商法・会社法

平成25年・2013|問36|商法・商行為

商法の定める契約に関する次のA~Cの文章の空欄[ ア ]~[ ウ ]に当てはまる語句の組合せとして、商法の規定に照らし、正しいものはどれか。

A 商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が[ ア ]承諾をしなかったときは、その申込みは、効力を失う。

B 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が[ イ ]承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、効力を失う。

C 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、遅滞なく契約の申込みに対する諾否の通知を発することを怠ったときは、その商人は当該契約の申込みを[ ウ ]ものとみなされる。

  1. ア:直ちに イ:相当の期間内に ウ:拒絶した
  2. ア:相当の期間内に イ:遅滞なく ウ:拒絶した
  3. ア:直ちに イ:相当の期間内に ウ:承諾した
  4. ア:遅滞なく イ:遅滞なく ウ:拒絶した
  5. ア:相当の期間内に イ:相当の期間内に ウ:承諾した

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【答え】:3

【解説】

ア.A 商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が[ ア ]承諾をしなかったときは、その申込みは、効力を失う。

ア・・・直ちに

商人である対話者の間において契約の申込みを受けた者が「直ちに」承諾をしなかったときは、その申込みは、その効力を失う(商法507条)。

イ.B 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が[ イ ]承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、効力を失う。

イ・・・相当の期間内に

商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が「相当の期間内に」承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う(商法508条1項)。

ウ.C 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、遅滞なく契約の申込みに対する諾否の通知を発することを怠ったときは、その商人は当該契約の申込みを[ ウ ]ものとみなされる。

ウ・・・承諾した

商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない(商法第509条1項)。
商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを「承諾した」ものとみなす(商法509条2項)。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成27年・2015|問37|会社法・株式会社の設立

株式会社の設立に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

イ 複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。

ウ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

エ 設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。

オ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:1

【解説】

ア 発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
ア・・・妥当
発起人は、「設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨」を定めようとするときは、発起人全員の同意を得なければなりません(会社法57条2項)。
よって、妥当です。そして、発起人全員の同意が必要なものは下記4つです。
  1. 設立時に発行する株式に関する事項の決定(会社法32条
  2. 現物出資を行う者がいる場合の対抗要件の具備(会社法34条
  3. 発行可能株式総数に関する定款の定め(会社法37条
  4. 設立時募集株式に関する事項の決定(会社法58条
イ 複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。
イ・・・妥当ではない
各発起人(発起設立・募集設立)は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。
募集設立の場合でも、発起人は、1株以上引き受ける必要があります
よって、妥当ではありません。
ウ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
ウ・・・妥当
発起設立の場合も、募集設立の場合も、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければなりません。

よって、本肢は妥当です。
この点については、関連ポイントも頭に入れておく必要があるので、関連ポイントについては個別指導で解説します!

エ 設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。
エ・・・妥当ではない
設立時取締役の仕事は、「調査」をすることです。
会社設立後の取締役のように「業務の執行」は行わないし、「監査」もしません。設立時取締役は、その選任後遅滞なく、下記事項を調査しなければなりません(会社法46条)。
よって、本肢は妥当ではありません。
  1. 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること
  2. 現物出資財産についての弁護士等の証明が相当であること
  3. 出資の履行が完了していること
  4. 株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと
オ 発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。
オ・・・妥当ではない
募集設立の場合において、当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者は、発起人とみなします会社法103条2項)。
これを「擬似発起人」と言います。
そして、この擬似発起人のルールは、募集設立の場合のみ適用され、募集を行わない発起設立の場合は、上記ルールはありません。
したがって、本肢の「発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても」という記述が妥当ではありません。

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平成27年度(2015年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 外国人の人権 問33 民法:債権
問4 基本的人権 問34 民法:債権
問5 憲法9条 問35 民法:親族
問6 司法の限界 問36 商法
問7 財政 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政立法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

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株式会社の設立

株式

株式会社の機関

株式会社の計算

持分会社

組織再編

 

社債

社債とは、会社法では、「会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、会社法の定めに従い償還されるものをいう(2条23号)」と定義づけられています。 社債を分かりやすく言えば、会社が一般公衆から広くお金を借り入れて、一定期間経過後に債権者に返済する(償還する)というものです。 つまり、社債=会社に対してお金を貸した貸付債権とも言えます。

株式と社債の違い

株式を発行する場合も、社債を発行する場合も、どちらもお金を調達するために使います。 しかし、違いもあります。

地位の違い

株式の場合、会社の社員たる地位(オーナー)であるのに対し 社債の場合、会社の債権者です。

株主総会における議決権

株主(株主を有する者)は、株主総会で議決権を行使して、経営にかかわることもできますが 社債権者(社債を有する者)は、そのような権利はありません。

出資金の払い戻し

株主は、会社が存続している間は、原則として会社から出資の払い戻しを受けることができません。 社債権者は、あらかじめ決められた期間(償還期間)が到来すると、その払い戻しを受けることができます。

配当と利息

株主は、剰余金の配当決議があって初めて配当を受けることができます。(剰余金がない場合、無配当の場合もある) 社債権者は、剰余金の有無にかかわらず、あらかじめ定められた額の利息の支払いを受けることができる。

発行限度

株式は、公開会社では発行可能株式総数は発行済株式の4倍以下でないといけません。非公開会社ではそのような制限はありません。 社債は、発行限度はないので、どれだけでも発行して借入ができます。

分割払込み

株式は分割して払込むことは認められていません。 社債は、払込は、全額の払込が原則ですが、分割して払込む方法を定めることも可能です。

社債の発行の手続き

社債を発行する場合、会社は、募集社債に関する下記事項を決定しなければなりません。 この募集社債に関する決定は、業務の執行にあたるため、取締役が決定します(取締役会設置会社では取締役会の決議による)(348条362条4項5号)。
  1. 募集社債の総額
  2. 各募集社債の金額
  3. 募集社債の利率
  4. 償還方法
  5. 償還期限等

新株予約権付社債

新株予約権付社債とは、新株予約権がついた社債で、「社債の堅実性」と「株式の投機性」の両方を併せ持ちます。 どういうことかというと、会社の業績が悪い時は社債として持っておき、利息を確実にもらっていきます。その後、業績が上がって、株価も上昇したのであれば、新株予約権を行使して、株主になり、その後株式を売却して売却益を得るということも可能です。 行政書士のポイントとしては、下記事項です。
  1. 新株予約権と社債を分離していずれか一方を譲渡することはできません。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、新株予約権のみを譲渡できます(254条2項3項)。
  2. 新株予約権付社債の発行については、新株予約権の募集に関する規定が適用される(248条)。つまり、原則として、公開会社では取締役会の決議で、非公開会社では株主総会の特別決議で募集事項を決定します。

社債管理者

会社は、社債を発行する場合には、原則、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(702条1項)。 社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します。(705条1項) <<新株予約権 | 株主総会の権限と招集>>