが、買主Bと買主Cに対して1000万円で売却したとします(負担部分を1:1とする=負担割合は1/2ずつ)。

ここで、買主Bが600万円を売主Aに対して弁済したら、半分の300万円を買主C(他の連帯債務者)に対して求償できます。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

次の行政書士試験の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう!

個別指導の概要はこちら>>

参考条文

(連帯債務者に対する履行の請求)
第436条 債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。

(連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
第437条 連帯債務者の一人について法律行為の無効又は取消しの原因があっても、他の連帯債務者の債務は、その効力を妨げられない。

(連帯債務者の一人との間の更改)
第438条 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。

(連帯債務者の一人による相殺等)
第439条 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(連帯債務者の一人との間の混同)
第440条 連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、弁済をしたものとみなす。

(相対的効力の原則)
第441条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

(連帯債務者間の求償権)
第442条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額(その財産の額が共同の免責を得た額を超える場合にあっては、その免責を得た額)のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。
2 前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。

詐害行為取消権(詐害行為取消請求)

詐害行為取消権(詐害行為取消請求)とは?

例えば、①AはBに100万円を貸した(Aは貸金債権を有している)。その後、弁済期が到来したにも関わらず、BはAに100万円を弁済しなかった。Bは唯一の財産である2000万円の甲地を有していたが、そのまま所有し続けると、Aに差し押さえられてしまうので、②Bは甲地をCに売却した。

この状況で、Aを債権者Bを債務者Cを受益者と呼びます。

※受益者は、「その行為によって利益を受けた者」という言い方もします。

ここで、Bが甲地を売却してしまったら、Aは甲地を差し押さえて、100万円を回収するという事ができなくなってしまいます。そこで、民法では、債務者BがAを害することを知ってした行為(Cへの売却)について、債権者Aは、取り消すことができるとしています。

これが「詐害行為取消権・詐害行為取消請求」です。

※「債務者BがAを害することを知ってした行為」を「詐害行為」と言います。

より細かい具体例については個別指導で解説します。

 

詐害行為取消請求ができる要件

詐害行為取消権を行使するためには、下記要件を全て満たす必要があります。

  1. 被保全債権が存在する
  2. 被保全債権は、詐害行為前の原因に基づいて発生
  3. 保全の必要性がある(債務者が無資力
  4. 財産権を目的としていた行為である
  5. 上記行為が債務者が債権者を害する行為である(詐害行為
  6. 債務者が詐害行為時、債権者を害することを知っていた(詐害意思
  7. 受益者や転得者が、債権者を害することを知っていたこと(悪意

詳細は個別指導で解説します。

詐害行為取消請求の方法

詐害行為取消請求は、必ず裁判によって行使しなければなりません(民法424条1項本文)。

裁判外で詐害行為取消請求はできません。

詐害行為取消請求の相手方(訴訟の被告)

原告は、債権者Aですが、被告は、受益者Cまたは転得者です(民法424条の7第1項)。

出訴期間

詐害行為取消請求に係る訴えは、①債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したとき、または②行為の時から10年を経過すると、訴えを提起することができなくなります(民法426条)。

詐害行為取消請求の範囲

債権者の詐害行為取消請求ができる範囲は、債務者がした行為(詐害行為)の目的が可分であるときは、債権者Aの有する被保全債権の額が限度です。

上記事例の通り、売却については可分ではないので、すべてを取消すことができます。

債権者への支払請求・引渡請求

債権者は、詐害行為取消請求によって受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合、

その返還請求が「金銭の支払又は動産の引渡し」を求めるものであるときは、

受益者に対しては「その支払又は引渡し」を求めることができ、
転得者に対しては「その引渡し」を、自己に対してすることを求めることができます(民法424条の9)。

そして、受益者又は転得者は、債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者に対してその支払又は引渡しをしなくてもよいです。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

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参考条文

(詐害行為取消請求)
第424条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

(詐害行為の取消しの範囲)
第424条の8 債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。
2 債権者が第四百二十四条の六第一項後段又は第二項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。

(債権者への支払又は引渡し)
第424条の9 債権者は、第四百二十四条の六第一項前段又は第二項前段の規定により受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができる。この場合において、受益者又は転得者は、債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しない。
2 債権者が第四百二十四条の六第一項後段又は第二項後段の規定により受益者又は転得者に対して価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。

第426条 詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から二年を経過したときは、提起することができない。行為の時から十年を経過したときも、同様とする。

債務不履行

債務不履行とは?

債務不履行とは、契約したことを守らないことを言います。「契約したことを守らないこと」を「不履行」「履行しないこと」と言います。

債務不履行の種類

債務不履行には「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」の3つがあります。

履行遅滞

「履行遅滞(りこうちたい)」とは、履行が可能であるにもかかわらず、履行期限が過ぎても履行をしないことです。

例えば、お金を借りて、返済期限が8月末日にも関わらず、9月1日になると債務者は履行遅滞(債務不履行)となります。

履行不能

「履行不能」とは、「契約その他の債務の発生原因」及び「取引上の社会通念」に照らして不能であるときを言います(民法412条の2第1項)。

難しく書いてありますが、例えば、建物の売買契約をした後に、大地震が発生し、この建物が倒壊してしまった場合、この建物を買主に引き渡すことは不可能です。この場合、売主は建物を引渡すことが不可能なので、売主は履行不能となります。

不完全履行

「不完全履行」とは、契約を果たしたものの、義務の履行が十分とは言えない場合です。例えば、弁当屋さんが弁当100個の注文を受けて、100個の弁当を引渡したが、一部が腐っていた場合、弁当屋さんの不完全履行となります。

債務不履行に基づく損害賠償請求

債務不履行があったとき、債権者は債務者に対して、損害の賠償を請求することができます(民法415条)。

ただし、その債務の不履行が「契約その他の債務の発生原因」及び「取引上の社会通念」に照らして、債務者の責任とはいえない事由の場合、債権者は、損害賠償請求できません

具体例は個別指導で解説します!

金銭賠償の原則

損害賠償は、原則、金銭(お金)で評価をして、その額を金銭で支払うこととなっています。ただし、別段の意思表示(契約)があれば、その契約に従います(民法417条)。

具体例は個別指導で解説します!

損害賠償すべき範囲

債務者が損害賠償すべき範囲は、原則として、通常生ずべき損害です(民法416条1項)。

例外的に、当事者が予見すべきであった特別事情から生じた損害については、損害賠償すべき範囲に含まれ、損害賠償しないといけませ(民法416条2項)。

「通常生ずべき損害」「特別事情から生じた損害」の具体例は個別指導で解説します!

過失相殺

  • 債務不履行について債権者にも過失があった場合
  • 損害が発生したことについて債権者にも過失があった場合
  • 損害が拡大したことについて債権者にも過失があった場合

裁判所が、債権者の過失を考慮して損害賠償額を決定することを「過失相殺」と言います。

イメージとしては、債権者の過失が大きければ、損害賠償額が小さくなり(減額が大きくなる)、債権者の過失が小さければ、損害賠償額が大きくなります(減額が小さくなる)。

賠償額の予定

債務不履行があった場合に、「損害賠償額をいくらにするのか」を事前に契約で決めておくことを「賠償額の予定」と言います(民法420条)。

賠償額の予定を定めた場合、債権者は損害額を証明する必要はなくなります。

金銭債務の特則

金銭債務とは、お金に関する債務で、例えば、物を買った時の「代金を支払う債務」、お金を借りた時の「貸金債務」等です。

金銭債務については、特別ルールが適用されます。その特別ルールが下記の通りです。

  • 債務者に帰責事由がなくても履行遅滞は成立する→不可抗力があっても履行遅滞が成立する
  • 金銭債務は、履行不能はない→必ず、履行しないといけない
  • 債権者は、損害に関する立証責任はない。債権者は債務不履行(履行遅滞)を立証できればよい
  • 債務者は当然に法定利率・約定利率に基づく利息が発生する

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

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参考条文

(履行不能)
第412条の2 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。

(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

(損害賠償の範囲)
第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

(損害賠償の方法)
第417条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

(過失相殺)
第418条 債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

(金銭債務の特則)
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

(賠償額の予定)
第420条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

根抵当権

根抵当権とは?

複数の債権を担保(保証)するために、不動産に設定するものが根抵当権です。

例えば、製造会社Aが、銀行Bから毎月仕入代金を借りるとします。

仕入代金を借りるたびにA所有の不動産に抵当権を設定して、返済したら抵当権を消滅させるというのは非常に面倒です。

そのため、不動産で保証する上限(極度額という)を決めて、その金額内は、この不動産で保証しているというのが根抵当権です。

根抵当権の被担保債権の範囲(根抵当権で保証される債権とは?)

根抵当権で保証される債権は、「確定した元本」並びに「利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部」について、極度額を限度まで保証されます(民法398条の3第1項)。

例えば、上記で、極度額5000万円とし、銀行Bが製造会社Aに対して、1000万円・2000万円・500万円と3回貸し、すべてについて返済されていないとします。そして、利息や損害賠償額が300万円だった場合、上記合計金額は3800万円です。

ここで、銀行Aが元本確定し、その後競売にかけて、5000万円で落札された(売れた)場合、銀行Bは、この5000万円から3800万円を優先的に弁済を受けることができます。

元本確定とは?

元本確定とは、根抵当権を実行するために(競売にかけるために)元本がいくらなのかを確定させる行為です。

元本が確定しないと、競売手続中に、被担保債権の額が変動するし、利息も変動してしまいます。そのため元本がいくらなのかを確定させます。

根抵当権設定者からの元本確定請求

根抵当権設定者(製造業者A)は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定します(民法398条の19第1項)。

※ 元本確定日の定めがあるときは、この定めに従います(同条19第3項)。

根抵当権者からの元本確定請求

根抵当権者(銀行B)は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができます。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定します(民法398条の19第2項)。

※ 元本確定日の定めがあるときは、この定めに従います(同条19第3項)。

根抵当権の被担保債権の譲渡(随伴性について)

元本確定前に根抵当権者(銀行B)が、被担保債権を第三者Cに譲渡(債権譲渡)しても、Cは根抵当権を取得しません。

言い換えると、元本確定前は、根抵当権に「随伴性(ずいはんせい)がない」ということです(第398条の7第1項)。

詳細解説は個別指導で解説します。

根抵当権の被担保債権の消滅(付従性について)

元本確定前に根抵当権設定者(製造会社A)が、債務を弁済して、被担保債権が消滅したとしても、当然に根抵当権が消滅するわけではありません。

言い換えると、元本確定前は、根抵当権に「付従性(ふじゅうせい)がない」ということです(第398条の7第1項)。

詳細解説は個別指導で解説します。

根抵当権の譲渡

元本確定前に、根抵当権者(銀行B)が根抵当権を譲り渡す場合根抵当権設定者(製造会社A)の承諾を得る必要があります(第398条の12第1項)。

元本確定後は、根抵当権設定者の承諾なく、根抵当権を譲渡できます。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

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参考条文

(根抵当権)
第398条の2 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

(根抵当権の被担保債権の範囲)
第398条の3 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一 債務者の支払の停止
二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
第398条の4 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
2 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
3 第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

(根抵当権の極度額の変更)
第398条の5 根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

(根抵当権の元本確定期日の定め)
第398条の6 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2 第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4 第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第398条の7 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
3 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。
4 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

(根抵当権の譲渡)
第398条の12 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

(根抵当権の元本の確定事由)
第398条の20 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

(根抵当権の元本の確定請求)
第398条の19 根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

法定地上権

法定地上権とは?

土地や建物に抵当権が設定されて、競売にかかることにより、土地と建物の所有者が異なることとなると、建物所有者は、建物を所有する権利がなくなるので、土地所有者から、「建物を取り壊して、立ち退いてください!」と言われたら困ります。そのため、一定要件を満たす場合、自動的に建物に地上権(土地を使う権利)が設定されます。これを「法定地上権」と言います。この法定地上権が成立すると、建物所有者は、土地について地上権を有することとなるので、引き続き建物を使い続けることができます

法定地上権の成立要件

下記4つの要件をすべて満たすことで、法定地上権は成立します。

  1. 抵当権設定当時に、土地の上に建物が存在していること
    →更地に抵当権が設定されていた場合、法定地上権は成立しない
  2. 抵当権設定当時に、土地と建物の所有者が同一であること
  3. 土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されていること
  4. 競売により、土地と建物の所有者が異なる者となったこと

法定地上権に関する判例

土地にのみ抵当権が設定され、建物を取り壊して再築した場合

【事案】 土地及び建物の所有者が土地に抵当権を設定後、建物を取り壊して再築した。

【判例】 旧建物のために法定地上権が成立する場合におけると同一の範囲内において法定地上権が成立する(大判昭10.8.10)

土地・建物の両方に抵当権が設定され、建物を取り壊して再築した場合

【事案】 土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、建物が取り壊され、土地上に新建物を再築された。

【判例】 新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、「新建物が建築された時点での土地の抵当権者」が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り新建物のために法定地上権は成立しない(最判平9.2.14)。

分かりやすい解説については個別指導で解説します。

抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別人だった場合

【事案】 抵当権設定当時において土地及び建物の所有者が異なる人である。

【判例】 その土地又は建物に対する抵当権実行による競落の際、たまたま、当該土地及び建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、成立要件2を満たさないため法定地上権は成立しない(最判昭44.2.14)

土地に1番抵当権・2番抵当権が設定され、2番抵当権のみ要件を満たす場合

【事案】 土地に先順位抵当権が設定された当時は土地と建物の所有者が異なっていたため成立要件を満たしていなかった。しかし、その後、土地と建物が同一人所有者となった後に後順位抵当権が設定され、後順位抵当権者を基準にすると、成立要件を満たしていた。

【判例】 土地の先順位抵当権が実行されたときであっても、土地に対する法定地上権は成立しない(最判平2.1.22)。

理由については個別指導で解説します。

建物に1番抵当権・2番抵当権が設定され、2番抵当権のみ要件を満たす場合

【事案】 建物に抵当権設定当時、土地・建物が所有者が異なっていたため成立要件を満たしていなかった。しかし、その後、土地と建物が同一人所有者となった後に後順位抵当権が設定され、後順位抵当権者を基準にすると、成立要件を満たしていた。

【判例】 建物の先順位抵当権が実行された時であっても、法定地上権が成立する(大判昭14.7.26)。

理由については個別指導で解説します。

単独所有の建物があり、土地が共有で、土地の共有持分に抵当権が設定された場合

【事案】 「A・B共有の土地」の上に「単独でAが建物を所有」していて、Aが、土地の共有持分について抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権は成立しない(最判昭29.12.23)。

理由については個別指導で解説します。

建物が共有で、単独所有の土地に抵当権が設定された場合

【事案】 「Aが単独所有する土地」の上に「A・B共有の建物」があり、Aが土地について抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権が成立する(最判昭46.12.21)

理由については個別指導で解説します。

共有である土地・建物に抵当権が設定された場合

【事案】 「A・B共有の土地」上に「A・C共有の建物」があるとき、土地の共有者A・Bが「Aの債務」を担保するため、「Aの土地の持分」および「Bの土地の持分」それぞれに抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権は成立しない(最判平6.12.20)

理由については個別指導で解説します。

また上記以外の判例についても、個別指導で解説します。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

次の行政書士試験の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう!

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参考条文

(法定地上権)
第388条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

抵当権の順位譲渡・順位放棄

抵当権の順位譲渡も抵当権の順位放棄も「後順位抵当権者」の優先弁済権の額を増やしてあげるためのものです。

違いは、「後順位抵当権者にあげる優先弁済権の額(計算の仕方)」です。

前提条件と計算の仕方

1番抵当権者A:被担保債権400万円
2番抵当権者B:被担保債権300万円
3番抵当権者C:被担保債権100万円

抵当不動産が競売にかかって600万円で売却されたとすると、弁済を受けることができる金額は下記の通りです。

A:400万円
B:200万円
C:0円

抵当権の順位譲渡

AがCに対して、順位譲渡したとすると、AとCの優先弁済額の合計(400万円+0円=400万円)の範囲内で、順位譲渡を受けたCから先に弁済を受けることができます。

つまり、400万円の範囲内で、Cから先に弁済を受け、残りをAがもらう流れとなります。Cの被担保債権は100万円なので

C:100万円
A:300万円
B:200万円(順位譲渡に関係しないから金額は変わらない)

抵当権の順位放棄

AがCに対して、順位放棄したとすると、AとCの優先弁済額の合計(400万円+0円=400万円)の範囲内で、被担保債権額の割合に応じて按分します。

つまり、Aの被担保債権額=400万円、Cの被担保債権額=100万円なので、400万円を、Aが4/5、Cが1/5で分けて、弁済を受けます。

A:320万円
C:80万円
B:200万円(順位放棄に関係しないから金額は変わらない)

となります。

細かい計算の仕方については、個別指導で解説します。

似たもので、「抵当権の譲渡」と「抵当権の放棄」もありますが、これも個別指導で解説します。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

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参考条文

(抵当権の処分)
第376条 抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2 前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

抵当権の順位変更

抵当権の順位変更とは?

抵当権の順位変更とは、抵当権の順位を当事者間で変更すること言います。

例えば、甲土地について、1番抵当権者A(被担保債権500万円)、2番抵当権者B(被担保債権300万円)がいた場合、甲土地が競売にかかって600万円で売れた場合、代金600万円については、抵当権の順位が上のAから先に弁済を受け、その後にBが弁済を受けます。

つまり、Aが500万円の弁済を受け、その後、残り100万円についてBが弁済を受けます。

AとBの間で順位変更があるとどうなるか?

ここで、AとBが順位変更をすると、「1番抵当権者がB(被担保債権300万円)」「2番抵当権者がA(被担保債権500万円)」となります。

そのため、甲土地が競売にかかって600万円で売れた場合、代金600万円について、Bから先に弁済を受け、その後にAが弁済を受けることになります。

つまり、Bが300万円、Aが残りの300万円について弁済を受けることとなります。順位変更をすることで

Aは、500万円→300万円に減り
Bは、100万円→300万円に増えることになります。

利害関係人がいる場合

例えば、1番抵当権について転抵当権者C(利害関係人)がいた場合、順位変更によりCの優先弁済権にも影響が出てくるので、利害関係人の承諾が必要となります(民法374条1項)。

抵当権の順位変更の効力発生要件

抵当権の順位変更は、登記をして初めて効力が発生します(民法374条2項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

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参考条文

(抵当権の順位の変更)
第374条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

抵当権

抵当権とは?

抵当権とは、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を言います(民法369条1項)。

例えば、AがBに対して100万円を貸し、債務者Bがその保証(担保)として、B所有の土地に抵当権を設定した場合、債務者B(抵当権設定者という)が返済期限に100万円をAに返済しないとき、債権者A(抵当権者という)は、「抵当権が設定された土地」を競売にかけて、その代金から100万円(+利息)の弁済を受けることができます。

このとき、土地の占有者は、所有者Bです。

物上保証人とは?

上記は抵当権設定者が債務者Bですが、第三者が抵当権設定者となる場合があります。この第三者を物上保証人と言います。

例えば、AがBに対して100万円を貸し、「債務者Bの親C」がその保証(担保)として、C所有の土地に抵当権を設定した場合、「抵当権者がA」で、「抵当権設定者はC」です。

このCが物上保証人です。

抵当権を設定できるもの(抵当権の目的物)

抵当権は、不動産地上権永小作権に抵当権を設定することができます(民法369条1項・2項)。言い換えると、抵当権の目的物は、「不動産、地上権、永小作権」だということです。

抵当権の効力の及ぶ範囲

抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(抵当不動産という。)に付加して一体となっている物(付加一体物)に及びます(370条)。

付加一体物とは?

例えば、「取外しの困難な庭石」「土地に植えられた木」「建物の場合、扉や窓」等です。

細かい解説は個別指導で解説します。

 

抵当権の性質

抵当権には「付従性」「随伴性」「物上代位性」という3つの性質があります。

付従性

「抵当権は単独では存在できない。特定の債権と一緒に存在する」という性質が付従性です。

例えば、上記事例では、AはBに100万円を貸しているので、Aは「100万円の貸金債権」を有します。

これを保証するために「抵当権」を設定しているので、「100万円の貸金債権」と「抵当権」は一緒に存在します。

言い換えると、「100万円の貸金債権」が消滅すれば(Bが返済すれば)、自動的に「抵当権」は消滅します。

そして、この抵当権と一緒に存在する債権(100万円の貸金債権)のことを「被担保債権」と言います。

随伴性

抵当権は、被担保債権と一緒に移動する」という性質が随伴性です。

例えば、上記事例で、抵当権者Aが「100万円の貸金債権」を第三者Cに譲渡(債権譲渡)したとします。この場合「100万円の貸金債権」はAからCに移動します。それに伴って、抵当権もAからCに移動します(抵当権者もAからCに変更となる)。

物上代位性

抵当権の設定された不動産が別の「価値」に変わった場合、その「価値」から弁済を受けることができる性質を物上代位性と言います。

例えば、例えば、AがBに対して100万円を貸し、債務者Bがその保証(担保)として、B所有の建物に抵当権を設定した。この建物が火災に見舞われ、火災保険金が下りる場合、「抵当権の設定された建物」が「火災保険金」という別の価値に変わっています。

この場合、火災保険金から、100万円の弁済を受けることができます。この場合、抵当権者は、火災保険金が支払われる前に差し押さえる必要があります(民法304条1項)。

抵当権の対抗要件

抵当権は、登記をすることで、第三者に対して対抗することができます(民法177条)。

抵当権の順位

同一の不動産に、数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後によります(民法373条)。

一番初めに設定された抵当権を「1番抵当権」
その後の二番目に設定された抵当権を「2番抵当権」と言います。

この場合、1番抵当権から先に弁済を受けることができます。

そして、1番抵当権が消滅すると、2番抵当権が1番抵当権に順位が上がります。

抵当権の被担保債権の範囲

「抵当権の被担保債権の範囲」とは、分かりやすくいうと、「抵当権で保証される範囲(金額)」ということです。

「抵当権の被担保債権の範囲」は、元本だけでなく、利息も保証されます。ただし、利息については、他の債権者がいる場合は、「満期となった最後の2年分」としており(民法375条1項本文)、他の債権者がいない場合にのみ、利息のすべてが保証されます。

満期となった最後の2年分」については、個別指導で詳しく解説します。

抵当権の侵害

第三者が「抵当権が設定された不動産」を損傷させたり、価値を下げる行為をした場合、抵当権者は「妨害排除請求」や「損害賠償請求」をすることができます。

また、抵当権設定者(債務者)が損傷させたり、価値を下げる行為をした場合、債務者は、期限の利益を主張することができなくなります(民法137条2号)。

その他の抵当権の重要ポイントについては個別指導で解説します!

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

次の行政書士試験の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう!

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参考条文

(期限の利益の喪失)
第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(物上代位)
第304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない

(抵当権の内容)
第369条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第370条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

第371条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

(抵当権の順位)
第373条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

(抵当権の順位の変更)
第374条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

(抵当権の被担保債権の範囲)
第375条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

質権

質権とは?

質権とは、債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物(質物)を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を言います(民法342条)。

例えば、AがBに対して10万円を借りるために、Aが所有する腕時計(質物)を保証(担保)としてBに引き渡した場合、債務者Aが質権設定者で、債権者Bが質権者となります。

イメージとしては、債権者Bは「質屋さん」です。

質権を設定できるもの

譲渡することができる物には質権を設定できます。

例えば、動産や不動産、債権にも質権を設定できます。

譲渡することができない物には質権を設定できません(民法343条)。

例えば、生活保護費の請求権は、生活保護を受けている本人のみの権利で、譲渡できないので、質権を設定することはできません。

質権の成立要件・効力発生要件

質権が成立し、効力が発生するためには、「①質権設定契約(当事者間の合意)」と「②目的物の引渡し」の2つが必要です(民法344条)。

そして、②について、「債権証書が存在しない権利質」の場合は、証書の引き渡しができないので②は不要です。

また、質権者に代わって、質権設定者が質物の占有をさせること(占有改定)はできません(民法345条)。

質権の効力

留置的効力

質権は、上記の通り、質権者が質物(質権が設定された物)を占有します。そして、債務者が弁済期に債務を弁済しなければ、質権設定者(債務者)は当該質物を質権設定者に取られてしまいます(所有権を失う)。この心理的圧迫によって弁済を促すことを留置的効力といいます。

優先弁済権

抵当権同様、質権者は質物を競売し、その落札代金から優先的に弁済を受けることができます。

質権の被担保債権の範囲

質権で保証される範囲(優先弁済を受けることができる範囲)は、「元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償」です(民法346条本文)。ただし、契約でその範囲を変更した場合その契約に従います(民法346条ただし書)。

転質

転質(てんしち)とは、質権が設定された質物をさらに他人への担保として権を設定することを言います(民法348条)。

例えば、AがBに対してお金を借りるために、Aが所有する腕時計(質物)を保証(担保)としてBに引き渡し、さらに、質権者Bが他の債権者Cからお金を借りて、その保証として、当該腕時計に質権(転質)を設定し、Cに引き渡す場合です。(下記BC間が転質)

A―(腕時計)→B―(腕時計)→C

動産質

動産質とは、質物が動産の場合を言います。上記腕時計に質権を設定した事例は「動産質」です。

動産質の対抗要件

動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができません(民法352条)。

つまり、動産質の対抗要件は「占有を継続すること」です。

占有を失うと、第三者に対して対抗できなくなくなります。そのため、第三者に質物の占有を奪われた場合占有回収の訴えによってのみ質物の返還請求ができます(民法200条、353条)。

※質権設定者に質物を奪われた場合は、質権に基づいて返還請求ができます。

不動産質

不動産質とは、質物が不動産の場合を言います。例えば、土地や建物に質権を設定する場合です。

不動産質の対抗要件

不動産質権は、質権設定の登記をすることで第三者に対して対抗することができます(民法177条)。

不動産質の使用収益権

不動産質権者は、不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができます(民法356条)。

つまり、不動産を預かったら、その土地や建物を、自分自身で使ったり、賃貸して家賃収入を得ることもできます。

上記収益を得ることができる一方、不動産質権者は、不動産の管理の費用を支払う義務を負います(民法357条)。

不動産質権の存続期間

不動産質権の存続期間は、最長10年です。これより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十10年に短縮されます。

権利質

質権は、債権や株式等の財産権に設定することができます(民法362条1項)。

債権質の対抗要件

債権質(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)の対抗要件は、債権譲渡の対抗要件と同じく、質権設定者が第三債務者にその質権の設定を通知すること、又は第三債務者の承諾です(民法364条)。

債権の取立て

質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができます(民法366条1項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。

もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。

個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。

また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています!

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参考条文

(質権の内容)
第342条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(質権の目的)
第343条 質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。

(質権の設定)
第344条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

(質権設定者による代理占有の禁止)
第345条 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

(質権の被担保債権の範囲)
第346条 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(質物の留置)
第347条 質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。

(転質)
第348条 質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。

(契約による質物の処分の禁止)
第349条 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。

(留置権及び先取特権の規定の準用)
第350条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。

(物上保証人の求償権)
第351条 他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

(動産質の対抗要件)
第352条 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

(不動産質権者による使用及び収益)
第356条 不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

(不動産質権者による管理の費用等の負担)
第357条 不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。

(不動産質権者による利息の請求の禁止)
第358条 不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。

(不動産質権の存続期間)
第360条 不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。

(権利質の目的等)
第362条 質権は、財産権をその目的とすることができる。
2 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。

(債権を目的とする質権の対抗要件)
第364条 債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

(質権者による債権の取立て等)
第366条 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。

先取特権

先取特権とは?

先取特権は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を言います(303条)。

「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利」は抵当権や質権と同じ権利なのですが、先取特権は「法律その他の法律の規定に従い」となってる点で異なります。

抵当権質権は、当事者同士で、抵当権設定契約質権設定契約をすることで成立する権利(約定担保物権という)ですが、先取特権はこのような契約はなくても、法律の規定によって、一定事由に該当すれば自動的成立する権利(法定担保物権)です。

例えば、会社Aに雇われていたBがいて、会社Aの経営不振により、Bに対して給料未払い状態であった。この場合、従業員Bは「賃金債権」を有し、会社Aの財産について先取特権を有します(民法306条2号)。そのため、他の債権者より先に賃料をもらえる権利を持ちます。

先取特権の種類

先取特権には、「一般先取特権」「動産先取特権」「不動産先取特権」があります

一般先取特権

下記先取特権は、債務者の総財産について優先弁済権を有します(306条)。

  1. 共益の費用の先取特権
    例えば、未払いのマンション管理費に関する債権
  2. 雇用関係の先取特権
    例えば、未払い賃金債権
  3. 葬式の費用の先取特権
  4. 日用品の供給の先取特権
    未払いの電気代やガス代に関する債権

動産先取特権

下記先取特権は、債務者の特定の動産について優先弁済権を有します(311条)。行政書士試験対策としては、「不動産の賃貸借の先取特権」は動産先取特権に該当することを覚えておきましょう!

  1. 不動産の賃貸借の先取特権
    例えば、未払い賃料の先取特権
  2. 旅館の宿泊の先取特権
  3. 旅客又は荷物の運輸の先取特権
  4. 動産の保存の先取特権
  5. 動産の売買の先取特権
  6. 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給の先取特権
  7. 農業の労務の先取特権
  8. 工業の労務の先取特権

不動産先取特権

下記先取特権は、債務者の特定の不動産について優先弁済権を有します(325条)。

  1. 不動産の保存
    例えば、建物の未払い修理費用
  2. 不動産の工事
    例えば、土地の未払い造成費用
  3. 不動産の売買
    例えば、不動産の未払い代金

先取特権の効力

優先弁済的効力

先取特権者は、目的物を競売にかけて、その落札代金から、優先的に弁済を受ける権利を有します(民法303条)。

物上代位性

先取特権は、目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物(例えば火災保険金)に対しても、払渡し又は引渡しの前に差押えをすることで優先弁済権を主張できます(民法304条)。

ただし、一般先取特権は、債務者の総財産が先取特権の範囲なので、物上代位性はありません。

先取特権の優先順位

どの種類の先取特権が先に弁済を受ける権利を持つか?左の方が優先順位が高いです。

一般先取特権の間での優先順位

共益の費用>雇用関係>葬式費用>日用品の供給(民法329条)

不動産先取特権の間での優先順位

不動産の保存>工事>売買(民法331条)

同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて優先弁済権を分け合います(民法332条)。

その他細かい優先順位については個別指導で解説します。

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参考条文

(先取特権の内容)
第303条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(物上代位)
第304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

(先取特権の不可分性)
第305条 第二百九十六条の規定は、先取特権について準用する。

(一般の先取特権)
第306条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一 共益の費用
二 雇用関係
三 葬式の費用
四 日用品の供給

(共益費用の先取特権)
第307条 共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2 前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

(日用品供給の先取特権)
第310条 日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。

(動産の先取特権)
第311条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一 不動産の賃貸借
二 旅館の宿泊
三 旅客又は荷物の運輸
四 動産の保存
五 動産の売買
六 種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七 農業の労務
八 工業の労務

(不動産賃貸の先取特権)
第312条 不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。

(不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲)
第313条 土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
2 建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。

第314条 賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。

(不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲)
第315条 賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する。

第316条 賃貸人は、第六百二十二条の二第一項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。

(動産保存の先取特権)
第320条 動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する。

(動産売買の先取特権)
第321条 動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。

(不動産の先取特権)
第325条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
一 不動産の保存
二 不動産の工事
三 不動産の売買

(不動産保存の先取特権)
第326条 不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。

(不動産工事の先取特権)
第327条 不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
2 前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

(不動産売買の先取特権)
第328条 不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。

(一般の先取特権の順位)
第329条 一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
2 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。

(動産の先取特権の順位)
第330条 同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
一 不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
二 動産の保存の先取特権
三 動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
2 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
3 果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

(不動産の先取特権の順位)
第331条 同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百二十五条各号に掲げる順序に従う。
2 同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。

(同一順位の先取特権)
第332条 同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。

(先取特権と第三取得者)
第333条 先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

(一般の先取特権の効力)
第335条 一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2 一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3 一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4 前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。

(一般の先取特権の対抗力)
第336条 一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。

(不動産保存の先取特権の登記)
第337条 不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

(不動産工事の先取特権の登記)
第338条 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2 工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第339条 前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。

(不動産売買の先取特権の登記)
第340条 不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。

(抵当権に関する規定の準用)
第341条 先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。