2019年過去問

令和元年・2019|問37|会社法

株式会社の設立における出資の履行等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

イ.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

ウ.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

エ.設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

オ.設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:5
【解説】

ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

ア・・・正しい

株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければなりません(会社法27条)。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

よって、上記4号の通り、株式会社の定款には、設立に際して出資される「財産の価額またはその最低額」を「記載または記録」しなければなりません。

正しい記述です。

イ.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

イ・・・正しい

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(会社法34条本文)。

ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができます(同条ただし書き)。

よって、本肢は正しいです。

ウ.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

ウ・・・正しい

払込み又は給付(出資の履行)をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができません(会社法35条)。

よって、本肢は正しいです。

つまり、出資の履行により、将来株主となることができる地位を譲渡することはできるけど、成立後、会社に対して自分が株主だと主張することはできないということです。

これについては注意点があるので、個別指導で解説します。

エ.設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

エ・・・誤り

設立時募集株式の引受人は、設立時募集株式の払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失います(会社法63条3項)。

つまり、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知する必要はありません。

通知をせずに、当然に株主となる権利を失います。

よって、誤りです。

オ.設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。
オ・・・誤り
発起人は、金銭だけでなく金銭以外の財産で出資することができます(会社法34条)。

一方
設立時募集株式の引受人は、金銭以外の財産で出資(現物出資)できません会社法63条1項)。

よって、本肢は誤りです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問36|商法

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係に関する次の記述のうち、商法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。なお、代理人が本人のためにすることを知らなかったことにつき、相手方に過失はないものとする。

  1. 相手方と本人および代理人とのいずれの間にも法律関係が生じ、本人および代理人は連帯して履行の責任を負う。
  2. 相手方と代理人との間に法律関係が生じ、本人には何らの効果も及ばない。
  3. 相手方と本人との間に法律関係が生じるが、相手方は代理人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。
  4. 相手方と代理人との間に法律関係が生じるが、相手方は本人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。
  5. 相手方は、その選択により、本人との法律関係または代理人との法律関係のいずれかを主張することができる。

>解答と解説はこちら

【答え】:5
【解説】

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
1.相手方と本人および代理人とのいずれの間にも法律関係が生じ、本人および代理人は連帯して履行の責任を負う。

1・・・誤り

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じます。
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることもできます(商法504条)。

そして、判例では、
「相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、商法第504条但書によって、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人と相手方間の法律関係を主張することができない。」としています(最大判昭43.4.24)。

つまり、相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます

「相手方と本人」および「相手方と代理人」とのいずれの間にも法律関係が生じるわけではないので誤りです。

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
2.相手方と代理人との間に法律関係が生じ、本人には何らの効果も及ばない。

2・・・誤り

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じます(商法504条本文)。

よって、本肢は誤りです。

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
3.相手方と本人との間に法律関係が生じるが、相手方は代理人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。

3・・・誤り

選択肢1の解説のとおり、相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます。

言い換えると、「相手方と本人」の法律関係を選んだ場合、「相手方と代理人」の法律関係は生じないので、相手方は、代理人には履行を請求できません。

よって、誤りです。

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
4.相手方と代理人との間に法律関係が生じるが、相手方は本人に対しても、履行の請求に限り、これをすることができる。

4・・・誤り

選択肢1と3の解説の通り、相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます。

言い換えると、「相手方と代理人」の法律関係を選んだ場合、「相手方と本人」の法律関係は生じないので、相手方は、本人には履行を請求できません。

よって、誤りです。

商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であって、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときの法律関係について
5.相手方は、その選択により、本人との法律関係または代理人との法律関係のいずれかを主張することができる。

5・・・正しい
選択肢1の解説のとおり、相手方は、本人または代理人のいずれか一方を選んで法律関係を生じさせます。よって、本肢は正しいです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問35|民法

氏に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.甲山太郎と乙川花子が婚姻届に署名捺印した場合において、慣れ親しんだ呼称として婚姻後もそれぞれ甲山、乙川の氏を引き続き称したいと考え、婚姻後の氏を定めずに婚姻届を提出したときは、この婚姻届は受理されない。

イ.夫婦である乙川太郎と乙川花子が離婚届を提出し受理されたが、太郎が慣れ親しんだ呼称として、離婚後も婚姻前の氏である甲山でなく乙川の氏を引き続き称したいと考えたとしても、離婚により復氏が確定し、離婚前の氏を称することができない。

ウ.甲山太郎を夫とする妻甲山花子は、夫が死亡した場合において、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって婚姻前の氏である乙川を称することができる。

エ.夫婦である甲山花子と甲山太郎の間に出生した子である一郎は、両親が離婚をして、母花子が復氏により婚姻前の氏である乙川を称するようになった場合には、届け出ることで母と同じ乙川の氏を称することができる。

オ.甲山花子と、婚姻により改氏した甲山太郎の夫婦において、太郎が縁組により丙谷二郎の養子となったときは、太郎および花子は養親の氏である丙谷を称する。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら



【答え】:2
【解説】
ア.甲山太郎と乙川花子が婚姻届に署名捺印した場合において、慣れ親しんだ呼称として婚姻後もそれぞれ甲山、乙川の氏を引き続き称したいと考え、婚姻後の氏を定めずに婚姻届を提出したときは、この婚姻届は受理されない。

ア・・・正しい

夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称します(民法750条)。

婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び739条第2項の規定「その他の法令」の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができません(740条)。

本肢の場合、「婚姻後の氏を定めずに婚姻届を提出」しています。

これは、740条のその他の法令の規定に違反しています。

よって、本肢の婚姻届は受理されません。

イ.夫婦である乙川太郎と乙川花子が離婚届を提出し受理されたが、太郎が慣れ親しんだ呼称として、離婚後も婚姻前の氏である甲山でなく乙川の氏を引き続き称したいと考えたとしても、離婚により復氏が確定し、離婚前の氏を称することができない。

イ・・・誤り

婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復します(戻します)(民法767条1項)。

そして、上記により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます(同条2項)。

つまり、離婚した場合、原則、婚姻前の名字に戻りますが、
3ヵ月以内に届出をすれば、「離婚前の名字」を引き続き使えます。

よって、「離婚により復氏が確定し、離婚前の氏を称することができない」は誤りです。

具体例は個別指導で解説します。

ウ.甲山太郎を夫とする妻甲山花子は、夫が死亡した場合において、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって婚姻前の氏である乙川を称することができる。

ウ・・・正しい

夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができます(民法751条)。

つまり、夫が死亡した場合、妻は、届出をすることで婚姻前の氏(名字)に戻す(称する)ことができます。

よって、正しいです。

エ.夫婦である甲山花子と甲山太郎の間に出生した子である一郎は、両親が離婚をして、母花子が復氏により婚姻前の氏である乙川を称するようになった場合には、届け出ることで母と同じ乙川の氏を称することができる。

エ・・・誤り

子、が「父又は母」と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その「父又は母」の氏を称することができます(民法791条)。

つまり、子どもが、父や母と同じ氏(名字)を使うには、「家庭裁判所の許可」が必要です。

本肢は「届出」で母と同じ氏を称することができるとなっているので誤りです。

上記解説だと、条文そのままで、分かりにくいと思います!

なので、個別指導では、具体例を入れながら分かりやすく解説します!

オ.甲山花子と、婚姻により改氏した甲山太郎の夫婦において、太郎が縁組により丙谷二郎の養子となったときは、太郎および花子は養親の氏である丙谷を称する。

オ・・・誤り

養子は、養親の氏を称します。

ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、養親の氏を称しません(民法810条)。

つまり、養親の氏を称することなく、婚姻の際に定めた氏を称します。

よって、本肢は誤りです。

この点は非常にややこしいので、個別指導で具体例を入れて整理します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問34|民法

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 精神障害者と同居する配偶者は法定の監督義務者に該当しないが、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行い、その態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、当該配偶者は法定の監督義務者に準ずべき者として責任無能力者の監督者責任を負う。
  2. 兄が自己所有の自動車を弟に運転させて迎えに来させた上、弟に自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に戻る途中に、弟の過失により追突事故が惹起された。その際、兄の同乗後は運転経験の長い兄が助手席に座って、運転経験の浅い弟の運転に気を配り、事故発生の直前にも弟に対して発進の指示をしていたときには、一時的にせよ兄と弟との間に使用関係が肯定され、兄は使用者責任を負う。
  3. 宅地の崖地部分に設けられたコンクリートの擁壁の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じていた場合に、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負う。
  4. 犬の飼主がその雇人に犬の散歩をさせていたところ、当該犬が幼児に噛みついて負傷させた場合には、雇人が占有補助者であるときでも、当該雇人は、現実に犬の散歩を行っていた以上、動物占有者の責任を負う。
  5. 交通事故によりそのまま放置すれば死亡に至る傷害を負った被害者が、搬入された病院において通常期待されるべき適切な治療が施されていれば、高度の蓋然性をもって救命されていたときには、当該交通事故と当該医療事故とのいずれもが、その者の死亡という不可分の一個の結果を招来し、この結果について相当因果関係がある。したがって、当該交通事故における運転行為と当該医療事故における医療行為とは共同不法行為に当たり、各不法行為者は共同不法行為の責任を負う。

>解答と解説はこちら



【答え】:4
【解説】
1.精神障害者と同居する配偶者は法定の監督義務者に該当しないが、責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし、第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行い、その態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には、当該配偶者は法定の監督義務者に準ずべき者として責任無能力者の監督者責任を負う。

1・・・正しい

判例によると「精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。

しかし、法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項(責任無能力者の監督義務者等の責任)が類推適用される。」としています(最判平28.3.1)。

よって、本肢は正しいです。

上記判例を簡略化した解説は個別指導で行います!

2.兄が自己所有の自動車を弟に運転させて迎えに来させた上、弟に自動車の運転を継続させ、これに同乗して自宅に戻る途中に、弟の過失により追突事故が惹起された。その際、兄の同乗後は運転経験の長い兄が助手席に座って、運転経験の浅い弟の運転に気を配り、事故発生の直前にも弟に対して発進の指示をしていたときには、一時的にせよ兄と弟との間に使用関係が肯定され、兄は使用者責任を負う。

2・・・正しい

兄が弟に兄所有の自動車を運転させこれに同乗して自宅に帰る途中で発生した交通事故の事例において
判例によると「兄が右同乗中助手席で運転上の指示をしていた等判示の事情があるときは、兄と弟との間には右事故当時兄を自動車により自宅に送り届けるという仕事につき、民法715条1項にいう使用者・被用者の関係が成立していたと解するのが相当である」としています(最判昭56.11.27)。

よって、本肢は正しいです。

上記判例の分かりやすい解説は個別指導でお知らせします!

3.宅地の崖地部分に設けられたコンクリートの擁壁の設置または保存による瑕疵が前所有者の所有していた際に生じていた場合に、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負う。

3・・・正しい

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います(民法717条)。

所有者は無過失でも責任を負うため、現所有者が当該擁壁には瑕疵がないと過失なく信じて当該宅地を買い受けて占有していたとしても、現所有者は土地の工作物責任を負います。

よって、正しいです。

▼本肢は工作物責任の内容ですが、工作物責任は考え方があり、
その考え方をすれば、ほとんどの問題が解けます!

そのため、個別指導では、その考え方まで解説します!

4.犬の飼主がその雇人に犬の散歩をさせていたところ、当該犬が幼児に噛みついて負傷させた場合には、雇人が占有補助者であるときでも、当該雇人は、現実に犬の散歩を行っていた以上、動物占有者の責任を負う。

4・・・誤り

動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います(民法718条本文)。

そして、雇人(雇われている人)がこの動物の占有者にあたるのか?

判例によると「運送会社がその使用人(=雇人・雇われている人)に荷馬車を引かせていた場合、本来の占有者は運送会社であり、占有補助者たる使用人は、占有者でも保管者でもない」としています。(大判大10.12.15)。

つまり、当該雇人は、現実に犬の散歩を行っていたとしても責任を負いません。

よって、誤りです。

5.交通事故によりそのまま放置すれば死亡に至る傷害を負った被害者が、搬入された病院において通常期待されるべき適切な治療が施されていれば、高度の蓋然性をもって救命されていたときには、当該交通事故と当該医療事故とのいずれもが、その者の死亡という不可分の一個の結果を招来し、この結果について相当因果関係がある。したがって、当該交通事故における運転行為と当該医療事故における医療行為とは共同不法行為に当たり、各不法行為者は共同不法行為の責任を負う。

5・・・正しい

判例によると「本件交通事故により,Eは放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの,事故後搬入された被上告人病院において,Eに対し通常期待されるべき適切な経過観察がされるなどして脳内出血が早期に発見され適切な治療が施されていれば,高度の蓋然性をもってEを救命できたということができる。そのため、本件交通事故と本件医療事故とのいずれもが,Eの死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にある。

したがって,本件交通事故における運転行為と本件医療事故における医療行為とは民法719条所定の共同不法行為に当たるから,各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯して責任を負うべきものである。」としています(最判平13.3.13)。

よって、本肢は正しいです。

分かりやすい解説は、個別指導で行います!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問33|民法

甲建物(以下「甲」という。)を所有するAが不在の間に台風が襲来し、甲の窓ガラスが破損したため、隣りに住むBがこれを取り換えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。
  2. BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。
  3. BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。
  4. BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。
  5. BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。

>解答と解説はこちら



【答え】:5
【解説】
1.BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができない。

1・・・正しい

委任契約において、受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができません(民法648)。

そして、委任の規定は、法律行為でない事務の委託について準用します(民法656条:準委任)。

本肢の「BがAから甲の管理を頼まれていた場合」とは「法律行為でない事務の委託(準委任)」に当たります。

よって、A・B間において特約がない限り、Bは、Aに対して報酬を請求することができないので、正しいです。

「法律行為」や「法律行為ではない行為」の具体例や詳細解説については個別指導で行います!

2.BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bは、Aに対して窓ガラスを取り換えるために支出した費用を請求することができる。

2・・・正しい

本肢の場合、「管理を頼まれてない」ので、「事務管理」のルールが適用されます(民法697条)。

そして、事務管理において、管理者Bが本人Aのために有益な債務を負担した場合、
本人Aに対して、支出した費用を請求できます(民法702条

よって、本肢は正しいです。

3.BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合であっても、Bが自己の名において窓ガラスの取換えを業者Cに発注したときは、Bは、Aに対して自己に代わって代金をCに支払うことを請求することができる。

3・・・正しい

本肢の場合、「管理を頼まれてない」ので、「事務管理」のルールが適用されます(民法697条)。

そして、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合、管理者Bは、本人Aに対し、自己(管理者B)に代わって、Cに弁済をすることを請求することができます(民法702条2項、650条2項)。

よって、本肢は正しいです。

具体例については個別指導で解説します。

4.BがAから甲の管理を頼まれていなかった場合においては、BがAの名において窓ガラスの取換えを業者Dに発注したとしても、Aの追認がない限り、Dは、Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできない。

4・・・正しい

判例によると、「事務管理者Bが本人Aの名でした法律行為の効果は、当然には本人Aに及ぶものではない」としています(最判昭36.11.30)。

よって、業者Dは、本人Aに対してその請負契約に基づいて代金の支払を請求することはできないので、本肢は正しいです。

5.BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるに当たって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。

オ・・・誤り

本肢の「BがAから甲の管理を頼まれていた場合」とは「法律行為でない事務の委託(準委任)」に当たります。

準委任においても委任同様、費用の前払い請求ができます(民法649条656条)。

よって、AB間で特約がなくても、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできるので、誤りです。

委任と準委任の違いについては、個別指導で解説します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問32|民法

建物が転貸された場合における賃貸人(建物の所有者)、賃借人(転貸人)および転借人の法律関係に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.賃貸人の承諾がある転貸において、賃貸人が当該建物を転借人に譲渡し、賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属したときであっても、賃借人と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。

イ.賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。

ウ.賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。

エ.無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。

オ.無断転貸において、賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したときは、転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら



【答え】:2
【解説】
ア.賃貸人の承諾がある転貸において、賃貸人が当該建物を転借人に譲渡し、賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属したときであっても、賃借人と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。

ア・・・正しい

判例によると「賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であっても、転貸借は、当事者間にこれを消滅させる合意の成立しない限り、消滅しないものと解すべきである」としています(最判昭35.6.23)。

つまり、転貸借契約は当然には消滅しないので、正しいです。

どういうことを言っているかは個別指導で解説します!

イ.賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。

イ・・・誤り

転貸があり、賃借人に賃料不払いがあった場合において、
判例によると、「適法な転貸借がある場合、賃貸人が賃料延滞を理由として賃貸借契約を解除するには、賃借人に対して催告すれば足り、転借人に対して右延滞賃料の支払の機会を与えなければならないものではない。」としています(最判昭37.3.29)。

つまり、賃借人にのみ催告すればよく、「賃借人および転借人に対して催告をする必要はない」ので、本肢は誤りです。

これも、どういうことを言っているかは個別指導で解説します!

ウ.賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。

ウ・・・誤り

賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負います(改正民法613条本文)。

よって、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできるので、誤りです。

少し理解しづらい部分なので、理解の仕方個別指導で解説します!

エ.無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。

エ・・・誤り

無断転貸があった場合において
判例によると、「賃借権の譲渡または転貸を承諾しない家屋の賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくても、譲受人または転借人に対しその明渡を求めることができる」としています(最判昭26.5.31)。

よって、本肢は誤りです。

基本事項を含めた解説は個別指導で行います!

オ.無断転貸において、賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したときは、転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。

オ・・・正しい

判例によると「土地又は建物の賃借人は、賃借物に対する権利に基づき自己に対して明渡を請求することができる第三者からその明渡を求められた場合には、それ以後、賃料の支払を拒絶することができる」としています(最判昭50.4.25)。よって、本肢は正しいです。

無断転貸において、賃貸人Aが転借人Cに建物の明渡しを請求したとき、転借人Cは建物を使用収益できなくなるおそれがあります。

無断転貸をすることにより、賃借人Bは、Cに転貸する権利がなくなってしまいます。

転貸する権利がないBからCは借りているので転借人Cは建物を使用収益できなくなるおそれがあるということです。

そのため、転借人Cは、賃借人Bに対して転貸借の賃料の支払を拒絶できます。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問30|民法

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合における次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.Bが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をA・B間で設定し登記していた場合において、CがAに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するときは、Bは、Cに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。

イ.A・B間で、乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合において、Cが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。

ウ.甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合において、Cが、Aとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするときは、Cは、甲土地の所有者でないため、Bとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。

エ.Aは、自己の債務の担保として甲土地に抵当権を設定したが、それ以前に賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造していたCからAが当該抵当権の設定後に丙建物を買い受けた場合において、抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。

オ.Cが、地上権設定行為に基づいて甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら



【答え】:4
【解説】

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。
ア.Bが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をA・B間で設定し登記していた場合において、CがAに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するときは、Bは、Cに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。

ア・・・誤り

  • 甲土地:承役地
  • 乙土地:要役地
  • A:地役権設定者
  • B:地役権者

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有します(民法280条本文)。

上記の意味合いとしては、地役権者は承役地(他人地)を排他的に占有するのではなく、承役地(他人地)の所有者も地役権者の権利を妨げない範囲で使用できます。

つまり、地役権者Bは、「妨害排除請求」及び「妨害予防請求」は行えます。

一方、地役権者Bは、Cに対して「甲土地(承役地)上の丙建物の収去請求」や「甲土地の明渡請求」はできません

よって、誤りです。

地役権については、個別指導で解説します!

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。
イ.A・B間で、乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合において、Cが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。

イ・・・正しい

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有します(民法280条本文)。

そして、地役権者Bは、「妨害排除請求」及び「妨害予防請求」は行えます。

よって、地役権者Bは、承役地(甲土地)に工作物を築造した場合、妨害排除請求(建物の収去請求)が行えます。

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。
ウ.甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合において、Cが、Aとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするときは、Cは、甲土地の所有者でないため、Bとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。

ウ・・・誤り

他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地という)を通行することができます(民法210条1項:囲繞地通行権)。

袋地の地上権者Cも、袋地の所有者A同様、当然に囲繞地(乙土地)を通行する権利を有します。

よって、地上権者Cは、Bとの間で乙土地の賃貸借を結ぶ必要はないので誤りです。

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。
エ.Aは、自己の債務の担保として甲土地に抵当権を設定したが、それ以前に賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造していたCからAが当該抵当権の設定後に丙建物を買い受けた場合において、抵当権が実行されたときは、丙建物のために、地上権が甲土地の上に当然に発生する。

エ・・・誤り

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権(法定地上権という)が設定されたものとみなします(民法388条)。

つまり、法定地上権が成立するのは、「抵当権設定当時に、土地と建物の所有者が同一」であることが要件の一つです。

本肢は、抵当権設定当時、「甲土地の所有者はA」「丙建物の所有者はC」で異なるため、法定地上権の要件を満たしていません。

よって、法定地上権は成立しない(発生しない)ので誤りです。

この点はしっかり理解をする必要があるので個別指導で解説します。

A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。
オ.Cが、地上権設定行為に基づいて甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。

オ・・・正しい
地上権者は、地上権が消滅した時に、土地を原状に戻してその工作物及び竹木を収去することができます。

ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができません民法269条)。

よって、本肢は正しいです。

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問29|民法

動産物権変動に関する次の記述のうち、民法等の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. Aは自己所有の甲機械をBに譲渡したが、その引渡しをしないうちにAの債権者であるCが甲機械に対して差押えを行った。この場合において、Bは、差押えに先立って甲機械の所有権を取得したことを理由として、Cによる強制執行の不許を求めることはできない。
  2. Dは自己所有の乙機械をEに賃貸し、Eはその引渡しを受けて使用収益を開始したが、Dは賃貸借期間の途中でFに対して乙機械を譲渡した。FがEに対して所有権に基づいて乙機械の引渡しを求めた場合には、Eは乙機械の動産賃借権をもってFに対抗することができないため、D・F間において乙機械に関する指図による占有移転が行われていなかったとしても、EはFの請求に応じなければならない。
  3. Gは自己所有の丙機械をHに寄託し、Hがその引渡しを受けて保管していたところ、GはIに対して丙機械を譲渡した。この場合に、HがGに代って一時丙機械を保管するに過ぎないときには、Hは、G・I間の譲渡を否認するにつき正当な利害関係を有していないので、Iの所有権に基づく引渡しの請求に応じなければならない。
  4. Jは、自己所有の丁機械をKに対して負っている貸金債務の担保としてKのために譲渡担保権を設定した。動産に関する譲渡担保権の対抗要件としては占有改定による引渡しで足り、譲渡担保権設定契約の締結後もJが丁機械の直接占有を継続している事実をもって、J・K間で占有改定による引渡しが行われたものと認められる。
  5. 集合動産譲渡担保が認められる場合において、種類、量的範囲、場所で特定された集合物を譲渡担保の目的とする旨の譲渡担保権設定契約が締結され、占有改定による引渡しが行われたときは、集合物としての同一性が損なわれない限り、後に新たにその構成部分となった動産についても譲渡担保に関する対抗要件の効力が及ぶ。

>解答と解説はこちら



【答え】:2
【解説】
1.Aは自己所有の甲機械をBに譲渡したが、その引渡しをしないうちにAの債権者であるCが甲機械に対して差押えを行った。この場合において、Bは、差押えに先立って甲機械の所有権を取得したことを理由として、Cによる強制執行の不許を求めることはできない。

1・・・正しい

動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません民法178条)。

本肢は「引渡しをしないうち差押えをされている」ため、BはCによる強制執行の不許を求めることはできません。

よって、本肢は正しいです。

2.Dは自己所有の乙機械をEに賃貸し、Eはその引渡しを受けて使用収益を開始したが、Dは賃貸借期間の途中でFに対して乙機械を譲渡した。FがEに対して所有権に基づいて乙機械の引渡しを求めた場合には、Eは乙機械の動産賃借権をもってFに対抗することができないため、D・F間において乙機械に関する指図による占有移転が行われていなかったとしても、EはFの請求に応じなければならない。
2・・・誤り
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません(民法178条)。そして、判例(大判大8.10.16)では、「動産の賃借人は第三者にあたる」としています。本肢では、「Eはその引渡しを受けています」。そして、この引渡しについて、「指図による占有移転ではない」となっているので
EはFの引渡し請求に応じる必要はないので誤りです。

この問題は、「指図による占有移転」を含めてしっかり理解する必要があります。

理解すべきポイントと考え方は個別指導で解説します!

3.Gは自己所有の丙機械をHに寄託し、Hがその引渡しを受けて保管していたところ、GはIに対して丙機械を譲渡した。この場合に、HがGに代って一時丙機械を保管するに過ぎないときには、Hは、G・I間の譲渡を否認するにつき正当な利害関係を有していないので、Iの所有権に基づく引渡しの請求に応じなければならない。
3・・・正しい
動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません(民法178条)。判例(最判昭29.8.31)によると、「動産の寄託を受け、一時それを保管するにすぎない者は第三者にあたらない」としています。つまり、Hは第三者に当たりません。よって、HはIの所有権に基づく引渡しの請求に応じなければならないので正しいです。

▼「寄託」等の基本事項の解説は個別指導で行います!

4.Jは、自己所有の丁機械をKに対して負っている貸金債務の担保としてKのために譲渡担保権を設定した。動産に関する譲渡担保権の対抗要件としては占有改定による引渡しで足り、譲渡担保権設定契約の締結後もJが丁機械の直接占有を継続している事実をもって、J・K間で占有改定による引渡しが行われたものと認められる。

4・・・正しい

動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができません(民法178条)。

動産の売渡担保権者の所有権取得の対抗要件について
判例(最判昭30.6.2)によると、「動産について譲渡担保設定契約成立と同時に占有改定による引渡があるとされた」としています。

よって、動産に関する譲渡担保権の対抗要件としては占有改定による引渡しで足ります。

また譲渡担保権設定契約の締結後もJが丁機械の直接占有を継続している事実をもって、J・K間で占有改定による引渡しが行われたものと認められるので

本肢は正しいです。

譲渡担保については、個別指導で解説します!

5.集合動産譲渡担保が認められる場合において、種類、量的範囲、場所で特定された集合物を譲渡担保の目的とする旨の譲渡担保権設定契約が締結され、占有改定による引渡しが行われたときは、集合物としての同一性が損なわれない限り、後に新たにその構成部分となった動産についても譲渡担保に関する対抗要件の効力が及ぶ。

5・・・正しい

判例によると、
「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によって占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となった動産を包含する集合物に及ぶ。」としています(最判昭62.11.10)そして、
「構成部分の変動する集合動産」とは、「倉庫にあるモノ」です。これら全部について譲渡担保権の設定をして、占有改定の方法で引渡しをすれば

その後、この倉庫に新たに持ち込まれたモノについても、譲渡担保の効力が及ぶということです。

よって、本肢は正しいです。

8月から逆転合格:模試ad


問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問27|民法

時効の援用に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.時効による債権の消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずるものである。

イ.時効の援用を裁判上行使する場合には、事実審の口頭弁論終結時までにする必要がある。

ウ.被相続人の占有により取得時効が完成していた場合に、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。

エ.保証人や連帯保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することはできるが、物上保証人や抵当不動産の第三取得者は、被担保債権の消滅時効を援用することはできない。

オ.主たる債務者である破産者が免責許可決定を受けた場合であっても、その保証人は、自己の保証債務を免れるためには、免責許可決定を受けた破産者の主たる債務について、消滅時効を援用しなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:5
【解説】
ア.時効による債権の消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずるものである。

ア・・・正しい

時効の援用とは、時効の完成によって利益を受ける者が、時効の完成を主張することです。

そして、判例(最判昭61.3.17)によると、時効の援用は、時効の効果を確定的に発生させる意思表示であるとしています。

よって、本肢は正しいです。

どういうことを言っているのかは、個別指導で解説します!

よって、本肢は正しいです。

イ.時効の援用を裁判上行使する場合には、事実審の口頭弁論終結時までにする必要がある。

イ・・・正しい

そもそも、時効の援用は、裁判上で行使するだけでなく、裁判外で行っても、口頭で行っても有効とされています。

そして、時効の援用を「裁判上」で行使する場合は、「事実審の口頭弁論終結時まで」にする必要があります(大判大12.3.26)。

よって、本肢は正しいです。

「事実審」や「口頭弁論」については、しっかり理解した方がよいので、この点は個別指導で解説します!

ウ.被相続人の占有により取得時効が完成していた場合に、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。
ウ・・・正しい
被相続人(死亡した者)が一定期間占有することにより既に取得時効が完成していた場合、共同相続人の一人は、自分の相続分を限度として、取得時効を援用できます(最判平13.7.10)。よって、本肢は正しいです。

分かりづらい方は個別指導で具体例を入れて解説させていただきます!

エ.保証人や連帯保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することはできるが、物上保証人や抵当不動産の第三取得者は、被担保債権の消滅時効を援用することはできない。

エ・・・誤り

消滅時効にあっては、保証人物上保証人第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者は、援用できます(改正民法145条)。

したがって、物上保証人や抵当不動産の第三取得者も消滅時効を援用できるので誤りです。

オ.主たる債務者である破産者が免責許可決定を受けた場合であっても、その保証人は、自己の保証債務を免れるためには、免責許可決定を受けた破産者の主たる債務について、消滅時効を援用しなければならない。

オ・・・誤り

主たる債務者である破産者が免責許可決定(債務の弁済をしなくてもよい旨の決定)を受けた場合、その保証人は、破産者の主たる債務について、消滅時効を援用することができません。

よって、本肢は誤りです。

これは理解をすれば、答えを導けるので、理解の仕方について個別指導で解説します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

令和元年・2019|問28|民法

代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。(出題ミスで複数正解)

  1. 代理人が代理行為につき、相手方に対して詐欺を行った場合、本人がその事実を知らなかったときであっても、相手方はその代理行為を取り消すことができる。
  2. 無権代理行為につき、相手方が本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告を行った場合において、本人が確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
  3. 代理人が本人になりすまして、直接本人の名において権限外の行為を行った場合に、相手方においてその代理人が本人自身であると信じ、かつ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合でも、権限外の行為の表見代理の規定が類推される余地はない。
  4. 代理人が本人の許諾を得て復代理人を選任した場合において、復代理人が代理行為の履行として相手方から目的物を受領したときは、同人はこれを代理人に対してではなく、本人に対して引き渡す義務を負う。
  5. 無権代理行為につき、相手方はこれを取り消すことができるが、この取消しは本人が追認しない間に行わなければならない。

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【答え】:3,4(出題ミスで複数正解)
【解説】
1.代理人が代理行為につき、相手方に対して詐欺を行った場合、本人がその事実を知らなかったときであっても、相手方はその代理行為を取り消すことができる。

1・・・正しい

詐欺による意思表示は、原則、取り消しができます(民法96条)。

そして、代理人が相手方に詐欺を行った場合、本人が相手方に詐欺を行った場合と同じと考え、本人の善意・悪意に関係なく、相手方は取消しができます。

よって、本肢は正しいです。

これは理解をすれば(考え方が分かれば)、答えを導きます!

考え方は、個別指導で解説します!

2.無権代理行為につき、相手方が本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告を行った場合において、本人が確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。

2・・・正しい

無権代理が行われた場合、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。

そして、この催告に対して、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。(民法114条)。

よって、本肢は正しいです。

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行政書士は頭に入れるべき点が多いので効率的に勉強をしていかないと、試験に間に合いません!

注意しましょう!

3.代理人が本人になりすまして、直接本人の名において権限外の行為を行った場合に、相手方においてその代理人が本人自身であると信じ、かつ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合でも、権限外の行為の表見代理の規定が類推される余地はない。
3・・・誤り
判例によると、「代理人が直接本人の名において権限外の行為をした場合において、相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、そのように信じたことについて正当な理由があるかぎり、民法110条権限外の行為の表見代理)の規定を類推して、本人はその責に任ずるものと解するのが相当である。」としています(最判昭44.12.19)。本問は、上記判例の内容にあたるので、相手方が善意無過失の場合、権限外の行為の表見代理の規定が類推されます。よって、本肢は誤りです。
4.代理人が本人の許諾を得て復代理人を選任した場合において、復代理人が代理行為の履行として相手方から目的物を受領したときは、同人はこれを代理人に対してではなく、本人に対して引き渡す義務を負う。

4・・・誤り

判例によると
「本人又は復代理人がそれぞれ代理人と締結した委任契約に基づいて有している権利義務に消長をきたすべき理由はないから、復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭等を受領したときは、復代理人は、特別の事情がないかぎり、本人に対して受領物を引渡す義務を負うほか、代理人に対してもこれを引渡す義務を負う」としています(最判昭51.4.9)。

よって、復代理人が代理行為の履行として相手方から目的物を受領したときは、
復代理人は、「代理人」および「本人」両者に対して引渡し義務を負います

よって、本肢は、「代理人に対して引渡し義務を負わない」ことを意味しているので誤りです。

5.無権代理行為につき、相手方はこれを取り消すことができるが、この取消しは本人が追認しない間に行わなければならない。

5・・・正しい

代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができます民法115条本文)。

よって、無権代理行為につき、相手方はこれを取り消すことができます。

そして、「この取消しは本人が追認しない間に行わなければなりません。

したがって、本肢は正しいです。

関連ポイントは個別指導で解説します!

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問1 著作権の関係上省略 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 憲法・議員 問33 民法:債権
問4 法の下の平等 問34 民法:債権
問5 選挙権・選挙制度 問35 民法:親族
問6 教科書検定制度 問36 商法
問7 憲法・その他 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 問題非掲載のため省略 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・経済
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・経済
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略