行政不服審査法

行政不服審査法8条:特別の不服申立ての制度

行政不服審査法8条では、行政不服審査法7条で、審査請求できない場合を規定していますが、別途、個別の法令で、審査請求できる規定を定めてもよいとしています。

例えば、沖縄の辺野古移設問題で、元沖縄県知事(中山知事)が、辺野古の埋め立てを承認をしており、それに基づいて、国が埋め立てを行っていました。

その後、辺野古移設反対の次の沖縄県知事(翁長知事)が当選し、翁長知事が「中山知事が行った埋め立ての承認」の取り消しを行った。

それに対して、国は、承認取り消しの効力を停止する決定(執行停止の決定)を行いました。=翁長知事の承認取り消しの効力は生じないこととした。

それに対して、沖縄県知事(翁長知事)は、国に対して、不服申し立てをしました。

この不服申し立ては地方自治法第250条の13第1項の規定に基づいて行ったものです。このように、上記地方地自法で、地方公共団体も審査請求ができる旨の規定があります。

(特別の不服申立ての制度)
第8条 前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。

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行政不服審査法7条:適用除外

行政不服審査法7条は、下記事項は「2条・3条の規定を適用しない」としています。どういうことかというと、下記事項については、審査請求できないということです。

では、どういった場合に審査請求ができないのか?

審査請求ができない場合

  1. 国会若しくは地方議会の議決によってされる処分
  2. 裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
  3. 国会若しくは地方議会の議決又は同意等を経てされる処分
  4. 検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
  5. 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴え(形式的当事者訴訟)においてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
  6. 刑事事件に関する検察官等がする処分及び行政指導
  7. 国税又は地方税の犯則事件に関する処分及び行政指導
    金融商品取引の犯則事件関する処分及び行政指導
  8. 学校講習所訓練所又は研修所で、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
  9. 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
  10. 外国人の出入国又は帰化に関する処分
  11. 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(例えば、行政書士試験の結果等)
  12. 行政不服審査法に基づいて行われる処分

この点については、行政手続法で適用除外になっているものと、行政不服審査法で適用除外になっているものの違いを覚えるとよいでしょう!

行政手続法と行政不服審査法の適用除外の違い

手続法のみ適用除外 ① 公務員の懲戒処分
② 利害の反する者の利害調整を目的とした処分
③ 難民認定
④ 報告または物件提出等の情報収集を目的とした処分
⑤ 公衆衛生・環境保全・防疫・保安のための処分
⑥ 不服申立て(審査請求・再調査請求)による裁決・決定
⑦ 聴聞・弁明の機会付与手続き(意見陳述の手続き)において法令に基づいてされる処分
不服審査法のみ適用外 形式的当事者訴訟によるべきとされている処分

行政不服審査法における国の機関または地方公共団体等の適用除外

「国の機関」又は「地方公共団体」その他の「公共団体」若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法の規定は、適用しません。

これは、行政手続法と同様に行政不服審査法も適用しないことを意味します。

イメージとしては、国の機関や地方公共団体に対する処分については、審査請求できないということです。

(適用除外)
第7条 次に掲げる処分及びその不作為については、第2条及び第3条の規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分
五 当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
六 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
七 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分
八 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分
九 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分
十 外国人の出入国又は帰化に関する処分
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 この法律に基づく処分(第五章第一節第一款の規定に基づく処分を除く。)

2 国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。

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行政不服審査法6条:再審査請求

再審査請求については、行政書士試験でもよく出題される部分です。特に1.どういった場合に再審査請求できるか? 2.誰に対して再審査請求できるか? 3.何を対象として再審査請求できるのか? この3つは押さえておきましょう!

再審査請求は、審査請求を行い、その裁決にも不服がある場合に行うものです。つまり、審査請求→再審査請求という流れで不服申立てを行います。

ただ、どんな場合でも再審査請求を行うことができるというわけではありません。要件があります。

どんな場合に再審査請求ができるか?(再審査請求の要件)

法律に再審査請求をするこができる旨の定めがあることが再審査請求の要件です。

法律に再審査請求ができる旨の定めがない場合は、再審査請求はできません。

再調査請求も同様に法律に定めがあることが要件でしたね!一緒に覚えておきましょう!

例えば、生活保護法では、市町村長が行った保護の決定について、不服がある者は、都道府県知事に対して審査請求を行う旨の規定(64条)があり、さらに、都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができるとしています。(66条)

誰に対して再審査請求できるか?(再審査請求の申立先)

再審査請求を誰に対して行うかというと、法律に定める行政庁に対してします。

上記生活保護法の事例では、
審査請求を受けた審査庁は、都道府県知事で
法律で定められた行政庁は、厚生労働大臣となります。

何を対象に再審査請求できるか?(再審査請求の対象)

そして、何について再審査請求をするかというと(=再審査請求の対象は)、原裁決または、当該処分です。

原裁決とは、審査庁が行った裁決で、上記事例では、都道府県知事の裁決です。

一方、当該処分とは、審査請求人が受けた処分で、上記事例では、市町村長の処分です、

このどちらに対して再審査請求を行ってもよいということです。

(再審査請求)
第6条 行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
2 再審査請求は、原裁決(再審査請求をすることができる処分についての審査請求の裁決をいう。以下同じ。)又は当該処分(以下「原裁決等」という。)を対象として、前項の法律に定める行政庁に対してするものとする。

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行政不服審査法5条:再調査の請求

再調査請求は、行政書士試験でも出題されています。審査請求や再審査請求と似ており、審査請求を中心に勉強している方が多いので、再調査請求が出題されると間違えてしまいます。それでは行政書士試験に合格できませんので注意しましょう!

再調査請求とは、行政庁の処分に対して納得がいかないので、もう一度調査してみてください!と請求することです。再調査請求は、処分した行政庁(=処分庁)に対して行います。

どんな場合に再調査請求が行えるか?(再調査請求の要件)

再調査請求が行るのは、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 審査請求ができること
  2. 法律に再調査請求できる旨があること

つまり、法律に再調査請求ができる旨がない場合、たとえ審査請求ができても再調査請求はできません。

また、審査請求をした場合、上記再調査請求ができる2つの要件を満たしていても、再調査請求ができなくなります。

再調査請求後の審査請求

再調査請求をした後に審査請求を行うことも可能です。その場合、再調査請求の決定を経た後でなければ、原則審査請求はできません

ただし、例外として、次の2つの場合、再調査請求の決定を経る前に審査請求ができます

  1. 再調査の請求をした日の翌日から起算して3か月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
    ※再調査請求書に不備があり、その補正を命じられた時は、その補正をしたときから3か月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
  2. 再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

再調査請求は取り下げとみなされる

そして、上記例外規定に基づいて、再調査請求の決定を経る前に審査請求を行った場合、もともと行っていた再調査請求は取り下げたものとみなされます。(行政不服審査法56条

3か月を経過しても再調査請求が係属している場合

処分庁は、再調査の請求がされた日の翌日から起算して3か月を経過しても当該再調査の請求が係属している(続いている)ときは、遅滞なく、当該処分について直ちに審査請求をすることができる旨を書面でその再調査の請求人に教示しなければなりません。(行政不服審査法57条)

教示とは、「教えること」です。

再調査請求の請求期間

>>再調査請求の請求期間(54条)

(再調査の請求)
第5条 行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。ただし、当該処分について第二条の規定により審査請求をしたときは、この限りでない。

2 前項本文の規定により再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定を経た後でなければ、審査請求をすることができない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 当該処分につき再調査の請求をした日(第六十一条において読み替えて準用する第二十三条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して三月を経過しても、処分庁が当該再調査の請求につき決定をしない場合
二 その他再調査の請求についての決定を経ないことにつき正当な理由がある場合

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行政不服審査法4条:審査請求すべき行政庁

行政不服審査法4条では、実際に審査請求を行う場合、「誰に対して行うか」を規定しています。

非常にややこしいので、処分庁等に上級行政庁がない場合と上級行政庁がある場合に分けて、上級行政庁がある場合については、原則と例外に分けて整理するとよいでしょう!

まず、言葉の意味から理解しましょう!

処分庁とは、実際に「処分をした行政庁」を指します。
不作為庁とは、申請したけど、その申請に対して何もしない行政庁です。

審査請求先
処分庁・不作為庁に上級行政庁がないとき 当該処分庁や不作為庁
処分庁・不作為庁に上級行政庁があるとき 原則 最上級行政庁
例外 処分庁・不作為庁が、主任大臣、宮内庁長官、内閣府や各省の外局の長の場合、当該処分庁・不作為庁 ※

※の具体例は、処分庁が財務省の外局である国税庁長官の場合、最上級行政庁は、財務大臣です。しかし、この場合、処分庁である国税庁長官に対して審査請求を行います。

(審査請求をすべき行政庁)
第4条 審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする。
一 処分庁等(処分をした行政庁(以下「処分庁」という。)又は不作為に係る行政庁(以下「不作為庁」という。)をいう。以下同じ。)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣若しくは宮内庁長官若しくは内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長である場合 当該処分庁等
二 宮内庁長官又は内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合 宮内庁長官又は当該庁の長
三 主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(前二号に掲げる場合を除く。) 当該主任の大臣
四 前三号に掲げる場合以外の場合 当該処分庁等の最上級行政庁

<<行政不服審査法2条・3条:処分・不作為についての審査請求 | 行政不服審査法5条:再調査の請求>>

行政不服審査法2条・3条:処分・不作為についての審査請求

行政不服審査法の2条、3条は基本的な部分で重要です。行政書士試験で出題されても得点できるように処分や不作為の定義をしっかり押さえておきましょう!この定義は、この後で勉強する行政事件訴訟法にも関連してきます!

行政不服審査法における「処分」の定義

行政不服審査法における「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を言います。

その他公権力の行使について

「その他公権力の行使」とは、公権力の行使に当たる事実行為で、人の収容物の留置その他その内容が継続的性質を有する場合が含まれます。

  • 人の収容とは、例えば、不法入国者を強制退去させる前に収容する場合
  • 物の留置とは、例えば、食品添加物などの試験のために食品を持って帰る場合

ただし、「公権力の行使に当たる事実行為」は条文には規定されていません。条文には規定されていないですが、不服申立ての対象に含まると解されています

公権力の行使に当たらない事実行為はこちら>>

行政不服審査法における「不作為」の定義

行政不服審査法における「不作為」とは、行政庁が、申請に対して何らの処分もしないことです。

そして、申請して直ちに不作為に該当するのではなく、相当期間を経過した場合に不作為に該当します。

例えば、宅建業者が、免許の申請をしたにも関わらず、知事が許可も不許可もしない場合、不作為となります。

審査請求とは?

審査請求とは、処分または不作為に対する、原則的な不服申立ての手段を言います。

不服申立てには、①審査請求、②再調査請求、③再審査請求の3つがあるのですが、原則、①審査請求を行い、法律に定めがある場合に、②再調査請求や③再審査請求ができます。

審査請求の申立先(誰に審査請求をするか)はこちら>>

(処分についての審査請求)
第2条 行政庁の処分に不服がある者は、第4条及び第5条第二項の定めるところにより、審査請求をすることができる。

(不作為についての審査請求)
第3条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる