平成24年度(2012年度)過去問

平成24年・2012|問28|代理・使者

代理人と使者の違いに関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 代理人は本人のために法律行為を行う者であるから、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは必ず委任契約によらなければならないが、使者は本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、使者の地位は、雇用契約、請負契約など多様な契約に基づく。
  2. 代理人は、本人のために法律行為を行う者であるから、代理権の授与のときに意思能力および行為能力を有することが必要であるのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、その選任のときに意思能力および行為能力を有することは必要ではない。
  3. 代理人は本人のために自ら法律行為を行うのであるから、代理行為の瑕疵は、代理人について決するが、使者は本人の行う法律行為を完成させるために本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決する。
  4. 代理人は、与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うのであるから、権限を逸脱して法律行為を行った場合には、それが有効となる余地はないのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が無効となる余地はない。
  5. 代理人は、法律または本人の意思に基づいて本人のために法律行為を行う者であるから、本人に無断で復代理人を選任することは認められないのに対し、使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められる。

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】

1.代理人は本人のために法律行為を行う者であるから、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは必ず委任契約によらなければならないが、使者は本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、使者の地位は、雇用契約、請負契約など多様な契約に基づく。

1・・・妥当ではない

代理人としての地位」は「法律に基づく場合」「契約に基づく場合」があります。
よって、「必ず委任契約によらなければならない」は妥当ではありません。

契約には、委任契約、雇用契約、請負契約など多様です。

一方、
使者としての地位」は「契約に基づく場合」しかないので、この点は妥当です。

本肢は、色々関連ポイントを理解しないといけないので、個別指導で解説します!

2.代理人は、本人のために法律行為を行う者であるから、代理権の授与のときに意思能力および行為能力を有することが必要であるのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、その選任のときに意思能力および行為能力を有することは必要ではない。

2・・・妥当ではない

代理人行為能力がなくてもなれます民法102条)。

本肢は「代理人は、行為能力を有することが必要」となっているので妥当ではありません。

一方、
使者」は行為能力も意思能力も不要です。

この点は妥当です。

行為能力と意思能力の違いについては理解すべき部分なので個別指導で解説します!

また、具体例も併せて解説します!

3.代理人は本人のために自ら法律行為を行うのであるから、代理行為の瑕疵は、代理人について決するが、使者は本人の行う法律行為を完成させるために本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決する。

3・・・妥当

代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決します(民法101条1項)

つまり、代理行為の瑕疵は、代理人について決します

一方、

使者」は、本人の意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決します

よって、本肢は妥当です。

内容がややこしいので、個別指導で具体例を入れながら解説します!

4.代理人は、与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うのであるから、権限を逸脱して法律行為を行った場合には、それが有効となる余地はないのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が無効となる余地はない。

4・・・妥当ではない

無権代理人が権限外の行為」をし、かつ、相手方が善意無過失の場合、表見代理が成立して、無権代理人の行った行為が、確定的に有効となり、本人はあとで取消しすることができなくなります

よって、妥当ではありません。

一方、
使者」が「本人の真意と異なる意思を伝達した場合」、本人の真意を基準に考えます

そのため、その意思表示が無効となる余地はあるので、誤りです。

具体例は、個別指導で解説します!

5.代理人は、法律または本人の意思に基づいて本人のために法律行為を行う者であるから、本人に無断で復代理人を選任することは認められないのに対し、使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められる。

5・・・妥当ではない

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに限って、復代理人を選任することができます(民法104条)。

よって、やむを得ない事由があるときは、本人に無断で復代理人を選任することができます。

したがって、妥当ではありません。

一方、
使者は、自由に(本人に無断で)別の者を使者に選任することができます
この点は妥当です。

理由については、個別指導で解説します!

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問29|囲繞地通行権等

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 甲土地が乙土地に囲まれて公道に通じていない場合、AがBに対して囲繞地通行権(※)を主張するためには、Aは甲土地の所有権の登記を具備していなければならない。
  2. 甲土地と乙土地は元々一筆の土地であったが、分筆によって他の土地に囲まれて公道に通じていない甲土地が生じ、これによりAが乙土地に対する無償の囲繞地通行権を有するに至った場合において、その後に乙土地がCに売却されたとしても、Aは当然にCに対してこの通行権を主張することができる。
  3. AがBとの間の賃貸借契約に基づいて乙土地を通行している場合において、その後に甲土地がCに売却されたときは、これによりCも当然に乙土地を通行することができる。
  4. Aは、少なくとも20年にわたって、自己のためにする意思をもって、平穏、かつ、公然と乙土地の一部を通行していれば、A自らが通路を開設していなくても、乙土地上に通行地役権を時効取得することができる。
  5. Aが地役権に基づいて乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後にCが通路の存在を認識しながら、または認識可能であるにもかかわらず認識しないでBから乙土地を承継取得したときは、Cは背信的悪意者にあたるので、Aの地役権設定登記がなされていなくても、AはCに対して通行地役権を主張することができる。

(注)※ 囲繞地通行権とは、民法210条1項に規定されている「他の土地に囲まれて公道に通じていない土地」の通行権のことをいう。

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。

1.甲土地が乙土地に囲まれて公道に通じていない場合、AがBに対して囲繞地通行権(※)を主張するためには、Aは甲土地の所有権の登記を具備していなければならない。

1・・・妥当ではない

判例によると、
袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる」としています(最判昭47.4.14)。

つまり、Aは甲土地の所有権の登記を具備しなくても(登記を備えなくても)、囲繞地通行権を主張できるので、本肢は妥当ではありません。

囲繞地通行権の基本事項と、上記判例の理由は、個別指導で解説します!

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。

2.甲土地と乙土地は元々一筆の土地であったが、分筆によって他の土地に囲まれて公道に通じていない甲土地が生じ、これによりAが乙土地に対する無償の囲繞地通行権を有するに至った場合において、その後に乙土地がCに売却されたとしても、Aは当然にCに対してこの通行権を主張することができる。

2・・・妥当

判例によると、
「囲繞地通行権も、袋地に付着した物権的権利で、残余地自体に課せられた物権的負担と解すべきものである」としています(最判平2.11.20)。

したがって、Aは当然に残余地の取得者Cに対して囲繞地通行権を主張することができます

よって、妥当です。

本肢は、状況をしっかり理解する必要があるので、
個別指導で詳しく解説します!

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。

3.AがBとの間の賃貸借契約に基づいて乙土地を通行している場合において、その後に甲土地がCに売却されたときは、これによりCも当然に乙土地を通行することができる。

3・・・妥当ではない

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができません(民法612条1項)。

そのため、賃借人Aが、賃貸人Bに無断で、甲土地をCに売却した場合、Cは、当然には乙土地を通行できないので、本肢は妥当ではありません。

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。

4.Aは、少なくとも20年にわたって、自己のためにする意思をもって、平穏、かつ、公然と乙土地の一部を通行していれば、A自らが通路を開設していなくても、乙土地上に通行地役権を時効取得することができる。

4・・・妥当ではない

判例によると、
通行地役権の時効取得に関する「継続」の要件としては、承役地たるべき他人所有の土地の上に通路の開設を要し、その開設は要役地所有者によってなされる必要がある」としています(最判昭30.12.26)。

つまり、A自らが通路を開設しないと、通行地役権は時効取得できません。

よって、本肢は妥当ではありません。

甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。5.Aが地役権に基づいて乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後にCが通路の存在を認識しながら、または認識可能であるにもかかわらず認識しないでBから乙土地を承継取得したときは、Cは背信的悪意者にあたるので、Aの地役権設定登記がなされていなくても、AはCに対して通行地役権を主張することができる。

5・・・妥当ではない

判例によると、
「通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない」としています(最判平10.2.13)。

つまり、登記されていない地役権について、悪意または有過失のCは、背信的悪意者には当たりません。

よって、Aは、地役権の登記がなくても、Cに地役権を主張できます。

本肢は「Cは背信的悪意者にあたる」が妥当ではありません。

状況と判例の内容が分かりにくいので、個別指導で分かりやすく解説します!

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問27|民法総則

権利能力、制限行為能力および意思能力に関する次の記述のうち、民法および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができる。
  2. 失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされ、権利能力を喪失するため、生存することの証明がなされ失踪の宣告が取り消された場合でも、失踪の宣告後その取消し前になされた行為はすべて効力を生じない。
  3. 成年後見人は、正当な事由があるときは、成年被後見人の許諾を得て、その任務を辞することができるが、正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
  4. 成年被後見人の法律行為について、成年後見人は、これを取り消し、または追認することができるが、成年被後見人は、事理弁識能力を欠く常況にあるため、後見開始の審判が取り消されない限り、これを取り消し、または追認することはできない。
  5. 後見開始の審判を受ける前の法律行為については、制限行為能力を理由として当該法律行為を取り消すことはできないが、その者が当該法律行為の時に意思能力を有しないときは、意思能力の不存在を立証して当該法律行為の無効を主張することができる。

>解答と解説はこちら

【答え】:5

【解説】

1.胎児に対する不法行為に基づく当該胎児の損害賠償請求権については、胎児は既に生まれたものとみなされるので、胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して不法行為の加害者に対し損害賠償請求をすることができる。

1・・・妥当ではない

判例によると、
「胎児の間は権利能力はないが、無事に生まれると相続の開始や不法行為の時に遡って権利能力を取得する」としています(大判昭7.10.6)。

つまり、出生までは権利能力がないので、胎児に法定代理人は付けられません

よって、「胎児の母は、胎児の出生前に胎児を代理して・・・」が妥当ではありません。

2.失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなされ、権利能力を喪失するため、生存することの証明がなされ失踪の宣告が取り消された場合でも、失踪の宣告後その取消し前になされた行為はすべて効力を生じない。

2・・・妥当ではない

失踪の宣告を受けた者は、死亡したものとみなします(民法31条)。

つまり、失踪宣告者の所有する不動産等について相続が発生するということです。

一方、失踪宣告を受けた者の「権利能力」や「行為能力」がなくなりません
したがって、失踪の宣告後その取消し前になされた「失踪者の行為」についても原則有効です。

よって、妥当ではありません。

具体例を入れた方が分かりやすいので、個別指導で具体例もいれて解説します!

3.成年後見人は、正当な事由があるときは、成年被後見人の許諾を得て、その任務を辞することができるが、正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

3・・・妥当ではない

後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞めるができます民法844条)。

本肢は「成年被後見人の許諾を得て」が妥当ではありません。

また「正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる」も妥当でありません。

正当な事由がなければ、後見人をやめることができないです。

4.成年被後見人の法律行為について、成年後見人は、これを取り消し、または追認することができるが、成年被後見人は、事理弁識能力を欠く常況にあるため、後見開始の審判が取り消されない限り、これを取り消し、または追認することはできない。

4・・・妥当ではない

行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができます(民法120条)。

つまり、成年後見人だけでなく、成年被後見人も取消しが可能です。

よって、妥当ではありません。

「追認」については、個別指導で解説します!

5.後見開始の審判を受ける前の法律行為については、制限行為能力を理由として当該法律行為を取り消すことはできないが、その者が当該法律行為の時に意思能力を有しないときは、意思能力の不存在を立証して当該法律行為の無効を主張することができる。

5・・・妥当

「後見開始の審判を受ける前」成年被後見人ではないため、制限行為能力を理由として当該法律行為を取り消すことはできません。

また、
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効です(民法3条の2)。

よって、法律行為の時に意思能力を有しないときは、意思能力の不存在を立証して当該法律行為の無効を主張することができます。

したがって、妥当です。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問26|行政法

行政裁量に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に解らし、誤っているものはどれか。

  1. 建築主事は、一定の建築物に関する建築確認の申請について、周辺の土地利用や交通等の現状および将来の見通しを総合的に考慮した上で、建築主事に委ねられた都市計画上の合理的な裁量に基づいて、確認済証を交付するか否かを判断する。
  2. 法務大臣は、本邦に在留する外国人から再入国の許可申請があったときは、わが国の国益を保持し出入国の公正な管理を図る観点から、申請者の在留状況、渡航目的、渡航の必要性、渡航先国とわが国との関係、内外の諸情勢等を総合的に勘案した上で、法務大臣に委ねられた出入国管理上の合理的な裁量に基づいて、その許否を判断する。
  3. 公務員に対して懲戒処分を行う権限を有する者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮した上で、懲戒権者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、処分を行うかどうか、そして処分を行う場合にいかなる種類・程度を選ぶかを判断する。
  4. 行政財産の管理者は、当該財産の目的外使用許可について、許可申請に係る使用の日時・場所・目的・態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障または許可をした場合の弊害もしくは影響の内容および程度、代替施設確保の困難性など、許可をしないことによる申請者側の不都合または影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮した上で、行政財産管理者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、許可を行うかどうかを判断する。
  5. 公立高等専門学校の校長は、学習態度や試験成績に関する評価などを総合的に考慮し、校長に委ねられた教育上の合理的な裁量に基づいて、必修科目を履修しない学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかを判断する。

>解答と解説はこちら


【答え】:1【解説】
1.建築主事は、一定の建築物に関する建築確認の申請について、周辺の土地利用や交通等の現状および将来の見通しを総合的に考慮した上で、建築主事に委ねられた都市計画上の合理的な裁量に基づいて、確認済証を交付するか否かを判断する。
1・・・誤り
判例によると
建築主事が行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有する
と判示しています。
そもそも、行政講学上の「確認」は裁量の余地がないことを知っていれば、上記判例を知らなくても解けます。
2.法務大臣は、本邦に在留する外国人から再入国の許可申請があったときは、わが国の国益を保持し出入国の公正な管理を図る観点から、申請者の在留状況、渡航目的、渡航の必要性、渡航先国とわが国との関係、内外の諸情勢等を総合的に勘案した上で、法務大臣に委ねられた出入国管理上の合理的な裁量に基づいて、その許否を判断する。
2・・・正しい
判例によると、
法務大臣は、再入国の許可申請があったときは、我が国の国益を保持し出入国の公正な管理を図る観点から、申請者の在留状況、渡航目的、渡航の必要性、渡航先国と我が国との関係、内外の諸情勢等を総合的に勘案した上、その許否につき判断すべきであるが、右判断は、事柄の性質上、出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるのでなければ到底適切な結果を期待することができない」
と判示しています。
よって、本肢「諸情勢等を総合的に勘案した上で、法務大臣に委ねられた出入国管理上の合理的な裁量に基づいて、その許否を判断する」は正しいです。
3.公務員に対して懲戒処分を行う権限を有する者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮した上で、懲戒権者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、処分を行うかどうか、そして処分を行う場合にいかなる種類・程度を選ぶかを判断する。
3・・・正しい
判例によると、
懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきか、を決定することができるものと考えられるのであるが、その判断は、右のような広範な事情を総合的に考慮してされるものである以上、平素から庁内の事情に通暁し、都下職員の指揮監督の衝にあたる者の裁量に任せるのでなければ、とうてい適切な結果を期待することができないものといわなければならない。」
と判示しています。よって、本肢は正しいです。
4.行政財産の管理者は、当該財産の目的外使用許可について、許可申請に係る使用の日時・場所・目的・態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障または許可をした場合の弊害もしくは影響の内容および程度、代替施設確保の困難性など、許可をしないことによる申請者側の不都合または影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮した上で、行政財産管理者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、許可を行うかどうかを判断する。
4・・・正しい
判例によると、
管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては、その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で、その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である」
と判示しています。
つまり、学校施設の目的外使用を許可するか否かは、諸般の事情を総合考慮した上で、行政財産管理者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、許可を行うかどうかを判断するので、正しいです。

5.公立高等専門学校の校長は、学習態度や試験成績に関する評価などを総合的に考慮し、校長に委ねられた教育上の合理的な裁量に基づいて、必修科目を履修しない学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかを判断する。

5・・・正しい
判例によると、
原級留置処分または退学処分は、処分権者である校長の合理的な教育的裁量に任せるべき処分である。そして、各処分がまったく事実の基礎を欠くか、または、社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超えまたは裁量権を濫用したと認められる場合に限り、違法と判断すべきである。」
としています。
つまり、本肢の内容は正しいです。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問25|行政法

Xは、消費者庁長官に対して、同庁が実施したA社の製品の欠陥に関する調査の記録につき、行政機関情報公開法(※)に基づき、その開示を請求したが、消費者庁長官は、A社の競争上の地位を害するため同法所定の不開示事由に該当するとして、これを不開示とする決定をした。この場合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. Xは、不開示決定に対して、総務省におかれた情報公開・個人情報保護審査会に対して審査請求をすることができるが、これを経ることなく訴訟を提起することもできる。
  2. Xは、消費者庁長官を被告として、文書の開示を求める義務付け訴訟を提起することができる。
  3. Xは、仮の救済として、文書の開示を求める仮の義務付けを申立てることができるが、これには、不開示決定の執行停止の申立てを併合して申立てなければならない。
  4. Xが提起した訴訟について、A社は自己の利益を守るために訴訟参加を求めることができるが、裁判所が職権で参加させることもできる。
  5. Xは、不開示決定を争う訴訟の手続において、裁判所に対して、当該文書を消費者庁長官より提出させて裁判所が見分することを求めることができる。

(注)※ 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
1.Xは、不開示決定に対して、総務省におかれた情報公開・個人情報保護審査会に対して審査請求をすることができるが、これを経ることなく訴訟を提起することもできる。
1・・・妥当ではない
審査請求は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとします(行政不服審査法4条1項)。
  1. 「処分庁又は不作為庁に上級行政庁がない場合」又は「処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは庁の長である場合」→当該処分庁
  2. 宮内庁長官又はその他の庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合→宮内庁長官又は当該庁の長
  3. 主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場(前2号に掲げる場合を除く)→当該主任の大臣

本問では、消費者庁長官が不開示の決定をしているので、審査請求先は、上記1号の通り、消費者庁長官となります。

よって、「情報公開・個人情報保護審査会に対して審査請求をすることができる」は誤りです。

また、情報公開法には、不服審査前置主義の規定はないので、「これを経ることなく訴訟を提起することもできる」という点は正しいです。

2.Xは、消費者庁長官を被告として、文書の開示を求める義務付け訴訟を提起することができる。
2・・・妥当ではない
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、「国又は公共団体」を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項)。
上記規定は、義務付け訴訟にも準用されています(同法38条1項)
よって、義務付け訴訟の被告は「国」です。
「消費者庁長官」は妥当ではありません。
3.Xは、仮の救済として、文書の開示を求める仮の義務付けを申立てることができるが、これには、不開示決定の執行停止の申立てを併合して申立てなければならない。
3・・・妥当ではない
仮の義務付けは、義務付け訴訟の判決の確定を待っていては遅い場合に、仮の救済制度してあります。そのため、仮の義務付けは、事前に義務付け訴訟を提起していることが要件です。
ただ、問題文では、義務付け訴訟を提起しているかどうかの記載はありません。本肢でいうと、
「不開示決定の執行停止の申立てを併合して申立てなければならない」が誤りです。
執行停止の申立てを併合する旨の規定はありません
よって、妥当ではないです。
4.Xが提起した訴訟について、A社は自己の利益を守るために訴訟参加を求めることができるが、裁判所が職権で参加させることもできる。
4・・・妥当
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法22条1項)。
よって、本肢は妥当です。
5.Xは、不開示決定を争う訴訟の手続において、裁判所に対して、当該文書を消費者庁長官より提出させて裁判所が見分することを求めることができる。
5・・・妥当ではない
裁判所だけが文書等を直接見分する方法により行われる非公開の審理」を「インカメラ審理」と言います。
本肢は、Xは不開示決定を争う訴訟の手続において、インカメラ審理を求めることができるかを問われています。
判例によると、
「情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において、インカメラ審理を求めることは許されない。」と判示しています。
よって、本肢は妥当ではありません。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問24|行政法

Xは、A川の河川敷においてゴルフ練習場を経営すべく、河川管理者であるY県知事に対して、河川法に基づく土地の占用許可を申請した。この占用許可についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. この占用許可は、行政法学上の「許可」であるから、Xの申請に許可を与えるか否かについて、Y県知事には、裁量の余地は認められない。
  2. 申請が拒否された場合、Xは、不許可処分の取消訴訟と占用許可の義務付け訴訟を併合提起して争うべきであり、取消訴訟のみを単独で提起することは許されない。
  3. Y県知事は、占用を許可するに際して、行政手続法上、同時に理由を提示しなければならず、これが不十分な許可は、違法として取り消される。
  4. Xが所定の占用料を支払わない場合、Y県知事は、行政代執行法の定めによる代執行によって、その支払いを強制することができる。
  5. Y県知事は、河川改修工事などのやむをえない理由があれば、許可を撤回できるが、こうした場合でも、Xに損失が生ずれば、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】
1.この占用許可は、行政法学上の「許可」であるから、Xの申請に許可を与えるか否かについて、Y県知事には、裁量の余地は認められない。
1・・・妥当ではない
河川の使用許可・占有許可」は行政講学上、「形成的行為」の中の「特許」に当たります。よって、本肢は誤りです。
特許とは、特別な権利や能力を設定する行為です。
そして、特許については、裁量の余地は広いです。
この点も誤りです。一方、
命令的行為」の中の「許可」は、禁止されている行為を、特定の場合に解除して、適法に特定の行為を行わせる行為です。
例えば、自動車の運転免許です。運転は禁止されていますが、免許を受けた者だけが、自動車を運転することが認められます。そして、許可については、裁量の余地は狭いです。
つまり、決められた基準があり、その基準を満たせば、許可を受けることができ、基準を満たさない場合は許可を受けることができない、という風に機械的に判断します。

「命令的行為・形成的行為」の詳細解説はこちら>>

2.申請が拒否された場合、Xは、不許可処分の取消訴訟と占用許可の義務付け訴訟を併合提起して争うべきであり、取消訴訟のみを単独で提起することは許されない。
2・・・妥当ではない
取消訴訟については、単独で提起できます。よって、誤りです。本肢、申請を拒否されたから、「申請を認めてください!」と占有許可の義務付け訴訟を行う場合(申請型義務付け訴訟)は、「申請拒否の取消訴訟」等を併合して提起する必要があります(行政事件訴訟法37条の3の3項2号)。
3.Y県知事は、占用を許可するに際して、行政手続法上、同時に理由を提示しなければならず、これが不十分な許可は、違法として取り消される。
3・・・妥当ではない
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません。
ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足ります(行政手続法8条)。上記ルールは、「拒否する処分をする場合」です。
本肢は、許可をしているので、その場合、理由の提示は不要です。
よって、理由を提示しなくても違法ではありません。
4.Xが所定の占用料を支払わない場合、Y県知事は、行政代執行法の定めによる代執行によって、その支払いを強制することができる。
4・・・妥当ではない
代執行とは、公法上の代替的作為義務が履行されない場合(その義務を、第三者が代わりに行うことができるけど、それを行わない場合)に、
行政庁が自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者にさせて、その費用を義務者から徴収することです。
Xが占有料を支払わないから、行政庁が代わりに支払うというのはおかしいです。
つまり、本肢は代執行ではありません。本肢の内容は「強制徴収」です。
国や地方公共団体が有する金銭債権について、その履行がされない場合に、それを強制的に回収するのが、強制徴収です。
5.Y県知事は、河川改修工事などのやむをえない理由があれば、許可を撤回できるが、こうした場合でも、Xに損失が生ずれば、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
5・・・妥当
河川管理者は、許可の撤回などの処分をした場合において、当該処分により損失を受けた者があるときは、その者に対して通常生ずべき損失を補償しなければなりません(河川法76条1項)。
よって、本肢は正しいです。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問23|地方自治法

地方自治法に定める、普通地方公共団体の長と議会との関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、長において専決処分にすることができる。
  2. 議会において長の不信任の議決がなされた場合には、長は議会を解散することができる。
  3. 議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、長は議場に出席しなければならないが、出席できない正当な理由があり、その旨を議長に届け出たときは、出席しなくてもよい。
  4. 議会の議決が法令に違反すると認められるときは、長は専決処分により、議決を適法なものとするための是正措置をとることができる。
  5. 議会の議決において、収入又は支出に関し執行することができないものがあったとしても、長は必ずしも再議に付す法的義務を負うわけではない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
1.議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、長において専決処分にすることができる。
1・・・正しい
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体のにおいて、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。
よって、正しいです。
2.議会において長の不信任の議決がなされた場合には、長は議会を解散することができる。
2・・・正しい
普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければなりません。
この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から10日以内に議会を解散することができます(地方自治法178条1項)。よって、議会において長の不信任の議決がなされた場合には、長は議会を解散することができるので、本肢は正しいです。
3.議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、長は議場に出席しなければならないが、出席できない正当な理由があり、その旨を議長に届け出たときは、出席しなくてもよい。
3・・・正しい
普通地方公共団体の長等は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、原則、議場に出席しなければなりません。
ただし、出席すべき日時に議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、出席しなくてもよいです(地方自治法121条1項)。
よって、本肢は正しいです。
4.議会の議決が法令に違反すると認められるときは、長は専決処分により、議決を適法なものとするための是正措置をとることができる。
4・・・誤り
「普通地方公共団体の議会の議決又は選挙」が「その権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反する」と認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければなりません:(地方自治法176条4項:違法再議)。
つまり、「専決処分により是正措置をとることができる」のではありません。
正しくは「理由を示して再議(再度議決のやり直し)に付さなければならない」です。
5.議会の議決において、収入又は支出に関し執行することができないものがあったとしても、長は必ずしも再議に付す法的義務を負うわけではない。
5・・・正しい
収入又は支出に関し執行することができないものがあった(収支執行不可能)」場合については、一般再議に該当するので、再議するか否かは、長の判断によります。
そのため、必ずしも再議に付す義務はないので、正しいです。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問22|地方自治法

地方自治法およびその内容に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 地方自治法の廃止は、日本国憲法の定めるところにより、住民投票を経て行わなければならない。

イ 地方自治法は、その目的として、「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげている。

ウ 地方自治法は、「地方自治の本旨」の内容につき、それが「住民自治」と「団体自治」とを意味すると規定している。

エ 地方自治法には、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定があり、地方自治の基本法としての位置づけが明確にされている。

オ 現行の地方自治法は、第二次世界大戦前の(旧)地方自治法を抜本的に改正して制定されたものである。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
ア 地方自治法の廃止は、日本国憲法の定めるところにより、住民投票を経て行わなければならない。
ア・・・誤り
地方自治法の廃止について、特別な規定はないので、通常の法律を定める場合と同じく国会の決議によって行います。
なので、住民投票は不要です。
イ 地方自治法は、その目的として、「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげている。
イ・・・正しい
地方自治法の目的は1条に規定されています。

地方自治法1条
この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする

地方自治法は、その目的として、「地方公共団体の健全な発達を保障すること」をあげています。

ウ 地方自治法は、「地方自治の本旨」の内容につき、それが「住民自治」と「団体自治」とを意味すると規定している。
ウ・・・誤り
地方自治法に、「地方自治の本旨」の内容について規定されていません
よって、誤りです。ただ、地方自治の本旨には「住民自治」と「団体自治」の2つの要素があると考えられています。
  • 住民自治地方政治はその地方の住民によって行われるべきという考え方
  • 団体自治地方政治が国から独立した機関によって行われるべきという考え方
エ 地方自治法には、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定があり、地方自治の基本法としての位置づけが明確にされている。
エ・・・誤り
本肢のような、地方自治法が、地方財政法や地方公務員法等に優先して適用されるとの規定はありません。
よって、誤りです。
オ 現行の地方自治法は、第二次世界大戦前の(旧)地方自治法を抜本的に改正して制定されたものである。
オ・・・誤り
(旧)地方自治法は、第二次世界大戦前にはありませんでした。
第二次世界大戦後に、日本国憲法が制定され、92条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」に基づいて、地方自治法が制定されました。
つまり、地方自治法は、戦後初めて制定されました。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問21|地方自治法

国とA市との間の紛争に関する次の記述のうち、法令または判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. A市長は、自治事務に関する国の関与に不服があるときは、地方裁判所に対し、当該関与を行った国の行政庁を被告として、その取消しを求める抗告訴訟を提起することができる。
  2. A市の法定受託事務に関する国の関与が違法であると認めるときは、国地方係争処理委員会は、当該関与を行った国の行政庁に対して、理由を付し、期間を示した上で、必要な措置を講ずべきことを勧告することになる。
  3. 国の所有地内にあるA市の物件の撤去を国が求める場合、担当大臣は、A市長に対して地方自治法所定の国の関与としての代執行の手続をとることになる。
  4. A市情報公開条例に基づき、A市長が国の建築物の建築確認文書について公開する旨の決定をした場合、当該決定について不服を有する国がこの決定に対して取消訴訟を提起しても、当該訴訟は法律上の争訟に該当しないとして却下されることになる。
  5. A市に対する国の補助金交付の決定について、それが少額であるとしてA市が不服をもっている場合、A市が救済を求める際の訴訟上の手段としては、地方自治法に機関訴訟が法定されている。

>解答と解説はこちら


【答え】:2【解説】
1.A市長は、自治事務に関する国の関与に不服があるときは、地方裁判所に対し、当該関与を行った国の行政庁を被告として、その取消しを求める抗告訴訟を提起することができる。
1・・・誤り
国の関与に関する審査の申出をした「普通地方公共団体の長その他の執行機関」は、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となった国の行政庁を被告として、訴えをもって当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めること(機関訴訟)ができます(地方自治法251条の5の1項)。
つまり、「地方裁判所」ではなく「高等裁判所」が正しいです。
また、「抗告訴訟」ではなく「機関訴訟」が正しいです。
2.A市の法定受託事務に関する国の関与が違法であると認めるときは、国地方係争処理委員会は、当該関与を行った国の行政庁に対して、理由を付し、期間を示した上で、必要な措置を講ずべきことを勧告することになる。
2・・・正しい
国地方係争処理委員会は、法定受託事務に関する国の関与が違法であると認めるときは、国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、勧告の内容を通知し、かつ、これを公表しなければなりません(地方自治法250条の14の2項)。
よって、本肢は正しいです。
3.国の所有地内にあるA市の物件の撤去を国が求める場合、担当大臣は、A市長に対して地方自治法所定の国の関与としての代執行の手続をとることになる。
3・・・誤り
まず、代執行の対象となるのは、「法定受託事務」です。
法定受託事務とは、そもそも「国が本来果たすべき役割に係るもの(国がすべき事務)」です。
「A市の物件の撤去」については、国がすべき事務ではないので、代執行手続きはできません。
よって、誤りです。
4.A市情報公開条例に基づき、A市長が国の建築物の建築確認文書について公開する旨の決定をした場合、当該決定について不服を有する国がこの決定に対して取消訴訟を提起しても、当該訴訟は法律上の争訟に該当しないとして却下されることになる。
4・・・誤り
那覇市が、市の情報公開条例に基づいて、自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書付属資料を市民団体の請求に対して開示決定をしたので、「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案で
判例(最判平13.7.13)によると、「公開されることで、本件建物の内部構造などが明らかになり、警備上の支障が生じるほか、外部からの攻撃に対応する機能の減殺により建物の安全性が低減するなど、本件建物の所有者として有する固有の利益が侵害されるため「法律上の争訟に当たる」としました。
よって、「法律上の争訟に該当しない」というのは誤りです。
5.A市に対する国の補助金交付の決定について、それが少額であるとしてA市が不服をもっている場合、A市が救済を求める際の訴訟上の手段としては、地方自治法に機関訴訟が法定されている。
5・・・誤り
補助金等の交付の決定に対して不服のある地方公共団体は、各省各庁の長に対して不服を申し出ることができます(補助金適正化法25条)。
機関訴訟できる旨の規定はないので、本肢は誤りです。
本肢の場合、各省各庁の長に対して不服申し立てができます。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成24年・2012|問20|国家賠償法

国家賠償制度に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

  1. 国家賠償法4条に定める「民法の規定」には失火責任法(※)も含まれるが、消防署職員の消火活動上の失火による国家賠償責任については、消防署職員が消火活動の専門家であることから、失火責任法の適用はない。
  2. 国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動が含まれるが、課外クラブ活動中に教師が生徒に対して行う監視・指導は「公権力の行使」には当たらない。
  3. 税務署長のした所得税の更正処分が、税務署長が所得金額を過大に認定したとして判決によって取り消された場合、当該更正処分は直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受ける。
  4. 警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が事故を起こして第三者に損害を与えた場合、損害の直接の原因が逃走車両の運転手にあるとしても、当該追跡行為は国家賠償法1条1項の適用上違法となり得る。
  5. 同一行政主体に属する数人の公務員による一連の職務上の行為の過程で他人に損害が生じた場合、被害者が国家賠償を請求するためには、損害の直接の原因となった公務員の違法行為を特定する必要がある。

(注)※ 失火ノ責任ニ関スル法律

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
1.国家賠償法4条に定める「民法の規定」には失火責任法も含まれるが、消防署職員の消火活動上の失火による国家賠償責任については、消防署職員が消火活動の専門家であることから、失火責任法の適用はない。
1・・・誤り
判例の要旨によると、
公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、失火の責任に関する法律が適用される。」
としています。
よって、本肢は誤りです。
2.国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」には、公立学校における教師の教育活動が含まれるが、課外クラブ活動中に教師が生徒に対して行う監視・指導は「公権力の行使」には当たらない。
2・・・誤り
判例によると、
「町立中学校の生徒が、放課後、体育館において、課外のクラブ活動中の運動部員の練習の妨げとなる行為をしたとして同部員から顔面を殴打されたなど判示のような事情のもとで生じた喧嘩により左眼を失明した場合に、同部顧問の教諭が右クラブ活動に立ち会つていなかつたとしても、右事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のない限り、右失明につき同教諭に過失があるとはいえない。 」
と判示しています。
上記内容でいうと、特段の事情がない場合、教諭に過失がないとして、国家賠償責任は負わないことになりますが
逆に、特段の事情があれば、教諭に過失があるとして、国家賠償責任を負うことになります。したがって、公立学校における教師の教育活動は、国家賠償法1条1項にいう「公権力の行使」に含まれ、さらに、課外クラブ活動中に教師が生徒に対して行う監視・指導も、国家賠償法上の「公権力の行使」に該当するということです。
3.税務署長のした所得税の更正処分が、税務署長が所得金額を過大に認定したとして判決によって取り消された場合、当該更正処分は直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受ける。
3・・・誤り
判例によると、
税務署長Yのする所得税の更正は、所得金額を過大に認定していたとしても、そのことから直ちに国家賠償法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく、税務署長が資料を収集し、これに基づき課税要件事実を認定、判断する上において、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り、違法の評価を受けるものと解するのが相当である。」
と判示しています。よって、税務署長のした所得税の更正処分が、税務署長が所得金額を過大に認定したとして判決によって取り消された場合、当該更正処分は直ちに国家賠償法1条1項にいう違法とはなりません。したがって、誤りです。
4.警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が事故を起こして第三者に損害を与えた場合、損害の直接の原因が逃走車両の運転手にあるとしても、当該追跡行為は国家賠償法1条1項の適用上違法となり得る。
4・・・正しい
判例によると
  1. 追跡が現行犯逮捕、職務質問等の職務の目的を遂行するうえで不必要であるか、又は
  2. 逃走車両の走行の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当である場合、

違法となる、としています。

つまり、上記の1もしくは2の場合、違法となる場合もあるので、正しいです。

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5.同一行政主体に属する数人の公務員による一連の職務上の行為の過程で他人に損害が生じた場合、被害者が国家賠償を請求するためには、損害の直接の原因となった公務員の違法行為を特定する必要がある。
5・・・誤り
判例によると、
「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生じさせた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもって国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができないと解するのが相当である。」
と判示しています。つまり、損害の直接の原因となった公務員の違法行為を特定できなくても、国家賠償請求はできます。

したがって、本肢は誤りです。

 


平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 内閣 問33 民法・債権
問4 内閣 問34 民法:債権
問5 財政 問35 民法:親族
問6 法の下の平等 問36 商法
問7 社会権 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略