令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和元年・2019|問37|会社法

株式会社の設立における出資の履行等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

イ.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

ウ.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

エ.設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

オ.設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:5
【解説】

ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

ア・・・正しい

株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければなりません(会社法27条)。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

よって、上記4号の通り、株式会社の定款には、設立に際して出資される「財産の価額またはその最低額」を「記載または記録」しなければなりません。

正しい記述です。

イ.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

イ・・・正しい

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(会社法34条本文)。

ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができます(同条ただし書き)。

よって、本肢は正しいです。

ウ.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

ウ・・・正しい

払込み又は給付(出資の履行)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができません(会社法35条)。

よって、本肢は正しいです。

つまり、出資の履行により、将来株主となることができる地位を譲渡することはできるけど、成立後、会社に対して自分が株主だと主張することはできないということです。

これについては注意点があるので、個別指導で解説します。

エ.設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

エ・・・誤り

設立時募集株式の引受人は、設立時募集株式の払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失います(会社法63条3項)。

つまり、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知する必要はありません。

通知をせずに、当然に株主となる権利を失います。

よって、誤りです。

オ.設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。
オ・・・誤り
発起人は、金銭だけでなく金銭以外の財産で出資することができます(会社法34条)。

一方
設立時募集株式の引受人は、金銭以外の財産で出資(現物出資)できません会社法63条1項)。

よって、本肢は誤りです。

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