2014年過去問

平成26年・2014|問7|憲法

法令相互の関係に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。
  2. 国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。
  3. 法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。
  4. 最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。
  5. 憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。
1・・・妥当ではない
判例によると、
「憲法31条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によってそれ以下の法令(条例も含む)によって定めることもでき、条例によって刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りる」としています。よって、「法律による個別具体的な授権」までは必要ではありません。

本問については、関連ポイントがあるので、関連ポイントは個別指導で解説いたします!

2.国会による条約の承認には、予算と同様の衆議院の優越が適用され、法律の議決の方がより厳格な手続を要するので、条約の国内法的効力は、法律に劣る。
2・・・妥当ではない
条約の国内法的効力」と「法律の効力」を比べると「条約」の方が上です。
よって、「条約の国内法的効力は、法律に劣る」という記述は妥当ではありません。

この問題は関連ポイントも一緒に勉強した方が効率的なので、関連ポイントは個別指導で解説いたします!

3.法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできないが、緊急の必要がある場合、国会の事後の承認を条件に、そのような定めを政令で行うことは、必ずしも違憲とはいえない。
3・・・妥当ではない
内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定します。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができません(憲法73条6号)。
また、政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができません(内閣法11条)。
つまり、法律の委任がなければ、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできず、例外はないということです。
本肢は、「緊急の必要がある場合は、政令によって国民に義務を課し、もしくはその権利を制限することはできる」という趣旨なので妥当ではありません。
違憲となります。

何を言っているかは、具体例を出すとわかりやすいので、個別指導では具体例を入れて解説いたします!

4.最高裁判所は、裁判所の内部規律・司法事務処理に関し規則を制定することができるが、訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない。
4・・・妥当ではない
最高裁判所は、①訴訟に関する手続②弁護士、裁判所の内部規律及び③司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有します(憲法77条)。
よって、本肢の「訴訟手続や弁護士に関する定めは法律事項であるから、規則で定めることはできない」は妥当ではありません。
5.憲法は両議院に対し自律権を認め、議院内部の事項について自主的に議事規則を定める権能を伴与しているが、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定している。
5・・・妥当
両議院(衆議院および参議院)は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができます憲法58条2項)。
また、国会法は、両議院と政府等の関係や議院相互の関係にとどまらず、議院内部の事項をも規定しています。例えば、国会法第56条の4では「各議院は、他の議院から送付又は提出された議案と同一の議案を審議することができない。」、国会法61条では「各議院の議長は、質疑、討論その他の発言につき、予め議院の議決があつた場合を除いて、時間を制限することができる」としています。
よって、本肢は妥当です。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問5|憲法・法の下の平等

投票価値の平等に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。
  2. 投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。
  3. 衆議院議員選挙については、的確に民意を反映する要請が強く働くので、議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。
  4. 参議院議員選挙区選挙は、参議院に第二院としての独自性を発揮させることを期待して、参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものであるから、かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない。
  5. 地方公共団体の議会の議員の定数配分については、地方自治の本旨にもとづき各地方公共団体が地方の実情に応じ条例で定めることができるので、人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。

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【答え】:1

【解説】

1.議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、憲法に違反する不平等を生ぜしめている部分のみならず、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。
1・・・妥当
判例によると、議員定数配分規定が違憲となる場合、定数配分規定全体が違憲となる、としています。
具体的には
「選挙区割及び議員定数の配分は、議員総数と関連させながら、複雑、微妙な考慮の下で決定される。一旦このようにして決定されたものは、一定の議員総数の各選挙区への配分として、相互に有機的に関連し、一の部分における変動は他の部分にも波動的に影響を及ぼすべき性質を有する。その意味において不可分の一体をなすと考えられるから、定数配分規定は、単に憲法に違反する不平等を招いている部分のみでなく、全体として違憲の瑕疵を帯びるものと解すべきである。」
と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

分かりづらい言葉なども含まれているので、何を言っているのかは個別指導で解説いたします!

2.投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となるが、不均衡の是正のために国会に認められる合理的是正期間を経過していなければ、事情判決の法理により選挙を有効とすることも許される。
2・・・妥当ではない
選択肢1と同じ判例によると
「具体的な比率の偏差が選挙権の平等の要求に反する程度となつたとしても、これによって直ちに当該議員定数配分規定を憲法違反とすべきものではなく、人口の変動の状態をも考慮して合理的期間内における是正が憲法上要求されていると考えられるのにそれが行われない場合に始めて憲法違反となる
と判示しています。
よって、「投票価値の不平等が、国会の合理的裁量の範囲を超えると判断される場合には、選挙は違憲・違法となる」が誤りです。判例では、合理的期間が経過したにも関わらず是正をしない場合憲法違反となるといっているからです。
3.衆議院議員選挙については、的確に民意を反映する要請が強く働くので、議員1人当たりの人口が平等に保たれることが重視されるべきであり、国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。
3・・・妥当ではない
選択肢1と同じ判例によると
「憲法は、投票価値の平等についても、これをそれらの選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、
国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他にしんしゃくする(事情をくみ取る)ことのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができるのであり、」
と判示しています。
したがって、「人口が平等保たれること」だけでなく、他にくみ取ることができる事情があれば、その事情も考慮して決定することができます。よって、「国会がそれ以外の要素を考慮することは許されない。」は妥当ではありません。

4.参議院議員選挙区選挙は、参議院に第二院としての独自性を発揮させることを期待して、参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものであるから、かかる仕組みのもとでは投票価値の平等の要求は譲歩・後退を免れない。

4・・・妥当ではない
判例によると、参議院議員も衆議院議員もいずれも、全国民の代表としての地位を付与されたとしており、本肢の「参議院議員に都道府県代表としての地位を付与したものである」という記述は誤りです。
5.地方公共団体の議会の議員の定数配分については、地方自治の本旨にもとづき各地方公共団体が地方の実情に応じ条例で定めることができるので、人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない。
5・・・妥当ではない
判例によると
「地方公共団体の議会の議員の選挙に関し、当該地方公共団体の住民が選挙権行使の資格において平等に取り扱われるべきであるにとどまらず、その選挙権の内容、すなわち投票価値においても平等に取り扱われるべきであることは、憲法の要求するところであり、公選法15条7項は、憲法の右要請を受け、地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求している」
と判示しています。

つまり、地方公共団体の議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準としているので、
本肢の「人口比例が基本的な基準として適用されるわけではない」は妥当ではありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問4|憲法・経済的自由

行政書士をめざすA君は、いくつかの最高裁判所判決を読みながら、その重要な部分を書き取ったカードを作成し、判例の論理をたどろうとしていたところ、うっかりしてカードをばらまいてしまった。その際に、要約ミスのため捨てるはずだった失敗カードが1枚混ざってしまったため、全体としてつじつまがあわなくなった。以下の1~5のうち、捨てるはずだった失敗カードの上に書かれていた文章はどれか。

  1. 一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある。
  2. 憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。
  3. しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。
  4. のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。
  5. おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいてのみ許されるべきである。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある。
1・・・正しい
薬事法距離制限事件の判例によると
「一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、
これとの均衡上、役務提供者(薬局)に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある。しかし、薬事法その他の関係法令は、医薬品の供給の適正化措置として右のような強力な規
制を施してはいない。

したがって、その反面において既存の薬局等にある程度の独占的地位を与える必要も理由もなく、本件適正配置規制にはこのような趣旨、目的はなんら含まれていないと考えられる。」
と判示しています。

よって、本肢は、正しいです。

判例の内容は分かりにくいので、判例がどのようなことを言っているのかについては、個別指導で解説します!

2.憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。
2・・・正しい
小売市場距離制限事件の判例によると
憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきでありひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる

しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、

各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、

公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである(選択肢3)。
と判示しています。

よって、本肢は正しいです。

この判例は、理解が必要なので、個別指導で、理解の仕方を解説いたします!

3.しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。
3・・・正しい
選択肢2の解説の通り、本肢の内容も小売市場距離制限事件の判例に含まれています。
4.のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。
4・・・正しい
選択肢の2の判例の続きに
「憲法22条1項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいて許されるべきことはいうまでもない(選択肢5)のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、

その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである

このような点を総合的に考察すると、憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、

個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なって、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当であり、

国は、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もって社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により(法令を定めて)、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、許されるべきであって、決して、憲法の禁ずるところではない」
と判示しています。

よって、本肢も正しいです。

5.おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいてのみ許されるべきである。
5・・・誤り
選択肢4の内容から
「消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいて許されるべき」
と判示しており「消極的に、かような弊害を…合理的な規制である限りにおいて『のみ』許されるべきである」とは判示していません

「のみ」とは言っていません。
それ以外の場合でも、許される場合はあるので、誤りです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問51|基礎知識・社会

核軍縮・核兵器問題への国際社会の対応に関する次のア~オの記述のうち、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 包括的核実験禁止条約(CTBT)は、国連総会で採択され、その後、米中やインド・パキスタンを含む多くの国連加盟国が署名・批准を済ませ発効した。

イ 東南アジア・中南米・アフリカなどの地域では、非核兵器地帯を創設する多国間条約が締結されている。

ウ 冷戦中、米ソ両国は中距離核戦力(INF)の全廃に向けて何度も交渉を行ったが難航し、条約の締結までには至らなかった。

エ 核兵器非保有国への核兵器移譲や核兵器非保有国の核兵器製造を禁止する核拡散防止条約(NPT)では、米露英仏中の5ヵ国が核兵器保有国と規定されている。

オ 核拡散防止条約(NPT)では、核兵器非保有国の原子力(核)の平和利用は認められているが、軍事転用を防止するために国際原子力機関(IAEA)の査察を受ける義務を負う。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア 包括的核実験禁止条約(CTBT)は、国連総会で採択され、その後、米中やインド・パキスタンを含む多くの国連加盟国が署名・批准を済ませ発効した。
ア・・・妥当ではない
包括的核実験禁止条約(CTBT)は、1996年に国連総会で採択されました。
そして、アメリカ・イスラエル・イラン・エジプト・中華人民共和国は署名のみで批准していません。また、インド・パキスタン・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は署名・批准どちらもしていません
よって、本肢は妥当ではありません。

ちなみに、日本は批准しています。

イ 東南アジア・中南米・アフリカなどの地域では、非核兵器地帯を創設する多国間条約が締結されている。
イ・・・妥当
東南アジアの地域については非核化を定めた非核地帯条約(東南アジア非核兵器地帯条約:バンコク条約)が締結されています。中南米地域については、兵器の実験・使用・製造・生産・取得・貯蔵・配備等を禁止する非核化条約(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約:トラテロルコ条約)が締結されています。

アフリカ地域については、アフリカ大陸の非核化を定めた非核地帯条約(アフリカ非核兵器地帯条約:ペリンダバ条約)が締結されています。

したがって、本肢は妥当です。

ウ 冷戦中、米ソ両国は中距離核戦力(INF)の全廃に向けて何度も交渉を行ったが難航し、条約の締結までには至らなかった。
ウ・・・妥当ではない
中距離核戦力全廃条約(INF)は、アメリカとソ連との間に結ばれた軍縮条約の一つで、中射程の弾道ミサイル、巡航ミサイルを全て廃棄することを目的としており、条約締結に至っています
よって、本肢は妥当ではないです。
ただし、2019年2月1日に、アメリカは、ロシア(旧ソ連)に本条約の破棄を通告しており、これを受けてロシア連邦も条約義務履行の停止を宣言しました。
6ヶ月後の2019年8月2日に失効した。
エ 核兵器非保有国への核兵器移譲や核兵器非保有国の核兵器製造を禁止する核拡散防止条約(NPT)では、米露英仏中の5ヵ国が核兵器保有国と規定されている。
エ・・・妥当
核兵器の不拡散に関する条約(核拡散防止条約:NPT)は、核軍縮を目的に、「アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国」の5か国以外核兵器の保有を禁止する条約です。
上記5か国以外の国への核兵器移譲や核兵器非保有国の核兵器製造を禁止しています。
よって本肢は正しい内容です。
オ 核拡散防止条約(NPT)では、核兵器非保有国の原子力(核)の平和利用は認められているが、軍事転用を防止するために国際原子力機関(IAEA)の査察を受ける義務を負う。
オ・・・妥当
選択肢4にもある核拡散防止条約(NPT)では、核兵器非保有国原子力(核)の平和利用は認められているが、軍事転用を防止するために国際原子力機関(IAEA)査察を受ける義務を負います。
詳細は個別指導で解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問48|基礎知識・政治

日本の中央政府の行政改革について、平成13年(2001年)に実施した省庁再編の内容として妥当なものの組合せはどれか。

ア 環境庁を環境省に移行した。
イ 防衛庁、海上保安庁の2庁を防衛省に統合した。
ウ 首相府、沖縄開発庁、経済企画庁の1府2庁を内閣府に統合した。
エ 運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁の2省2庁を国土交通省に統合した。
オ 自治省、総務庁、金融庁、文化庁、気象庁の1省4庁を総務省に統合した。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア 環境庁を環境省に移行した。
ア・・・妥当
平成13年(2001年)の省庁再編により、環境庁が廃止され新たに環境省が設置されました。
イ 防衛庁、海上保安庁の2庁を防衛省に統合した。
イ・・・妥当ではない
海上保安庁は、国土交通省の外局です。
したがって、防衛省ではありません。
よって、誤りです。2007年(平成19年)に防衛庁設置法が防衛省設置法に改題され、防衛庁防衛省に改められました。

この点については、関連ポイントも併せて覚えていただきたいので、関連ポイントは個別指導で解説します!

ウ 首相府、沖縄開発庁、経済企画庁の1府2庁を内閣府に統合した。
ウ・・・妥当ではない
平成13年(2001年)の省庁再編により、①総理府、②沖縄開発庁、③経済企画庁の1府2庁が内閣府に統合されました。なお、「首相府」とは、具体的な名称ではなく、日本の場合、「内閣府」や「首相官邸」を指します。
エ 運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁の2省2庁を国土交通省に統合した。
エ・・・妥当
平成13年(2001年)の省庁再編により、①運輸省、②建設省、③北海道開発庁、④国土庁の2省2庁が国土交通省に統合されました。
オ 自治省、総務庁、金融庁、文化庁、気象庁の1省4庁を総務省に統合した。
オ・・・妥当ではない
平成13年(2001年)の省庁再編により、
  • ①自治省②総務庁総務省に統合され
  • 金融庁内閣府に統合され、
  • 文化庁文部科学省に統合され、
  • 気象庁国土交通省に統合されました。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問47|基礎知識・政治

日本の政治資金に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 政党への公的助成である政党交付金の総額は、人口に250円を乗じて得た額を基準として予算に定めることとされている。
  2. 政党交付金は、国会に一定の議席を持つ受給資格のある全政党が受給しており、それらの政党では政治資金源の約半分を政党交付金に依存している。
  3. 政府は、政治腐敗防止のために政治資金規正法の制定を目指したが、国会議員からの反対が強く、まだ成立には至っていない。
  4. 政党への企業・団体献金は、政治腐敗防止のために禁止されているが、違法な政治献金が後を絶たない。
  5. 政治資金に占める事業収入の割合は、政党交付金の受給資格がある全政党で極めて低くなっている。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.政党への公的助成である政党交付金の総額は、人口に250円を乗じて得た額を基準として予算に定めることとされている。
1・・・正しい
政党交付金の総額の基準は「人口×250円」です。
2019年の日本の人口は1億2632万人とすると、政党交付金の目安は315億8000万円です。実際、2019年の政党交付金の総額は約317億7000万円です。
ほぼ近い金額となっています。
2.政党交付金は、国会に一定の議席を持つ受給資格のある全政党が受給しており、それらの政党では政治資金源の約半分を政党交付金に依存している。
2・・・誤り
政党交付金は、国会に一定の議席を持つ受給資格のある政党であれば、受給することができます。
日本共産党は、受給資格はあるものの、政党交付金を受給していません。その理由については、日本共産党のHPに記載しています。
3.政府は、政治腐敗防止のために政治資金規正法の制定を目指したが、国会議員からの反対が強く、まだ成立には至っていない。
3・・・誤り
政治資金規正法は、1948年に制定されています。
よって、誤りです。政治資金規正法の目的は下記の通りです。

1条(目的)
政治敷金規正法は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。

4.政党への企業・団体献金は、政治腐敗防止のために禁止されているが、違法な政治献金が後を絶たない。

4・・・誤り

  • 「政党」及び「政党が指定する政治資金団体」への献金は、個人献金、企業献金ともに許されています
  • 「政治家個人」への献金は、個人献金、企業献金ともに原則、禁止です。

よって、 「政党への企業・団体献金は、政治腐敗防止のために禁止されている」が誤りです。

5.政治資金に占める事業収入の割合は、政党交付金の受給資格がある全政党で極めて低くなっている。
5・・・誤り
日本共産党については政治資金に占める事業収入の割合は、約80~90%あります。
選択肢2の「日本共産党は政党交付金を受け取っていない」というのは、裏を返すと、事業収入があるから、受給しなくても運営できているということです。
よって、本肢は、「政党交付金の受給資格がある全政党で極めて低くなっている」というのは誤りです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問46|民法・記述

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

Xは、甲土地をYに対して売却する契約(以下、「本件契約」という。)を締結したが、Xは、本件契約時において、売却した甲土地はAが所有するものであってXに属しないことを知らなかった。その後、Xは、Aに対して甲土地の売却を申し入れたが、拒絶されたため、結局、その所有権を取得してYに移転することができなかった。このような場合において、善意の売主Xは、買主Yに対し、本件契約を解除する旨の意思表示をしたい。解除にあたって、本件契約時に甲土地の所有権がXに属しないことについて、Yが悪意のときは、どのようなことをし、Yが善意のときは、それに加えてどのようなことをすればよいか。「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」に続けて、民法の規定を踏まえて、それぞれ10字~20字程度で記述しなさい(「Yが悪意のときは、」および「Yが善意のときは、それに加えて、」は、記述すべき字数に含まれない)。

>解答と解説はこちら


【答え】:-

【解説】

民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問45|民法・記述

Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら

【答え】:詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

【解説】

状況としては

  1. Aは複数の債権者から債務を負っていた(債務者A)
  2. 債権者の一人で懇意にしているBに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した
  3. その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。

上記の状況において、Aのほかの債権者Xは、自己の債権を保全するための対応を考えます。

考えるべき点は

①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」として、「③どのような対応」をとるかです。

「①どのような権利」「②誰を相手にするか」について

まず、頭に入れておくべきルールは詐害行為取消請求です。

債権者Xは、債務者Aが債権者Xを害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者B)がその行為の時において債権者Xを害することを知らなかったときは、この限りでない(民法424条1項)。

本問の場合、受益者B以外に、転得者Cもいます。

そして、この点については

債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、転得者が「債務者がした行為が債権者を害すること」を知っていたとき(悪意のとき)に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができます(民法424条の5)。

本問をみると、「事情を知らないC」となっているので、Cは善意です。
したがって、善意の転得者Cに対して詐害取消請求を行うことはできません

よって、「①どのような権利」に基づき、「②誰を相手」にするかについては

「①詐害行為取消権に基づき、②Bを相手に」となります。

では、「③どのような対応」を取るか?

「裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める」対応を取ります。

これらをまとめると

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判上の請求により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(48字)

ですが、文字数が多いので。一部省略して、

詐害行為取消権に基づき、Bを相手に、裁判により、代物弁済契約を取消し、価格賠償を求める。(44字)

となります。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問44|行政法・記述

A市は、同市内に市民会館を設置しているが、その運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられており、利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている。住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼び、また、その設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関によりどのような形式で決定されるか。さらに、同法によれば、その運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか。40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら


【答え】:公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)

【解説】

問題文の状況

  • A市は、同市内に市民会館を設置している
  • 市民会館の運営は民間事業者である株式会社Bに委ねられている
  • 利用者の申請に対する利用の許可なども、Bによってなされている

質問内容

質問内容は、下記4点です。

  1. 住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?
  2. 市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?
  3. また、どのような形式で決定されるか?
  4. 市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

これらを一つ一つ考えていき、それを繋げればよいです。

住民の福利を増進するためその利用に供するために設置される市民会館などを地方自治法は何と呼ぶか?

普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとします(地方自治法244条1項)。
つまり、市民会館のような公共の施設を、地方自治法では「公の施設」と呼びます。

市民会館等の設置などに関する事項は、特別の定めがなければ、どの機関により決定されるか?

条例を設け又は改廃することは、普通地方公共団体の議会の議決によります(地方自治法96条1項1号)。
したがって、どの機関により決定するかというと「議会の議決」により決定します。

また、どのような形式で決定されるか?

普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、「条例」でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2の1項)。
つまり、どのような形式かというと「条例」という形式で決定されます。

市民会館等の運営に当たるBのような団体は、何と呼ばれるか?

普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの(「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができます(地方自治法244条の2の3項)。

したがって、市民会館等の運営に当たるBのような団体は「指定管理者」と呼ばれます。

そして、1~4をまとめると、

公の施設と呼び、A市議会による条例で定められ、Bのような団体は指定管理者と呼ばれる。(42字)
となります。

平成26年・2014|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
地方公務員法の目的は、「地方公共団体の人事機関並びに・・・人事行政に関する[ ア ]を確立することにより、地方公共団体の行政の[ イ ]的かつ[ ウ ]的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もつて[ エ ]の実現に資すること」(同法1条)にあると定められている。まず、これを、国家公務員法の目的規定(同法1条1項)と比べてみると、[ ア ]、[ イ ]、[ ウ ]という文言は共通であるが、[ エ ]は含まれていない。[ ア ]という文言は、法律による規律は大枠にとどめ、地方公務員制度の場合には地方公共団体の、国家公務員制度の場合には独立行政委員会たる人事院の判断を尊重する趣旨である。次に、地方公務員法の目的規定を、国家行政組織法の目的規定(同法1条)と比べてみると、「[ ウ ]」という文言だけが共通に用いられている。この文言は、国民・住民の税負担に配慮した行政組織運営を心がけるべきことを言い表していると考えられる。なお、[ イ ]的行政運営と[ ウ ]的行政運営とはしばしば相対立するが、行政組織が国民主権・住民自治を基盤とすることに鑑みれば、[ イ ]的な運営が優先されるべきであろう。さらに、地方公務員法の目的規定を、地方自治法の目的規定(同法1条)と比べてみると、[ イ ]、[ ウ ]、[ エ ]という文言が共通に用いられている。すなわち同法は、「[ エ ]に基づいて、・・・[ イ ]的にして[ ウ ]的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障すること」をその目的として掲げているのである。[ エ ]は、これらの立脚点であるとともに、実現すべき目標であるということになる。
1.処分基準 2.基本的人権 3.一般 4.成績主義 5.根本基準 6.安定 7.系統 8.能率 9.健全な財政運営 10.総合 11.自主 12.職階制 13.一体 14.地方自治の本旨 15.地域 16.審査基準 17.科学的人事管理 18.民主 19.職域自治 20.権限配分原則
>解答と解説はこちら
【答え】:ア:5、イ:18、ウ:8、エ:14
【解説】
地方公務員法の目的は、「地方公共団体の人事機関並びに・・・人事行政に関する[ア:根本基準]を確立することにより、地方公共団体の行政の[イ:民主]的かつ[ウ:能率]的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もつて[エ:地方自治の本旨]の実現に資すること」(同法1条)にあると定められている。まず、これを、国家公務員法の目的規定(同法1条1項)と比べてみると、[ア:根本基準]、[イ:民主]、[ウ:能率]という文言は共通であるが、[エ:地方自治の本旨]は含まれていない。[ア:根本基準]という文言は、法律による規律は大枠にとどめ、地方公務員制度の場合には地方公共団体の、国家公務員制度の場合には独立行政委員会たる人事院の判断を尊重する趣旨である。次に、地方公務員法の目的規定を、国家行政組織法の目的規定(同法1条)と比べてみると、「[ウ:能率]」という文言だけが共通に用いられている。この文言は、国民・住民の税負担に配慮した行政組織運営を心がけるべきことを言い表していると考えられる。なお、[イ:民主]的行政運営と[ウ:能率]的行政運営とはしばしば相対立するが、行政組織が国民主権・住民自治を基盤とすることに鑑みれば、[イ:民主]的な運営が優先されるべきであろう。さらに、地方公務員法の目的規定を、地方自治法の目的規定(同法1条)と比べてみると、[イ:民主]、[ウ:能率]、[エ:地方自治の本旨]という文言が共通に用いられている。すなわち同法は、「[エ:地方自治の本旨]に基づいて、・・・[イ:民主]的にして[ウ:能率]的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障すること」をその目的として掲げているのである。[エ:地方自治の本旨]は、これらの立脚点であるとともに、実現すべき目標であるということになる。
まず、初めに、 法律の第1条にはその法律の目的が記述されており、 地方公務員法第1条(地方公務員法の目的)は、 「この法律は、地方公共団体の人事機関並びに地方公務員の任用、職階制、給与、勤務時間その他の勤務条件、休業、分限及び懲戒、服務、研修及び勤務成績の評定、福祉及び利益の保護並びに団体等人事行政に関する根本基準を確立することにより、地方公共団体の行政の民主的かつ能率的な運営並びに特定地方独立行政法人の事務及び事業の確実な実施を保障し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的とする。」と規定しています。 したがって、「アには根本基準」「イには民主」「ウには能率」「エには地方自治の本旨」が入ります。 この点については法律の条文の読み方をしっかり理解していれば、その他の問題や条文理解も飛躍的に向上します。 なので、個別指導では、根本的な基礎力を付けるために「法律の条文の読み方」を解説します。
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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略