令和6年度(2024年度)過去問

令和7年・2025|問30|民法

Aは、Bとの間でA所有の建設機械甲(以下「甲」という)をBに売却する旨の本件売買契約を締結し、甲をBに引き渡したが、弁済期が徒過したにもかかわらずBから代金の支払を受けていない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. AはBに対して、催告した上で代金不払を理由として本件売買契約を解除する旨の通知を行った場合、その後Bは甲をCに売却して引き渡したとしても、Aは、Cに対して甲の返還を求めることができる。
  2. DがBから甲の修理を請け負い、修理を終えて甲をBに返還したが報酬の支払を受けていない場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Dに先立って優先弁済を受けることができる。
  3. BがEのために甲に質権を設定した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Eに先立って優先弁済を受けることができる。
  4. BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使することができ、Fはこれに対して異議を述べることはできない。
  5. 本件売買契約において所有権留保特約が設けられていた場合、BがGのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡したとしても、Aは、Bに対して留保所有権に基づいて甲の引渡しを求めることができ、Gはこれに対して異議を述べることはできない。

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【答え】:5
【解説】
1.AはBに対して、催告した上で代金不払を理由として本件売買契約を解除する旨の通知を行った場合、その後Bは甲をCに売却して引き渡したとしても、Aは、Cに対して甲の返還を求めることができる。

1.妥当でない

売買契約が解除されてAに所有権が復帰した場合でも、動産の物権変動は引渡しがなければ第三者に対抗できません(民法178条)。BはすでにCに甲を引き渡しており、AはCから甲の返還を求めることができません。解除による所有権の復帰は当事者間では有効ですが、引渡しを受けて占有しているCに対してはAの所有権を対抗できない点が重要です。

2.DがBから甲の修理を請け負い、修理を終えて甲をBに返還したが報酬の支払を受けていない場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Dに先立って優先弁済を受けることができる。

2.妥当でない

動産の先取特権が競合する場合の優先順位は、第1順位が「保存の先取特権」、第2順位が「動産売買の先取特権」となっています(民法330条1項)。Dが修理(保存・維持)によって取得した先取特権は第1順位、Aの動産売買先取特権は第2順位であるため、DがAに先立って優先弁済を受けます。「Aがに先立って優先弁済を受けることができる」という記述は順位が逆です。

※「動産の保存先取特権」とは、他人の動産の保存・修理に要した費用について認められる先取特権です(民法320条)。財産価値を維持した者を保護するため第1順位に置かれています。

3.BがEのために甲に質権を設定した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使して、Eに先立って優先弁済を受けることができる。

3.妥当でない

動産の先取特権と動産質権が競合する場合、質権者は第1順位の先取特権者と同一の権利を有します(民法334条)。AのBに対する動産売買先取特権は第2順位であるため、第1順位と同等の地位を持つEの質権に対してAは優先しません。「Eに先立って優先弁済を受けることができる」という記述は誤りです。

※「動産質権」とは、動産を債権の担保として債権者に引き渡す担保権です(民法344条)。質権は占有を移転することが成立要件であり、占有継続が対抗要件となります。

4.BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡した場合においても、Aは、甲につき先取特権を行使することができ、Fはこれに対して異議を述べることはできない。

4.妥当でない

動産の先取特権は、債務者がその目的動産を第三取得者に引き渡した後は行使できません(民法333条)。占有改定は民法上の引渡し方法の一つ(民法183条)であり、BがFのために甲を譲渡担保に供して占有改定による引渡しをした場合、この占有改定が民法333条の「引渡し」に該当し、Aの先取特権は消滅します(最判昭和62年11月10日)。よってAは先取特権を行使することができません。

※「占有改定」とは、譲渡人がそのまま目的物を占有し続けることを合意することで、観念上の引渡しを行う方法です(民法183条)。物理的に物を移動させずに引渡しの効果を生じさせます。
※「譲渡担保」とは、担保の目的で財産権を債権者に移転し、被担保債権が弁済されたときに返還する担保方法です。民法上の明文規定はありませんが判例・実務上広く認められています。

5.本件売買契約において所有権留保特約が設けられていた場合、BがGのために甲を譲渡担保に供して占有改定の方法により引き渡したとしても、Aは、Bに対して留保所有権に基づいて甲の引渡しを求めることができ、Gはこれに対して異議を述べることはできない。

5.妥当である

所有権留保特約がある場合、代金完済まで甲の所有権はAに留保されます。Bが甲を譲渡担保に供して占有改定による引渡しをしても、Aは所有権者として甲の引渡しをBに対して求めることができます(最判昭和49年7月18日)。Gは占有改定という不完全な引渡ししか受けていないため、AのGに対する留保所有権の主張を排除できません。肢4との違いは、先取特権(担保権)ではなく所有権そのものを留保している点にあります。

※「所有権留保」とは、売買代金が完済されるまで目的物の所有権を売主に留保する特約です。割賦販売などで広く利用され、代金未払いの場合に売主が所有権に基づいて目的物を取り戻せる手段となります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問31|民法

Aを売主、Zを買主とする売買契約に基づいて発生したAのZに対する売買代金債権(以下「本件債権」という)を、AがBに譲渡し、その旨の債権譲渡通知(以下「本件債権譲渡通知」という)が内容証明郵便によって行われ、Zに到達した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。
  2. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。
  3. Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。
  4. 本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。
  5. 本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

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【答え】:2
【解説】
1.本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。

1.妥当である

債権譲渡の対抗要件(通知のZへの到達)が具備される前にZがAへ弁済していた場合、ZはBからの請求を拒むことができます(民法468条1項)。対抗要件具備時より前にZとAの間で生じた事由(弁済)は、Zが譲受人Bに対抗できます。債権譲渡通知が届く前の弁済は有効であり、Zは二重払いを強いられません。

※「対抗要件」とは、当事者間で生じた法律関係を第三者に主張するために必要な要件のことです。債権譲渡では、譲渡人(A)からの確定日付のある証書による通知または債務者(Z)の承諾が第三者対抗要件となります(民法467条2項)。

2.Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。

2.妥当でない

BへとCへの債権譲渡通知が同時にZに到達した場合、BとCは同順位の対抗要件を持つ競合譲受人となりますが、Zはこれを理由にBへの弁済を拒むことはできません(最判昭和55年1月11日)。同時到達の場合、ZはBまたはCのいずれかに対して有効に弁済することができ、弁済を拒む権限はありません。ZがどちらへもZが弁済したくない場合は弁済供託(民法494条)を利用することが認められています。「拒むことができる」という記述が誤りです。

※「弁済供託」とは、債権者が誰であるか不明な場合などに、債務者が法務局等に弁済金を供託することで、自己の債務を免れる制度です(民法494条)。

3.Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達したため、Zが、本件債権につき弁済供託を行った場合、Bは、本件債権全額については供託金の還付を請求することはできない。

3.妥当である

BとCへの債権譲渡通知がZに同時到達し、ZがZの選択により弁済供託をした場合、BとCはそれぞれの譲受債権額に応じて供託金を按分した額の還付請求権を分割取得します(最判平成5年3月30日)。本件でAからBへとCへの譲渡はいずれも同一の債権(本件債権)の譲渡ですから、BはC分を含めた債権全額の供託金還付請求権をCと按分することになり、全額の請求はできません

4.本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

4.妥当である

対抗要件具備時(通知のZへの到達)より前にZがAに対して取得していた貸金債権は、通知到達後に相殺の意思表示をした場合でも、Bに対して相殺による本件債権の消滅を対抗することができます(民法469条1項)。相殺は「取得した時点」が対抗要件具備時より前であればよく、意思表示の時点が通知到達後であっても構いません。債務者Zを保護するための規定です。

※「相殺」とは、互いに同種の債務を有する場合に、一方的意思表示によってその債務を対当額で消滅させることをいいます(民法505条)。

5.本件債権譲渡通知がZに到達した後になって、AZ間の売買契約の履行としてAから引き渡された目的物の品質が契約に適合しておらず、ZのAに対する損害賠償請求権が発生したため、Zは、Aに対して本件債権と当該損害賠償請求権を相殺する旨の意思表示を行った。Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。

5.妥当である

対抗要件具備時より後に取得した債権であっても、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権であれば、相殺をもって譲受人に対抗できます(民法469条2項1号)。本件では、AZ間の売買契約(対抗要件具備時より前に締結)から生じた契約不適合による損害賠償請求権であり、発生原因が通知到達前の売買契約であるため、ZはBに対して相殺による本件債権の消滅を主張することができます。「原因の発生時期」が判断基準となる点を押さえましょう。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問32|民法

AとBが、Cから連帯して400万円を借りている場合(AとBの負担部分は200万円ずつ)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をすることを怠った場合において、すでに弁済により共同の免責を得ていたBがAに事後の通知をしていなかったときは、Aは、Bに対して自己の免責行為を有効であるとみなすことができる。
  2. Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をしないで弁済をし、共同の免責を得た場合において、Bは、Cに対して200万円の反対債権を有していたときは、自己の負担部分の200万円について、Aの求償に対して相殺をもって対抗できる。
  3. Aが、Cに対して400万円の反対債権を有する場合において、Aが相殺を援用したときは、Aの負担部分の200万円についてのみ、Bの利益のためにも、その効力を生ずる。
  4. Cが、Aに対して債務を免除した場合において、Aの負担部分の200万円の限度で、Bは、Cに対して債務の履行を拒むことができる。
  5. AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成した場合において、BがCに400万円を弁済したときは、Bは、Aに求償権を行使することができない。

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【答え】:2
【解説】
1.Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をすることを怠った場合において、すでに弁済により共同の免責を得ていたBがAに事後の通知をしていなかったときは、Aは、Bに対して自己の免責行為を有効であるとみなすことができる。

1.妥当でない

事前通知を怠ったのはAですが、本肢では「Aは自己の免責行為を有効とみなすことができる」としており、これが誤りです。民法443条2項において自己の免責行為を有効とみなすことができるのはBです。BはすでにCへ弁済して共同の免責を得ていたにもかかわらず、AがBへの事前通知を怠ったためAの弁済と重複してしまった場面では、事前通知義務を怠ったAが不利益を受けるべきであり、善意であったBが保護されます

※「事前通知」とは、連帯債務者が弁済等をしようとする場合に、他の連帯債務者に対してあらかじめその旨を知らせる通知のことです(民法443条1項)。

2.Aが、Cに400万円を弁済するのに先立ち、Bに事前の通知をしないで弁済をし、共同の免責を得た場合において、Bは、Cに対して200万円の反対債権を有していたときは、自己の負担部分の200万円について、Aの求償に対して相殺をもって対抗できる。

2.妥当である

Aが事前通知なしにCへ400万円を弁済した場合、Bは自己の負担部分(200万円)について、Cに対して有していた反対債権による相殺をもってAの求償に対抗することができます(民法443条1項前段)。これは、事前通知を怠ったAに不利益を負わせ、Bを保護する規定です。BがCに対して持っていた200万円の反対債権を「事由」として、Aの200万円の求償に対して相殺で対抗できる点が正確に記述されています。

※「求償権」とは、連帯債務者の一人が自己の負担部分を超えて弁済した場合に、他の連帯債務者に対してその超過部分の償還を求めることができる権利です(民法442条)。

3.Aが、Cに対して400万円の反対債権を有する場合において、Aが相殺を援用したときは、Aの負担部分の200万円についてのみ、Bの利益のためにも、その効力を生ずる。

3.妥当でない

Aが400万円の反対債権を持ち相殺を援用した場合、消滅するのはAの負担部分200万円だけではありません。民法439条1項により、相殺を援用した連帯債務者の債権額の限度で、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅します。Aが400万円の反対債権全額で相殺を援用した場合は400万円全額がAとB両者の利益のために消滅します。「Aの負担部分200万円についてのみBの利益のために効力を生ずる」という記述が誤りです。

4.Cが、Aに対して債務を免除した場合において、Aの負担部分の200万円の限度で、Bは、Cに対して債務の履行を拒むことができる。

4.妥当でない

2020年の民法改正により、連帯債務における免除は相対効(民法441条)となりました。CがAに対して債務を免除しても、その効力はAとCの間にのみ生じ、BのCに対する債務には影響しません。改正前の旧民法では免除に絶対効が認められていましたが(旧民法437条)、改正後はBはCに対して履行を拒むことができません。「改正前・改正後」で結論が逆転する点を注意して覚えておきましょう。

5.AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成した場合において、BがCに400万円を弁済したときは、Bは、Aに求償権を行使することができない。

5.妥当でない

民法改正(2020年)により、時効の完成も相対効となりました(民法441条)。AのためにCの貸金債権の消滅時効が完成しても、その効力はAとCの間にのみ及び、BのCに対する債務には影響しません。BはCに対して依然として400万円全額の支払義務を負うため、BがCに400万円を弁済した場合、BはAに対してAの負担部分200万円の求償権を行使することができます(民法442条)。「求償できない」という記述が誤りです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問33|民法

消費貸借契約に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。

イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。

ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。

エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。

オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ

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【答え】:3

【解説】
ア.消費貸借契約は書面によっても行うことができるが、書面でする消費貸借契約の貸主は、借主が消費貸借契約の目的物を受け取るまでの間は当該消費貸借契約を解除することができ、解除によって損害を受けた借主は、貸主に対してその損害の賠償を請求することができる。

ア.妥当でない

本肢は貸主と借主が逆になっています。書面でする消費貸借契約において、目的物の引渡しを受けるまでの間に契約を解除できるのは貸主ではなく借主です(民法587条の2第2項)。借主にとって事情が変わったときの保護規定です。また、その解除によって損害を受けた場合に賠償請求ができるのは借主ではなく貸主です。「貸主」と「借主」をそのまま入れ替えると正しい記述になります。

イ.金銭消費貸借契約の借主が、利息の支払を含む貸金返還債務を新しい消費貸借契約の目的とすることを貸主と合意したときは、これにより新たな消費貸借契約が成立するが、旧契約に付された利息の約定が利息制限法の上限利率を超過する場合には、その限りで当該新たな消費貸借契約は無効となる。

イ.妥当である

既存の債務を合意によって消費貸借上の債務に変更することを準消費貸借といいます(民法588条)。本肢のように、既存の消費貸借債務を新たな消費貸借債務に組み替えることも準消費貸借に含まれます(大判大正2年1月24日)。ただし、旧契約の利息約定が利息制限法の上限利率を超過する部分を含む場合、その超過部分を目的とする新たな消費貸借契約は無効となります(最判昭和55年1月24日)。

※「準消費貸借」とは、売買代金債務・損害賠償債務など既存の債務を、当事者の合意によって消費貸借上の債務に転換する契約です(民法588条)。
※「利息制限法」とは、貸付金利の上限を定めた法律です。元本額に応じて上限利率(15〜20%)が定められており、超過部分の利息約定は無効となります。

ウ.消費貸借契約は原則として利息の発生を伴い、無利息とするためには特約が必要である。

ウ.妥当でない

消費貸借契約は原則として無利息です(民法589条1項)。利息を請求するためには利息付きとする特約が必要です。「原則として利息が発生し、無利息とするために特約が必要」という記述は原則と例外が逆になっています。民法は利息の受取りを原則とはしておらず、当事者が利息を定める場合に特約を要する点を正確に押さえておきましょう。

エ.消費貸借契約において、契約内容に適合しない物が借主に引き渡された場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、借主はその物の価額を返還することができる。

エ.妥当である

貸主から引き渡された物が種類または品質に関して契約内容に適合しない場合、利息付き・無利息を問わず、借主はその物の価額を返還することができます(民法590条2項)。種類物として引き渡された物に瑕疵がある場合でも、借主が同種・同品質の物ではなく価額での返還が認められるため、借主保護が図られています。「利息の有無にかかわらず」という点が出題ポイントです。

オ.消費貸借契約において返還時期の定めがない場合、当該消費貸借契約が利息付きであるか無利息であるかにかかわらず、貸主は借主に対していつでもその貸借物の返還を求めることができ、借主は返還請求があった時から直ちに履行遅滞の責任を負う。

オ.妥当でない

返還時期の定めがない場合、貸主は「いつでも」返還を求めることができるわけではなく、相当の期間を定めた催告が必要です(民法591条1項)。また、借主が履行遅滞となるのは返還請求の直後ではなく、相当期間が経過した後です。「いつでも返還を求めることができ」「直ちに履行遅滞の責任を負う」の2点がともに誤りです。なお、借主は返還時期の定めの有無にかかわらずいつでも返還できる点(民法591条3項)も合わせて覚えておきましょう。

※「相当期間」とは、借主が準備をして返還するために合理的に必要な期間のことです。何日が相当かは個別事情によりますが、突然の即時返還は認められません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問34|民法

不当利得に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。
  2. 他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。
  3. 違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
  4. 不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。
  5. Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.盗品である動産甲を、盗品とは知らずに、甲と同種の物の販売業者から購入して引渡しを受けた買主が、所有者に甲を返還すべき場合、その買主は、所有者に対して、返還するまでの間における甲の使用利益相当額を支払わなければならない。

1.妥当でない

盗品を盗品と知らずに同種物の販売業者から購入した買主は善意占有者にあたります。善意占有者は、占有物から生じる果実(使用利益を含む)を取得する権利があり(民法189条1項)、所有者に対して使用利益相当額を支払う義務を負いません。「返還するまでの間の使用利益相当額を支払わなければならない」という記述が誤りです。

※「善意占有者」とは、自分に占有権限があると信じて占有している者のことです。善意占有者は果実を取得できますが、損傷・滅失した場合の賠償責任は現存利益の限度にとどまります(民法191条)。

2.他人物である動産乙の売買契約に基づいてその引渡しを受けた買主が、その後乙を所有者に返還して売買契約を解除した場合、その買主は売主に対して、返還するまでの間における乙の使用利益相当額を支払う義務を負わない。

2.妥当でない

売買契約が解除された場合、買主は原状回復義務として目的物を返還しますが、その間に目的物を使用していた場合は使用利益相当額も返還しなければなりません(民法545条1項・3項)。「使用利益相当額を支払う義務を負わない」という記述が誤りです。契約解除による原状回復は、物の返還だけでなく使用利益の返還も含む点を押さえておきましょう。

※「他人物売買」とは、売主が所有していない他人の財産を目的物として締結した売買契約です。有効な契約として成立しますが、売主は所有権を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。

3.違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。

3.妥当でない

違法な賭博は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、賭金を支払った者は不法原因給付(民法708条)にあたるため、その返還を請求することができません。民法708条は「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めており、「いつでも返還を求めることができる」という記述は誤りです。不法に関与した者を法が保護しないという趣旨です。

※「不法原因給付」とは、公序良俗違反など不法な原因のために行った給付のことです。民法708条により、給付者は返還請求できませんが、ただし書により不法原因が相手方のみにある場合は返還請求できます。

4.不倫関係の維持を目的として丙建物(既登記建物)の所有者Aが丙建物を受贈者Bに贈与してこれを引き渡したが、所有権移転登話手続が未了であった場合、その贈与者Aは当該契約が無効であることを理由として、Bに対して丙建物の返還を求めることができる。

4.妥当である

不倫関係の維持を目的とした贈与は公序良俗に反し無効ですが(民法90条)、所有権移転登記が未了の場合は、不法原因給付(民法708条)として給付が完成したとはいえません。不動産の場合、引渡しがあっても登記が完了していない段階では給付が完結していないと解されるため、贈与者Aは民法708条による返還請求の制限を受けず、契約無効を理由として丙建物の返還を求めることができます。引渡し済みでも登記未了という点が妥当であるとなる決め手です。

※「不法原因給付と不動産」:不動産では、引渡しに加えて所有権移転登記が完了してはじめて給付が完成したと解される場合があります。登記未了の段階では完全な給付とはいえず、民法708条の適用が制限されることがあります。

5.Aを貸主、Bを借主とする金銭消費貸借契約において、AがBに対して有する貸金債権につき、BがCから騙取した金銭をもって弁済を行った場合、Cは、弁済として受領した金銭が騙取金である旨をAが知っていたか否かを問わず、Aに対してその返還を求めることができる。

5.妥当でない

騙取金による弁済があった場合、被害者Cが弁済受領者Aに返還を求めることができるかは、Aの善意・悪意によって異なります。Aが悪意または重過失であった場合にはCからAへの不当利得返還請求が認められますが、Aが善意・無重過失であった場合は認められません。「Aが知っていたか否かを問わず」という記述が誤りです。善意のAまで保護しないとすると取引の安全が害されるためです。

※「騙取金による弁済」とは、第三者から詐取した金銭を自己の債務弁済に充てることをいいます。判例は、債権者が悪意または重過失のある場合に限り、被害者からの不当利得返還請求を認めています。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問35|民法

認知に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 嫡出でない成年の子を、その父または母が認知する場合には、子の承諾を得なければならない。
  2. 父が胎内にある子を認知する場合には、母の承諾を得なければならない。
  3. 認知は、認知の時からその効力を生ずる。
  4. 認知をした父または母は、その認知を取り消すことができない。
  5. 子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができるが、父または母の死亡の日から3年を経過したときは、その訴えを提起することはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.嫡出でない成年の子を、その父または母が認知する場合には、子の承諾を得なければならない。

1.正しい

成年の子を認知するには、子の承諾が必要です(民法782条)。未成年の子とは異なり、成年に達した子は自己の身分関係について自ら判断する能力があるため、一方的な認知から保護する趣旨です。なお、胎児の認知は母の承諾(肢2)、成年の子の認知は子本人の承諾が必要という違いを整理しておきましょう。

2.父が胎内にある子を認知する場合には、母の承諾を得なければならない。

2.正しい

胎児を認知する場合、父は胎内にある子を認知することができますが、母の承諾を得なければなりません(民法783条1項)。胎児は独自の意思表示ができないため、胎児を保護する立場にある母の承諾を要件とすることで、不当な認知から母子を守る趣旨です。「胎児の認知=母の承諾」とセットで覚えましょう。

3.認知は、認知の時からその効力を生ずる。

3.誤り

認知の効力は「認知の時から」生じるのではなく、「出生の時に遡って」生じます(民法784条本文)。これを認知の遡及効といいます。ただし、第三者がすでに取得した権利を害することはできないという制限があります(民法784条ただし書)。「認知の時から」という記述が誤りであり、「出生の時にさかのぼって」が正確な表現です。

※「認知の遡及効」とは、認知の効力が認知をした時点ではなく出生時にさかのぼって生じることをいいます。これにより、認知された子は出生時から法律上の親子関係があったことになります。

4.認知をした父または母は、その認知を取り消すことができない。

4.正しい

認知をした父または母は、その認知を取り消すことができません(民法785条)。認知は子の身分関係を確定する重要な行為であるため、認知者の恣意的な取消しを認めると子の地位が不安定になるからです。ただし、認知が詐欺・強迫によってなされた場合は取消しが可能です(民法786条・民法96条)。「取り消せない」という原則と「詐欺・強迫の例外」をセットで押さえておきましょう。

5.子、その直系卑属またはこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができるが、父または母の死亡の日から3年を経過したときは、その訴えを提起することはできない。

5.正しい

認知の訴えは子・その直系卑属またはこれらの者の法定代理人が提起できますが、父または母の死亡の日から3年を経過すると提起できなくなります(民法787条)。父母の死後も一定期間は訴えを認めることで子の権利保護を図りつつ、3年という期間制限によって法律関係の安定も確保しています。「3年」という数字を正確に覚えておきましょう。

※「直系卑属」とは、子・孫など自分より後の世代の血族のことです。認知の訴えは子だけでなくその子(孫)も提起できます。
※「法定代理人」とは、法律の規定によって代理権を持つ者のことで、未成年の子の場合は親権者がこれにあたります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問36|商法

交互計算に関する次の記述のうち、商法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、当事者に別段の意思表示がないものとする。

  1. 交互計算とは、商人間での平常取引において、一定の期間内の取引から生じる債権および債務の総額について相殺をし、それによって生じた残額の支払いを約することをいい、商人と商人でない者との間での平常取引では、交互計算を約することはできない。
  2. 交互計算の当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、6か月とする。
  3. 交互計算の当事者は、債権および債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該計算書の記載の錯誤または脱漏の場合を除き、当該各項目について異議を述べることができない。
  4. 交互計算に基づく相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。
  5. 交互計算の各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:1
【解説】
1.交互計算とは、商人間での平常取引において、一定の期間内の取引から生じる債権および債務の総額について相殺をし、それによって生じた残額の支払いを約することをいい、商人と商人でない者との間での平常取引では、交互計算を約することはできない。

1.誤り

交互計算は商人間に限らず、商人と商人でない者との間でも約することができます(商法529条)。商法529条は「商人間又は商人と商人でない者との間において平常取引をする場合において…交互計算を締結することができる」と明確に規定しており、「商人と商人でない者との間では約することができない」という記述は誤りです。

※「交互計算」とは、商人間等における継続的取引から生じる複数の債権・債務を一定期間まとめて相殺し、残額のみを支払う契約です(商法529条)。個別に決済する手間を省き、取引の効率化を図る商事制度です。

2.交互計算の当事者が相殺をすべき期間を定めなかったときは、その期間は、6か月とする。

2.正しい

交互計算の期間について当事者間で定めがない場合、その期間は6か月とされます(商法531条)。当事者が自由に期間を定めることができますが、定めがない場合のデフォルトルールとして6か月が法定されています。「3か月」や「1年」と混同しないよう正確に覚えておきましょう。

3.交互計算の当事者は、債権および債務の各項目を記載した計算書の承認をしたときは、当該計算書の記載の錯誤または脱漏の場合を除き、当該各項目について異議を述べることができない。

3.正しい

当事者が計算書を承認した場合、原則として各項目について異議を述べることができなくなります(商法532条)。ただし、計算書の記載に錯誤または脱漏があった場合は例外として異議を述べることができます。承認によって確定効が生じるという原則と、錯誤・脱漏の場合の例外をセットで押さえておきましょう。

4.交互計算に基づく相殺によって生じた残額については、債権者は、計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができる。

4.正しい

交互計算の相殺によって生じた残額については、債権者は計算の閉鎖の日以後の法定利息を請求することができます(商法533条1項)。「計算の閉鎖の日以後」という起算点が重要です。残額確定後に遅滞なく支払いが行われることを促す規定として機能しています。

※「計算の閉鎖」とは、交互計算の期間満了や解除などにより、その期間内の債権・債務の相殺計算を締め切ることをいいます。

5.交互計算の各当事者は、いつでも交互計算の解除をすることができる。

5.正しい

交互計算の各当事者は、いつでも交互計算を解除することができます(商法534条前段)。解除した場合は直ちに計算を閉鎖して、残額の支払いを請求することができます。一方的な解除が認められており、相手方の同意は不要です。解除と同時に計算の閉鎖・残額請求が可能になる点も合わせて覚えておきましょう。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問37|会社法

発起人に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 発起人とは、定款に署名、記名押印または電子署名をした者をいうが、定款に署名、記名押印または電子署名をしていないものの、実質的に設立を企画し尽力した者であれば、会社の設立事務を行う義務と権限を有する発起人とみなされる。
  2. 発起人は、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付についてあらかじめ定めた期日またはその期間内に出資の履行をしないときは、直ちに当該出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利を失う。
  3. 設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対し当該不足額を支払う義務を負う。
  4. 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益について定款の定めがない場合には、株式会社の成立の時までに、発起人の全員の同意または創立総会の決議によって当該事項を決定することができる。
  5. 設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合には、発起人は、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.発起人とは、定款に署名、記名押印または電子署名をした者をいうが、定款に署名、記名押印または電子署名をしていないものの、実質的に設立を企画し尽力した者であれば、会社の設立事務を行う義務と権限を有する発起人とみなされる。

1.誤り

発起人とは、定款に署名・記名押印または電子署名をした者をいいます(会社法26条1項)。実質的に会社の設立を企画・推進した者であっても、定款に署名等をしていなければ発起人とはみなされません。「実質的関与で発起人と認められる」という考え方は会社法上認められていない点に注意しましょう。

※「発起人」とは、会社設立の企画者として定款に署名・記名押印または電子署名をした者のことです。出資義務・設立手続義務・設立に関する責任など、会社法上の重要な義務と権限が与えられます。

2.発起人は、設立時発行株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付についてあらかじめ定めた期日またはその期間内に出資の履行をしないときは、直ちに当該出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利を失う。

2.誤り

期日までに出資の履行をしなかった場合、「直ちに」権利を失うのではなく、発起人から催告を受けた後にはじめて権利を失います(会社法36条)。具体的には、発起人は出資未履行者に対して一定の期日を定めて払込みを催告し、その期日までに履行がなされない場合に権利を失います。「直ちに」という記述が誤りです。

※「権利株」とは、株式の引受けがなされたが会社成立前の段階における権利のことです。会社成立前の権利株の譲渡は会社に対抗できません(会社法35条)。

3.設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対し当該不足額を支払う義務を負う。

3.誤り

募集設立において、現物出資ができるのは発起人のみです。設立時募集株式の引受人(一般の応募者)が行える払込みは金銭のみとされており(会社法63条)、現物出資は認められていません。したがって、「現物出資財産を給付した引受人」という前提自体が法律上あり得ない状況であるため、本肢は誤りです。

※「現物出資」とは、金銭以外の財産(不動産・有価証券など)を出資することをいいます。過大評価による不公正な資本充実を防ぐため、原則として検査役の調査が必要です(会社法33条)。
※「募集設立」とは、発起人以外の者にも設立時の株式引受けを募集する設立方法です(会社法57条)。

4.株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益について定款の定めがない場合には、株式会社の成立の時までに、発起人の全員の同意または創立総会の決議によって当該事項を決定することができる。

4.誤り

発起人が設立に際して受ける報酬その他の特別の利益(いわゆる「発起人報酬」)は、必ず定款に記載しなければなりません(会社法28条4号)。定款への記載がない場合、後から発起人全員の同意や創立総会の決議で追加・決定することはできません。これは、発起人が自己に不当な利益を付与することを防ぐための厳格な要式規定です。

※「変態設立事項」とは、現物出資・財産引受け・発起人の特別利益・設立費用の4つを指し、いずれも定款への記載がなければ効力を生じません(会社法28条)。会社や株主保護のために厳格に規制されています。

5.設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合には、発起人は、設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく、創立総会を招集しなければならない。

5.正しい

募集設立の場合、発起人は設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日または期間の末日のうち最も遅い日以後、遅滞なく創立総会を招集しなければなりません(会社法65条1項)。すべての払込みが完了したことを確認した上で、速やかに創立総会を開催して設立手続きを進める義務があります。「最も遅い日以後、遅滞なく」という文言を正確に覚えておきましょう。

※「創立総会」とは、募集設立において、発起人および設立時株主(設立時募集株式の引受人)によって構成される総会のことです(会社法65条)。定款変更・設立の廃止などを決議する権限を持ちます。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問38|会社法

取締役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。
  2. 株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。
  3. 取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。
  4. 取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。
  5. 取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。

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【答え】:5
【解説】
1.取締役会は、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項の決定を取締役に委任することができない。

1.正しい

取締役会は業務執行の決定を行う機関であり、重要でない事項は取締役に委任できますが、募集社債の総額その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項の決定は取締役に委任することができません(会社法362条4項5号・676条1号)。これは業務執行者が独断で多額の資金調達を行うことを防ぎ、取締役相互のけん制を機能させるための規定です。

※「社債」とは、会社が資金調達のために発行する債券(借入証書)のことです。株式とは異なり、社債は元本返済と利息支払いの義務が生じます。

2.株式会社の取締役は、自己のために当該株式会社の事業の部類に属する取引をした場合には、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。

2.正しい

競業取引を行った取締役は、事前に取締役会の承認を得るだけでなく、取引後も遅滞なく当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(会社法365条2項)。事前の承認に加えて事後の報告義務も課すことで、取締役会による継続的な監視・監督が可能となっています。「承認だけで報告は不要」と誤解しないよう注意しましょう。

※「競業取引」とは、取締役が自己または第三者のために、会社の事業の部類に属する取引を行うことです。会社の利益を損なうおそれがあるため、取締役会の承認が必要とされています(会社法356条1項1号・365条1項)。

3.取締役会を招集する取締役については、定款または取締役会で定めることもできる。

3.正しい

取締役会は原則として各取締役が招集できますが、定款または取締役会の決議によって招集権者となる取締役を定めた場合は、その取締役のみが招集します(会社法366条1項)。実務では、代表取締役が招集権者に定められていることが多いです。招集権者を定めた場合でも、他の取締役は一定の手続きのもとで招集を請求できる点も合わせて覚えておきましょう。

4.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

4.正しい

取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができません(会社法369条2項)。自己に利害関係のある決議に参加すれば公正な判断が期待できないためです。特別利害関係取締役は定足数(議決に加わることができる取締役の過半数)にも算入されない点も重要なポイントです。

※「特別利害関係」とは、取締役が会社との利益が相反する関係にある場合などを指します。例えば取締役と会社の間の取引(利益相反取引)の承認決議が典型例です。

5.取締役会の決議に参加した取締役が、当該取締役会の議事録に異議をとどめないで署名または記名押印した場合には、当該決議に賛成したものとみなされる。

5.誤り

「みなされる」という記述が誤りです。正しくは「推定される」です(会社法369条5項)。「推定」と「みなし」は法律上の重要な区別であり、推定は反証によって覆すことができますが、みなしは反証を許さない確定的な扱いです。つまり、議事録に異議をとどめなかった取締役は賛成したものと推定されますが、実際には反対であったことを証明すれば推定を覆すことができます。試験では「推定」と「みなし」の区別が頻繁に問われますので正確に押さえておきましょう。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問39|会社法

監査役および監査役会に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、監査役を置かなければならない。
  2. 監査役は、特別取締役による議決の定めがあるときを除き、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
  3. 公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
  4. 監査役会設置会社においては、常勤の監査役は、監査役の中から株主総会の決議によって選任しなければならない。
  5. 取締役、会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。

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【答え】:4
【解説】
1.会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、監査役を置かなければならない。

1.正しい

会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、必ず監査役を置かなければなりません(会社法327条3項)。会計監査人が適正に職務を行っているかを監督する観点から、監査役の設置が義務づけられています。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社はそれぞれ独自の監督機関を持つため例外とされています。

※「会計監査人」とは、会社の計算書類等を監査する公認会計士または監査法人のことです。大会社や上場会社では設置が義務づけられています。

2.監査役は、特別取締役による議決の定めがあるときを除き、取締役会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。

2.正しい

監査役は取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べなければなりません(会社法383条1項)。ただし、監査役が2人以上いる場合で特別取締役による議決の定めがあるときは、監査役の互選によって取締役会に出席する監査役を定めることができるという例外があります。「特別取締役による議決の定めがあるときを除き」という条件付きの記述が正確に反映されているため、正しい肢です。

※「特別取締役」とは、取締役会の決議事項の一部を迅速に処理するため、取締役の中から選定される者のことです(会社法373条)。

3.公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)は、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

3.正しい

公開会社でない株式会社(監査役会設置会社および会計監査人設置会社を除く)、いわゆる非公開会社は、監査役の監査範囲を会計監査に限定する旨を定款で定めることができます(会社法389条1項)。規模の小さい閉鎖的な会社に対する負担軽減のための特例です。この場合、監査役は業務監査(取締役の職務執行の監査)を行わず、会計監査のみを担います。

※「公開会社でない株式会社(非公開会社)」とは、発行するすべての株式の譲渡に会社の承認を要する旨を定款で定めた会社のことです。

4.監査役会設置会社においては、常勤の監査役は、監査役の中から株主総会の決議によって選任しなければならない。

4.誤り

常勤の監査役は株主総会の決議によって選任するのではなく、監査役の互選によって定めます(会社法390条3項)。株主総会で選任されるのは監査役そのものであり、その中から誰が常勤となるかは監査役同士の互選で決定されます。「株主総会の決議によって選任」という記述が誤りです。選任機関の違いを正確に押さえておきましょう。

※「常勤監査役」とは、監査役会設置会社において常時会社の業務に従事する監査役のことです。監査役会には必ず常勤監査役を1名以上置かなければなりません(会社法390条3項)。

5.取締役、会計参与、監査役または会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。

5.正しい

取締役・会計参与・監査役・会計監査人が監査役の全員に対して個別に通知を行った場合は、改めて監査役会への報告は不要とされています(会社法395条)。監査役全員がすでに情報を把握している場合に、形式的な報告手続を重ねることは不要であるという合理性に基づく規定です。「全員への通知=監査役会への報告不要」という点を覚えておきましょう。

※「監査役会」とは、3人以上の監査役で構成され、そのうち半数以上が社外監査役でなければならない機関です(会社法335条3項)。監査役会設置会社においては、監査役会が監査の方針等を決定します。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略