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最判平21.2.27:「優良運転者である旨の記載の有無」と「訴えの利益」

論点

  1. 一般運転者として運転免許証の更新処分を受けた者が、優良運転者である旨の記載を求めて提訴した更新処分取消訴訟において、訴えの利益を有するか?

事案

Xは、運転免許証の更新の申請手続きをした際、過去に違反行為があったとして、優良運転者でなく、一般運転者に該当するものと扱われ、Y県公安委員会から優良運転者である旨の記載のない更新処分を受けた。

そこで、Xは違反行為を否認し、優良運転者にあたると主張し、本件更新処分の中の「Xが一般運転者とする部分」の取消訴訟、および、優良運転者である旨の記載がある運転免許の更新処分の義務付け訴訟を提起した。

なお、当該更新があった当時、優良運転者も一般運転者もどちらも免許証の有効期間は5年であった。

判決

一般運転者として運転免許証の更新処分を受けた者が、優良運転者である旨の記載を求めて提訴した更新処分取消訴訟において、訴えの利益を有するか?

訴えの利益を有する

道路交通法は、優良運転者の実績を賞揚し、優良な運転へと免許証保有者を誘導して交通事故の防止を図る目的で、優良運転者であることを免許証に記載して公に明らかにすることとするとともに、優良運転者に対し更新手続上の優遇措置を講じているのである。

このことに、優良運転者の制度の沿革等を併せて考慮すれば、同法は、客観的に優良運転者の要件を満たす者に対しては優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して更新処分を行うということを、単なる事実上の措置にとどめず、その者の法律上の地位として保障するとの立法政策を、交通事故の防止を図るという制度の目的を全うするため、特に採用したものと解するのが相当である。

確かに、免許証の更新処分において交付される免許証が優良運転者である旨の記載のある免許証であるかそれのないものであるかによって、当該免許証の有効期間等が左右されるものではない。

また、上記記載のある免許証を交付して更新処分を行うことは、免許証の更新の申請の内容を成す事項ではない。

しかしながら、上記のとおり、客観的に優良運転者の要件を満たす者であれば優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける法律上の地位を有することが肯定される以上、一般運転者として扱われ上記記載のない免許証を交付されて免許証の更新処分を受けた者は、上記の法律上の地位を否定されたことを理由として、これを回復するため、同更新処分の取消しを求める訴えの利益を有するというべきものである。

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