2014年過去問

平成26年・2014|問42|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ ア ]の例による。」と規定しているが、同法には、行政事件訴訟の特性を考慮したさまざまな規定が置かれている。
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[ イ ]をすることができない。」と規定されており、それに対応して、執行停止のほか、仮の義務付け、仮の差止めという形で仮の救済制度が設けられている。それらの制度の要件はそれぞれ異なるが、内閣総理大臣の異議の制度が置かれている点で共通する。
また、処分取消訴訟については、「[ ウ ]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[ エ ]についても認められている。

1.関連請求の訴え 2.仮処分 3.訴訟の一般法理 4.当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体 5.訴えの取下げ 6.民事執行 7.適正手続 8.訴えの利益の消滅 9.処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関する争い 10.保全異議の申立て 11.行政上の不服申立て 12.強制執行 13.訴訟の提起 14.民事訴訟 15.執行異議の申立て 16.当該処分をした行政庁以外の行政庁 17.訴えの変更 18.保全命令 19訴訟の結果 20.公益代表者としての検察官

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【答え】:ア:14、イ:2、ウ:19、エ:16

【解説】

行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ア:民事訴訟]の例による。」と規定しているが、同法には、行政事件訴訟の特性を考慮したさまざまな規定が置かれている。
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[イ:仮処分]をすることができない。」と規定されており、それに対応して、執行停止のほか、仮の義務付け、仮の差止めという形で仮の救済制度が設けられている。それらの制度の要件はそれぞれ異なるが、内閣総理大臣の異議の制度が置かれている点で共通する。
また、処分取消訴訟については、「[ウ:訴訟の結果]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[エ:当該処分をした行政庁以外の行政庁]についても認められている。

ア.行政事件訴訟法は、「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、[ ア ]の例による。」と規定している

ア・・・民事訴訟
行政事件訴訟法7条には「行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による」と規定されています。
つまり、行政事件訴訟について、行政事件訴訟法に定められてない内容については、民事訴訟法が適用されるということです。
イ.
まず、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法…に規定する[ イ ]をすることができない。」と規定されており
イ・・・仮処分
行政事件訴訟法44条には「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない」と規定されています。
つまり、行政庁の処分には、民事保全法の仮処分はできないということですが、どういうことか理解しましょう。
理解の仕方は個別指導で解説します!
ウ.
処分取消訴訟については、「[ ウ ]により権利を害される第三者」に手続保障を与えるため、このような第三者の訴訟参加を認める規定が置かれている。
ウ・・・訴訟の結果
行政事件訴訟法22条1項には、「裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる」と規定されています。
エ.
行政事件訴訟法に基づく訴訟参加は、このような第三者のほかに[ エ ]についても認められている。
エ・・・当該処分をした行政庁以外の行政庁
裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができます(行政事件訴訟法23条1項)。
したがって、訴訟に参加できる者について、「処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁」も認められているということです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問20|損失補償

土地収用に伴う土地所有者に対する損害補償について、妥当な記述はどれか。

  1. 土地収用に伴う損失補償は、「相当な補償」で足るものとされており、その額については、収用委員会の広範な裁量に委ねられている。
  2. 土地収用に伴う損失補償を受けるのは、土地所有者等、収用の対象となる土地について権利を有するものに限られ、隣地の所有者等の第三者が補償を受けることはない。
  3. 収用委員会の収用裁決によって決定された補償額に起業者が不服のある場合には、土地所有者を被告として、その減額を求める訴訟を提起すべきこととされている。
  4. 土地収用に伴う土地所有者に対する補償は、その土地の市場価格に相当する額に限られ、移転に伴う営業利益の損失などは、補償の対象とされることはない。
  5. 土地収用に関しては、土地所有者の保護の見地から、金銭による補償が義務付けられており、代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.土地収用に伴う損失補償は、「相当な補償」で足るものとされており、その額については、収用委員会の広範な裁量に委ねられている。
1・・・妥当ではない
判例によると
「土地収用法による補償金の額は、「相当な価格」(同法七一条参照)等の不確定概念をもって定められているものではあるが、右の観点から、通常人の経験則及び社会通念に従って、客観的に認定され得るものであり、かつ、認定すべきものであって、補償の範囲及びその額の決定につき収用委員会に裁量権が認められるものと解することはできない。」
と判示しています。
つまり、収用委員会の広範な裁量に委ねられてないので、本肢は妥当ではありません。

土地収用法71条(土地等に対する補償金の額)
収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に、権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

2.土地収用に伴う損失補償を受けるのは、土地所有者等、収用の対象となる土地について権利を有するものに限られ、隣地の所有者等の第三者が補償を受けることはない。
2・・・妥当ではない
土地を収用し、又は使用して、その土地を事業の用に供することにより、当該土地及び残地以外の土地について、通路、溝、垣、さくその他の工作物を新築し、改築し、増築し、若しくは修繕し、又は盛土若しくは切土をする必要があると認められるときは、起業者は、これらの工事をすることを必要とする者の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければなりません土地収用法93条1項)。
したがって、「隣地の所有者等の第三者」も保証を受けることができるので、本肢は妥当ではありません。
3.収用委員会の収用裁決によって決定された補償額に起業者が不服のある場合には、土地所有者を被告として、その減額を求める訴訟を提起すべきこととされている。
3・・・妥当
損失の補償に関する訴えについて、
  • 訴えを提起した者が起業者であるときは、土地所有者又は関係人を被告として
  • 訴えを提起した者が土地所有者又は関係人であるときは、起業者を被告として

訴えを提起しなければなりません(土地収用法133条3項)。
よって、本肢は妥当です。
ちなみに本件訴訟を「形式的当事者訴訟」と言います。

4.土地収用に伴う土地所有者に対する補償は、その土地の市場価格に相当する額に限られ、移転に伴う営業利益の損失などは、補償の対象とされることはない。
4・・・妥当ではない
損失補償については、「土地の収用に対する補償」のほか、「離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することによって土地所有者又は関係人が通常受ける損失」は、補償しなければなりません(土地収用法88条)。
したがって、「移転に伴う営業利益の損失などは、補償の対象とされることはない」は妥当ではありません。
5.土地収用に関しては、土地所有者の保護の見地から、金銭による補償が義務付けられており、代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない。
5・・・妥当ではない
損失の補償は、原則、金銭をもって行います。ただし、収用委員会の裁決があった場合は、代替地の提供その他補償の方法によって行ってもよいです(土地収用法70条)。
よって、本肢の「代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない」は妥当ではありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問3|憲法・幸福追求権・プライバシー権

憲法13条に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 幸福追求権について、学説は憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であると解するが、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとる。
  2. 幸福追求権の内容について、個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解があり、これを「一般的行為自由説」という。
  3. プライバシーの権利について、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという消極的側面と並んで、積極的に自己に関する情報をコントロールする権利という側面も認める見解が有力である。
  4. プライバシーの権利が、私法上、他者の侵害から私的領域を防御するという性格をもつのに対して、自己決定権は、公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱う。
  5. 憲法13条が幸福追求権を保障したことをうけ、人権規定の私人間効力が判例上確立された1970年代以降、生命・身体、名誉・プライバシー、氏名・肖像等に関する私法上の人格権が初めて認められるようになった。

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【答え】:3

【解説】

1.幸福追求権について、学説は憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であると解するが、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとる。
1・・・誤り
判例によると、肖像権について
「憲法13条は、国民の私生活上の自由が、国家権力に対しても保護されることを規定している。
そして、個人の私生活上の自由として、承諾なしに、みだりにその容ぼう等を撮影されない自由をする。
よって、肖像権は憲法13条によって保障されている」
と判示しています。つまり、判例は、新しい人権(肖像権)は、「一般的かつ包括的な権利」とは言っておらず、「裁判上の救済を受けることのできる具体的権利」と言っています。したがって、判例は立法による具体化を必要とするプログラム規定だという立場をとるという点は、誤りです。
2.幸福追求権の内容について、個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解があり、これを「一般的行為自由説」という。
2・・・誤り
幸福追求権については、憲法13条後段において「生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利」として保障しています。
つまり、具体的に、憲法で保障されているということです。
その具体的な権利の内容については、2つの考え方(一般的行為自由説人格的利益説)があります。
  • 一般的行為自由説あらゆる生活領域に関する行為の自由を保障するという考え方
  • 人格的利益説:個人の人格的生存に不可欠な行為の自由を保障するという考え方(通説)

本肢の「個人の人格的生存に必要不可欠な行為を行う自由を一般的に保障するものと解する見解」は「人格的利益説」なので誤りです。

3.プライバシーの権利について、個人の私的領域に他者を無断で立ち入らせないという消極的側面と並んで、積極的に自己に関する情報をコントロールする権利という側面も認める見解が有力である。

3・・・正しい
プライバシーの権利は、「消極的な権利としての側面」と「積極的な権利としての側面」2つの側面を持っています。

  • 消極的側面:受動的な権利で、誰かに侵害されたときに損害賠償などをすることができる権利を言います。
  • 積極的側面:能動的な権利(自分の情報をコントロールする権利)で、積極的に情報公開や削除などを求める権利を言います。

よって、本肢は正しいです。

4.プライバシーの権利が、私法上、他者の侵害から私的領域を防御するという性格をもつのに対して、自己決定権は、公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱う。
4・・・誤り
自己決定権とは、個人が一定の私的事項について、公権力の干渉を受けずに、自ら決定することができる権利をいいます。つまり、本肢は「公法上、国公立の学校や病院などにおける社会的な共同生活の中で生じる問題を取り扱う」という記述は誤りです。
5.憲法13条が幸福追求権を保障したことをうけ、人権規定の私人間効力が判例上確立された1970年代以降、生命・身体、名誉・プライバシー、氏名・肖像等に関する私法上の人格権が初めて認められるようになった。
5・・・誤り
昭和48年(1973年)12月12日の「三菱樹脂事件」の最高裁判決により、人権規定の私人間効力が判例上確立されました。
具体的には、「私人間において、憲法の人権規定を直接適用できない」と判示されました。そして、昭和44年(1969年)12月24日の「京都府学連事件」では肖像権(人格権)を認めています。
つまり、1960年代にも、人格権が認められているので、
「1970年代以降、生命・身体、名誉・プライバシー、氏名・肖像等に関する私法上の人格権が初めて認められるようになった」が誤りです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問2|基礎法学

法令における通常の用語法等に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
  2. 「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
  3. 法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
  4. 法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
  5. 「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。

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【答え】:5

【解説】

1.「及び」と「並びに」は、いずれもその前後の語句を並列させる接続語であり、並列される語句に段階がある場合には、一番小さな並列的連結にだけ「及び」を用い、他の大きな並列的連結には全て「並びに」を用いる。
1・・・妥当
及び」と「並びに」はどちらも「and」の意味です。 言い換えれば、「AとB、A+B」ということです。 そして、「及び」は小さいグループに使い、「並びに」は大きいグループに使います。
つまり、「AとB」というグループがあって、これに別のグループの「C」を加える場合は、(A及びB)並びにCとなります。
具体例については、個別指導で解説します!
2.「又は」と「若しくは」は、いずれも前後の語句を選択的に連結する接続語であり、選択される語句に段階がある場合には、一番大きな選択的連結にだけ「又は」を用い、他の小さな選択的連結には全て「若しくは」を用いる。
2・・・妥当
若しくはもしくは)」と「又は」は、「or」という意味で、「どちらか一方」という意味です。
そして、「若しくは」は一番小さいグループに使い、「又は」は一番大きいグループに使います。(1グループしかない場合、「又は」を使う)
「(A若しくはB)又はC」と使います。
これも具体例については、個別指導で解説します!
3.法令に「A、Bその他のX」とある場合には、AとBは、Xの例示としてXに包含され、「C、Dその他Y」とある場合は、C、D、Yは、並列の関係にある。
3・・・妥当
その他」とは、その語の前後の語句は独立していて、後に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。 「A、Bその他C」であり、AとBとCとを対等なものとして並べます。
一方、「その他の」とは、その語の直前に置かれた語句が、後に続く語句の例示(具体例)となっている場合に用いられます。
4.法令に「適用する」とある場合は、その規定が本来の目的としている対象に対して当該規定を適用することを意味し、「準用する」とある場合は、他の事象に関する規定を、それに類似する事象について必要な修正を加えて適用することを意味する。なお、解釈により準用と同じことを行う場合、それは「類推適用」と言われる。
4・・・妥当
適用」とは、Aという事項について規定される法令をそのままAに当てはまめるということです。
一方、「準用する」は、ある事項Aに関する規定を、他の類似事項Bについて、必要な修正を加えてあてはめるという意味です。
これも具体例については、個別指導で解説します!
5.「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」のうち、時間的即時性が最も強いのは「直ちに」であり、その次が「遅滞なく」である。これらのうち、時間的即時性が最も弱いのは「速やかに」である。
5・・・妥当ではない
直ちに」が時間的に即時性が最も強く、最も時間が短いです。
速やかに」が、その次に、即時性が強いです。
遅滞なく」が、最も時間的即時性が弱いです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問1|基礎法学

第二次世界大戦後の日本の法制度に関する次のア~オの出来事を年代順に並べたものとして正しいものはどれか。

ア 行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。

イ それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。

ウ 環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。

エ 民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。

オ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。

  1. ア→エ→イ→オ→ウ
  2. ア→イ→エ→ウ→オ
  3. ア→イ→ウ→エ→オ
  4. イ→ア→ウ→エ→オ
  5. イ→エ→オ→ア→ウ

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【答え】:4

【解説】

ア 行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。
ア・・・行政事件訴訟法:1962年(昭和37年)
行政事件訴訟ができるまでの流れについては
1890年に大日本帝国憲法第61条に基づき「行政裁判法」が制定され、
その後、戦後になり
1948年(昭和23年)に「行政事件訴訟特例法」が制定。ただ、全文でわずか12条のみの簡単なものであり、運用・解釈上多くの問題が発生した。
その後、特例法が改正され、
1962年(昭和37年)に現行の「行政事件訴訟法」が制定されました。
イ それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。
イ・・・家庭裁判所の設置:1949年(昭和24年)
1949年(昭和24年)1月1日、従来の家事審判所と少年審判所が統合されることによって、家庭裁判所が設置されました。
ウ 環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。
ウ・・・環境基本法:1993年(平成5年)
もともと、公害対策について「公害対策基本法(1967年)」で、
自然環境対策について「自然環境保全法(1972年)」で対応していました。しかし、複雑化・地球規模化する環境問題に対応できないことから
1993年(平成5年)環境基本法が制定されました。

そして、環境基本法の施行により、「公害対策基本法」は廃止され、「自然環境保全法」も環境基本法の趣旨に沿って改正されました。

エ 民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。
エ・・・成年後見制度:1999年(平成11年)
1999年の民法改正で従来の禁治産・準禁治産制度に代わって、成年後見制度が制定され、翌2000年4月1日に施行されました。
オ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。
オ・・・裁判員制度:2004年制定、2009年施行
裁判員制度は、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。この裁判員制度は、2004年(平成16年)に成立し、2009年(平成21年)施行されました。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略