行政不服審査法

行政不服審査法65条:再審査請求の認容の裁決

再審査請求の認容裁決(原裁決の取消し)

再審査請求の認容とは、再審査請求に理由がある(再審査請求を認める)ということです。例えば、免許取消処分について、それはおかしいと思って審査請求をし、結果として棄却された。その棄却裁決にも不服があり、再審査請求をして、再審査請求が認められるということです。この場合、再審査庁は、裁決で当該原裁決の「全部もしくは一部」の「取消し」をすることができます。

再審査請求については、変更裁決はできないので注意しましょう!

事実上の行為についての再審査請求の認容裁決(事実上の行為の撤廃)

事実行為とは?

事実上の行為とは、「行政がする、国民の権利や義務が発生しない行為」です。

事実行為の例としては、行政指導や即時強制があります。

例えば、「勧告(注意といったイメージ)」は行政指導の一つです。勧告を受けたからと言って、勧告に従う必要はありません。従わなかったとしても、罰則などはないです。

しかし、勧告に従わないと、「この会社は勧告に従いませんでした」と公表されたりします。

事実上の行為の撤廃

そして、上記勧告(事実上の行為)について、不服があり、審査請求を行い、結果として棄却された。その棄却裁決にも不服があり、再審査請求をして、再審査請求が認められるということです。この場合、再審査庁は、裁決で当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命じます

(再審査請求の認容の裁決)
行政不服審査法第65条 原裁決等(事実上の行為を除く。)についての再審査請求が理由がある場合(前条第3項に規定する場合及び同条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、再審査庁は、裁決で、当該原裁決等の全部又は一部を取り消す。
2 事実上の行為についての再審査請求が理由がある場合(前条第四項の規定の適用がある場合を除く。)には、裁決で、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を宣言するとともに、処分庁に対し、当該事実上の行為の全部又は一部を撤廃すべき旨を命ずる。

行政不服審査法64条:再審査請求の却下又は棄却の裁決 | 行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用>>

行政不服審査法2条・3条:処分・不作為についての審査請求

行政不服審査法の2条、3条は基本的な部分で重要です。行政書士試験で出題されても得点できるように処分や不作為の定義をしっかり押さえておきましょう!この定義は、この後で勉強する行政事件訴訟法にも関連してきます!

行政不服審査法における「処分」の定義

行政不服審査法における「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を言います。

その他公権力の行使について

「その他公権力の行使」とは、公権力の行使に当たる事実行為で、人の収容物の留置その他その内容が継続的性質を有する場合が含まれます。

  • 人の収容とは、例えば、不法入国者を強制退去させる前に収容する場合
  • 物の留置とは、例えば、食品添加物などの試験のために食品を持って帰る場合

ただし、「公権力の行使に当たる事実行為」は条文には規定されていません。条文には規定されていないですが、不服申立ての対象に含まると解されています

公権力の行使に当たらない事実行為はこちら>>

行政不服審査法における「不作為」の定義

行政不服審査法における「不作為」とは、行政庁が、申請に対して何らの処分もしないことです。

そして、申請して直ちに不作為に該当するのではなく、相当期間を経過した場合に不作為に該当します。

例えば、宅建業者が、免許の申請をしたにも関わらず、知事が許可も不許可もしない場合、不作為となります。

審査請求とは?

審査請求とは、処分または不作為に対する、原則的な不服申立ての手段を言います。

不服申立てには、①審査請求、②再調査請求、③再審査請求の3つがあるのですが、原則、①審査請求を行い、法律に定めがある場合に、②再調査請求や③再審査請求ができます。

審査請求の申立先(誰に審査請求をするか)はこちら>>

(処分についての審査請求)
第2条 行政庁の処分に不服がある者は、第4条及び第5条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。

(不作為についての審査請求)
第3条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる

行政不服審査法58条:再調査の請求の却下又は棄却の決定

再調査の請求が法定の期間を過ぎた場合(不適法である場合)、審査庁は、裁決で却下します。

再調査請求について、理由がない場合、審査庁は、裁決で棄却します。

再調査請求について、結論を出すことを「決定」という文言を使います。

審査請求について、結論を出すことは「裁決」でしたね!

却下と棄却の違い

この2つの違いについてよく行政書士試験で出題されるので必ず頭に入れておきましょう!

却下 手続の不備など、不適法な場合に、審理をせずに門前払いをすること
棄却 手続の不備はなく適法に行われているため、審理はするが、請求に理由がないとして請求などを退けること

(再調査の請求の却下又は棄却の決定)
行政不服審査法第58条 再調査の請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を却下する。
2 再調査の請求が理由がない場合には、処分庁は、決定で、当該再調査の請求を棄却する。

<<行政不服審査法57条:三月後の教示 | 行政不服審査法59条:再調査の請求の認容の決定>>

行政不服審査法56条:再調査の請求についての決定を経ずに審査請求がされた場合

再調査請求後の審査請求

再調査請求をした後に審査請求を行うことも可能です。その場合、再調査請求の決定を経た後でなければ、原則審査請求はできません

ただし、例外として、次の2つの場合、再調査請求の決定を経る前に審査請求ができます

  1. 再調査の請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
    ※再調査請求書に不備があり、その補正を命じられた時は、その補正をしたときから3か月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
  2. 再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

再調査請求は取り下げとみなされる

そして、上記例外規定に基づいて、再調査請求の決定を経る前に審査請求を行った場合、もともと行っていた再調査請求は取り下げたものとみなされます

(再調査の請求についての決定を経ずに審査請求がされた場合)
行政不服審査法第56条 第5条第2項ただし書の規定により審査請求がされたときは、同項の再調査の請求は、取り下げられたものとみなす。ただし、処分庁において当該審査請求がされた日以前に再調査の請求に係る処分(事実上の行為を除く。)を取り消す旨の第60条第1項の決定書の謄本を発している場合又は再調査の請求に係る事実上の行為を撤廃している場合は、当該審査請求(処分(事実上の行為を除く。)の一部を取り消す旨の第59条第1項の決定がされている場合又は事実上の行為の一部が撤廃されている場合にあっては、その部分に限る。)が取り下げられたものとみなす。

<<行政不服審査法55条:誤った教示をした場合の救済 | 行政不服審査法57条:三月後の教示>>

行政不服審査法31条:口頭意見陳述

行政不服審査法の審査請求を行うと、審査請求人や参加人は「口頭で意見を述べさせてください!」と申立てをすれば、原則、審理員は、意見を述べる機会を与えなければなりません。(義務

ただし、例外として、申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合は、意見を述べる機会を与える必要はありません

例えば、感染症により、病院から出ることができない場合、口頭意見陳述の機会を与えなる必要はありません。

原則 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えなければならない
例外 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えることが困難な場合、機会を与えなくてもよい

意見陳述の場所と期日

上記の通り、口頭意見陳述をしたい旨の申立てがあった場合、審理員は、口頭意見陳述を行う場所日時(期日)を定めて、処分庁や審査請求人や参加人等の審理関係人全員を招集しなければなりません。

補佐人と出頭

補佐人とは、審査請求人に付き添って意見陳述の期日に出頭し、その陳述を補佐する者をいいます。自分の意見をうまくまとめられない場合等に弁護士等を補佐人として一緒に、意見陳述の場所に行って、補佐人に助けを求めることができます。

この補佐人と出頭する場合、審理員の許可を得る必要があります。

口頭意見陳述の制限

申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合、審理員は意見陳述を制限することができます。

つまり、審理員は、申立人が関係ないことを話す場合は意見陳述をやめてもらうことができます。

処分庁への質問

審理員の許可を得れば、申立人は、口頭意見陳述に際し、審査請求に係る事件に関し、処分庁に対して、質問できます。

(口頭意見陳述)
行政不服審査法第31条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第41条第2項第2号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
2 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
3 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
5 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

<<行政不服審査法30条:反論書等の提出 | 行政不服審査法32条:証拠書類等の提出>>

行政不服審査法22条:誤った教示をした場合の救済

行政不服審査法22条の「誤った教示をした場合の救済方法」については、下記3つのパターンがあります。それぞれについて、どのように処理するかを覚えましょう!行政書士試験でも頻出ですし、また、混乱しやすい部分でもあるので、下記具体例を使いながら勉強すると効率的です。出題されたら解けるようにしましょう!

処分庁が誤って審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合

例えば、処分庁A、審査庁Bとします。処分庁Aは、処分相手に対して「審査庁はBです」と教示(教えること)しなければならないにも関わらず、間違って「審査庁はCです」と教示してしまった。

この場合、処分相手(審査請求人)は、Cに対して審査請求をしてしまいます。こういった場合、審査請求を受けたCは、処分庁Aまたは審査庁Bに審査請求書を送付し、その旨を審査請求人に通知しなければなりません。

再調査の請求をすることができないにも関わらず、誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合

再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書を審査庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければなりません。そして、この場合、再調査請求は法律上できないので、初めから審査請求がされたものとみなします

審査請求と再調査の請求の両方ができる場合において、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示しなかった場合

上記の場合において、処分相手が、審査請求ができないと勘違いをして、再調査請求をした場合、再調査請求人は、「審査請求に変えてください!」と申立てができます。

もし、審査請求に変えるよう申立てがあった場合、処分庁は、速やかに、再調査の請求書等を審査庁に送付しなければなりません。

そして、送付を受けた審査庁は、速やかに、その旨を「再調査請求人」及び「再調査の請求に参加する者」に通知しなければなりません。

そして、上記申立てがあった場合、初めから審査請求がされたものとみなします

行政庁がすべき教示をしなかった場合(行政不服審査法83条)>>

(誤った教示をした場合の救済)
行政不服審査法第22条 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2 前項の規定により処分庁に審査請求書が送付されたときは、処分庁は、速やかに、これを審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
3 第一項の処分のうち、再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書(第61条において読み替えて準用する第19条に規定する再調査の請求書をいう。以下この条において同じ。)又は再調査の請求録取書(第61条において準用する第20条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下この条において同じ。)を審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければならない。
4 再調査の請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示しなかった場合において、当該処分庁に再調査の請求がされた場合であって、再調査の請求人から申立てがあったときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書又は再調査の請求録取書及び関係書類その他の物件を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。この場合において、その送付を受けた行政庁は、速やかに、その旨を再調査の請求人及び第61条において読み替えて準用する第13条第1項又は第2項の規定により当該再調査の請求に参加する者に通知しなければならない。
5 前各項の規定により審査請求書又は再調査の請求書若しくは再調査の請求録取書が審査庁となるべき行政庁に送付されたときは、初めから審査庁となるべき行政庁に審査請求がされたものとみなす。

<<行政不服審査法21条:処分庁等を経由する審査請求 | 行政不服審査法23条:審査請求書の補正>>

行政不服審査法10条:法人でない社団又は財団の審査請求

行政不服審査法10条の「法人でない社団又は財団の審査請求」については、行政書士試験では出題される可能性も低い部分なので、覚えなくても大丈夫でしょう。

法人でない社団とは?

法人ではない社団とは、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された団体です。例えば、「組合」です。意味合いとしては、権利能力なき社団と同じです。法人格は備えていないが、代表者を定めることで、民事訴訟の原告や被告となることができますし、審査請求をすることもできます。

法人でない財団とは?

特定の目的を持って、ある特定の個人や企業などの法人から拠出された財産の集合体で、法人化すれば財団法人になりますが、法人化していない場合が法人ではない財団です。この法人ではない財団でも、代表者や管理人を定めれば、審査請求ができます。

(法人でない社団又は財団の審査請求)
第10条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。

<<行政不服審査法9条:審理員 | 行政不服審査法11条:総代>>

行政不服審査法13条:参加人

行政不服審査法13条の「参加人」については、行政書士試験でもよく出題される部分です。「審理員の許可を得なければ利害関係人は参加できない」ことは必ず頭に入れておきましょう!

参加人とは?

利害関係人は、審理員の許可を得て、参加人として、審査請求の手続きに参加することができます。つまり、利害関係人で、かつ、審理員が参加について許可した者が「参加人」です。

利害関係人とは?

利害関係人とは、審査請求人以外の者であって、審査請求に係る「処分または不作為」について、法令上の利害関係を有する者と認められる者を指します。

例えば、建設業者Aが、マンションの建築確認処分を受けたとします。その後、マンションの周辺住民が「建築確認処分はおかしい!」と審査請求をした場合、建築確認処分の取消しにより不利益を受けるのは、建設業者Aです。なぜなら、建築の着手ができなくなるからです。よって、建設業者Aが利害関係人となり、審理員が許可すれば、建設業者Aは、上記審査請求の参加人となります。

参加人の代理人

審査請求への参加は、代理人によってすることができます。つまり、参加人が代理人を選任してもよいです。そして、「参加人の代理人」は「審査請求人の代理人」と同様、審査請求への参加に関する一切の行為をすることができ、参加の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができます。

(参加人)
行政不服審査法第13条 利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。
2 審理員は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。
3 審査請求への参加は、代理人によってすることができる。
4 前項の代理人は、各自、第一項又は第二項の規定により当該審査請求に参加する者(以下「参加人」という。)のために、当該審査請求への参加に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求への参加の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。

<<行政不服審査法12条:代理人による審査請求 | 行政不服審査法14条:行政庁が裁決をする権限を有しなくなった場合の措置>>

行政事件訴訟法の概要

行政事件訴訟法とは?

行政事件訴訟法は、裁判によって、違法な行政活動によって権利利益を侵害された国民の救済を図るものです。

行政不服審査法 違法または不当な行政行為
行政事件訴訟法 違法な行政行為(不当な行政行為は行政事件訴訟法の対象外

訴訟は、民事訴訟、刑事訴訟、行政事件訴訟に区別でき、行政事件訴訟法は、公権力の行使に関する争いを含む公法上の法律関係に関する紛争解決を目的としてます。

民事事件 民事訴訟法
刑事事件 刑事訴訟法
行政事件 行政事件訴訟法

行政事件訴訟法の経緯

1945年(昭和20年)第二次世界大戦が終戦。

1946年(昭和21年)日本国憲法が公布。

1948年(昭和23年)に「行政事件訴訟特例」が制定(戦後に制定)。

行政事件訴訟特例法は、民事訴訟法の特例を定めたものであり、全文でわずか12条のみの簡単なものでした。この法律は、制定が急がれたため、欠陥も多かったため、
1962年(昭和37年)に法改正され、現行の「行政事件訴訟法」が制定されました。

行政事件訴訟法の類型

行政事件訴訟法は大きく分けて主観訴訟客観訴訟に分けることができます。

主観訴訟は、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、客観訴訟は、行政の適法性の確保を目的とし、自分には直接関係ない行政活動に対する訴訟を指します。

主観訴訟

主観訴訟とは、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、大きく分けて、抗告訴訟当事者訴訟に分けることができます。

主観訴訟は、個人の権利利益が侵害され、または侵害されそうになっている場合、その救済を求める訴えを指します。

抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して違法でないかと不服がある場合の訴訟で、当事者訴訟は、当事者間の公法上の法律関係を争う訴訟です。

抗告訴訟

抗告訴訟には、下記5つがあります。詳細は下記リンク先で解説しています。

  1. 取消訴訟(処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え)
  2. 無効等確認の訴え
  3. 不作為の違法確認の訴え
  4. 義務付けの訴え
  5. 差止めの訴え

当事者訴訟

当事者訴訟には、下記2つがあります。詳細は下記リンク先で解説しています。

  1. 形式的当事者訴訟
  2. 実質的当事者訴訟

客観訴訟

客観訴訟は、行政の適法性の確保を目的とし、自分には直接関係ない行政活動に対する訴訟を指し、民衆訴訟機関訴訟があります。

この客観訴訟は、行政活動が法律に違反している場合に個人の利益に関係なく、違法状態を回復するための訴訟です。

<<行政不服審査法 | 取消訴訟の概要原処分主義裁決主義審査請求前置主義>>

 

行政不服審査法82条:不服申立てをすべき行政庁等の教示

教示とは?

教示とは、処分を行う行政庁が、処分相手や利害関係人に対して、「不服がある場合は、こういう方法がありますよ!」と教えてくれる制度です。

行政不服審査法は、国民みんなが知っている法律ではないので、国民の権利利益の救済の方法を教えるルールを定めています。

教示しなければならない場合

教示をしなければならないのは、下記2つの場合です。

審査請求、再調査請求等をすることができる処分について

  1. 相手方に対して書面で処分を行う場合
  2. 利害関係人から教示を求められた場合

教示すべき内容

教示すべき内容は下記3つです。

  1. 不服申立てをすることができる旨
  2. 不服申立てをすべき行政庁
  3. 不服申立てをすることができる期間

教示すべき相手方と教示の方法

教示相手 教示の方法
処分の相手方に対して 処分を口頭でする場合を除いて書面で教示すること
利害関係人に対して 教示すべき求めがあった場合に教示する
その際、書面による教示を求められた場合書面で教示すること

(不服申立てをすべき行政庁等の教示)
行政不服審査法第82条 行政庁は、審査請求若しくは再調査の請求又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において「不服申立て」と総称する。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。ただし、当該処分を口頭でする場合は、この限りでない。
2 行政庁は、利害関係人から、当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか並びに当該処分が不服申立てをすることができるものである場合における不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間につき教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない。
3 前項の場合において、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、当該教示は、書面でしなければならない。

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