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令和5年・2023|問33|民法・解除

契約の解除等に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

イ.賃貸借契約は、期間の定めがある場合であっても、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなったときには、当該賃貸借契約は終了する。

ウ.請負契約においては、請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

エ.委任契約は、委任者であると受任者であるとにかかわらず、いつでも契約の解除をすることができる。

オ.寄託契約においては、寄託物を受け取るべき時期を経過しても寄託者が受寄者に寄託物を引き渡さない場合には、書面による寄託でも無報酬の受寄者は、直ちに契約の解除をすることができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4(ウ・オが妥当でない)

【解説】
ア.使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

ア・・・妥当

使用貸借において、借主は、いつでも契約の解除をすることができます(民法598条3項)。期間や使用収益の目的を定めているか否かに関係なく、また、理由がなくても解除ができます。関連ポイントが重要なので、関連ポイントは個別指導で解説します。

イ.賃貸借契約は、期間の定めがある場合であっても、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなったときには、当該賃貸借契約は終了する。

イ・・・妥当

賃貸借契約において、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、賃借物の全部滅失等によって終了します(民法616条の2)。よって、妥当です。上記内容を言い換えると、賃借物が全て失われたり、何らかの理由で使用や収益が不可能になった場合、賃貸借契約は終了し、貸主と借主の間での法的な関係も終了することになります。これにより、借主は賃借物を返却する義務がなくなり貸主も賃料を請求する権利を失います

ウ.請負契約においては、請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

ウ・・・妥当でない

請負契約において、請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます(民法641条)。本肢は「請負人が仕事を完成しているか否かにかかわらず」というのが誤りです。完成すると、民法641条に基づいて解除することはできません。よって、妥当ではありません。なぜ、このようなルールがあるのか?理解すると頭に残りやすいので個別指導で解説します。

エ.委任契約は、委任者であると受任者であるとにかかわらず、いつでも契約の解除をすることができる。

エ・・・妥当

委任は、各当事者いつでも解除をすることができます(民法651条1項)。つまり、委任者から解除も可能ですし、受任者から解除することも可能です。よって、妥当です。民法では契約の自由が重視されており、契約を締結した当事者が自らの意思に基づいて契約を解除できることが重要です。委任契約もこの自由な契約の一つであり、当事者が必要に応じて契約を解除できることが保障されています。

オ.寄託契約においては、寄託物を受け取るべき時期を経過しても寄託者が受寄者に寄託物を引き渡さない場合には、書面による寄託でも無報酬の受寄者は、直ちに契約の解除をすることができる。

オ・・・妥当でない

寄託契約とは、物を預かってもらう契約です。そして、「預けた人を寄託者」「預かった人を受寄者(じゅきしゃ)」と言います。そして、受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物(預かったもの)を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができます(民法657条の2第3項)。つまり、有償寄託及び書面による無償寄託の場合において、寄託物が引き渡されないときは、受寄者は、相当期間を定めて引渡しの催告を行い、期間内に引渡しがなければ、契約を解除できます。本肢は「書面による寄託でも無報酬の受寄者は、直ちに契約の解除をすることができる。」が妥当ではありません。相当期間を定めて引き渡しの催告が必要です。

【具体例】 例えば、Aさん(受寄者)は、友人Bさん(寄託者)から、夏休み中に家具を預かる契約をしました。夏休みが終わり、Aさんが家具を取りに行ったにもかかわらず、Bさんが家具を引き渡さない場合、Aさんは催告をして一定の期間を設け、その期間内に家具が引き渡されない場合、契約を解除することができます。

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令和5年(2023年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 行政手続法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 基礎知識
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政事件訴訟法 問55 基礎知識
問26 行政法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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