次の文章の空欄ア~オに当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
許認可等の法効果について法律で規定された事項以外の内容が付加されることがある。行政法学上、これを、附款という。附款とは、行政行為の効果を制限するため、行政庁の意思表示の主たる内容に付加された従たる意思表示であると説明されている。
附款のうち、条件とは、行政行為の効力の発生・消滅を発生[ ア ]事実にかからしめる附款である。条件成就により効果が発生する[ イ ] 条件と、効果が消滅する[ ウ ]条件とに区別される。
許認可等を行うに際し、法令により課される義務とは別に作為義務又は不作為義務を課すことがあるが、これは、負担と呼ばれ、附款の一種であるとされている。条件と負担との相違は、各々の附款に違反した場合の行政処分の効力への影響にあるとされている。すなわち、ある行政行為に付された附款を条件とみると、これが満たされない場合、本体たる行政行為の効力に影響が[ エ ] ことになる。一方、負担 とみると、これが満たされない場合、本体たる行政行為の効力に影響が[オ]ことになる。しかし、条件と負担との区別は実際には困難であるという意見もある。
- ア:不確実な イ:停止 ウ:解除 エ:及ばない オ:及ぶ
- ア:確実な イ:停止 ウ:解除 エ:及ばない オ:及ぶ
- ア:確実な イ:解除 ウ:停止 エ:及ぶ オ:及ばない
- ア:不確実な イ:解除 ウ:停止 エ:及ばない オ:及ぶ
- ア:不確実な イ:停止 ウ:解除 エ:及ぶ オ:及ばない
【答え】:5
【解説】
条件成就により効果が発生する[ イ ] 条件と、効果が消滅する[ ウ ]条件とに区別される。
イ・・・停止
ウ・・・解除
条件とは、民法でもある「停止条件」「解除条件」の2種類と同じです。
行政行為の効果の発生・消滅を将来発生するかどうかが「不確実」な事実にかからせる意思表示です。停止条件とは、条件が成就することで(満たされることで)、行政行為の効果が発生する条件を言います。
例えば、「会社が成立したら免許を与える」といった場合、会社が成立することで、「免許を与える」という行政行為の効果が発生します。解除条件とは、条件が成就することで(満たされることで)、行政行為の効果が消滅する条件を言います。
例えば、「定められた期間内に事業報告をしないと免許を取り消す」といった場合、事業報告をしないことで、「免許付与」の効果が消滅することになります。
- 「付款・附款(条件、期限、負担、撤回権の留保、法律効果の一部除外)」の詳細解説はこちら>>
エ.オ.許認可等を行うに際し、法令により課される義務とは別に作為義務又は不作為義務を課すことがあるが、これは、負担と呼ばれ、附款の一種であるとされている。
条件と負担との相違は、各々の附款に違反した場合の行政処分の効力への影響にあるとされている。
すなわち、ある行政行為に付された附款を条件とみると、これが満たされない場合、本体たる行政行為の効力に影響が[ エ ] ことになる。
一方、負担 とみると、これが満たされない場合、本体たる行政行為の効力に影響が[オ]ことになる。しかし、条件と負担との区別は実際には困難であるという意見もある。
オ・・・及ばない
条件については、条件を満たさないと、効力に影響を及ぼします。
例えば、「会社が成立したら免許を与える」といった場合、会社が成立しなかった場合、「免許を与えない」ことになり、効力に影響を与えたことになります。一方、
負担については、負担の満たさない場合でも効力に影響は与えません。
例えば、運転「免許」の負担として「眼鏡等」を付けて運転してください、というのがあります。
これは、負担なので、もし眼鏡等を付けずに運転して捕まっても、違反で反則金を取られるだけで、「免許」自体には影響を及ぼしません。
つまり、免許取消しとはなりません。
平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 内閣 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 内閣 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 財政 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 法の下の平等 | 問36 | 商法 |
問7 | 社会権 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |