地方自治法に定める事務の共同処理(普通地方公共団体相互間の協力)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 連携協約とは、普通地方公共団体が、他の普通地方公共団体と事務を処理するに当たっての連携を図るため、協議により、連携して事務を処理するための基本的な方針および役割分担を定める協約をいう。
- 協議会とは、普通地方公共団体が、事務の一部を共同して管理・執行し、もしくは事務の管理・執行について連絡調整を図り、または広域にわたる総合的な計画を共同して作成するため、協議により規約を定めて設置するものをいう。
- 機関等の共同設置とは、協議により規約を定め、共同して、議会事務局、附属機関、長の内部組織等を置くことをいう。
- 事務の代替執行とは、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部の管理および執行を、他の地方公共団体に委託する制度であり、事務を受託した地方公共団体が受託事務の範囲において自己の事務として処理することにより、委託した地方公共団体が自ら当該事務を管理および執行した場合と同様の効果が生じる。
- 職員の派遣とは、当該普通地方公共団体の事務の処理のため特別の必要があると認めるとき、当該普通地方公共団体の長または委員会もしくは委員が、他の普通地方公共団体の長または委員会もしくは委員に対し、職員の派遣を求めるものをいう。
【答え】:4
【解説】
1・・・正しい
普通地方公共団体は、「当該普通地方公共団体及び他の普通地方公共団体の区域」における「当該普通地方公共団体及び当該他の普通地方公共団体」の事務の処理に当たっての当該他の普通地方公共団体との連携を図るため、協議により、「当該普通地方公共団体及び当該他の普通地方公共団体」が連携して事務を処理するに当たっての基本的な方針及び役割分担を定める協約(連携協約)を当該他の普通地方公共団体と締結することができます(地方自治法252条の2第1項)。これを簡潔にまとめると、「連携協約とは、普通地方公共団体が、他の普通地方公共団体と事務を処理するに当たっての連携を図るため、協議により、連携して事務を処理するための基本的な方針および役割分担を定める協約をいいます」。 分かりやすく言うと、地方自治法252条の2第1項は、普通地方公共団体同士が連携して事務を処理するために連携協約を締結することができることを規定しています。具体的には、ある普通地方公共団体と他の普通地方公共団体が、共同で事務を処理する場合、両者は連携協約を締結することができます。この連携協約は、異なる地方公共団体同士が連携して共同で事務を処理する際のルールや取り決めを定めるものであり、効果的な地方自治の推進や事務の効率化を図るための枠組みとなっています。
2・・・正しい
普通地方公共団体は、普通地方公共団体の事務の一部を共同して管理し及び執行し、若しくは普通地方公共団体の事務の管理及び執行について連絡調整を図り、又は広域にわたる総合的な計画を共同して作成するため、協議により規約を定め、普通地方公共団体の協議会を設けることができます(地方自治法252条の2の2第1項)。つまり、協議会とは、普通地方公共団体が、事務の一部を共同して管理・執行し、もしくは事務の管理・執行について連絡調整を図り、または広域にわたる総合的な計画を共同して作成するため、協議により規約を定めて設置するものをいいます。 協議会の具体例としては、以下のようなものがあります。
- 地域振興協議会:複数の市町村が協力して地域の振興や活性化を図るための協議会。地域振興の計画策定やイベントの企画などが行われます。
- 災害対策協議会:複数の自治体が協力して災害時の対策や復旧作業の計画を策定し、連携して行動するための協議会。災害時の対応や避難計画の策定などが主な活動です。
- 交通安全協議会:複数の地域の交通安全を確保するために、警察や交通関連機関、地方自治体などが協力して設立される協議会。交通事故の予防策や安全キャンペーンの実施などが行われます。
- 観光振興協議会:地域の観光資源を活用し、観光産業の振興を図るための協議会。観光施設の整備や観光プロモーションの計画が行われます。
- 環境保全協議会:地域の環境保護や持続可能な開発を推進するための協議会。環境問題の調査研究や環境保護活動の計画が主な活動です。
3・・・正しい
普通地方公共団体は、協議により規約を定め、共同して、事務局若しくはその内部組織(議会事務局)、委員会若しくは委員、附属機関、普通地方公共団体の議会、長、委員会若しくは委員の事務を補助する職員、専門委員又は監査専門委員を置くことができます(地方自治法252条の7第1項:機関等の共同設置)。つまり、機関等の共同設置とは、協議により規約を定め、共同して、議会事務局、附属機関、長の内部組織等を置くことをいいます。
4・・・誤り
普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、当該他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行すること(事務の代替執行)ができます(地方自治法252条の16の2第1項)。つまり、事務の代替執行とは、普通地方公共団体が、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、当該他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行することです。 本肢の前半部分の「協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部の管理および執行を、他の地方公共団体に委託する制度」とは「事務の委託」のことです(地方自治法252条の14)。したがって誤りです。 違いについては、個別指導で解説します。
5・・・正しい
普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、法律に特別の定めがあるものを除くほか、当該普通地方公共団体の事務の処理のため特別の必要があると認めるときは、他の普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員に対し、当該普通地方公共団体の職員の派遣を求めることができます(地方自治法252条の17第1項:職員の派遣)。つまり、職員の派遣とは、当該普通地方公共団体の事務の処理のため特別の必要があると認めるとき、当該普通地方公共団体の長または委員会もしくは委員が、他の普通地方公共団体の長または委員会もしくは委員に対し、職員の派遣を求めるものをいいます。
令和5年(2023年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法・多肢選択 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法・多肢選択 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法・多肢選択 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政事件訴訟法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |