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根抵当権

根抵当権とは?

複数の債権を担保(保証)するために、不動産に設定するものが根抵当権です。

例えば、製造会社Aが、銀行Bから毎月仕入代金を借りるとします。

仕入代金を借りるたびにA所有の不動産に抵当権を設定して、返済したら抵当権を消滅させるというのは非常に面倒です。

そのため、不動産で保証する上限(極度額という)を決めて、その金額内は、この不動産で保証しているというのが根抵当権です。

根抵当権の被担保債権の範囲(根抵当権で保証される債権とは?)

根抵当権で保証される債権は、「確定した元本」並びに「利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部」について、極度額を限度まで保証されます(民法398条の3第1項)。

例えば、上記で、極度額5000万円とし、銀行Bが製造会社Aに対して、1000万円・2000万円・500万円と3回貸し、すべてについて返済されていないとします。そして、利息や損害賠償額が300万円だった場合、上記合計金額は3800万円です。

ここで、銀行Aが元本確定し、その後競売にかけて、5000万円で落札された(売れた)場合、銀行Bは、この5000万円から3800万円を優先的に弁済を受けることができます。

元本確定とは?

元本確定とは、根抵当権を実行するために(競売にかけるために)元本がいくらなのかを確定させる行為です。

元本が確定しないと、競売手続中に、被担保債権の額が変動するし、利息も変動してしまいます。そのため元本がいくらなのかを確定させます。

根抵当権設定者からの元本確定請求

根抵当権設定者(製造業者A)は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定します(民法398条の19第1項)。

※ 元本確定日の定めがあるときは、この定めに従います(同条19第3項)。

根抵当権者からの元本確定請求

根抵当権者(銀行B)は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができます。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定します(民法398条の19第2項)。

※ 元本確定日の定めがあるときは、この定めに従います(同条19第3項)。

根抵当権の被担保債権の譲渡(随伴性について)

元本確定前に根抵当権者(銀行B)が、被担保債権を第三者Cに譲渡(債権譲渡)しても、Cは根抵当権を取得しません。

言い換えると、元本確定前は、根抵当権に「随伴性(ずいはんせい)がない」ということです(第398条の7第1項)。

詳細解説は個別指導で解説します。

根抵当権の被担保債権の消滅(付従性について)

元本確定前に根抵当権設定者(製造会社A)が、債務を弁済して、被担保債権が消滅したとしても、当然に根抵当権が消滅するわけではありません。

言い換えると、元本確定前は、根抵当権に「付従性(ふじゅうせい)がない」ということです(第398条の7第1項)。

詳細解説は個別指導で解説します。

根抵当権の譲渡

元本確定前に、根抵当権者(銀行B)が根抵当権を譲り渡す場合根抵当権設定者(製造会社A)の承諾を得る必要があります(第398条の12第1項)。

元本確定後は、根抵当権設定者の承諾なく、根抵当権を譲渡できます。

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民法テキストの目次

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参考条文

(根抵当権)
第398条の2 抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3 特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

(根抵当権の被担保債権の範囲)
第398条の3 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一 債務者の支払の停止
二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
第398条の4 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
2 前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
3 第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

(根抵当権の極度額の変更)
第398条の5 根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

(根抵当権の元本確定期日の定め)
第398条の6 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2 第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4 第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第398条の7 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
3 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。
4 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

(根抵当権の譲渡)
第398条の12 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

(根抵当権の元本の確定事由)
第398条の20 次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

(根抵当権の元本の確定請求)
第398条の19 根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2 根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

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