2018年過去問

平成30年・2018|問18|行政事件訴訟法・民衆訴訟・機関訴訟

行政事件訴訟法の定める民衆訴訟と機関訴訟に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. A県知事に対してA県住民が県職員への条例上の根拠を欠く手当の支給の差止めを求める訴訟は、民衆訴訟である。
  2. A県県営空港の騒音被害について、被害を受けたと主張する周辺住民がA県に対して集団で損害の賠償を求める訴訟は、民衆訴訟である。
  3. A県が保管する国の文書について、A県知事が県情報公開条例に基づき公開の決定をした場合において、国が当該決定の取消しを求める訴訟は、機関訴訟である。
  4. A県議会議員の選挙において、その当選の効力に関し不服がある候補者がA県選挙管理委員会を被告として提起する訴訟は、機関訴訟である。
  5. A県がB市立中学校で発生した学校事故にかかわる賠償金の全額を被害者に対して支払った後、B市が負担すべき分についてA県がB市に求償する訴訟は、機関訴訟である。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.A県知事に対してA県住民が県職員への条例上の根拠を欠く手当の支給の差止めを求める訴訟は、民衆訴訟である。
1・・・妥当
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条
本肢の内容は「住民が、地方自治体の執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求を行う」内容なので、地方自治法に基づく住民訴訟地方自治法242条の2)にあたります。

住民訴訟は、民衆訴訟の一つなので、〇となります!

2.A県県営空港の騒音被害について、被害を受けたと主張する周辺住民がA県に対して集団で損害の賠償を求める訴訟は、民衆訴訟である。
2・・・ 妥当でない
本肢は「国家賠償法2条」の損害賠償請求訴訟です。
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる(国家賠償法2条1項)。

なぜ、民衆訴訟でないかを理解していない方は、実力がついていない証拠です!

単に覚えるだけでは、実力はつきません!

こういった部分を理解するのが個別指導です!

今年絶対合格したいという方はぜひ、個別指導で一緒に勉強しましょう!

3.A県が保管する国の文書について、A県知事が県情報公開条例に基づき公開の決定をした場合において、国が当該決定の取消しを求める訴訟は、機関訴訟である。
3・・・妥当でない
本肢は、「抗告訴訟」の中の「取消訴訟」にあたります。
抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条1項)。
一方、機関訴訟とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(行政事件訴訟法6条)。本肢は、沖縄県那覇市が、那覇市の情報公開条例に基づいて、「自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎の建築計画書」を市民団体の請求に対して開示決定し、この決定に対して「国防上の支障が生じる」として国が当該開示決定の取消訴訟を提起したという事案です(最判平13.7.13)。
この問題は理解しないとわからない内容なので、個別指導で理解の仕方を解説します!
4.A県議会議員の選挙において、その当選の効力に関し不服がある候補者がA県選挙管理委員会を被告として提起する訴訟は、機関訴訟である。
4・・・妥当でない
選挙の効力に関する訴訟は「民衆訴訟」の典型例です。

したがって、本肢は民衆訴訟なので妥当ではありません。

民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。

機関訴訟は、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいいます(行政事件訴訟法6条)。

どのような訴訟が民衆訴訟となるかはしっかり覚えておきましょう!

個別指導では、まとめて整理した解説をご用意しております!

5.A県がB市立中学校で発生した学校事故にかかわる賠償金の全額を被害者に対して支払った後、B市が負担すべき分についてA県がB市に求償する訴訟は、機関訴訟である。
5・・・妥当でない
本肢は、国家賠償法3条の「国家賠償請求訴訟」です。
国家賠償法3条1項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有します(国賠法3条)。
つまり、A県が被害者に賠償金の全額を支払ったときは、A県はB市に求償できます。
したがって、機関訴訟ではありません。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問17|行政事件訴訟法・判決の効力

許認可等の申請に対する処分について、それに対する取消訴訟の判決の効力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 申請を認める処分を取り消す判決は、原告および被告以外の第三者に対しても効力を有する。
  2. 申請を認める処分についての取消請求を棄却する判決は、処分をした行政庁その他の関係行政庁への拘束力を有さない。
  3. 申請を拒否する処分が判決により取り消された場合、その処分をした行政庁は、当然に申請を認める処分をしなければならない。
  4. 申請を認める処分が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない。
  5. 申請を拒否する処分に対する審査請求の棄却裁決を取り消す判決は、裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.申請を認める処分を取り消す判決は、原告および被告以外の第三者に対しても効力を有する。
1・・・正しい
処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有します(行政事件訴訟法32条1項)。
したがって、本肢は正しいです。
第三者に対しても効力を有することを「第三者効」と言います。
2.申請を認める処分についての取消請求を棄却する判決は、処分をした行政庁その他の関係行政庁への拘束力を有さない。
2・・・ 正しい
処分又は裁決の取消訴訟について、請求を棄却する判決は、処分を取り消していません。

よって、棄却判決には拘束力はないので、本肢は正しいです。

詳細解説については、個別指導で解説します!

■>>「拘束力」とは?

3.申請を拒否する処分が判決により取り消された場合、その処分をした行政庁は、当然に申請を認める処分をしなければならない。
3・・・誤り
「申請に対する拒否処分」が判決により取り消された場合、改めて、申請に対する処分等を行う必要があります(行政事件訴訟法33条2項)。
本肢のように、当然に「申請を認める処分」をしなければならないわけではありません。
4.申請を認める処分が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分をした行政庁は、判決の趣旨に従い改めて申請に対する処分をしなければならない。
4・・・正しい
「申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決」が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければなりません(行政事件訴訟法33条2項3項)。
したがって、本肢は正しいです。
5.申請を拒否する処分に対する審査請求の棄却裁決を取り消す判決は、裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。
5・・・正しい
選択肢1の解説同様、
処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有します(行政事件訴訟法32条1項)。したがって、本肢は正しいです。

この問題は問題文を理解しないと全く意味がないです。

理解せずに、解説だけ覚える勉強では、実力はつきません。

理解の仕方については、個別指導で解説します!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問15|行政不服審査法・審査請求

行政不服審査法の定める審査請求に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.審査請求は、代理人によってもすることができ、その場合、当該代理人は、各自、審査請求人のために、原則として、当該審査請求に関する一切の行為をすることができるが、審査請求の取下げは、代理人によってすることはできない。

イ.審査庁となるべき行政庁は、必ず標準審理期間を定め、これを当該審査庁となるべき行政庁および関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。

ウ.審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合において、審理の進行のため必要と認めるときに限り、当該申立てをした者に、口頭で意見を述べる機会を与えることができる。

エ.審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。

オ.審査請求人以外の者であって、審査請求に係る処分または不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

ア.審査請求は、代理人によってもすることができ、その場合、当該代理人は、各自、審査請求人のために、原則として、当該審査請求に関する一切の行為をすることができるが、審査請求の取下げは、代理人によってすることはできない。
ア・・・誤り
審査請求は、代理人によってすることができます(行政不服審査法12条1項)。
そして、代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができます。
ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができます(行政不服審査法12条2項)。
したがって、「審査請求の取下げは代理人によってすることはできない」とする本肢は誤りです。
本問は、対比ポイントがあるので、対比ポイントについては、個別指導で解説いたします!

次の試験で行政書士試験に合格するためにも、対比ポイントも一緒に勉強して、効率的な勉強法を実践していきましょう!

イ.審査庁となるべき行政庁は、必ず標準審理期間を定め、これを当該審査庁となるべき行政庁および関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
イ・・・誤り
審査庁となるべき行政庁は、審査請求がその事務所に到達してから当該審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政不服審査法16条)。
したがって、標準審理期間を定めることは、努力義務なので、必ずしも定める必要はありません。
よって、本肢は誤りです。

本問は関連ポイントもあるので、関連ポイントは個別指導で解説していきます!

ウ.審理員は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合において、審理の進行のため必要と認めるときに限り、当該申立てをした者に、口頭で意見を述べる機会を与えることができる。
ウ・・・誤り
審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(申立人)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければなりません。
ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、口頭意見陳述は不要です(行政不服審査法31条1項)。したがって、「審理の進行のため必要と認めるときに限り、口頭で意見を述べる機会を与えることができる」としている本肢は誤りです。
審理員は、原則、申立てがあった場合、口頭で意見を述べる機会を与えないといけません。
エ.審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。
エ・・・正しい
審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継します(行政不服審査法15条1項)。
よって、本肢は正しいです。

注意事項については、個別指導で解説します!

オ.審査請求人以外の者であって、審査請求に係る処分または不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。
オ・・・正しい
利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができます(行政不服審査法13条1項)。
よって、本肢は正しいです。

注意点が2つあるので、個別指導で解説いたします!

注意点が試験でのひっかけポイントになるので、しっかり注意点を押さえていきましょう!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問16|行政不服審査法

次に掲げる行政不服審査法の条文の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

第18条第1項 処分についての審査請求は、[ ア ]から起算して3月・・・(中略)・・・を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

第26条 執行停止をした後において、[ イ ]が明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

第45条第1項 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合・・・(中略)・・・には、審査庁は、[ ウ ]で、当該審査請求を[ エ ]する。

第59条第1項 処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、[ オ ]で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。

  1.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:当該審査請求に理由がないこと ウ:裁決 エ:棄却 オ:裁決
  2.  ア:処分があったことを知った日 イ:執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと ウ:決定 エ:棄却 オ:裁決
  3.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと ウ:裁決 エ:却下 オ:決定
  4.  ア:処分があったことを知った日 イ:当該審査請求に理由がないこと ウ:決定 エ:棄却 オ:裁決
  5.  ア:処分があったことを知った日の翌日 イ:執行停止が公の利益に著しい障害を生ずること ウ:裁決 エ:却下 オ:決定

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

ア.第18条第1項 処分についての審査請求は、[ ア ]から起算して3月・・・(中略)・・・を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
ア・・・「処分があったことを知った日の翌日」
行政不服審査法18条1項は、下記の通り規定されています。
「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1か月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」
つまり、「ア」には「処分があったことを知った日の翌日」が入ります。
この点について、行政書士試験における注意点があるので、注意点は「行書塾」で解説します!
イ.第26条 執行停止をした後において、[ イ ]が明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
イ・・・「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと」
行政不服審査法26条は、下記の通り規定されています。
「執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。」
つまり、「イ」には「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすこと」が入ります。
ウ.エ.第45条第1項 処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合・・・(中略)・・・には、審査庁は、[ ウ ]で、当該審査請求を[ エ ]する。
ウ・・・「裁決」
エ・・・「却下」
行政不服審査法45条1項は、下記の通り規定されています。
「処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。」
つまり、「ウ」には「裁決」が入り「エ」には「却下」が入ります。
この点について、対比して勉強していただきたい部分があるので、対比ポイントは「行書塾」で解説します!
効率的な勉強をするためにも対比学習をしましょう!
オ.第59条第1項 処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、[ オ ]で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
オ・・・「決定」
行政不服審査法59条1項は、下記の通り規定されています。
「処分(事実上の行為を除く。)についての再調査の請求が理由がある場合には、処分庁は、決定で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。」
つまり、「オ」には「決定」が入ります。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問12|行政手続法・行政指導

法令に違反する行為の是正を求める行政指導を国の行政機関が担当する場合に関する次の記述のうち、行政手続法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない。
  2. 行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する必要はない。
  3. 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない。
  4. 行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が法律所定の要件に適合しないと思料する場合、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。
  5. 地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.不利益処分を行う権限を有する行政機関は、法令違反を理由として不利益処分を行おうとする場合、その相手方に対し、緊急を要する場合を除き、あらかじめ行政指導を用いて法令違反行為の是正を求めなければならない。
1・・・誤り
本肢のような規定は、行政手続法には存在しません。
似たような内容は下記の通りです。
「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。(行政手続法36条の2)」
2.行政指導が既に文書により相手方に通知されている事項と同一内容の行政指導である場合、行政機関はその内容を記載した書面を求められても、これを交付する必要はない。
2・・・正しい
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければなりません(行政手続法35条1項)
そして、当該行政指導をする際に行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に当該権限を行使し得る根拠等を示さなければなりません(行政手続法35条2項)。
また、口頭で行政指導をする場合において、その相手方から上述の内容を記載した書面の交付を求められたときは、特別の支障がない限り交付しなければなりません(行政手続法35条3項)。
ただし、既に文書又は電磁的記録によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるものの場合には、これを書面で交付する必要はありません(行政手続法35条4項2号)。
したがって、本肢は、4項2号の内容なので、正しいです。
3.同一の行政目的を実現するために複数の者に対し行政指導をする場合、行政機関はあらかじめ当該行政指導の共通する内容を定め、行政上特別の支障がない限りそれを公表しなければならない。
3・・・正しい
同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければなりません(行政手続法36条)。
したがって、本肢は正しいです。
4.行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が法律所定の要件に適合しないと思料する場合、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止を求めることができる。
4・・・正しい
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2第1項)。
したがって、本肢は正しいです。
5.地方公共団体の機関が国の行政機関から委任を受けて行政指導を行う場合、行政手続法の定める行政指導手続に関する規定は、この行政指導の手続には適用されない。
5・・・正しい
地方公共団体の機関がする行政指導については、行政手続法の規定が適用されない(行政手続法3条3項)。
ただし、地方公共団体は、申請に対する処分、不利益処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければなりません(行政手続法46条)。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問14|行政不服審査法・審査請求

行政不服審査法の定める不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
  2. 不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
  3. 不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
  4. 不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
  5. 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
1・・・妥当でない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
したがって、「法律上の利益を有する者」ができる、としている本肢は妥当ではありません。 「申請をした者」のみ、不作為についての審査請求ができます
2.不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
2・・・妥当でない
不作為についての審査請求は、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができます(行政不服審査法3条)。したがって、本肢は妥当ではありません。

【似たような内容:ヒッカケポイント】 
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる(行政手続法36条の3:処分等の求め)。

3.不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
3・・・妥当でない
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月(正当な理由がある場合を除く)を経過したときは、することができません。(行政不服審査法18条1項)
一方、不作為についての審査請求にはこのような審査請求期間の規定はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができます
したがって、本肢は妥当ではありません。
4.不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
4・・・妥当でない
本肢のような規定は、行政不服審査法には、存在しません。
5.不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。
5・・・妥当
審査請求がされた行政庁(審査庁)は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条1項)。
この審査請求には、処分に対する審査請求だけでなく、不作為に対する審査請求も含まれます
したがって、本肢は妥当です。審査請求については、流れが重要なので、個別指導では、流れも一緒に解説いたします!関連ポイントも一緒に学習して、効率的に勉強を行っていきましょう!

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問13|行政手続法・意見公募手続

行政手続法の定める意見公募手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 命令等制定機関は、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときであっても、内容が完全に同一でなければ、命令等を定めるに当たって意見公募手続を実施しなければならない。
  2. 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たり、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対して提出された当該命令等の案についての意見について、整理または要約することなく、そのまま命令制定後に公示しなければならない。
  3. 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、委員会等の議を経て命令等を定める場合であって、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときには、改めて意見公募手続を実施する必要はない。
  4. 行政庁が、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
  5. 行政指導指針は、行政庁が任意に設定するものであり、また法的な拘束力を有するものではないため、行政指導指針を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.命令等制定機関は、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときであっても、内容が完全に同一でなければ、命令等を定めるに当たって意見公募手続を実施しなければならない。
1・・・誤り
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。
ただし、例外的に、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするときには、上記意見公募手続は不要です(行政手続法39条4項5号)。
よって、「内容が完全に同一でなかった」としても、「実質的に同一の命令」であれば、意見公募手続きは例外的に不要なので、本肢は誤りです。
2.命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たり、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対して提出された当該命令等の案についての意見について、整理または要約することなく、そのまま命令制定後に公示しなければならない。
2・・・誤り
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、下記事項を公示しなければなりません(行政手続法43条1項)。
1.命令等の題名
2.命令等の案の公示の日
3.提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
4.提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由

そして命令等制定機関は、必要に応じ、上記「3.提出意見」に代えて、「当該提出意見を整理又は要約したもの」を公示することができます(行政手続法43条2項前段)。
よって、「整理または要約することなく」公示しなければならないとする本肢は誤りです。

3.命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、委員会等の議を経て命令等を定める場合であって、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときには、改めて意見公募手続を実施する必要はない。
3・・・正しい
命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、自ら意見公募手続を実施する必要はありません(行政手続法40条2項)。
よって、正しいです。
4.行政庁が、不利益処分をするかどうか、またはどのような不利益処分をするかについて、その法令の定めに従って判断するために必要とされる処分基準を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
4・・・誤り
命令等制定機関は、「命令等」を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。これを「意見公募手続」と言います。
そして、処分基準は「命令等」に該当します(行政手続法2条8号ハ)。
したがって、処分基準を定める場合、意見公募手続が必要です。
5.行政指導指針は、行政庁が任意に設定するものであり、また法的な拘束力を有するものではないため、行政指導指針を定めるに当たっては、意見公募手続を実施する必要はない。
5・・・誤り
命令等制定機関は、「命令等」を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない(行政手続法39条1項)
そして、行政指導指針は「命令等」に該当します(行政手続法2条8号ニ)。
したがって、行政指導指針を定める場合、意見公募手続が必要です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問10|行政処分の無効と取消し

行政処分の無効と取消しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。
  2. 行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。
  3. 行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。
  4. 行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。
  5. 行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.行政処分が無効である場合、当該処分はその成立当初から効力を認められないから、当該処分に対する取消訴訟を提起することはできない。
1・・・誤り
行政処分が無効である場合、当該処分は効力を有せず公定力不可争力が生じません。
そして、取消訴訟の中で、行政処分の無効を主張することは可能です。
ただし、行政行為に、重大かつ明白な瑕疵がある場合、公定力はなく、当然に無効となります。
2.行政処分が無効である場合、行政不服審査法が定める審査請求期間にかかわらず、当該行政処分の審査請求をすることができる。
2・・・誤り
処分についての審査請求は、
①処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したとき、または
②処分があった日の翌日から1年を経過したとき
審査請求ができなくなります(行政不服審査法18条)。
これは、行政処分が無効であることについて審査請求をする場合も同じです。
行政不服審査法18条の解説ページはこちら>>
3.行政処分の職権取消しは、当該処分に対する相手方等の信頼を保護する見地から、取消訴訟の出訴期間内に行わなければならない。
3・・・誤り
職権取消し」とは、行政行為の相手方からの取消しの主張を待たずに、行政庁が、違法又は不当であることを理由に行政庁自ら取り消しをすることです。
そして、行政庁が取消しを行う場合、法律の特別な根拠は不要です。また、取消訴訟の出訴期間も適用されません。
なぜなら、行政行為の取消は、違法な行政行為の効力を失わせる行為であり、そもそも、取消さなければならないものだからです。
ただし、授益的行政行為を職権取消しする場合には、一定の制限があります。
行政行為の「取消し」の詳細解説はこちら>>
4.行政処分が職権により取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅するので、これを争う相手方は、当該処分の有効確認の訴えを提起しなければならない。
4・・・誤り
行政処分が取り消された場合、取消しの対象となった処分の効力は消滅します。
これは、「職権取消し」でも同じです。
そして、処分の相手方が、「取り消された当初の処分は有効ですよね?」と裁判所に確認することができます。
これが「有効確認の訴え」です。(無効確認訴訟の逆のイメージ)
そして、この「有効確認の訴え」は義務ではありません。
つまり、しなくてもよい(任意)です。
したがって誤りです。
「当該処分の有効確認の訴えを提起することができる」
としたら〇です。
※有効確認の訴えは、「無効等確認訴訟」の「等」に含まれる、とされています。
5.行政処分の違法を理由として国家賠償を請求するためには、その取消しまたは無効確認の確定判決をあらかじめ得ておく必要はない。
5・・・正しい
判例では、
「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ右行政処分につき取消又は無効確認の判決を得なければならないものではない」
としています(最判昭36.4.21)。つまり、行政処分が違法なことを理由に国家賠償請求をする場合、事前にその処分の取消訴訟や無効等確認訴訟をして勝訴する必要はない、ということです。
「取消訴訟や無効等確認訴訟」を行わずに、いきなり「国家賠償請求訴訟」を提起することも可能です。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問11|行政手続法・申請に対する処分・不利益処分

行政手続法の定める申請に対する処分および不利益処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 行政手続法は、申請に対する処分の審査基準については、行政庁がこれを定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分の処分基準については、行政庁がこれを定めなければならないものとしている。
  2. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、申請者から求めがあったときに限り当該処分の理由を示すべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、処分を行う際に名宛人に対して必ず当該処分の理由を示すべきものとされている。
  3. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与の手続を執らなければならないのに対し、不利益処分をする場合には、聴聞の手続を執らなければならない。
  4. 行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間にかかわる規定を設けていない。
  5. 行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、公聴会を開催するよう努めるべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、公聴会を開催しなければならないものとされている。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.行政手続法は、申請に対する処分の審査基準については、行政庁がこれを定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分の処分基準については、行政庁がこれを定めなければならないものとしている。
1・・・誤り
行政庁は、審査基準を定めるものとする(行政手続法5条1項)。一方、
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法12条1項)。
つまり、審査基準は必ず定めなければならない義務ですが
処分基準は、必ずしも定める必要はない努力義務です。
2.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、申請者から求めがあったときに限り当該処分の理由を示すべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、処分を行う際に名宛人に対して必ず当該処分の理由を示すべきものとされている。
2・・・誤り
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない(行政手続法8条1項本文)。
したがって、申請者の求めがなくても、拒否処分をする場合、理由を示す必要があるので誤りです。一方
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない(行政手続法14条1項本文)。
ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない(行政手続法14条1項ただし書)。
したがって、例外的に理由を示す必要がない場合もあるので「必ず」という記述は誤りです。
3.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与の手続を執らなければならないのに対し、不利益処分をする場合には、聴聞の手続を執らなければならない。
3・・・誤り
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、処分が与える不利益の程度に応じて、意見陳述(聴聞もしくは弁明の機会の付与)のための手続を執らなければなりません(行政手続法13条1項参照)。
そして、「申請を拒否する処分」は、「申請に対する処分」であり、「不利益処分」ではありません(行政手続法2条4号ロ)。
したがって、上記、意見陳述のための手続きは不要です。
よって、本肢の「行政庁が申請を拒否する処分をする場合には、弁明の機会の付与手続を執らなければならない」という記述は誤りです。また、「不利益処分」を行う場合、内容によって「聴聞」と「弁明の機会の付与」のどちらか一方を行うので、「聴聞の手続を執らなければならない」と限定している記述も誤りです。
4.行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間にかかわる規定を設けていない。
4・・・正しい
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
これは「申請に対する処分」にかかる標準処理期間のルールです。
「不利益処分」にかかる、標準処理期間のルールは規定されていません。
したがって、本肢は正しいです。
5.行政庁は、申請を拒否する処分をする場合には、公聴会を開催するよう努めるべきものとされているのに対し、不利益処分をする場合には、公聴会を開催しなければならないものとされている。
5・・・誤り
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
これは、「申請に対する処分」についてのルールで
「不利益処分」をする場合に「公聴会を開催しなければならない」という規定はないので、この点が誤りです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成30年・2018|問9|行政上の法律関係(公法・私法)

行政上の法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
  2. 食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行うことが禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。
  3. 租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
  4. 建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
  5. 公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる。

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【答え】:4

【解説】

1.公営住宅の使用関係については、一般法である民法および借家法(当時)が、特別法である公営住宅法およびこれに基づく条例に優先して適用されることから、その契約関係を規律するについては、信頼関係の法理の適用があるものと解すべきである。
1・・・誤り
公営住宅の使用関係については、
「①公営住宅法及びこれに基づく条例」が「特別法」で
「②民法及び借家法」が「一般法」となります。
特別法と一般法とでは、特別法が優先されることから
「①公営住宅法及びこれに基づく条例(特別法)」が「②民法及び借家法(一般法)」に優先して適用されます。(最判昭59年12月13日)
したがって、本肢は①②が逆になっているので誤りです。
2.食品衛生法に基づく食肉販売の営業許可は、当該営業に関する一般的禁止を個別に解除する処分であり、同許可を受けない者は、売買契約の締結も含め、当該営業を行うことが禁止された状態にあるから、その者が行った食肉の買入契約は当然に無効である。
2・・・誤り
本肢は、「営業許可を受けずにした契約の効力」が問題となった事案の内容です。
判例では、
「食品衛生法は単なる取締法規にすぎず、食肉販売の営業許可を受けない者のした食肉の買入契約は、私法上は無効ではない」
と判示しています。
したがって、営業許可を受けずに、売買契約を締結しても、それは当然に無効とはならず、原則、有効となります。
したがって、誤りです。
そして、許可のない私法上の契約が、有効か無効かを判断するには、
その許可の根拠となる行政法規が「強行法規」か「取締法規」かで判断します。
「強行法規」に違反した場合は、私法契約(売買契約等)も無効になり
「取締法規」に違反したに過ぎない場合は、私法契約は無効とはならないと解されています。
「最判昭35.3.18:営業許可を受けずにした契約の効力」の詳細はこちら>>
3.租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。
3・・・誤り
本肢は、「租税滞納処分による差押えと民法177条」が問題となった事案の内容です。
判例では、
「税滞納処分においては、国は、その有する租税債権につき、自ら執行機関として、強制執行の方法により、その満足を得ようとするものであって、滞納者の財産を差し押えた国の地位は、民事訴訟法上の強制執行における差押債権者の地位に類する。
そして、当該債権(租税債権)がたまたま公法上のものであるからといって、国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を受ける理由はない。
それ故、滞納処分による差押の関係においても、民法177条の適用がある。」
としています。
したがって、本肢は誤りです。

具体例は、個別指導で解説します!

「最判昭31.4.24:租税滞納処分による差押えと民法177条」の詳細はこちら>>

4.建築基準法において、防火地域または準防火地域内にある建築物で外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされているところ、この規定が適用される場合、建物を築造するには、境界線から一定以上の距離を保たなければならないとする民法の規定は適用されない。
4・・・正しい
本肢は、「建築基準法65条と民法234条1項の関係」が問題になった事案である。
民法234条1項は、「建物を建築するには、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない」と規定しています。
一方、建築基準法65条は「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」
と規定しています。
つまり、上記2つが矛盾するため、どのように処理するかが論点となります。
この点について、判例では、
建築基準法65条は、防火地域又は準防火地域内にある外壁が耐火構造の建築物について、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる旨規定しているが、これは、同条所定の建築物に限り、その建築については民法234条1項の規定の適用が排除される旨を定めたものと解するのが相当
としています(最判平元.9.19:建築基準法65条と民法234条1項の関係)。考え方は、個別指導で解説いたします!
5.公営住宅を使用する権利は、入居者本人にのみ認められた一身専属の権利であるが、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の目的にかんがみ、入居者が死亡した場合、その同居の相続人がその使用権を当然に承継することが認められる。
5・・・誤り
本肢は、「公営住宅の使用権が相続されるか否か」が問題となった事案である。
判例では、
「公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば、入居者が死亡した場合には、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はない」
としています(最判平2.10.18)。
つまり、公営住宅の使用権は、相続されないということです。

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平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 著作権の関係上省略 問31 民法:債権
問2 法令用語 問32 民法:債権
問3 判決文の理解 問33 民法:債権
問4 学問の自由 問34 民法:親族
問5 生存権 問35 民法:親族
問6 参政権 問36 商法
問7 天皇・内閣 問37 会社法
問8 行政代執行法 問38 会社法
問9 公法と私法 問39 会社法
問10 無効と取消し 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政事件訴訟
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・社会
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・その他
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・社会
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・その他
問24 地方自治法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法の判例 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略