行政不服審査法に基づく不服申立てに関する次の記述のうち、法令または判例に照らし、妥当なものはどれか。
- 行政不服申立てにおいては、行政処分の取消しを求めることだけではなく、公法上の法律関係の確認を求めることも許される。
- 行政不服審査法は、不服申立ての対象となる行政処分については、いわゆる一般概括主義を採用しており、不服申立てをすることができない処分を列挙してはいない。
- 行政処分について審査請求の申立適格を有するのは、処分の相手方に限られ、それ以外の第三者は、他の法律に特別の定めがない限り、申立適格を有しない。
- 憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続にも及ぶので、その手続においても、口頭弁論主義が原則とされている。
- 審査請求の裁決は、書面でしなければならず、緊急を要する場合であっても、口頭ですることは認められていない。
【答え】:5【解説】
1.行政不服申立てにおいては、行政処分の取消しを求めることだけではなく、公法上の法律関係の確認を求めることも許される。
1・・・妥当ではない
行政不服申し立てとは、行政庁の処分に不服がある場合に、「審査してください」とか「調査してください」と請求できるだけです。「公法上の法律関係の確認」はできません。
「公法上の法律関係の確認」ができるのは「行政事件訴訟(形式的当事者訴訟)」です。
行政不服申し立てとは、行政庁の処分に不服がある場合に、「審査してください」とか「調査してください」と請求できるだけです。「公法上の法律関係の確認」はできません。
「公法上の法律関係の確認」ができるのは「行政事件訴訟(形式的当事者訴訟)」です。
2.行政不服審査法は、不服申立ての対象となる行政処分については、いわゆる一般概括主義を採用しており、不服申立てをすることができない処分を列挙してはいない。
2・・・妥当ではない
行政不服審査法は、不服申立ての対象となる行政処分については、いわゆる一般概括主義を採用していますが、
下記のように、一部不服申し立てをすることができない処分(例外)についても列挙しています。
行政不服審査法は、不服申立ての対象となる行政処分については、いわゆる一般概括主義を採用していますが、
下記のように、一部不服申し立てをすることができない処分(例外)についても列挙しています。
行政不服審査法7条
次に掲げる処分及びその不作為については、不服申し立てはできない。
- 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
- 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
等
3.行政処分について審査請求の申立適格を有するのは、処分の相手方に限られ、それ以外の第三者は、他の法律に特別の定めがない限り、申立適格を有しない。
3・・・妥当ではない
行政不服審査法では、不服申立適格に関する規定は設けていません。
しかし、判例によると
「不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者」
と判示しています。したがって、処分について不服申立適格を有するのは、処分の相手方に限られたものではなく、「法律上の利益がある者」であれば、処分の相手方以外の第三者であっても不服申立適格を有します。よって、本肢は妥当ではないです。
行政不服審査法では、不服申立適格に関する規定は設けていません。
しかし、判例によると
「不服申立をする法律上の利益がある者、すなわち、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者」
と判示しています。したがって、処分について不服申立適格を有するのは、処分の相手方に限られたものではなく、「法律上の利益がある者」であれば、処分の相手方以外の第三者であっても不服申立適格を有します。よって、本肢は妥当ではないです。
4.憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続にも及ぶので、その手続においても、口頭弁論主義が原則とされている。
4・・・妥当ではない
憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続きに及ぶという規定はなく、また、判例もありません。そして、
審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができます(行政不服審査法30条)。
したがって、不服申立ての審理手続きは、原則、書面審理です。よって、本肢は上記2点について妥当ではありません。
憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続きに及ぶという規定はなく、また、判例もありません。そして、
審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(反論書)を提出することができます(行政不服審査法30条)。
したがって、不服申立ての審理手続きは、原則、書面審理です。よって、本肢は上記2点について妥当ではありません。
5.審査請求の裁決は、書面でしなければならず、緊急を要する場合であっても、口頭ですることは認められていない。
平成24年度(2012年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 内閣 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 内閣 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 財政 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 法の下の平等 | 問36 | 商法 |
問7 | 社会権 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |