民法のテキスト

婚姻の基本

婚姻の基本

男女ともに18歳」になれば、婚姻をすることができます(民法731条)。

未成年者の婚姻

そして、未成年者が婚姻をする場合、父母の同意が必要です(民法737条1項)。もし、父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけでもよいです(同条2項)。また、「父母の一方が知れないとき(行方不明の時等)、死亡したとき、又はその意思を表示することができないとき(重篤な状態の時等)も、その父母の同意は不要です(同条3項)。

父母が死亡して双方ともいない場合には、誰の同意もなく、婚姻できます

成年被後見人の婚姻

成年被後見人が婚姻をするために、その成年後見人の同意は不要です。成年後見人の同意なく婚姻できます(民法738条)。

再婚禁止期間

女は、「前婚の解消又は取消しの日」から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができません(民法732条1項)。

ただし、下記いずれかに該当する場合には、100日経過することなく再婚できます。

  1. 女が「前婚の解消又は取消し」の時に懐胎していなかった場合
  2. 女が「前婚の解消又は取消し」の後に出産した場合

養親子等の間の婚姻の禁止

養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、親族関係が終了した後でも、婚姻できません(民法736条)。

上記条文は理解しにくいので、個別指導で解説します。

婚姻の届出

婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力が生じます(民法739条1項)。そして、この届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上の署名した書面、又は口頭で、しなければなりません(同条2項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(婚姻適齢)
第731条 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。

(重婚の禁止)
第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

(再婚禁止期間)
第732条 女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

(近親者間の婚姻の禁止)
第734条 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

(直系姻族間の婚姻の禁止)
第735条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条又は第八百十七条の九の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。

(養親子等の間の婚姻の禁止)
第736条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

(未成年者の婚姻についての父母の同意)
第737条 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。

(成年被後見人の婚姻)
第738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。

(婚姻の届出)
第739条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

(婚姻の届出の受理)
第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条から第七百三十七条まで及び前条第二項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

遺言

遺言とは?

遺言とは、被相続人が、死後、自己の財産(相続財産)を、誰に、どれだけ残すのかといった意思表示を言います。

遺言については、民法で厳格に「方式(形式)」が決まっており、この方式に従っていない場合は、法律上の遺言としての効力を持ちません(無効)(民法960条)。

そして、2人以上の者が同一の証書で遺言を記載することはできません(民法975条:共同遺言の禁止)。

また、遺言は相手方の承諾なく、単独行為で効力が発生します。

遺言能力

満15歳以上の者は、単独で遺言をすることができます。たとえ、未成年者・被保佐人・被補助人であっても、単独で遺言できます(民法961条・962条)。

成年被後見人については、「①事理を弁識する能力を一時回復した時に」、「②医師2人以上の立会い」があれば、遺言できます。

遺言の種類

遺言の種類には下記、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

自筆証書遺言の方式

  • 遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、遺言に押印しなければならない(民法968条1項)。ただし、財産目録を添付する場合には、その目録については、自書しなくてもよいが、その目録の毎葉(各ページ)に署名し、印を押さなければならない(民法968条2項)。
  • 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、「変更した場所を指示」し、これを「変更した旨を付記」して特にこれに「署名」し、かつ、その「変更の場所に押印」しなければ、変更は無効となる(民法968条3項)。

公正証書遺言の方式

公正証書によって遺言をするには、下記の要件を全て満たさなければなりません(民法969条)。

  1. 証人2人以上の立会いがあること。
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する(言葉で伝える)こと。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、押印すること。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、押印すること。

秘密証書遺言

秘密証書によって遺言をするには、下記の要件を全て満たさなければなりません(民法970条)。

  1. 遺言者が、その証書に署名し、押印すること。
  2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
  3. 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
  4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

もし、上記要件を満たさない場合、自筆証書の要件を満たせば、自筆証書遺言としての効力は認められます(民法971条)。

遺言の効力発生時期

遺言は、遺言者の死亡の時に効力が発生します(民法985条1項)。

遺言に停止条件を付した場合、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時に効力が発生します(民法985条2項)。

遺言の撤回

遺言者は、いつでも、その遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。

「前の遺言」と「後の遺言」とが矛盾するときは、矛盾する部分については、「後の遺言」で「前の遺言」を撤回したものとみなし、「後の遺言」が優先します(民法1023条)。

(遺言の撤回権の放棄の禁止)
遺言者は、上記遺言の撤回権を放棄することができません(民法1026条)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(遺言の方式)
第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

(遺言能力)
第961条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

第962条 第五条、第九条、第十三条及び第十七条の規定は、遺言については、適用しない。

第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

(相続人に関する規定の準用)
第965条 第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。

(被後見人の遺言の制限)
第966条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。

(普通の方式による遺言の種類)
第967条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(公正証書遺言)
第969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

(秘密証書遺言)
第970条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
第971条 秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第九百六十八条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。

(秘密証書遺言の方式の特則)
第972条 口がきけない者が秘密証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を通訳人の通訳により申述し、又は封紙に自書して、第九百七十条第一項第三号の申述に代えなければならない。
2 前項の場合において、遺言者が通訳人の通訳により申述したときは、公証人は、その旨を封紙に記載しなければならない。
3 第一項の場合において、遺言者が封紙に自書したときは、公証人は、その旨を封紙に記載して、第九百七十条第一項第四号に規定する申述の記載に代えなければならない。

(成年被後見人の遺言)
第973条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

(共同遺言の禁止)
第975条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

(遺言の効力の発生時期)
第985条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。

(遺言の撤回)
第1022条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第1023条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

(遺言の撤回権の放棄の禁止)
第1026条 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

単純承認・限定承認・相続放棄

相続財産の承継

財産には、プラスの財産(積極財産)とマイナスの財産(消極財産:借金等)があります。

ある人(被相続人)が死亡した場合、相続人は、被相続人の財産を承継するのか、放棄するのかを自由に選択することができます。

具体的には、①単純承認、②限定承認、③相続放棄の3つがあります。

単純承認

単純承認」とは、被相続人の権利・義務を(プラスの財産もマイナスの財産も)無限に(全て)承継するものです(民法920条)。

下記のいずれかに該当する場合、相続人は、単純承認をしたものとみなします(民法921条)。

  1. 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び602条に定める短期賃貸借の期間を超えない賃貸をすることは、処分に含めません。
  2. 相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内の期間(熟慮期間)内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
  3. 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。

限定承認

限定承認」とは、相続によって得たプラスの財産の限度で相続し、その財産で債務を弁済する方法です(民法922条)。

例えば、プラスの財産が1000万円あって、マイナスの財産(借金)が1500万円あった場合、1000万円だけ相続し、1000万円を借金の返済に充てる方法です。

相続人が数人あるときは、共同相続人の全員が共同して限定承認ができます。一人でも単純承認をする者がいたら、限定承認はできません(民法923条)。

相続人は、限定承認をしようとするときは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内の期間(熟慮期間)内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない(民法924条)。

相続放棄

相続放棄とは、相続を放棄することで、「最初から相続人でなかった」とみなされます(民法939条)。

被相続人の負債が多いなど相続することで、相続人の生活が厳しくなってしまう場合に使います。

相続放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません(民法938条)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(単純承認の効力)
第920条 相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。

(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

(限定承認)
第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

(共同相続人の限定承認)
第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

(限定承認の方式)
第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第九百十五条第一項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

(限定承認をしたときの権利義務)
第925条 相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

(限定承認者による管理)
第926条 限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。

(相続の放棄の方式)
第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。

(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

(相続の放棄をした者による管理)
第940条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

特別受益者の相続分

特別受益者とは?

特別受益者」とは、共同相続人の中で、被相続人(死亡した人)から「遺贈を受けたり」「婚姻や養子縁組のために贈与を受けたり」、「生計の資本として贈与を受けたり」した者を言います。

遺贈や贈与の額が「特別受益」となります。

特別受益者の相続分

上記の通り、特別受益者が他の相続人と同じ相続分を受けられるとすれば不公平になります。なぜなら、被相続人から遺贈や贈与によって別途財産をもらっているからです。

そこで、民法では、共同相続人間の公平を図ることを目的として、特別受益分(贈与や遺贈分)を相続財産に戻した額を相続財産とみなし、各相続人の相続分を算定することにしています(民法903条1項)。

特別受益者の相続分の計算の具体例

例えば、被相続人Aは3000万円の財産の残して死亡した。
Aの相続人には、妻B、長男C、次男Dがいる。
Aは、長男Cに自宅購入資金として600万円を贈与し、
次男Bに自動車の購入資金として400万円を贈与していた。

この場合の各相続人の具体的相続分は下記のとおりとなります。

▼みなし相続財産
3000万円+600万円+400万円=4000万円

▼各相続人の一応の相続分
妻B:4000万円×2分の1=2000万円
長男C:4000万円×2分の1=1000万円
次男D:4000万円×2分の1=1000万円

▼各相続人の具体的な相続分
妻B  2000万円
長男C 1000万円-600万円=400万円
次男D 1000万円-400万円=600万円

※特別受益の額が「一応の相続分」を超過する場合は、その特別受益者は超過分を返還する必要はなく、
この場合、特別受益者は相続分を受け取ることができず、相続分はゼロとなります(民法903条2項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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(特別受益者の相続分)
第903条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

相続欠格と相続廃除

相続欠格とは?

相続欠格とは、相続人が、下記民法891条の相続欠格事由に当てはまる場合、自動的に相続権がなくなってしまうことを言います。

相続欠格事由

次に掲げる者は、相続人となることができません(民法891条)。

  1. 故意に「被相続人」又は「相続について先順位若しくは同順位にある者」死亡させた、又は死亡させようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき(まだ子供であるとき)、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
  3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
  4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

相続欠格の効果

何ら手続きなく、相続の資格を失います(相続権がなくなる)。

欠格者の子は代襲相続が可能なので注意しましょう!

相続廃除とは?

「相続人の廃除」とは、①相続人から虐待を受けたり、②重大な侮辱を受けたりしたとき、または③その他の著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます(民法892条)。

遺言による廃除

遺言によって推定相続人の廃除することも可能で、この場合、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません(民法893条本文)。この場合、その推定相続人の廃除の効力は、被相続人の死亡の時にさかのぼって生じます(民法893条ただし書)。

廃除の取消し

また、廃除の請求して、廃除された相続人がいたとして、被相続人が、やっぱり廃除しなくてもいいや!と思うこともあります。

このような場合、被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法894条)。

相続廃除の効果

廃除の審判が確定したり、調停が成立すると、その相続人は、相続権を失います。

廃除された者の子は代襲相続が可能なので注意しましょう!

理解学習について

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(相続人の欠格事由)
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(推定相続人の廃除)
第892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)
第893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(推定相続人の廃除の取消し)
第894条 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

(推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理)
第895条 推定相続人の廃除又はその取消しの請求があった後その審判が確定する前に相続が開始したときは、家庭裁判所は、親族、利害関係人又は検察官の請求によって、遺産の管理について必要な処分を命ずることができる。推定相続人の廃除の遺言があったときも、同様とする。
2 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が遺産の管理人を選任した場合について準用する。

扶養

扶養とは?

「扶養」とは、親族から経済的援助を受けること・親族に対して経済支援をすることを言います。

扶養義務者

扶養義務者とは、扶養をする義務のある者(援助する側)を指します(民法878条)。

扶養権利者とは、扶養を受ける権利のある者(援助を受ける側)を指します(民法878条)。

扶養義務の範囲

直系血族」及び「兄弟姉妹」は、互いに扶養をする義務があります(民法877条1項)。

また、家庭裁判所は、特別の事情があるときは、上記以外に、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができます(民法877条2項)。

直系血族や親族については個別指導で解説します。

扶養の順位

  • 1人の扶養権利者(お金のない人)に対し、扶養義務者(お金のある人)が数人ある場合、まず誰が扶養するべきか?
  • 数人の扶養権利者(お金のない人)に対し、扶養義務者(お金のある人)の資力がその全員を扶養するに足りない場合に、まず誰を扶養するべきか?

上記2つについては優先順位があります(民法878条)。

  1. 当事者間の協議で決める
  2. 協議が整わないとき・協議をすることができないときは、家庭裁判所が決める

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

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参考条文

(扶養義務者)
第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

(扶養の順位)
第878条 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。

(扶養の程度又は方法)
第879条 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。

(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第880条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。

(扶養請求権の処分の禁止)
第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。

親権

親権とは?

「親権」とは、未成年の子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権利や義務です。

親権者

親権者とは、親権を持つ人のことを指し、父母の婚姻中は父母の双方が親権者とされており、父母が共同して親権を行使することとされています(民法818条3項)。

離婚する場合の親権者

父母が協議によって離婚をする場合には、父母のうち一方を親権者として定めなければなりません(民法819条1項)。

裁判上の離婚の場合には、裁判所が父母の一方を親権者と定めます(民法819条2項)。

親権の内容(身上監護権・財産管理権)

身上監護権(しんじょうかんごけん)

身上監護権とは、子の利益のために「子の監護及び教育」をすることを言い、親権者は、身上監護権の権利や義務を負います(民法820条1項)。

簡単に言えば、しつけや教育を行うことです。
※ 「しつけ」のことを民法上、「懲戒」と言います。

その他にも下記のようなことが身上監護権に含まれます。

  • 子は、親権を行う者が指定した場所に、住まなければならない(民法821条:居所の指定)。
  • 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない(民法823条:職業の許可)。

財産管理権

財産管理権とは、親権者が子の法定代理人として財産上の行為についての代理権を言い、親権者は、財産管理権を有します(民法824条本文)。

簡単に言えば、子どものお金を管理したり、子どもの代わりに契約をしたりすることです。

ただし、「その子の行為を目的とする債務」を生ずべき場合には、本人の同意が必要です(民法824条ただし書)。

具体例は個別指導で解説します。

財産管理権と利益相反行為

「親権を行う父又は母」と「その子」との利益が相反する行為を「親権者である父又は母」が行った場合、親権者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条1項)。つまり、勝手に、親が利益相反行為を行うことはできないということです。

親権者が子を代理して、利益相反行為をした場合、無権代理行為となる。

また、数人の子の親権者が、「一人の子」と「他の子」との利益が相反する行為をする場合、親権者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条2項)。

財産管理における注意義務

親権者は、「自己のためにするのと同一の注意」をもって、その管理権を行わなければなりません(民法827条)。

親権の喪失

「①父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるとき」その他「②父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」、「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」は家庭裁判所に対して親権の喪失の請求をすることができ、その請求に対して、家庭裁判所は、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができます(民法834条本文)。

ただし、2年以内に①②が消滅する見込みがあるときは、親権喪失の審判をすることができません(民法834条ただし書)。

管理権喪失

「父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」は、家庭裁判所に対して「子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官」は管理権喪失の請求ができ、その請求に対して、家庭裁判所は、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができます(民法835条)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

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参考条文

(親権者)
第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

(離婚又は認知の場合の親権者)
第819条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

(監護及び教育の権利義務)
第820条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(居所の指定)
第821条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。

(懲戒)
第822条 親権を行う者は、第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

(職業の許可)
第823条 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(財産の管理及び代表)
第824条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第825条 父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

(利益相反行為)
第826条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

(財産の管理における注意義務)
第827条 親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

(財産の管理の計算)
第828条 子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。

第829条 前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。

(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
第830条 無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
2 前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
3 第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
4 第二十七条から第二十九条までの規定は、前二項の場合について準用する。

(委任の規定の準用)
第831条 第六百五十四条及び第六百五十五条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合について準用する。

(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第832条 親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
2 子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。

(子に代わる親権の行使)
第833条 親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。

(親権喪失の審判)
第834条 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

(親権停止の審判)
第834条の2 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

(管理権喪失の審判)
第835条 父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。

(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し)
第836条 第八百三十四条本文、第八百三十四条の二第一項又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。

(親権又は管理権の辞任及び回復)
第837条 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
2 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。

特別養子縁組

養子縁組とは?

養子縁組とは、親子関係のない者同士に、法律上の親子関係を成立させる制度です。

そして、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つがあり、このページでは「特別養子縁組」に絞って解説します。

まずは、普通養子縁組の要件を解説します。

※「養親」とは、養子縁組による親。養父母。また、養子の親として育てる人のこと

特別養子縁組とは?

「特別養親縁組」とは、⼦どもが⼾籍上も実親との親⼦関係を断ち切り、養親と養⼦が家庭裁判所の審判によって戸籍上も実の親子関係となる縁組です。

特別養子縁組の要件

  1. 養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判があること(民法817条の2)
  2. 養親となる者は、配偶者がいること=夫婦共同で養親になること(民法817条の3)
    →夫婦の一方の連れ子の場合は、養親となるのは夫婦のもう一方のみでよい
  3. 養親となる夫婦の少なくともどちらかが25歳以上で、もう一方が20歳以上であること(民法817条の4)
  4. 養子となる者は、①特別養子縁組の請求時に15歳未満であること。かつ、②特別養子縁組が成立時に18歳未満であること(民法817条の5第1項)
    →例外として、養子となる者が15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、15歳に達するまでに特別養子縁組の請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、上記①は適用されない(民法817条の5第2項)。
  5. 実の両親の同意があること(民法817条の6本文)
    →ただし、意思表示ができない場合や、虐待など、養子となる人の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要(民法817条の6ただし書)
  6. 父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があること(民法817条の7)
  7. 特別養子縁組を請求してから6か月間監護した状況(請求前の監護の状況が明らかなときは監護を始めた時から6か月間の状況)を考慮して、特別養子縁組を成立させることがふさわしいと家庭裁判所によって認められること(民法817条の8)

特別養子縁組の効果

嫡出子の身分の取得

  • 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)
  • 未成年者の養子は、養親が親権を持つ(民法818条)。
  • 実の親との親族関係終了する(民法817条の9)(養親子間のみ相続権を持つ

養子の氏の取得

養子は、養親の氏(苗字)を使います。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を使う間は、定めた氏を使います(民法810条)。

特別養子縁組の離縁

下記のいずれにも該当し、かつ、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができます(民法817条の10)。

  1. 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
  2. 父母が相当の監護をすることができること。

離縁による実方との親族関係の回復

離縁の日から、実父母・その血族との親族関係が発生(回復)します(民法817条の11)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(特別養子縁組の成立)
第817条の2 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには、第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。

(養親の夫婦共同縁組)
第817条の3 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。

(養親となる者の年齢)
第817条の4 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。

(養子となる者の年齢)
第817条の5 第八百十七条の二に規定する請求の時に十五歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。
2 前項前段の規定は、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
3 養子となる者が十五歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。

(父母の同意)
第817条の6 特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。

(子の利益のための特別の必要性)
第817条の7 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

(監護の状況)
第817条の8 特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2 前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。

(実方との親族関係の終了)
第817条の9 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

(特別養子縁組の離縁)
第817条の10 次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二 実父母が相当の監護をすることができること。
2 離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。

(離縁による実方との親族関係の回復)
第817条の11 養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。

普通養子縁組

養子縁組とは?

養子縁組とは、親子関係のない者同士に、法律上の親子関係を成立させる制度です。

そして、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つがあり、このページでは「普通養子縁組」に絞って解説します。

まずは、普通養子縁組の要件を解説します。

※「養親」とは、養子縁組による親。養父母。また、養子の親として育てる人のこと

普通養子縁組の要件

  1. 養親が成年者であること(民法792条)
    →満20歳に達していれば成年(民法4条)だが、満20歳に達していなくても婚姻をしている者は、成年とみなされる(民法753条)。
  2. 養子が「尊属または年長者」でないこと(民法793条)
    →自分からみて年上の者や尊属に該当する者を養子にする事は出来ません。
  3. 後見人が被後見人を養子にする場合家庭裁判所の許可が必要(民法794条)
  4. 配偶者がいる人が未成年者を養子にする場合は、夫婦共に養親になること(民法795条)
  5. 養親又は養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得ること(民法796条)
  6. 「養親となる人」と「養子となる人」がともに「養子縁組をする意思」があること
    →養子となる人が15歳未満の場合は、法定代理人が代りに承諾できる(民法797条)
  7. 養子となる人が未成年者の場合は、原則、家庭裁判所の許可が必要(民法798条)。
    →養子が「自分の子(直系卑属)や配偶者の子」の場合は許可不要
  8. 養子縁組の届出をしていること(民法799条)

普通養子縁組の無効・取消し

普通養子縁組が無効となる場合(民法802条)

  1. 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき
  2. 当事者が縁組の届出をしないとき
    →届出をしたけど、「当事者双方及び成年の証人2人以上の署名等がないだけ」であれば、縁組の効力は生じる。

養子縁組を取消しできる場合

  1. 養親が未成年者である場合=民法792条違反の縁組(民法804条)
  2. 養子が尊属又は年長者である場合=民法793条違反の縁組(民法805条)
  3. 後見人と被後見人との間の無許可縁組の場合=民法794条違反の縁組(民法806条)
  4. 配偶者の同意のない縁組の場合=民法796条違反の縁組(民法806条の2)
  5. 養子が未成年者である場合の無許可縁組の場合=民法796条違反の縁組(民法807条)

普通養子縁組の効果

嫡出子の身分の取得

  • 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する(民法809条)
  • 未成年者の養子は、養親が親権を持つ(民法818条)。
  • 養親の相続権を持つ(実親子間・養親子間の両方の相続権を持つ

養子の氏の取得

養子は、養親の氏(苗字)を使います。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を使う間は、定めた氏を使います(民法810条)。

普通養子縁組の離縁

普通養子縁組を解消するためには、「養親と養子が離縁に同意する協議離縁」か、「離縁の訴えをして裁判によって離縁する裁判離縁」があります。

協議離縁

  1. 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者が養子に代わって協議をする(民法811条2項)
  2. 養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、原則、夫婦が共にしなければなりません。(民法811条の2本文)。

裁判上の離縁

縁組の当事者の一方は、下記のいずれかに該当する場合、離縁の訴えを提起することができます(民法814条)。

  1. 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
  2. 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
  3. その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

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参考条文

(養親となる者の年齢)
第792条 成年に達した者は、養子をすることができる。

(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第793条 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。

(後見人が被後見人を養子とする縁組)
第794条 後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。

(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第795条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(配偶者のある者の縁組)
第796条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第797条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。

(未成年者を養子とする縁組)
第798条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。

(婚姻の規定の準用)
第799条 第七百三十八条及び第七百三十九条の規定は、縁組について準用する。

(縁組の届出の受理)
第800条 縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

(外国に在る日本人間の縁組の方式)
第801条 外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、第七百九十九条において準用する第七百三十九条の規定及び前条の規定を準用する。

(縁組の無効)
第802条 縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
二 当事者が縁組の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。

(縁組の取消し)
第803条 縁組は、次条から第八百八条までの規定によらなければ、取り消すことができない。

(養親が未成年者である場合の縁組の取消し)
第804条 第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し)
第805条 第七百九十三条の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。

(後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し)
第806条 第七百九十四条の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
2 前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
3 養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第一項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。

(配偶者の同意のない縁組等の取消し)
第806条の2 第七百九十六条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
2 詐欺又は強迫によって第七百九十六条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し)
第806条の3 第七百九十七条第二項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
2 前条第二項の規定は、詐欺又は強迫によって第七百九十七条第二項の同意をした者について準用する。

(養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し)
第807条 第七百九十八条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。

(婚姻の取消し等の規定の準用)
第808条 第七百四十七条及び第七百四十八条の規定は、縁組について準用する。この場合において、第七百四十七条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。
2 第七百六十九条及び第八百十六条の規定は、縁組の取消しについて準用する。

(嫡出子の身分の取得)
第809条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(養子の氏)
第810条 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

(親権者)
第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

(協議上の離縁等)
第811条 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
2 養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
3 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
4 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
5 第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

(夫婦である養親と未成年者との離縁)
第811条の2 養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

(婚姻の規定の準用)
第812条 第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。この場合において、同条第二項中「三箇月」とあるのは、「六箇月」と読み替えるものとする。

(離縁の届出の受理)
第813条 離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定並びに第八百十一条及び第八百十一条の二の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
2 離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。

(裁判上の離縁)
第814条 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2 第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。

(養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
第815条 養子が十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。

(離縁による復氏等)
第816条 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

(離縁による復氏の際の権利の承継)
第817条 第七百六十九条の規定は、離縁について準用する。

認知

認知とは?

婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子)について、その父又は母が自分の子であると認めることを「認知」と言います(民法779条)。

母親と子の関係については、分娩の事実により当然に親子関係が発生するので、認知は不要です(最判昭37.4.27)。

母親の認知については個別指導で解説します。

そして、この認知をすることで、法律上の親子関係を発生します。

また、認知には「任意認知」と「強制認知」の2つがあります。

任意認知

「任意認知」とは、父親・母親が届出をすることによって行ったり(民法781条1項)、父親・母親が遺言によって行ったりすることです(民法781条2項)。

この認知は、「父親・母親」が未成年者又は成年被後見人であっても、法定代理人の同意なく行えます(民法780条)。

成年の子の認知

また、成年の子を認知する場合、その子の承諾がなければ、認知することができません(民法782条)。

胎児又は死亡した子の認知

父親は、胎内の子でも、認知することができます。この場合、母の承諾を得なければなりません(民法783条1項)。

父親・母親は、死亡した子でも、その死亡した子に直系卑属(子や孫)がいるときに限り、認知することができます。この場合、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければなりません(民法783条2項)。

強制認知

「強制認知」とは、男が子を認知しない場合に、裁判手続によって、子を認知させることです。

強制認知の流れ

強制認知を行う場合、まず、家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければなりません(家事事件手続法257条:調停前置主義)。

調停がうまくいかなかった場合、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人」は、認知の訴えを提起することができます(民法787条本文)。

認知の訴えの期間制限

認知の訴えは、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、提起できなくなります(民法787条ただし書)。

認知の効果

認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生じます。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできません(民法784条)。

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民法テキストの目次

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参考条文

(認知)
第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知能力)
第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

(認知の方式)
第781条 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。

(成年の子の認知)
第782条 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。

(胎児又は死亡した子の認知)
第783条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。

(認知の効力)
第784条 認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

(認知の取消しの禁止)
第785条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。

(認知に対する反対の事実の主張)
第786条 子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。

(認知の訴え)
第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。

(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第788条 第七百六十六条の規定は、父が認知する場合について準用する。