平成26年度(2014年度)過去問

平成26年・2014|問35|民法・親族

利益相反行為に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、その結果、数人の子の間の利害の対立が現実化しない限り、利益相反行為にはあたらない。

イ 親権者である母が、その子の継父が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。

ウ 親権者が、自己の財産を、子に対して有償で譲渡する行為は当該財産の価額の大小にかかわらず利益相反行為にあたるから、その子の成年に達した後の追認の有無にかかわらず無効である。

エ 親権者が、自ら債務者となって銀行から借り入れを行うにあたって、子の所有名義である土地に抵当権を設定する行為は、当該行為がどのような目的で行なわれたかに関わりなく利益相反行為にあたる。

オ 親権者が、他人の金銭債務について、連帯保証人になるとともに、子を代理して、子を連帯保証人とする契約を締結し、また、親権者と子の共有名義の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:5

【解説】

ア 親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、その結果、数人の子の間の利害の対立が現実化しない限り、利益相反行為にはあたらない。

ア・・・妥当ではない

判例によると、
利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称し、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わない」としています(最判昭49.7.22)。

したがって、親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるので、利益相反行為にあたります。

よって、本肢は妥当ではありません。

本肢の具体例については個別指導で解説します!

イ 親権者である母が、その子の継父が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。

イ・・・妥当ではない

親権者である母が、その子の継父が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定した場合、母は利益を受けていません(最判昭35.7.15)。

よって、母と子との間で利益相反はないので、本肢は妥当ではありません。

本肢の具体例については個別指導で解説します!

ウ 親権者が、自己の財産を、子に対して有償で譲渡する行為は当該財産の価額の大小にかかわらず利益相反行為にあたるから、その子の成年に達した後の追認の有無にかかわらず無効である。

ウ・・・妥当ではない

判例によると、
親権者と子の利益相反行為につき親権者が法定代理人としてなした行為は無権代理行為にあたる」としています(最判昭46.4.20)。

親権者が、自己の財産を、子に対して有償で譲渡する行為は、当該財産の価額の大小にかかわらず利益相反行為にあたり、無権代理行為として扱います。

そして、無権代理の場合、子が成年に達してから追認拒絶をした場合に無効となるのであって、追認の有無にかかわらず無効とはなりません。

よって、妥当ではありません。

エ 親権者が、自ら債務者となって銀行から借り入れを行うにあたって、子の所有名義である土地に抵当権を設定する行為は、当該行為がどのような目的で行なわれたかに関わりなく利益相反行為にあたる。

エ・・・妥当

判例によると、
親権者が自己の負担する貸金債務につき未成年の子の所有する不動産に抵当権を設定する行為は、借受金を右未成年の子の養育費に供する意図であっても、利益相反行為にあたる」としています(最判昭37.10.2)。

よって、本肢は妥当です。

オ 親権者が、他人の金銭債務について、連帯保証人になるとともに、子を代理して、子を連帯保証人とする契約を締結し、また、親権者と子の共有名義の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。

オ・・・妥当

判例によると、
第三者の金銭債務について、親権者がみずから連帯保証をするとともに、子の代理人として、同一債務について連帯保証をし、かつ、親権者と子が共有する不動産について抵当権を設定するなどの判示実関係のもとでは、子のためにされた連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為は、利益相反行為にあたる」としています(最判昭43.10.8)。

よって、本肢は、妥当です。

本肢の具体例については個別指導で解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問34|民法・不法行為

生命侵害等に対する近親者の損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 他人の不法行為により夫が即死した場合には、その妻は、相続によって夫の逸失利益について損害賠償請求権を行使することはできない。
  2. 他人の不法行為により夫が死亡した場合には、その妻は、相続によって夫本人の慰謝料請求権を行使できるので、妻には固有の慰謝料請求権は認められていない。
  3. 他人の不法行為により、夫が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合には、その妻は、相続によって夫の慰謝料請求権を行使することはできない。
  4. 他人の不法行為により死亡した被害者の父母、配偶者、子以外の者であっても、被害者との間にそれらの親族と実質的に同視し得る身分関係が存在するため被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、その者は、加害者に対して直接固有の慰謝料請求をすることができる。
  5. 他人の不法行為により子が重い傷害を受けたために、当該子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛をその両親が受けた場合でも、被害者本人は生存しており本人に慰謝料請求権が認められるので、両親には固有の慰謝料請求権は認められていない。

>解答と解説はこちら

【答え】:4

【解説】

1.他人の不法行為により夫が即死した場合には、その妻は、相続によって夫の逸失利益について損害賠償請求権を行使することはできない。

1・・・妥当ではない

判例によると、
被害者が即死した場合、受傷と同時に被害者である被相続人に損害賠償請求権が発生し、死亡の時にそれが相続人に相続される」としています(大判大15.2.16)。

よって、夫が即死した場合、妻は、相続によって夫の逸失利益について損害賠償請求権を行使することはできます。

よって、妥当ではありません。

逸失利益については、個別指導で解説します!

2.他人の不法行為により夫が死亡した場合には、その妻は、相続によって夫本人の慰謝料請求権を行使できるので、妻には固有の慰謝料請求権は認められていない。

2・・・妥当ではない

選択肢1の通り、妻は、夫の損害賠償請求権(慰謝料請求権)を相続して行使できます

また、他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければなりません(民法711条)。

つまり、妻には固有の(妻自身の)損害賠償請求(慰謝料請求権)を持つので、これについても行使できます。

よって、本肢は妥当ではありません。

3.他人の不法行為により、夫が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合には、その妻は、相続によって夫の慰謝料請求権を行使することはできない。

3・・・妥当ではない

判例によると、
不法行為による慰藉料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても、相続の対象となる」としています(最大判昭42.11.1)。

つまり、他人の不法行為により、夫が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合でも、その妻は、相続によって夫の慰謝料請求権を行使することはできます。

よって、本肢は妥当ではありません。

4.他人の不法行為により死亡した被害者の父母、配偶者、子以外の者であっても、被害者との間にそれらの親族と実質的に同視し得る身分関係が存在するため被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、その者は、加害者に対して直接固有の慰謝料請求をすることができる。

4・・・妥当

判例によると、
不法行為により死亡した被害者の夫の妹のように、被害者との間に、配偶者等と実質的に同視しうべき身分関係が存し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、同条の類推適用により、加害者に対し直接に固有の慰藉料を請求しうる」としています(最判昭49.12.17)。

つまり、本肢は妥当です。

5.他人の不法行為により子が重い傷害を受けたために、当該子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛をその両親が受けた場合でも、被害者本人は生存しており本人に慰謝料請求権が認められるので、両親には固有の慰謝料請求権は認められていない。

5・・・妥当ではない

判例によると、
不法行為により身体を害された者の母は、そのために被害者が生命を害されたときにも比肩すべき(匹敵するような)精神上の苦痛を受けた場合、自己の権利として慰藉料を請求できる」としています(最判昭33.8.5)。

よって、本肢の場合、両親には固有の慰謝料請求権は認められるので、妥当ではありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問33|民法・弁済

取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者に対するものに対する弁済等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはいくつあるか。

ア 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

ウ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

エ 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

オ 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ

>解答と解説はこちら

【答え】:5

【解説】

ア 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

ア・・・妥当

受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意無過失のときに限り、有効となります(民法478条)。

そして、他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合、この者は「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」にあたるため、銀行が善意無過失で払い戻した時、当該払い戻しは有効となります(最判昭37.8.21)。

よって、妥当です。

具体例は、個別指導で解説します!

イ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行がそのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

イ・・・妥当

判例によると、
「定期預金契約の締結に際し、当該預金の期限前払戻の場合における弁済の具体的内容が契約当事者の合意により確定されているときは、右預金の期限前の払戻であつても、民法第478条の適用をうける」としています(最判昭41.10.4)。

そして、
「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対してした弁済は、その弁済をした者が善意無過失のときに限り、有効となります(民法478条)。

そして、本肢の「他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者」は「受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に当たるので、
銀行が善意無過失で払い戻しをすれば、当該払い戻しは有効です。

よって、本肢は妥当です。

本肢は前提知識がないと理解しがたいので個別指導で解説します!

ウ 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

ウ・・・妥当

判例によると、
「銀行が、無記名定期預金につき真実の預金者と異なる者を預金者と認定し、この者に対し、右預金と相殺する予定のもとに貸付をし、その後右の相殺をするときには、民法478条の類推適用がある」としています(最判昭48.3.27)。

よって、他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が、本人の定期預金を担保としてお金を借り、返済しない場合、銀行が善意無過失であれば、本人の定期預金と借入額を相殺することができきます

よって、本肢は妥当です。

本肢も具体例がないと分かりづらいので、個別指導で解説します!

エ 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

エ・・・妥当

判例によると、
受取証書を偽造して弁済を受けた者は、民法478条の「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者」と認められる』としています(大判昭2.6.22)。

したがって、当該債務者が、善意無過失で弁済した場合、当該弁済は、有効な弁済とります。

よって、妥当です。

オ 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者への弁済として有効な弁済となる。

オ・・・妥当

判例によると、
「指名債権が二重に譲渡された場合に、民法467条2項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法478条の適用がある」としています(最判昭61.4.11)。

つまり、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるとき(善意無過失)に、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は有効となります。

よって、妥当です。

本肢も具体例がないと分かりづらいので、個別指導で解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問32|民法・債務引受

債務引受および契約上の地位の譲渡(契約譲渡)に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら

【答え】:4

【解説】

ア 免責的債務引受は、債権者と引受人のみの契約でなすことはできず、債務者(原債務者)を含む三者間の契約でしなければならない。

ア・・・妥当ではない

免責的債務引受の契約方法は下記3つです。

  1. 債権者、債務者、引受人の3者で契約
  2. 引受人と債権者との契約(債権者が債務者に対して通知した時に、効力を生じる)(民法472条2項)
  3. 債務者、引受人とのの契約債権者の承諾(民法472条3項)

本肢は、「三者間の契約でしなければならない」が妥当ではありません。

免責的債務引受の詳細は、個別指導で解説します!

イ 併存的(重畳的)債務引受は、債務者(原債務者)の意思に反しても、債権者と引受人のみの契約でなすことができる。

イ・・・妥当

併存的(重畳的)債務引受の契約方法は下記3つです。

  1. 債権者、債務者、引受人の3者で契約
  2. 引受人と債権者との契約民法470条2項)
  3. 債務者と引受人との契約(債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる)

上記2のとおり、債務者(原債務者)の意思は関係なく、債権者と引受人のみの契約でなすことができます。

よって、妥当です。

併存的債務引受の詳細は、個別指導で解説します!

ウ 併存的(重畳的)債務引受があった場合、別段の意思表示がないときは、債務者(原債務者)と引受人は、債権者に対し、それぞれ等しい割合で分割債務を負う。

ウ・・・妥当ではない

併存的(重畳的)債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担します(民法470条1項)。

つまり、分割債務ではないので、本肢は妥当ではありません。

エ 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。

エ・・・妥当

契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転します(民法539条の2)。

つまり、売主の地位や買主の地位の譲渡は、相手方の承諾が必要で、

相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じません。

よって、妥当です。

本肢は具体例があった方が分かりやすいので、個別指導で具体例を解説します!

オ 賃貸借の目的となっている不動産の所有者がその所有権とともに賃貸人の地位を他に譲渡することは、賃貸人の義務の移転を伴うから、賃借人の承諾を必要とし、新旧所有者間の契約ですることはできない。

オ・・・妥当ではない

不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(民法605条の3)。

つまり、賃貸人の地位を他に譲渡するとき、賃借人の承諾は不要なので
本肢は妥当ではありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問30|民法・物上代位

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  2. 対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。
  3. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  4. 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。
  5. 抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】

1.対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

1・・・正しい

判例によると、
「抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる」としています(最判平10.1.30)。

よって、対抗要件を備えた抵当権者は、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、物上代位権を行使することができるので、正しいです。

この点はしっかり理解しておかないと、本試験で失点します。

なので、個別指導で詳しく解説します!

2.対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。

2・・・正しい

判例によると、
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない」としています(最判平13.3.13)。

本肢の場合、当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後の話なので、
その後、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、第三債務者は抵当権者に対抗することはできません。

よって、本肢は正しいです。

本肢もしっかり理解すべき問題なので、個別指導で詳しく解説します!

3.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

3・・・誤り

判例によると、
動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡され,第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない」としています(最判平17.2.22)。

よって、本肢の場合、
「動産売買の先取特権に基づく物上代位」を、「譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた」後に行うので、先取特権が負けます・

よって、当該動産の元来の売主(先取特権)は、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができないので、誤りです。

本肢は、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

4.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

4・・・正しい

判例によると、
「請負工事に用いられた動産の売主は、原則として、請負人が注文者に対して有する請負代金債権に対して動産売買の先取特権に基づく物上代位権を行使することができないが、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らして請負代金債権の全部又は一部を右動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して右物上代位権を行使することができる」としています(最決平10.12.18

したがって、本肢の場合、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるので

本肢は正しいです。

本肢も、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

5.抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

5・・・正しい

抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができます民法304条)。

また、判例によると、
「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない」としています(最決平12.4.14)。

したがって、本肢は正しいです。

本肢も、状況を理解する必要があるので、
個別指導では、具体例を入れて詳しく解説します!

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問26|行政法

市町村に転入した者は市町村長に届出なければならないこととされているが、この転入の届出について、妥当な記述はどれか。争いがあれば、最高裁判所の判例による。

  1. 転入届については、届出書の提出により届出がなされたものと扱われ、市町村長は、居住の実態がないといった理由で、その受理を拒否することは許されない。
  2. 転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできない。
  3. 正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。
  4. 転入により、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合には、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができる。
  5. 転入届に基づき作成された住民票が市町村長により職権で消除された場合、消除の効力を停止しても、消除された住民票が復活するわけではないから、消除をうけた者には、その効力の停止を申し立てる利益はない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.転入届については、届出書の提出により届出がなされたものと扱われ、市町村長は、居住の実態がないといった理由で、その受理を拒否することは許されない。
1・・・誤り
判例によると、ホームレスXで、公園に住んでいた者が、当該公園を住所として転入届をしたにもかかわらず、受理を拒否した事例について
「Xが、都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては、Xは、上記テントの所在地に住所を有するものとはいえない。」
として、受理を拒否することを許しています。
よって、本肢は誤りです。
2.転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできない。
2・・・誤り
転入届を受理しない行為(受理を拒否する処分)行政処分にあたると解されているので、取消訴訟を提起することは可能です。
よって、本肢は誤りです。
3.正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。
3・・・正しい
転入届を所定の期間内に行わなかった者(届出義務違反者)に対する過料は「秩序罰」に該当します。
よって、非訟事件手続法の手続きにより、地方裁判所が科します。
したがって、本肢は正しいです。
4.転入により、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合には、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができる。
4・・・誤り
判例によると
「市町村長は,『住民基本台帳法の適用が除外される者(外国籍である一定の者)以外の者』から同法の規定による転入届があった場合に,その者に新たに当該市町村の区域内に住所を定めた事実があれば,法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことはできず,住民票を作成しなければならない。 」
と判示しています。
つまり、転入してきて新たにその住民になった者が、転入届をしたら、「受理しない」ということはできず、受理をした上で、住民票を作成しなければならない、ということです。そして、「地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合」であっても、適用除外とはならず、転入届を受理しなければならないので、本肢は誤りです。
「住民基本台帳法の適用が除外される者」は住民基本台帳法35条の45に規定されています。
5.転入届に基づき作成された住民票が市町村長により職権で消除された場合、消除の効力を停止しても、消除された住民票が復活するわけではないから、消除をうけた者には、その効力の停止を申し立てる利益はない。
5・・・誤り
執行停止の決定があると、削除された住民票が復活するため、本肢の「消除された住民票が復活するわけではない」という記述は誤りです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問27|民法・権利能力なき社団・組合

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。
  2. X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。
  3. X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。
  4. X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。
  5. X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

>解答と解説はこちら

【答え】:3

【解説】

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

1.X会が権利能力なき社団であり、Aがその代表者である場合、X会の資産として不動産があるときは、その不動産の公示方法として、Aは、A個人の名義で所有権の登記をすることができる。

1・・・正しい

権利能力なき社団は、いわゆる「任意団体」のことで、社会人サークルや、老人会、町内会などです。

これらの権利能力なき社団は、法人格を持たないので、不動産はX会名義では登記できません

そのため、代表者A個人の名義で所有権の登記をすることができます最判昭47.6.2)。

よって、正しいです。

関連ポイントは個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

2.X会が民法上の組合である場合、X会の取引上の債務については、X会の組合財産がその債務のための責任財産になるとともに、組合員であるA、B、CおよびDも、各自が損失分担の割合に応じて責任を負う。

2・・・正しい

組合において、損失・利益の分け方については、
当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定めます民法674条)。

よって、本肢は正しいです・

本肢も、関連ポイントは個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

3.X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し、X会の社団財産がその債務のための責任財産になるとともに、構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う。

3・・・誤り

判例によると、
「権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、
社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない」としています(最判昭48.10.9)。

つまり、本肢の
X会が権利能力なき社団である場合、X会の取引上の債務については、その構成員全員に1個の債務として総有的に帰属し」
という部分は正しいです。

また、「X会の社団財産がその債務のための責任財産になる」も正しいです。

一方、「構成員であるA、B、CおよびDも各自が連帯して責任を負う」が誤りです。

個人は連帯責任を負いません

具体例は、個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

4.X会が民法上の組合である場合、組合員であるA、B、CおよびDは、X会の組合財産につき持分権を有するが、X会が解散して清算が行われる前に組合財産の分割を求めることはできない。

4・・・正しい

組合の財産は、共有の中の「合有」に当たります。

そのため、X会の組合財産につき持分権を有します。

しかし、組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができません。(民法676条3項)

よって、本肢は正しいです。

この辺りはしっかり整理しておかないと凡ミスで失点するので、整理の仕方について個別指導で解説します!

A、B、CおよびDは、共同で事業を営む目的で「X会」という団体を設立した。

5.X会が権利能力なき社団である場合、構成員であるA、B、CおよびDは、全員の同意をもって、総有の廃止その他X会の社団財産の処分に関する定めのなされない限り、X会の社団財産につき持分権を有さず、また、社団財産の分割を求めることができない。

5・・・正しい

判例によると、
『「権利能力なき社団」の財産は、実質的には社団を構成する総社員の所謂総有に属するものであるから、総社員の同意をもつて、総有の廃止その他右財産の処分に関する定めのなされない限り、現社員及び元社員は、当然には、右財産に関し、共有の持分権又は分割請求権を有するものではない』としています(最判昭32.11.14)。

権利能力なき社団の財産については、各社員(メンバー)は、持分権を有さず、また、社団財産について分割請求もできません

よって、正しいです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問25|行政法

鉄道事業者Xが輸送の安全対策を疎かにして多数の鉄道事故を引き起こしたことから、Y(国土交通大臣)はXに対して鉄道事業法に基づく事業改善命令を行うとともに(法23条)、Xの安全統括管理者(鉄道事業者が、輸送安全に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、鉄道事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう)の解任を命じることとした(法18条の3第7項)※ 。この事例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、鉄道事業法には、行政手続きや訴訟に関する特段の定めはない。

  1. Yが事業改善命令を行うに際して、当該命令が許認可の取消しに相当するほどの重大な損害をXに与える場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。
  2. Yが事業改善命令を行うに際して、公益上、緊急にこれをする必要がある場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。
  3. Yが業務改善命令を行わない旨を決定した場合、それによって安全を脅かされる利用者は、これに対して取消訴訟を提起することができる。
  4. Yが安全統括管理者の解任命令を行った場合、Xの法的地位が侵害されるわけではないから、Xには当該命令に対する取消訴訟を提起する原告適格は認められない。
  5. Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際しては、当該命令の許認可の取消しには当たらないものの、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。

(注)※鉄道事業法18条の3第7項
国土交通大臣は、安全統括管理者又は運転管理者がその職務を怠つた場合であつて、当該安全統括管理者又は運転管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、鉄道事業者に対し、当該安全統括管理者又は運転管理者を解任すべきことを命ずることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.Yが事業改善命令を行うに際して、当該命令が許認可の取消しに相当するほどの重大な損害をXに与える場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。
1・・・誤り
行政庁は、下記行為を行う場合、聴聞の手続を執らなければなりません(行政手続法13条1項)。
  1. 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
  2. 1に規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
  3. 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。・・・選択肢5の内容
  4. 1から3までに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。

本肢の「業務改善命令」は、たとえ、許認可の取消しに相当するほどの重大な損害をXに与える場合であっても、上記1~4のどれにも当てはまらないので、聴聞は実施する必要はありません。

2.Yが事業改善命令を行うに際して、公益上、緊急にこれをする必要がある場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。
2・・・誤り
公益上、緊急に不利益処分をする必要がある場合意見陳述のための手続(聴聞および弁明の機会の付与)を執る必要はありません行政手続法13条2項1号)。
したがって、「聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない」という記述も誤りです。
3.Yが業務改善命令を行わない旨を決定した場合、それによって安全を脅かされる利用者は、これに対して取消訴訟を提起することができる。
3・・・誤り
取消訴訟は、処分又は裁決の取消しを求めるにつき「法律上の利益」を有する者に限り、提起することができます(行政事件訴訟法9条1項)。鉄道利用者は業務改善命令を行わない旨を決定についての取消訴訟において、原告適格を有しません。したがって、取消訴訟を行うことはできません。
この点は理解しないといけない部分なので、個別指導で解説します!
よって、本肢は誤り。
4.Yが安全統括管理者の解任命令を行った場合、Xの法的地位が侵害されるわけではないから、Xには当該命令に対する取消訴訟を提起する原告適格は認められない。
4・・・誤り
取消訴訟を提起するためには「法律上の利益」が必要です(行政事件訴訟法9条:原告適格)。そして、「鉄道事業者Xは、当該安全統括管理者又は運転管理者を解任すべきことを命じられた」ということは、Xは「法律上の利益」があります。
したがって、Xは取消訴訟を提起するための原告適格は認められます。
よって、本肢は誤りです。
5.Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際しては、当該命令の許認可の取消しには当たらないものの、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。
5・・・正しい
選択肢1の解説の「3」にあたるので、Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際して、Xに対して、聴聞を実施しなければなりません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問24|行政法

国家公務員と地方公務員の相違について、妥当な記述はどれか。

  1. 国家公務員については、国家公務員法に、原則として日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定があるが、地方公務員については、地方公務員法に、類似の明文規定は設けられていない。
  2. 国家公務員による争議行為は、一般的に禁止されているが、地方公務員による争議行為は、地方公務員法上、単純な労務に従事する職員について、一定の範囲で認められている。
  3. 国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、国家公務員法およびその委任を受けた人事院規則により定められるが、地方公務員については、地方公務員法および条例により定められる。
  4. 国家公務員の給与や勤務条件の基準は、法律によって定められることとされているが、地方公務員の給与や勤務条件の基準は、議会の同意を得て長によって定められることとされている。
  5. 国家公務員については、職員団体の結成のみが認められているが、地方公務員については、警察職員および消防職員を除き、労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.国家公務員については、国家公務員法に、原則として日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定があるが、地方公務員については、地方公務員法に、類似の明文規定は設けられていない。
1・・・誤り
国家公務員法・地方公務員法のどちらにも、「日本国籍を有する者のみ公務員になれる」といった条文はありません
したがって、誤りです。
2.国家公務員による争議行為は、一般的に禁止されているが、地方公務員による争議行為は、地方公務員法上、単純な労務に従事する職員について、一定の範囲で認められている。
2・・・誤り
国家公務員法では、
「職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法98条2項)。
つまり、国家公務員には争議権(ストライキをする権利)が認められていません。一方、
地方公務員法でも、
「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(地方公務員法37条1項)。
つまり、地方公務員にも争議権が認められていません
したがって、本肢は誤り。
3.国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、国家公務員法およびその委任を受けた人事院規則により定められるが、地方公務員については、地方公務員法および条例により定められる。
3・・・正しい
国家法務員法では、
「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法102条1項)。
つまり、国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「国家公務員法と人事院規則」で定められています。一方、
地方公務員法では
「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない」とされています(地方公務員法36条1項)。
また、「職員は、条例で定める政治的行為をしてはならない」とされています(同条2項)。つまり、地方公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「地方公務員法と条例」で定められています
したがって、本肢は正しい。
4.国家公務員の給与や勤務条件の基準は、法律によって定められることとされているが、地方公務員の給与や勤務条件の基準は、議会の同意を得て長によって定められることとされている。
4・・・誤り
国家公務員法では
「職員の給与は、別に定める法律に基づいてなされ、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給することはできない」とされています(国家公務員法63条)。
つまり、国家公務員の給与の基準は、「法律」で定められています。また、「職員の勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる」と定められています(国家公務員法106条)。
つまり、国家公務員の勤務条件の基準は「人事院規則」で定められています
よって、誤りです。一方、
地方公務員法では
「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」とされています(地方公務員法24条5項)。
つまり、地方公務員の給与や勤務条件の基準は「条例」で定められています
よって、「議会の同意を得て長によって定められる」という部分も誤りです。
5.国家公務員については、職員団体の結成のみが認められているが、地方公務員については、警察職員および消防職員を除き、労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている。
5・・・誤り
国家公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(国家公務員法108条の2第の2項)。
ただし、警察職員及び海上保安庁又は刑事施設において勤務する職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。一方、
地方公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(地方公務員法52条3項)。
ただし、警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。
本肢は「労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている」が誤りです。
労働組合法の労働組合の結成が認められている旨の規定はありません。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

平成26年・2014|問23|地方自治法

条例に関する地方自治法の規定について、次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 選挙権を有する者からの一定の者の連署による条例の制定又は改廃の請求がなされた場合、適法な請求を受理した長は、これを議会に付議しなければならず、付議を拒否することは認められていない。
  2. 選挙権を有する者は、一定の者の連署によって、条例の制定及び改廃の請求をすることができるが、その対象となる条例の内容については、明文の制約はない。
  3. 地方公共団体の条例制定権限は、当該地方公共団体の自治事務に関する事項に限られており、法定受託事務に関する事項については、及ばない。
  4. 条例の議決は、議会の権限であるから、条例の公布も、議会の議長の権限とされているが、議長から送付を受けた長が公報などにより告示する。
  5. 条例の制定は、議会に固有の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。

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【答え】:1

【解説】

1.選挙権を有する者からの一定の者の連署による条例の制定又は改廃の請求がなされた場合、適法な請求を受理した長は、これを議会に付議しなければならず、付議を拒否することは認められていない。
1・・・正しい
普通地方公共団体の長は、「条例の制定又は改廃の請求」を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない(地方自治法74条3項)。
よって、本肢は正しいです。
2.選挙権を有する者は、一定の者の連署によって、条例の制定及び改廃の請求をすることができるが、その対象となる条例の内容については、明文の制約はない。
2・・・誤り
選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条)。つまり、「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収」に関する条例の制定・改廃の請求はできない、という風に、対象となる条例の内容について明文により制約しています
3.地方公共団体の条例制定権限は、当該地方公共団体の自治事務に関する事項に限られており、法定受託事務に関する事項については、及ばない。
3・・・誤り
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて「自治事務および法定受託事務(どちらも)」に関し、条例を制定することができます地方自治法14条)。
4.条例の議決は、議会の権限であるから、条例の公布も、議会の議長の権限とされているが、議長から送付を受けた長が公報などにより告示する。
4・・・誤り
普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければなりません(地方自治法16条1項)。
そして、上記送付を受けた場合、普通地方公共団体のは、その日から20日以内にこれを公布しなければなりません(地方自治法16条2項)。
したがって、条例の公布は、「普通地方公共団体の長」の権限なので、本肢は誤りです。
5.条例の制定は、議会に固有の権限であるから、条例案を議会に提出できるのは議会の議員のみであり、長による提出は認められていない。
5・・・誤り
普通地方公共団体の長は、下記事務の権限を有します(地方自治法149条)。
  1. 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること
  2. 予算を調製し、及びこれを執行すること。
  3. 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
  4. 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
  5. 会計を監督すること。
  6. 財産を取得し、管理し、及び処分すること。
  7. 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
  8. 証書及び公文書類を保管すること。
  9. 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

よって、本肢は誤りです。

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平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 幸福追求権など 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 投票価値の平等 問35 民法:親族
問6 内閣 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政調査 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・社会
問20 損失補償 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・経済
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・社会
問25 行政法 問55 基礎知識・情報通信
問26 行政法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略