行政事件訴訟法が定める行政庁の訴訟上の地位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合は、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
- 処分をした行政庁は、当該処分の取消訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
- 審査請求の裁決をした行政庁は、それが国または公共団体に所属する場合であっても、当該裁決の取消訴訟において被告となる。
- 裁判所は、義務付けの訴えに係る処分につき、訴えに理由があると認めるときは、当該処分の担当行政庁が当該処分をすべき旨を命ずる判決をする。
- 裁判所は、私法上の法律関係に関する訴訟において処分の効力の有無が争われている場合、決定をもって、その処分に関係する行政庁を当該訴訟に参加させることができる。
【答え】:3
【解説】
1.処分をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合は、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
1・・・正しい
処分または裁決をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法11条2項)。
処分または裁決をした行政庁が国または公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない(行政事件訴訟法11条2項)。
「国または公共団体に所属しない行政庁」とは、例えば、建築基準法に基づき、建築確認や検査を行う機関として国土交通大臣や都道府県知事から指定された民間の機関(指定確認検査機関)です。よって、本肢は正しいです。
2.処分をした行政庁は、当該処分の取消訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
2・・・正しい
処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有します(行政事件訴訟法11条6項)。
つまり、処分をした行政庁は、当該処分の取消訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有するので正しいです。
3.審査請求の裁決をした行政庁は、それが国または公共団体に所属する場合であっても、当該裁決の取消訴訟において被告となる。
3・・・誤り
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項)。よって、「裁決をした行政庁」は被告にならないので誤りです。
処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければなりません(行政事件訴訟法11条1項)。よって、「裁決をした行政庁」は被告にならないので誤りです。
正しくは「裁決をした行政庁の所属する国または公共団体」が被告となります。
4.裁判所は、義務付けの訴えに係る処分につき、訴えに理由があると認めるときは、当該処分の担当行政庁が当該処分をすべき旨を命ずる判決をする。
5.裁判所は、私法上の法律関係に関する訴訟において処分の効力の有無が争われている場合、決定をもって、その処分に関係する行政庁を当該訴訟に参加させることができる。
5・・・正しい
私法上の法律関係に関する訴訟(争点訴訟)において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、「行政庁の訴訟参加(23条)」および「出訴の通知(39条)」の規定を準用します(行政事件訴訟法45条1項)。よって、裁判所は、処分または裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てによりまたは職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法23条1項)。
私法上の法律関係に関する訴訟(争点訴訟)において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、「行政庁の訴訟参加(23条)」および「出訴の通知(39条)」の規定を準用します(行政事件訴訟法45条1項)。よって、裁判所は、処分または裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てによりまたは職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法23条1項)。
問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:物権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 憲法・議員 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 法の下の平等 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 選挙権・選挙制度 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 教科書検定制度 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・その他 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 問題非掲載のため省略 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・経済 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・経済 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |