被補助人とは?
被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者で、家庭裁判所により補助開始の審判を受けた者を言います(民法15条1項本文)。
そして、本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければなりません(民法15条2項)。
補助開始の審判を受ける場合、補助人は、①同意権付与の審判、②代理権付与の審判の一方または双方を受けます(民法17条1項、876条の9第1項)。
被補助人の行為能力
被補助人は原則、単独で法律行為を行えます。
ただし、補助人が①同意権付与の審判を受けた場合、下記の中から同意が必要と指定された内容に限って、補助人の同意が必要となります。
※同意権が付与される内容は、「被保佐人が保佐人の同意が必要なもの」と同じです。下記の中から、同意が必要なものを家庭裁判所が指定します。
- 元本を領収し、又は利用すること。
- 借財又は保証をすること。
- 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
- 訴訟行為をすること。
- 贈与、和解又は仲裁合意をすること。
- 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
- 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
- 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
- 山林について10年を超える賃貸借、宅地について5年を超える賃貸借、建物について3年を超える賃貸借をすること
- 上記行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること
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補助人の権限
被補助人の保護者を「補助人」と言います。
そして、補助人は「同意権(同意権付与の審判を受けた補助人に限る)」「取消権」「追認権」「代理権(代理権付与の審判を受けた補助人に限る)」を有します。
- 同意権:被補助人が単独で行えない行為に対して同意を与える権利(これは同意権付与の審判を受けた補助人のみ有する権利)
- 取消権:補助人の同意が必要な法律行為であるにも関わらず、被補助人が単独で法律行為を行った場合、後で取り消しができる権利
- 追認権:補助人の同意が必要な法律行為であるにも関わらず、被保佐人が単独で法律行為を行った場合、後で契約を確定的に有効にさせる権利
- 代理権:被補助人を代理して法律行為を行う権利(これは代理権付与の審判を受けた補助人のみ有する権利)
補助人の義務
補助人は、補助の事務を行うに当たっては、被補助人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。(民法876条の5 、876条の10:身上配慮義務)
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(補助開始の審判)
第15条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判又は第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。(被補助人及び補助人)
第16条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。(補助人の同意を要する旨の審判等)
第17条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。(補助開始の審判等の取消し)
第18条 第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
2 家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
3 前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第876条の9 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。(保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
第876条の5 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。(下記第876条の10に準用の規定あり)(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
第876条の10 第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。