令和6年度(2024年度)過去問

令和7年・2025|問20|国家賠償法

国家賠償法1条に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここにいう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれないとするのが判例である。

イ.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれうるとするのが判例である。

ウ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについて」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたずに私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわらず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

エ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. ア・エ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:4

【解説】
ア.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、ここにいう「公権力の行使」は、行政事件訴訟法において抗告訴訟の対象を表す「公権力の行使」と同じ意味であるから、国会議員が行う立法行為は、この概念には含まれないとするのが判例である。

ア.妥当でない

国家賠償法1条の「公権力の行使」は、行政事件訴訟法における「公権力の行使」より広い概念です。判例(東京高判昭和56年11月13日)は、国・公共団体の作用のうち純粋な私経済作用と国家賠償法2条の営造物管理作用を除くすべての作用がここにいう公権力の行使にあたるとしており、立法権の行使や司法権の行使も含まれます。「国会議員の立法行為は含まれない」という記述が誤りです。

イ.国家賠償法1条は「公権力の行使」によって生じた損害に適用されるが、行政指導や情報提供などの非権力的行政作用も、ここにいう「公権力の行使」に含まれうるとするのが判例である。

イ.妥当である

行政指導は権力的作用ではありませんが、国家賠償法1条における「公権力の行使」には非権力的行政作用も含まれます。判例(最判平成5年2月18日)は、指導要綱に基づき教育施設負担金の寄付を求める行政指導について、給水拒否などの制裁措置を背景に事実上強制する場合には行政指導の限度を超え、違法な公権力の行使にあたると判示しています。任意性が確保されているかどうかが適法性の分岐点となります。

ウ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が「職務を行うについて」他人に損害を与えていることが必要であり、公務員が職務執行の意思をもたずに私的な目的のためになした違法行為については、その外形のいかんにかかわらず、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

ウ.妥当でない

判例は外形標準説を採用しており、公務員が職務執行の意思を持たず私的目的でなした行為であっても、外形上職務行為と認められる場合には国家賠償法1条の「職務を行うについて」に該当し、行政主体の賠償責任が成立しうるとされています。「外形のいかんにかかわらず責任が成立しない」という記述は外形標準説を否定するものであり、判例と反対の結論です。

※「外形標準説」とは、職務行為かどうかの判断を公務員の主観的意図ではなく行為の外形(外観)によって判断する考え方です。被害者保護の観点から重要な法理です。

エ.国家賠償法1条による賠償責任を認めるには、加害公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反していることが必要であるが、公務員が法律解釈を誤って違法行為を行ったとしても、それにつき異なる見解が対立し、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合には、行政主体の賠償責任は成立しないとするのが判例である。

エ.妥当である

ある法律解釈について対立する複数の見解があり、いずれにも相当の根拠が認められる場合、公務員がその一方の見解に従って職務を行ったとしても、後にその解釈が違法と判断されたからといって直ちに公務員に過失があったとはいえません(最判昭和46年6月24日)。国家賠償責任における「過失」の判断は当時の状況や法的知識の水準を踏まえた客観的な注意義務違反の有無によるものであり、解釈が複数ありうる場面での合理的な判断は過失を構成しません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問21|国家賠償法

国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。 (注)* 失火ノ責任ニ関スル法律

  1. 国または公共団体の損害賠償の責任については、民法の規定が補充的に適用されるとされており、失火責任法* もここにいう民法に含まれるが、消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した事案は、失火責任法にいう「失火」に該当せず、失火責任法の適用はない。
  2. 国または公共団体の公権力の行使にあたる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合において、当該加害公務員は、国または公共団体に対し、各自が負う責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う。
  3. 市町村が設置する学校の教諭につき、当該教諭の給与を都道府県が負担する場合において、当該教諭がその職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えたときは、当該教諭の給与を負担する都道府県が、国家賠償法に基づく損害賠償の義務を負い、学校の設置主体である当該市町村は、同法に基づく損害賠償責任を負わない。
  4. 公の営造物の設置または管理に瑕疵があることによる国家賠償責任につき、当該営造物の設置または管理にあたる者とその費用の負担者とが異なるときは、その双方が責任を負うことになるが、ここにいう設置費用の負担者には、当該営造物の設置費用につき法律上の負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的には事業を共同して執行していると認められる一定範囲の者も含まれる。
  5. 国または公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人(被害者)に被害を生ぜしめた事案においては、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国または同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合であったとしても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するためには、被害者において、当該事案における加害行為とそれを行った者を特定しなければならない。

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【答え】:4
【解説】
1.国または公共団体の損害賠償の責任については、民法の規定が補充的に適用されるとされており、失火責任法* もここにいう民法に含まれるが、消防署職員の消火活動が不十分なため残り火が再燃して火災が発生した事案は、失火責任法にいう「失火」に該当せず、失火責任法の適用はない。

1.妥当でない

判例(最判昭和53年7月17日)は、消防署職員の消火活動が不十分で残り火が再燃した場合も「失火」に該当し、失火責任法が適用されると判示しています。また、国家賠償法4条の「民法」には失火責任法が含まれるため、公務員の失火による国・公共団体の賠償責任にも失火責任法が適用されます。「失火責任法の適用はない」という記述が誤りです。

※「失火責任法」とは、失火による損害賠償責任について、失火者に重大な過失がある場合に限り責任を負うとする法律です。通常の過失(軽過失)では責任を負わない点が民法の一般原則(709条)と異なります。

2.国または公共団体の公権力の行使にあたる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国または公共団体がこれを賠償した場合において、当該加害公務員は、国または公共団体に対し、各自が負う責任の度合いや資力の有無に応じて分割された求償債務を負う。

2.妥当でない

複数の公務員が共同して故意により損害を与えた場合、国・公共団体が賠償した後の求償関係については、各公務員は連帯して求償債務を負います。「各自の責任の度合いや資力に応じて分割された求償債務を負う」という記述は誤りで、故意による共同加害行為の場合は分割債務ではなく連帯債務として求償義務を負います。不法行為における連帯責任の原則(民法719条)が基礎となっています。

3.市町村が設置する学校の教諭につき、当該教諭の給与を都道府県が負担する場合において、当該教諭がその職務を行うについて故意または過失によって違法に生徒に損害を与えたときは、当該教諭の給与を負担する都道府県が、国家賠償法に基づく損害賠償の義務を負い、学校の設置主体である当該市町村は、同法に基づく損害賠償責任を負わない。

3.妥当でない

市町村立学校の教諭がその職務上で生徒に損害を与えた場合、設置主体である市町村と給与を負担する都道府県の双方が国家賠償責任を負います(国家賠償法1条1項・3条1項)。給与を負担する都道府県が賠償した場合は、設置主体である市町村に対して全額を求償できます(最判平成21年10月23日)。「市町村は損害賠償責任を負わない」という記述が誤りです。

4.公の営造物の設置または管理に瑕疵があることによる国家賠償責任につき、当該営造物の設置または管理にあたる者とその費用の負担者とが異なるときは、その双方が責任を負うことになるが、ここにいう設置費用の負担者には、当該営造物の設置費用につき法律上の負担義務を負う者のほか、この者と同等もしくはこれに近い設置費用を負担し、実質的には事業を共同して執行していると認められる一定範囲の者も含まれる。

4.妥当である

国家賠償法3条1項の「設置費用の負担者」には、法律上の負担義務者のみならず、これと同等またはこれに近い設置費用を負担し、実質的に事業を共同して執行していると認められる者も含まれます(最判昭和50年11月28日)。例えば、国が設置できる営造物を地方公共団体に設置させ、国が同等額の経済的補助をしつつ危険防止措置を請求できる立場にある場合、国も設置費用の負担者に含まれます。単なる贈与に過ぎない者は含まれません。

※「国家賠償法3条1項」とは、公の営造物の設置・管理者とその費用負担者が異なる場合に、費用負担者も損害賠償責任を負うとする規定です。複数の主体が関わる場合の責任分担を定めています。

5.国または公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人(被害者)に被害を生ぜしめた事案においては、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国または同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合であったとしても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任が成立するためには、被害者において、当該事案における加害行為とそれを行った者を特定しなければならない。

5.妥当でない

一連の職務行為により損害が生じた場合、判例は被害者が特定の加害行為およびその行為者を特定しなくても、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が認められるとしています。一連の行為を組成する各行為がいずれも同一の国または公共団体の公務員の職務行為である場合、全体として国または公共団体の責任を問えば足ります。被害者に過大な立証負担を課さないための法的扱いです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問22|行政法

条例の適法性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法および法律に抵触するものとはいえない。
  2. 地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。
  3. 暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項、31条に反するとはいえない。
  4. 国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。
  5. 集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。

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【答え】:5
【解説】
1.ため池の破損等の原因となる堤とうの使用行為は憲法、民法の保障する財産権の行使の埒外にあることから、これを条例をもって禁止し、処罰の対象にしても憲法および法律に抵触するものとはいえない。

1.妥当である

ため池の堤とうを使用してため池を破損等させる行為は、そもそも憲法・民法が保障する財産権の行使の範囲外にあるとされています(最大判昭和38年6月26日)。ため池の安全を守ることは地域住民の生命・財産を守るためのものであり、そのような危険行為を条例で禁止・処罰しても財産権の侵害にはあたらず、憲法および法律に抵触しません。条例による財産権規制の合憲性を認めた重要判例です。

2.地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。

2.妥当である

法律による罰則のみが許されるという厳格な解釈を採れば条例罰則は違憲となりますが、最高裁(最大判昭和37年5月30日)は、地方自治法の定める相当に具体的な事項について、同法が限定した刑罰の範囲内で条例が罰則を定めることは憲法31条に違反しないと判示しました。民主的に選出された議会で制定される条例も、法律に準じた民主的正統性を持つとされています。

※「憲法31条」は罪刑法定主義の根拠規定とされ、刑罰を科すには法律の定める手続によることを要求しています。条例罰則はその委任関係の明確性が問われます。

3.暴走族による集会等を規制する暴走族追放条例は、その規制対象が本来的な意味における暴走族およびその類似集団による集会に限定されると解されることから、憲法21条1項、31条に反するとはいえない。

3.妥当である

暴走族追放条例の文言は広く解釈すると集会の自由(憲法21条1項)や罪刑法定主義(憲法31条)に抵触する可能性がありますが、最高裁(最判平成19年9月18日)は、条例の規制対象を本来的な意味における暴走族およびその類似集団に限定して解釈すれば、憲法21条1項・31条に違反しないと判示しました。限定解釈によって合憲性を維持した事例として重要な判例です。

4.国民健康保険の保険料率を定める国民健康保険条例が、市長に対して、条例の定める基準に基づき保険料率を決定・公示することを委任したとしても、そのことが憲法84条の趣旨に違反するとはいえない。

4.妥当である

国民健康保険料は税ではありませんが、強制徴収される公的負担として租税類似の性格を持ちます。最高裁(最判平成18年3月1日)は、国民健康保険条例が市長に条例の基準に基づいた保険料率の決定・公示を委任しても、憲法84条の趣旨に違反しないと判示しました。条例に基準が定められた上での委任であれば、租税法律主義(憲法84条)の趣旨を満たすとされています。

※「憲法84条」(租税法律主義)は、新たな課税や租税の変更には法律または法律の定める条件が必要とする原則です。保険料など税以外の公的負担にも類推適用されることがあります。

5.集団行進および集団示威行為における交通秩序の維持を目的とする条例は、道路交通法と同一の行為を処罰することになるため、憲法31条に違反する。

5.妥当でない

集団行進等を規制する条例が道路交通法と同一行為を対象とする場合でも、両者の目的・規制の趣旨が異なる場合には条例が国法と矛盾抵触するとはいえず、憲法31条違反にもなりません(最大判昭和29年11月24日)。道路交通法が道路交通秩序全般を目的とするのに対し、集団行進取締条例は集団デモ等の特有の秩序維持を目的としており、目的・規制内容が異なるため両立が認められます。「道路交通法と同一行為を処罰するだけで違憲」という断定が誤りです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問23|地方自治法

都道府県における知事と議会の関係に関する次の記述のうち、法令に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 議会の議決に属する事項については、軽易な事項であるか否かにかかわらず、議会が議決により知事の専決処分に委ねることはできない。
  2. 知事は、議会における議決について異議があるときは、その議決が法令に違反しないものである場合であっても、当該議決を再議に付すことができる。
  3. 再議の結果、議決がなお法令に違反すると知事が認める場合には、内閣総理大臣に対し審査を申し立てることができる。
  4. 知事は、緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認める場合には、議決事項を専決処分とすることができるが、後に議会がこれを承認しない場合には、当該専決処分は無効となる。
  5. 議会により不信任が議決された場合には、知事は議会を解散することができるが、解散後初めて議会が招集された時に自動的に失職する。

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【答え】:2
【解説】
1.議会の議決に属する事項については、軽易な事項であるか否かにかかわらず、議会が議決により知事の専決処分に委ねることはできない。

1.妥当でない

議会の権限に属する事項のうち、軽易な事項については、議会の議決により特に指定した場合に限り、知事(長)が専決処分をすることができます(地方自治法180条1項)。「軽易か否かにかかわらず委ねることができない」という記述は誤りです。軽易な事項への専決処分委任は「議会の指定」が要件であり、知事が独断で行えるものではありません。

※「専決処分」とは、議会の議決・決定によらずに知事(長)が単独で処分を行うことをいいます。地方自治法179条(緊急時等の専決処分)と180条(軽易事項の委任による専決処分)の2種類があります。

2.知事は、議会における議決について異議があるときは、その議決が法令に違反しないものである場合であっても、当該議決を再議に付すことができる。

2.妥当である

知事には、議会の議決に異議があるときに再議に付すことができる一般的拒否権が認められています(地方自治法176条1項)。この一般的拒否権は、当該議決が法令に違反するか否かにかかわらず、知事が異議を有するだけで発動できます。再議に付された議決が出席議員の3分の2以上の多数で再び可決されると、その議決は確定します(同条3項)。法令違反を要件とする特別拒否権(同条5項)と区別して覚えておきましょう。

3.再議の結果、議決がなお法令に違反すると知事が認める場合には、内閣総理大臣に対し審査を申し立てることができる。

3.妥当でない

再議の結果、議決がなお法令に違反すると認める場合の申立先は、内閣総理大臣ではなく総務大臣です(地方自治法176条7項)。都道府県の長は総務大臣に、市町村の長は都道府県知事に申し立てます。国の監督機関として内閣総理大臣ではなく総務大臣が地方自治を所管している点を正確に押さえておきましょう。

4.知事は、緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認める場合には、議決事項を専決処分とすることができるが、後に議会がこれを承認しない場合には、当該専決処分は無効となる。

4.妥当でない

緊急時の専決処分(地方自治法179条)は、議会が事後に不承認とした場合でも専決処分自体は無効になりません。不承認の場合、知事は速やかに必要と認める措置を講じなければならないとされているに過ぎません(同条3項)。専決処分の効力は議会の承認の有無に左右されず維持されます。「承認がなければ無効」という記述が誤りです。

5.議会により不信任が議決された場合には、知事は議会を解散することができるが、解散後初めて議会が招集された時に自動的に失職する。

5.妥当でない

不信任議決を受けた知事が議会を解散した後、解散後初めて招集された議会で再び不信任の議決があったときに、議長からの通知を受けた日に知事は失職します(地方自治法178条2項)。「解散後初めて議会が招集された時に自動的に失職する」という記述は誤りで、再度の不信任議決が条件です。再選挙で民意を受けた議会が再び不信任を可決した場合に初めて失職する仕組みです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問24|地方自治法

普通地方公共団体に対する国または都道府県の関与に関する次のア~エの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正の要求をすることができる。

イ.各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときに、都道府県知事に対し、当該事務の処理について違反の是正のために必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることはできず、これを当該市町村に対し直接に指示することができる。

ウ.都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、各大臣の指示によることなく、当該市町村に対し、是正の要求をすることができる。

エ.各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正の指示をすることができる。

  1. ア・イ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

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【答え】:2

【解説】
ア.各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正の要求をすることができる。

ア.妥当である

各大臣は、担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対して是正の要求をすることができます(地方自治法245条の5第1項)。是正の要求を受けた地方公共団体は、必要な措置を講じる義務を負う点も合わせて押さえておきましょう。

※「是正の要求」とは、国が地方公共団体の自治事務の処理について、違反の是正・改善のための措置を求める関与の手段です(地方自治法245条の5)。法的拘束力があり、受けた地方公共団体は対応義務を負います。

イ.各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときに、都道府県知事に対し、当該事務の処理について違反の是正のために必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることはできず、これを当該市町村に対し直接に指示することができる。

イ.妥当でない

各大臣が市町村の自治事務の処理の適正化を求める場合、市町村に対して直接指示するのではなく、都道府県知事に対して「市町村への是正の要求をするよう指示する」という手続をとります(地方自治法245条の5第3項)。都道府県知事はその指示を受けて、市町村に対し是正の要求をしなければなりません(同条4項)。「直接市町村に指示できる」という記述が誤りで、国→都道府県→市町村という段階的な関与の仕組みが採られています。

ウ.都道府県知事は、市町村長の担任する自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、各大臣の指示によることなく、当該市町村に対し、是正の要求をすることができる。

ウ.妥当でない

都道府県知事が市町村の自治事務について是正の要求を行うためには、各大臣の指示があることが必要です(地方自治法245条の5第3項・4項)。都道府県知事が独自の判断で是正の要求をすることはできません。「各大臣の指示によることなく」という記述が誤りです。国→都道府県知事→市町村という指示の流れが法定されており、都道府県知事の独自の是正要求は認められていません。

エ.各大臣は、その所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、是正の指示をすることができる。

エ.妥当である

各大臣は、所管する法律またはこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令に違反していると認めるとき、または著しく適正を欠き明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対して是正の指示をすることができます(地方自治法245条の7第1項)。自治事務への「是正の要求」と法定受託事務への「是正の指示」の違いを整理しておきましょう。

※「是正の指示」とは、国または都道府県が地方公共団体の法定受託事務の処理について具体的な行為を命ずる関与手段です(地方自治法245条の7)。「是正の要求」(自治事務)と異なり、指示を受けた側は具体的行為を行う義務を負います。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問25|行政法

建築に関わる紛争に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。
  2. 建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。
  3. 建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。
  4. 民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。
  5. 一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.東京都建築安全条例に基づく安全認定を先行処分とする建築確認の取消訴訟において、当該安全認定について裁判所が審査できるのは、重大かつ明白な瑕疵があり無効か否かに限定される。

1.妥当でない

先行処分である安全認定に違法がある場合、建築確認取消訴訟においてその違法を主張できるかという「違法性の承継」の問題です。判例(最判平成21年12月17日)は、安全認定と建築確認は同一目的を達成するための一連の手続であるとして、安全認定の違法性を建築確認取消訴訟において主張できるとしました。審査は「重大かつ明白な瑕疵による無効」に限定されるわけではなく、通常の取消事由としての違法性も含めて判断されます。

※「違法性の承継」とは、先行処分の違法を後行処分の取消訴訟で主張できるかという問題です。原則として承継されませんが、両処分が一連一体の関係にある場合は例外的に承継が認められます。

2.建築主事は、建築確認の申請書を受理してから一定期間内に申請者に確認済証を交付しなければならないところ、この期間経過後も交付をしないことが適法とされるのは、当該申請者がそれにつき任意に同意をしているものと明確に認められる場合に限られる。

2.妥当でない

建築基準法は建築主事に対して一定期間内に確認済証を交付する義務を課していますが、期間経過後も交付しないことが適法となる例外は「申請者が明確に同意した場合に限られる」わけではありません。判例は申請者の同意がある場合のほか、申請書の補正など手続上の合理的な理由がある場合なども考慮するとしており、「明確な同意に限定」という記述は例外を過度に狭く捉えています。

3.建築確認は、建築工事の開始前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合することを公権的に判断する行為にすぎないため、建築確認に対する取消訴訟の係属中に、当該建築確認に係る建築工事が完了した場合、当該取消訴訟の訴えの利益は消滅する。

3.妥当である

建築確認は建築工事開始前に計画の法適合性を判断する工事着手の前提条件となる処分にすぎません。そのため、建築確認の取消訴訟係属中に建築工事が完了してしまうと、建築確認を取り消してもそれ以上工事を阻止する実益がなくなるため、訴えの利益は消滅します(最判昭和59年10月26日)。工事完了前に仮の差止め等を求めることが重要となる場面です。

※「訴えの利益」とは、取消訴訟において処分を取り消すことで回復すべき法律上の利益のことです。訴えの利益が失われると、本案審理を行う実益がないため却下されます。

4.民間の指定確認検査機関が行った建築確認につき、その取消訴訟を提起した原告が、この訴えを、損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立てる場合、変更後の訴えの被告は、当該指定確認検査機関である民間法人となる。

4.妥当でない

指定確認検査機関は民間法人ですが、建築確認という公権力の行使を行う機関として位置づけられています。取消訴訟から損害賠償請求訴訟への変更の場面では、国家賠償責任を負うのは指定確認検査機関を指定・監督する国または地方公共団体であり、民間法人である指定確認検査機関自体が被告となるわけではありません(国家賠償法1条)。「変更後の被告が民間法人たる指定確認検査機関」という記述が誤りです。

※「指定確認検査機関」とは、建築基準法に基づき国土交通大臣または都道府県知事が指定した民間機関で、建築確認・完了検査等の業務を行います(建築基準法77条の18)。

5.一級建築士により構造計算書に偽装が行われていた建築物の計画について、これを看過した建築主事による建築確認が国家賠償法の適用上違法となる余地はなく、当該建築確認の申請者である建築主による国家賠償請求は認められない。

5.妥当でない

一級建築士による構造計算書の偽装があったとしても、建築主事がその偽装を見抜けなかったことに過失があれば、国家賠償法上の違法となる余地があります。建築主事には建築確認の審査義務があり、高度な偽装であっても審査の過程でどの程度の注意義務が求められるかは個別の事情に応じて判断されます。「違法となる余地はない」という絶対的な否定は誤りであり、国家賠償請求が認められる可能性は排除されません

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問26|情報公開法

行政機関情報公開法* (以下「法」という)に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。 (注)* 行政機関の保有する情報の公開に関する法律

  1. 開示請求にかかる行政文書に個人に関する情報が含まれている場合、開示請求者は、法が定める範囲内で、行政機関において、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報を記載した新たな別の行政文書を作成し、その交付を求めることができる。
  2. 法にいう「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画および電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、事案処理手続における決裁、縦覧を経た上で当該行政機関が保有しているものをいう。
  3. 法は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的としていることから、外国に在住する外国人は、行政文書の開示を請求する権利を有しない。
  4. 法は、個人に関する情報について、それが一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報であるか否かにかかわりなく、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものを不開示情報としている。
  5. 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、法の定める場合を除き、開示請求者の求めに応じ、当該部分を除いた情報の概要を記載した新たな別の文書を作成し、これを交付しなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.開示請求にかかる行政文書に個人に関する情報が含まれている場合、開示請求者は、法が定める範囲内で、行政機関において、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報を記載した新たな別の行政文書を作成し、その交付を求めることができる。

1.妥当でない

行政機関情報公開法は、あくまで現に存在する行政文書の開示を請求できる制度であり、新たな文書を作成して交付することまでは求めていません。個人情報を加工した新たな文書の作成・交付は、個人情報保護法における匿名加工情報の仕組み(個人情報保護法2条6項等)の問題であり、情報公開法の枠組みとは別の話です。情報公開法と個人情報保護法を混同しないよう注意しましょう。

2.法にいう「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画および電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、事案処理手続における決裁、縦覧を経た上で当該行政機関が保有しているものをいう。

2.妥当でない

情報公開法における「行政文書」の定義(情報公開法2条2項)は、「行政機関の職員が職務上作成し、または取得した文書・図画・電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているもの」とされています。「事案処理手続における決裁・縦覧を経た上で」という要件は定められておらず、この記述は要件を過剰に限定するものです。「組織的に用いるもの」として保有していれば足り、決裁・縦覧の有無は問いません。

3.法は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めることにより、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的としていることから、外国に在住する外国人は、行政文書の開示を請求する権利を有しない。

3.妥当でない

情報公開法3条は「何人も」行政文書の開示を請求することができると定めており、日本国民・外国人・在住者・非在住者を問いません。外国に住む外国人も開示請求権を有します。「国民主権の理念にのっとり」と目的規定に書かれていますが、だからといって請求権者を日本国民に限定しているわけではない点が重要です。

4.法は、個人に関する情報について、それが一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報であるか否かにかかわりなく、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものを不開示情報としている。

4.妥当である

情報公開法5条1号は、特定の個人を識別することができる個人情報を不開示情報としており、その情報が「他人に知られたくない情報かどうか」という本人の意思や情報の性質には関係なく、特定の個人を識別できるか否かのみを基準としています。また、他の情報と照合することで特定個人が識別できるものや、識別はできなくても公開により個人の権利利益を害するおそれがあるものも不開示情報に含まれます。

※「不開示情報」とは、情報公開法5条各号に列挙された開示することが適切でない情報のことです。個人情報・法人情報・安全保障情報・審議検討情報・事務事業情報などが定められています。

5.行政機関の長は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、法の定める場合を除き、開示請求者の求めに応じ、当該部分を除いた情報の概要を記載した新たな別の文書を作成し、これを交付しなければならない。

5.妥当でない

一部開示(情報公開法6条)とは、行政文書の一部に不開示情報が含まれる場合に、不開示部分を除いた既存の行政文書をそのまま開示する制度です。肢1・肢5のいずれも「新たな別の文書を作成して交付する」としている点が誤りです。情報公開法は既存文書の開示を求める制度であり、新たな文書の作成義務は課していません。「概要を記載した別文書の作成・交付」は法が求めていない要件です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問27|民法

行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。

  1. 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
  2. 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければならない。
  3. 被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認または放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。
  4. 制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
  5. 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人または補助人に対し、その権限内の行為について、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

>解答と解説はこちら


【答え】:3
【解説】
1.補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

1.正しい

補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しない場合、家庭裁判所は被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができます(民法17条3項)。これは補助人が不当に同意を拒絶することから被補助人を保護する規定です。同様の規定は保佐人の同意に代わる許可(民法13条3項)にも存在します。

※「補助」とは、精神上の障害により事理弁識能力が不十分な者を対象とする後見制度の一類型で、後見・保佐より支援の程度が軽いものです(民法15条)。補助人の同意権の対象は、保佐人の同意権の対象の一部に限られます。

2.後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人または被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始または補助開始の審判を取り消さなければならない。

2.正しい

後見・保佐・補助は支援の程度が異なる段階的な制度です。後見開始の審判を受ける場合、本人がすでに被保佐人または被補助人であるときは、より軽い制度である保佐開始・補助開始の審判は家庭裁判所が職権で取り消さなければなりません(民法19条1項)。重複適用を排除し、適切な保護類型に一本化する趣旨です。

3.被保佐人が遺産の分割をする場合には、その保佐人の同意を得る必要はないが、被保佐人が相続の承認または放棄をする場合には、その保佐人の同意を得なければならない。

3.誤り

「被保佐人が遺産の分割をする場合に保佐人の同意が不要」という記述が誤りです。民法13条1項9号により、相続の承認もしくは放棄および遺産の分割はいずれも保佐人の同意が必要な行為として明示されています。遺産分割は財産的影響が大きく被保佐人を保護する必要があるため、相続の承認・放棄と並んで両方とも同意が必要です。「遺産分割は不要」という点が誤りです。

※「被保佐人」とは、精神上の障害により事理弁識能力が著しく不十分な者として保佐開始の審判を受けた者のことです(民法11条)。民法13条1項に列挙された重要な財産行為には保佐人の同意が必要です。

4.制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

4.正しい

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。自ら相手方を騙した制限行為能力者を保護する必要はなく、むしろ善意で信頼した相手方を保護すべきという趣旨です。なお、単に黙秘しているだけでは詐術にあたりませんが、他の言動と相まって誤信を強めるような場合は詐術にあたると解されています。

5.制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人または補助人に対し、その権限内の行為について、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、これらの者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

5.正しい

制限行為能力者の相手方が、法定代理人・保佐人・補助人に対して1か月以上の期間を定めて追認するか否かの確答を催告した場合、期間内に確答がなければ追認したものとみなされます(民法20条1項・2項)。これは制限行為能力者の相手方を不確定な状態から解放する規定です。ただし、制限行為能力者本人に直接催告した場合、確答がなければ取り消したものとみなされる点(民法20条4項)と区別して覚えておきましょう。

※「追認」とは、取り消しうる行為を確定的に有効とする意思表示のことです(民法122条)。追認後は取り消すことができなくなります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問28|民法

代理人の行う代理行為に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.任意後見契約に基づく任意代理人は、任意後見契約で定められた被後見人の財産に関する代理行為を行うのに対し、家庭裁判所の審判により選任された法定代理人である後見人は、家庭裁判所の審判において定められた被後見人の特定の財産行為についてのみ代理行為を行う。

イ.法定代理人は、任意代理人と異なり、いつでも復代理人を選任することができるが、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任および監督についての責任のみを負う。

ウ.法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

エ.代理人であった者がその代理権が消滅した後に、その代理権の範囲内において代理行為を行った場合、その者が当該代理人が任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず、本人は、代理権の消滅について善意・無過失の第三者に対して、その責任を負う。

オ.代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の法定代理人である場合でも同様である。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. ウ・エ

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【答え】:3

【解説】
ア.任意後見契約に基づく任意代理人は、任意後見契約で定められた被後見人の財産に関する代理行為を行うのに対し、家庭裁判所の審判により選任された法定代理人である後見人は、家庭裁判所の審判において定められた被後見人の特定の財産行為についてのみ代理行為を行う。

ア.妥当でない

家庭裁判所の審判により選任された後見人は、被後見人の財産に関するすべての法律行為について広範な代理権を持ちます(民法859条1項)。「家庭裁判所の審判において定められた特定の財産行為についてのみ代理権を持つ」という記述は誤りです。特定の行為に代理権が限定されるのは後見人ではなく、保佐人・補助人において家庭裁判所が代理権の範囲を定める場合(民法876条の4・876条の9)に当たります。

※「任意後見契約」とは、本人が将来の判断能力低下に備え、信頼できる者に財産管理等の代理権を付与する公正証書による契約です(任意後見契約法2条)。

イ.法定代理人は、任意代理人と異なり、いつでも復代理人を選任することができるが、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任および監督についての責任のみを負う。

イ.妥当である

法定代理人はいつでも自己の責任で復代理人を選任できます(民法105条本文)。ただし、やむを得ない事由がある場合は、選任と監督についての責任のみを負います(民法105条ただし書)。これに対して、任意代理人は本人の許諾またはやむを得ない事由がある場合のみ復代理人を選任できます(民法104条)。法定代理人は本人の指示なく広範な権限を持つため復代理人選任が自由である一方、責任範囲が重くなる仕組みです。

※「復代理人」とは、代理人が自己の権限内で本人を代理するために選任した代理人のことです。復代理人は本人を直接代理し、元の代理人の代理人ではありません(民法106条)。

ウ.法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

ウ.妥当である

本人の死亡は原則として代理権を消滅させます(民法111条1項1号)。しかし、任意代理については本人死亡後も代理権を存続させる旨の合意がある場合、死亡後も代理権は存続します(最判昭和31年6月1日)。これは委任契約における特約として有効と解されており、遺産整理・事業継続などの実務上の必要性に対応するものです。法定代理と任意代理でルールが異なる点を押さえておきましょう。

エ.代理人であった者がその代理権が消滅した後に、その代理権の範囲内において代理行為を行った場合、その者が当該代理人が任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず、本人は、代理権の消滅について善意・無過失の第三者に対して、その責任を負う。

エ.妥当でない

代理権消滅後の表見代理(民法112条)は任意代理には適用されますが、法定代理には原則として適用されません。法定代理は法律の規定または裁判所の審判によって生じるものであり、第三者が代理人の権限の外観を信頼することに合理的な根拠が乏しいためです。「任意代理人であったか法定代理人であったかを問わず」という記述が誤りです。

※「表見代理(民法112条)」とは、代理権が消滅した後もその代理権の範囲内でされた行為について、善意・無過失の第三者を保護するために本人がその責任を負う制度です。取引の安全を保護する趣旨です。

オ.代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の法定代理人である場合でも同様である。

オ.妥当でない

民法102条本文は、代理人が制限行為能力者であっても代理行為を行為能力の制限を理由として取り消せないと定めています。しかし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでないとする例外があります(民法102条ただし書)。例えば、成年被後見人が未成年の子の親権者として代理行為をした場合には取り消すことができます。「法定代理人である場合でも同様」という記述は民法102条ただし書を無視した誤りです。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問29|民法

即時取得に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.Aは、相続により、被相続人Bが現に占有していた動産甲を、それが設置された不動産と共に承継したが、甲はCの所有物であった。この場合、甲がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、Aは甲を即時取得する。

イ.Aは、売買により動産乙を、現にそれを占有する未成年者Bから購入して現実の引渡しを受けたが、その後、Bの法定代理人Cが、AB間の売買契約を未成年を理由に取り消した。この場合、Bが未成年者であったことにつきAが善意・無過失であれば、Aは乙を即時取得する。

ウ.Aは、売買により動産丙を、現にそれを占有するBから購入して現実の引渡しを受けた。丙が自動車である場合、丙が登録済みであるか否かにかかわらず、Aは丙を即時取得しない。

エ.Aは、売買により動産丁を、それを占有代理人Cによって占有するBから購入し、BはCに今後Aのために占有するように指示してAがそれを承諾した。丁はAからBに寄託されているものであった場合、承諾時において丁がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、後にその事実を知るに至ったとしても、Aは丁を即時取得する。

オ.Aは、売買により動産戊を、現にそれを占有するBから購入したが、その際、AがBの元に戊を引取りにいくこととし、それまでの間、BがAのために占有することが合意された。戊はBが他から賃借したものであった場合、AがBから戊の現実の引渡しを受ける時点において、戊がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、Aは戊を即時取得する。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】
ア.Aは、相続により、被相続人Bが現に占有していた動産甲を、それが設置された不動産と共に承継したが、甲はCの所有物であった。この場合、甲がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、Aは甲を即時取得する。

ア.妥当でない

即時取得が成立するためには、取引行為(法律行為)によって占有を取得することが必要です。相続は被相続人の権利義務を包括的に承継するものであり、取引行為にあたりません。Aがたとえ善意・無過失であっても、相続による承継には即時取得の規定は適用されないため、AはCの所有物である甲を即時取得しません。

※「即時取得」とは、動産を取引行為によって占有取得した者が、その動産についての占有者の処分権限を信頼した場合に所有権等を取得できる制度です(民法192条)。取引の安全を保護することを目的とします。

イ.Aは、売買により動産乙を、現にそれを占有する未成年者Bから購入して現実の引渡しを受けたが、その後、Bの法定代理人Cが、AB間の売買契約を未成年を理由に取り消した。この場合、Bが未成年者であったことにつきAが善意・無過失であれば、Aは乙を即時取得する。

イ.妥当でない

即時取得は制限行為能力者の取消しには適用されません。未成年者制度・後見制度は制限行為能力者を保護するための特別制度であり、即時取得を認めてしまうと取消権が無意味になるからです。Aが未成年者であることにつき善意・無過失であっても、取消しによる契約の遡及的無効はAに及びます。制限行為能力者制度の趣旨と即時取得制度の趣旨が衝突する場面では、前者が優先されます。

ウ.Aは、売買により動産丙を、現にそれを占有するBから購入して現実の引渡しを受けた。丙が自動車である場合、丙が登録済みであるか否かにかかわらず、Aは丙を即時取得しない。

ウ.妥当でない

自動車について即時取得の適否は登録の有無によって異なります登録済みの自動車については登録制度が公示手段として機能するため即時取得は適用されませんが、未登録の自動車については登録制度による公示がなく、占有が権利の外観となるため即時取得が認められます。「登録済みか否かにかかわらず即時取得しない」という記述が誤りです。

エ.Aは、売買により動産丁を、それを占有代理人Cによって占有するBから購入し、BはCに今後Aのために占有するように指示してAがそれを承諾した。丁はAからBに寄託されているものであった場合、承諾時において丁がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、後にその事実を知るに至ったとしても、Aは丁を即時取得する。

エ.妥当である

指図による占有移転(民法184条)とは、占有代理人に対して以後第三者のために占有するよう命じ、その第三者が承諾することで占有を移転する方法です。判例はこの指図による占有移転によっても即時取得が成立することを認めています。Aが承諾の時点で善意・無過失であれば、その後に丁がBの所有物でないことを知ったとしても即時取得の効果は妨げられません。善意・無過失の判断時点は承諾時である点が重要です。

オ.Aは、売買により動産戊を、現にそれを占有するBから購入したが、その際、AがBの元に戊を引取りにいくこととし、それまでの間、BがAのために占有することが合意された。戊はBが他から賃借したものであった場合、AがBから戊の現実の引渡しを受ける時点において、戊がBの所有物でないことにつきAが善意・無過失であれば、Aは戊を即時取得する。

オ.妥当である

売買後にBがAのために占有するという合意(占有改定)の段階では外観上の変化がないため、占有改定による占有取得では即時取得は成立しません。しかし、その後に現実の引渡しが行われた時点でAが善意・無過失であれば即時取得が成立します(最判昭和35年2月11日)。善意・無過失の判断時点は占有改定時ではなく現実の引渡し時である点が本肢のポイントです。占有改定時に悪意であっても、現実の引渡しを受けた時点で善意・無過失であれば足ります。

※「占有改定」とは、売買後も売主がそのまま物を占有し続けるが、以後は買主のために占有する旨を合意することで観念的に引渡しを行う方法です(民法183条)。外観上の変化がないため即時取得の根拠となる公信力が生じません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略