令和6年度(2024年度)過去問

令和6年・2024|問47|基礎知識

政治に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 政党助成法は、衆議院または参議院に一定数以上の議席を有するか、議席を有して一定の国政選挙で有効投票総数の一定割合以上の得票があった政党に対して、政党交付金による助成を行う旨を規定している。
  2. マス・メディアなどの情報に対して、主体的に世論を形成するためなどに、それらを批判的に読み解く能力は、メディア・リテラシーと呼ばれる。
  3. 政治資金規正法は、政治資金の収支の公開や寄附の規則などを通じ政治活動の公明と公正を確保するためのルールを規定している。
  4. 有権者のうち、特定の支持政党を持たない層は、無党派層と呼ばれる。
  5. 性差に起因して起こる女性に対する差別や不平等に反対し、それらの権利を男性と同等にして女性の能力や役割の発展を目指す主張や運動は、ポピュリズムと呼ばれる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.政党助成法は、衆議院または参議院に一定数以上の議席を有するか、議席を有して一定の国政選挙で有効投票総数の一定割合以上の得票があった政党に対して、政党交付金による助成を行う旨を規定している。

1・・・妥当である

政党助成法は、国が政党に対して「政党交付金」を交付する仕組みを定めた法律です。

この政党交付金は、次の2つの基準に基づいて交付されます(政党助成法3条2項)。

①議員数割

その政党に所属する衆議院議員および参議院議員の数に応じた金額

②得票数割

次の国政選挙における得票数に応じた金額

  • 衆議院の小選挙区選挙
  • 衆議院の比例代表選挙
  • 参議院の選挙区選挙
  • 参議院の比例代表選挙

また、政党助成を受けられる政党の要件は、以下のいずれかを満たす必要があります(政党助成法2条)。

  • 所属国会議員(衆参のいずれか)が5人以上いる政党
  • 所属国会議員が1人以上いて、直近の国政選挙(衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙)で、全国の有効投票総数の2%以上の得票を得ている政党

よって、

「一定数以上の議席」→ 正確には「5人以上の国会議員」

「一定割合以上の得票」→ 正確には「2%以上」

と置き換えると分かりやすいですが、本肢は抽象的な表現となっていますが妥当です。

2.マス・メディアなどの情報に対して、主体的に世論を形成するためなどに、それらを批判的に読み解く能力は、メディア・リテラシーと呼ばれる。

2・・・妥当である

メディア・リテラシーとは、単にメディアの情報を受け取るだけでなく、それを批判的・主体的に読み解き、必要に応じて自ら発信・活用していく能力のことを指します。

総務省の定義によると、メディア・リテラシーは次の3つの力から構成されています:

  1. メディアを主体的に読み解く能力
     → 情報の真偽や意図を見極める力
  2. メディアにアクセスし、活用する能力
     → 情報を適切に取得し、使いこなす力
  3. メディアを通じてコミュニケーションする能力
     → インターネットなどを利用して、他者と双方向的にやり取りする力

これらを通じて、情報を鵜呑みにせず、自分自身で考え、判断する力が身につきます。特に現代のように情報があふれる社会では、この能力は世論形成や民主主義の維持において、非常に重要かつ不可欠とされています。

3.政治資金規正法は、政治資金の収支の公開や寄附の規則などを通じ政治活動の公明と公正を確保するためのルールを規定している。

3・・・妥当である

政治資金規正法は、1948年に制定された法律で、政治活動の「公明・公正」を確保することを目的としています。

この法律は、次のような内容を柱としています。

  • 政治団体の届出
  • 政治資金の収支報告(公開)
  • 政治資金の授受に関する規制(寄附・支出など)

こうした仕組みにより、政党や政治家の資金の流れを国民の目に見える形で明らかにすることで、政治活動が監視・批判のもとに行われるようにし、民主政治の健全な発展を図ろうとするものです。

また、1994年の大きな改正では、政治資金の調達主体を政治家個人から政党中心に転換するなど、より透明性を高める仕組みが導入されました。

4.有権者のうち、特定の支持政党を持たない層は、無党派層と呼ばれる。

4・・・妥当である

無党派層とは、選挙権を持つ有権者のうち、特定の支持政党を持たない人々のことを指します。

この無党派層には、

  • 政治や選挙にあまり関心を持っていない人
  • 関心はあるが、特定の政党に固定的な支持をしない人

など、さまざまなタイプが含まれます。

かつては「政治的に無関心な層」と見られ、選挙戦略の上であまり重視されないこともありましたが、近年では無党派層の動向が選挙結果を大きく左右するケースも増えてきています。

特に、選挙戦の終盤でどの政党・候補者に票が流れるか予測がつきにくいため、各政党や候補者にとって無党派層は“浮動票”の源として、重要なターゲットになっています。

5.性差に起因して起こる女性に対する差別や不平等に反対し、それらの権利を男性と同等にして女性の能力や役割の発展を目指す主張や運動は、ポピュリズムと呼ばれる。

5・・・妥当でない

フェミニズムとは、性差に基づく差別や不平等に反対し、女性の社会的・政治的・経済的な権利を男性と同等にし、女性の能力や役割の発展を促進しようとする思想や運動を指します。

一方で、記述にある「ポピュリズム(populism)」とは、まったく異なる概念です。

ポピュリズムは、「エリート」や「支配層」に対抗する形で、「一般大衆」の声や感情を強調し、大衆に迎合する政治的姿勢や運動を意味するもので、「大衆迎合主義」とも訳されます。

したがって、本肢はフェミニズムの解説なので、妥当ではありません。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和6年・2024|問48|基礎知識

中東やパレスチナに関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 1947年に、国際連合総会において、パレスチナをアラブ人国家とユダヤ人国家と国際管理地区とに分割する決議が採択された。
  2. 1948年に、イスラエルの建国が宣言されると、これに反発したアラブ諸国との間で第一次中東戦争が勃発した。
  3. 1987年に、イスラエルの占領地で始まり、大規模な民衆蜂起に発展したパレスチナ人による抵抗運動を、第一次インティファーダ(民衆蜂起)という。
  4. 1993年に、パレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルとの間で暫定自治協定が結ばれ、(ヨルダン川)西岸地区・ガザ地区でパレスチナの先行自治が始まった。
  5. 2020年に、日本が仲介して、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)およびイランが、国交の正常化に合意した。

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【答え】:5
【解説】
1.1947年に、国際連合総会において、パレスチナをアラブ人国家とユダヤ人国家と国際管理地区とに分割する決議が採択された。

1・・・妥当である

第一次世界大戦中、イギリスはアラブ人に対して「戦後に独立国家を与える」と約束する一方で、ユダヤ人に対しても「パレスチナにユダヤ人の民族的郷土を建設することを支持する」と表明しました(バルフォア宣言)。このように、アラブ人とユダヤ人の双方に相反する約束をしたことから、パレスチナにおける両民族の対立が激化していきました。

その後、第二次世界大戦後も対立は収まらず、国際的な対応が求められるようになります。そこで、1947年、国際連合総会において、パレスチナをユダヤ人国家・アラブ人国家・国際管理地区(エルサレム周辺)に分割する「パレスチナ分割決議(国連決議第181号)」が採択されました。

この決議は、ユダヤ人側は受け入れましたが、アラブ人側は反発し、その後の紛争の火種となりました。

2.1948年に、イスラエルの建国が宣言されると、これに反発したアラブ諸国との間で第一次中東戦争が勃発した。

2・・・妥当である

1948年5月14日、ユダヤ人指導者ベングリオンがイスラエルの建国を宣言しました。これは、前年に採択された国連のパレスチナ分割決議に基づくものでしたが、アラブ諸国はこの分割案およびユダヤ人国家の成立に強く反対していました。

建国宣言の翌日、エジプト・シリア・ヨルダン・イラク・レバノンなどのアラブ諸国が一斉にイスラエルに侵攻し、第一次中東戦争(1948年~1949年)が勃発しました。この戦争は、「パレスチナ戦争」とも呼ばれています。

結果として、イスラエルは戦争に勝利し、国際連合の分割案よりも広い領土を確保しました。一方で、多くのパレスチナ人が難民となり、アラブとイスラエルの対立はさらに深まることになりました。

3.1987年に、イスラエルの占領地で始まり、大規模な民衆蜂起に発展したパレスチナ人による抵抗運動を、第一次インティファーダ(民衆蜂起)という。

3・・・妥当である

インティファーダ(Intifada)は、アラビア語で「振り払う」「蜂起」を意味する言葉で、イスラエルの占領に対するパレスチナ人の民衆による抵抗運動を指します。

第一次インティファーダは、1987年12月、ガザ地区での交通事故をきっかけに勃発しました。事故の背景にイスラエルの占領政策への不満があり、これを機にガザ地区やヨルダン川西岸地区(いずれもイスラエル占領地)で大規模な抗議運動が発生。住民たちは石を投げる、ストライキを行うなど、主に非武装の手段で抵抗を続けました。

この運動は、1993年のオスロ合意の成立まで続きました。オスロ合意によって、パレスチナ自治政府の設立が合意され、和平への道が模索されるようになります。

なお、2000年には、より暴力的な第二次インティファーダが再び発生し、両者の対立はさらに深まっていきました。

4.1993年に、パレスチナ解放機構(PLO)とイスラエルとの間で暫定自治協定が結ばれ、(ヨルダン川)西岸地区・ガザ地区でパレスチナの先行自治が始まった。

4・・・妥当である

1993年イスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)は、ノルウェーの首都オスロで秘密交渉を行い、「パレスチナ暫定自治協定(通称:オスロ合意)」に合意しました。

この合意により、イスラエルはヨルダン川西岸地区とガザ地区におけるパレスチナ人の暫定的な自治を認め、パレスチナ暫定自治政府(PA=パレスチナ自治政府)が設立されました。これにより、1994年5月から、パレスチナ人による先行的な自治が開始されました。

また、オスロ合意に基づき、イスラエルとPLOは相互に相手の存在を承認し、将来的な「二国家共存」の可能性が模索されるようになります。

ただし、この合意は最終的な地位や国境、エルサレムの帰属問題などは未解決のままであり、その後の和平プロセスは停滞と対立を繰り返すことになります。

5.2020年に、日本が仲介して、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)およびイランが、国交の正常化に合意した。

5・・・妥当でない

2020年アメリカ合衆国の仲介により、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)は国交正常化に合意しました。この合意は「アブラハム合意(Abraham Accords)」と呼ばれ、同年9月にホワイトハウスで正式に署名されました。

この合意により、UAEはイスラエルと外交関係を樹立した初の湾岸アラブ国家となり、その後、バーレーン、スーダン、モロッコなども同様に国交正常化に踏み切りました。

一方、イランはこの合意に強く反発しており、イスラエルと国交を結んだわけではありません。よって、問題文中の「UAEおよびイランが国交の正常化に合意した」という点も誤りです。

また、「日本が仲介した」という記述も事実ではなく、主に仲介を行ったのはアメリカ(トランプ政権)です。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和6年・2024|問46|民法・40字

Aは、Bとの間で、BがCから購入した甲土地(以下「甲」という)を買い受ける契約を締結し、Bに対して代金全額を支払ったが、甲の登記名義はいまだCのままである。BC間の売買において、CがBへの移転登記を拒む理由は存在せず、また、BがCに対して移転登記手続をすべきことを請求している事実もない。一方、Aは、早期に甲の所有権取得の対抗要件として登記を具備したい。 このような場合、Aは、何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように行使できるか。40字程度で記述しなさい。

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【答え】:Aは、移転登記請求権を保全するために、BのCに対する移転登記請求権を代位行使できる。(42字)
Aは、登記請求権を保全するため、BのCに対する登記請求権を代位行使できる。(42字)


【解説】

<問題の概要>

  • AはBから甲土地を買い受け、代金も全額支払済み。
  • しかし、甲の登記名義はCのままで、Bへの登記も未了。
  • Cは登記を拒む理由なし。
  • BはCに登記を請求していない。
  • Aは早く自分の登記を得たいが、その前提として、まずC→Bの登記が必要。

<1. Aの立場と目的>

AはBから土地を買ったが、登記がないため第三者に対抗できません。
Aが自らの登記を得るには、次の2段階が必要です。

  1. C → Bの登記
  2. B → Aの登記

しかし現在、BがCに対して登記請求をしていないため、Aが自分の登記を得るためにはまずC→Bの登記が必要です。

<2. 法的手段:債権者代位権(特則)>

このような場合、Aは、BのCに対する登記請求権を代わりに行使することができます。

民法423条の7
登記または登録をしなければ権利の得喪・変更を第三者に対抗できない財産を譲り受けた者は、
譲渡人が第三者に対して有する登記請求権を行使しないときは、
登記請求権を代位行使できる。

この条文は、債権者代位権の特則で、通常の代位要件(無資力など)を不要としています。
つまり、Aは自己の権利保全(登記による対抗要件の取得)のために、BのCに対する登記請求権を代位して行使できます。

<3. 行使の方法>

AがCに対して、Bの立場に立って「甲土地をB名義に登記せよ」と請求することができます(代位登記請求訴訟など)。

この請求が認められれば、まずC→Bの登記が実現し、その後、B→Aの登記をすることで、Aが第三者に対して自己の権利を主張できるようになります。

<まとめると>

  • Aの目的は、「自己の登記を実現」すること(=登記請求権の保全)。
  • 手段は、「BのCに対する登記請求権」を「代位行使」すること。

よって、Aは、移転登記請求権を保全するために、BのCに対する移転登記請求権を代位行使できる。(42字)


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和6年・2024|問45|民法・40字

Aは、海外からコーヒー豆を輸入して国内の卸売業者に販売する事業を営んでいる。Aは、卸売業者Bにコーヒー豆1トン(以下「甲」という)を販売し、甲は、B所有の倉庫内に第三者に転売されることなくそのまま保管されている。Aは、Bに対し、甲の売買代金について、その支払期限経過後、支払って欲しい旨を伝えたが、Bは、経営不振を理由に、いまだAに支払っていない。BにはA以外にも一般債権者がいる。この場合に、Aは、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。

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【答え】:Aは、動産売買の先取特権に基づき、甲を競売し、一般債権者に先立って、売買代金を確保できる。(45字)
Aは、動産売買の先取特権に基づき、甲を競売して代金を確保できる。(40字)


【解説】

<問題の要点>

  • Aは売主、Bは買主で、コーヒー豆(甲)はすでに引き渡され、Bの倉庫内に保管中。
  • 売買代金の支払期限は過ぎており、Bは未払い。
  • 他にも一般債権者が存在する。
  • このような状況で、Aが売買代金を優先的に確保できる法的手段を問う問題。

<1. Aの権利の根拠:動産売買の先取特権>

民法311条5号は、売買により発生した債権について、売主が目的物に先取特権を有することを規定しています。
これを「動産売買の先取特権」といいます。

要件

  1. 売買の目的物(今回はコーヒー豆)が、買主のもとで第三者に転売されずに現存していること(民法333条)。
  2. 所有権の留保がなくてもOK(無条件で発生)。
  3. 先取特権は法定担保物権であり、他の一般債権者に優先して弁済を受けることができる。

    <2. 行使の方法:競売申立て>

    動産売買先取特権に基づいて、Aは甲を差し押さえて競売に付し、その売却代金から優先的に弁済を受けることができる(物上代位、民法304条)。

    つまり、動産を返してもらうのではなく、換価(お金に替える)することで代金を確保。

    まとめると、

    • Aが有するのは動産売買の先取特権(民法311条5号)。
    • Aはこの権利に基づき、甲を競売にかけることで、他の債権者に優先して売買代金を確保することができる。

    よって、上記をまとめると、

    Aは、動産売買の先取特権に基づき、甲を競売し、一般債権者に先立って、売買代金を確保できる。(45字)


    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問44|行政法・40字

    総務大臣Yは、新たなテレビ放送局の開設を目的として、電波法に基づく無線局開設免許を1社のみに付与することを表明した。これを受けて、テレビ放送局を開設しようとする会社XがYに開設免許の申請をしたところ、Yは、その他の競願者の申請を含めて審査を実施し、会社Aに対しては免許を付与する処分(免許処分)をし、Xに対しては申請を棄却する処分(拒否処分)をした。 これに対し、Xは取消訴訟を提起して裁判上の救済を求めたいと考えている。競願関係をめぐる最高裁判所の判例の考え方に照らし、Xは誰を被告として、どのような処分に対する取消訴訟を提起できるか。なお、現行の電波法は、審査請求前置や裁決主義の規定を置いているが、それらは度外視して、直接に処分取消訴訟ができるものとして考え、40字程度で記述しなさい。

    >解答と解説はこちら


    【答え】:Xは国を被告として、免許処分または拒否処分の取消訴訟を提起できる。(40字)
    Xは国を被告として、免許処分に対する取消訴訟または拒否処分に対する取消訴訟を提起できる。(44字)


    【解説】

    <問題のポイント>

    競願関係(=複数の申請者がいて、その中から1社のみ選ばれる)にある許認可処分に関し、不許可処分を受けた者(X)が取消訴訟を提起したい。

    1. 取消訴訟で争える処分は何か?
    2. 被告とすべき相手は誰か?

    <1. 被告について>

    行政事件訴訟法11条1項1号により、処分をした行政庁が国に所属する場合、被告は「国」です。

    今回、処分をしたのは総務大臣(行政庁)なので、Xは「国」を被告として訴訟を提起することになります。

    <2. 争える処分について>

    競願関係にある場合、以下の2つの処分のいずれか、または両方について取消訴訟を提起可能。

    1. 自己に対する拒否処分(Xに対する免許の不許可
      自分の申請を不許可にされたという処分に対して、Xは原告適格を有する。
    2. 他者に対する免許処分(Aへの免許付与
      自分がそのポストを争っていた立場(競願)である以上、「他人の処分の取消し」でも法律上の利益があるとされる(最判昭和43年12月24日)。

    よって、Aへの免許処分の取消しを求める訴訟も可能。

    <まとめると>

    Xは、
    自己の拒否処分に対して取消訴訟を提起することができ、
    競願関係にある他社(A)への免許処分に対しても取消訴訟を提起することができます。

    両方を併せて提起することも可能です。

    よって、上記を40字程度でまとめると

    Xは国を被告として、免許処分に対する取消訴訟または拒否処分に対する取消訴訟を提起できる。(44字)


    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問43|多肢選択

    次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

    参議院の総議員の1/4以上である72名の議員は、平成29年6月22日、憲法53条後段の規定により、内閣に対し、国会の臨時会の召集を決定すること(以下「臨時会召集決定」という)を要求した。内閣は、同年9月22日、臨時会を同月28日に召集することを決定した。同日、第194回国会が召集されたが、その冒頭で衆議院が解散され、参議院は同時に閉会となった。本件は、上記の要求をした参議院議員の一人である上告人(原告)が、被上告人(国)に対し、主位的に、上告人が次に参議院の総議員の1/4以上の議員の一人として臨時会召集決定の要求(以下「臨時会召集要求」という)をした場合に、内閣において、20日以内に臨時会が召集されるよう臨時会召集決定をする義務を負うことの確認を、予備的に、上記場合に、上告人が20日以内に臨時会の召集を受けられる地位を有することの確認を求める(以下、これらの請求に係る訴えを「本件各確認の訴え」という)事案である。 本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、[ ア ]に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務または上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えであると解されるから、当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。そうすると、本件各確認の訴えは、[ イ ]にあたるというべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。 もっとも、本件各確認の訴えは、将来、上告人を含む参議院議員が憲法53条後段の規定により臨時会召集要求をした場合における臨時会召集決定の遅滞によって上告人自身に生ずる不利益を防止することを目的とする訴えであると解されるところ、将来、上告人を含む参議院の総議員の1/4以上により臨時会召集要求がされるか否かや、それがされた場合に臨時会召集決定がいつされるかは現時点では明らかでないといわざるを得ない。 そうすると、上告人に上記不利益が生ずる[ ウ ]があるとはいえず、本件各確認の訴えは、[ エ ]を欠き、不適法であるというべきであるから、これを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。 (最三小判令和5年9月12日民集77巻6号1515頁<文章を一部修正した>)
    1.法律上保護された利益  2.予見可能性  3.確認の利益  4.統治行為  5.合理的な理由  6.公権力の行使に関する不服の訴訟  7.法律上の争訟  8.国権の発動  9.処分たる性格  10.相当の蓋然性  11.制度上の障害  12.国会議員の資格  13.現実の危険  14.確認の対象  15.被告適格  16.公法上の法律関係  17.機関相互間における権限の存否またはその行使  18.当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分または裁決に関する訴訟  19.自己の法律上の利益にかかわる資格で提起する訴訟  20.国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟

    >解答と解説はこちら


    【答え】:ア:公法上の法律関係、イ:法律上の争訟、ウ:現実の危険、エ:確認の利益
    【解説】
    本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、[ ア ]に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務または上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えである

    ア・・・公法上の法律関係

    上記を要約すると、
    本件各確認の訴えは、憲法53条後段の解釈を前提に、上告人を含む参議院議員が行使した権利について、被上告人が負う法的義務や法律上の地位の確認を求めるものである。

    ここでは、「訴えの性質」が問われています。つまり、これは私人間の民法上の関係ではなく、議員と国家(内閣)という公的主体間の法的関係です。

    キーワード

    • 憲法に基づく請求
    • 国会議員と内閣との関係(→公的関係)
    • 法律上の地位の確認

    よって、「公法上の法律関係」が最も適切です。

    当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。そうすると、本件各確認の訴えは、[ イ ]にあたるというべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。

    イ・・・法律上の争訟

    上記を要約すると、
    法令の適用によって終局的に解決することができる争いだから、これは◯◯◯である。

    これは、「裁判所が取り扱える争い」=裁判審査の対象になるかどうか、という判断です。

    キーワード

    • 当事者間の具体的な権利義務や法律関係の存否
    • 法令の適用により終局的に解決可能

    上記は、判例上明確に「法律上の争訟」と定義されています。
    選択肢の中にまさにこの語句があるので、それを選びます。

    将来、上告人を含む参議院の総議員の1/4以上により臨時会召集要求がされるか否かや、それがされた場合に臨時会召集決定がいつされるかは現時点では明らかでないといわざるを得ない。 そうすると、上告人に上記不利益が生ずる[ ウ ]があるとはいえず、

    ウ・・・現実の危険

    上記を要約すると、
    将来、臨時会召集の要求がされるか、または内閣がどう対応するかは現時点では不明確であり、上告人に不利益が生じる◯◯◯があるとはいえない。

    これは「確認訴訟における訴えの適法性(現在性・具体性)」に関わるところです。

    キーワード

    • 将来の事態が確定していない
    • 不利益が生じるかどうかが不確実
      → 抽象的・仮定的であり、訴訟の条件を欠く

    このような文脈での典型的な判断基準は「現実の危険(real and immediate danger)」の有無」です。
    それがないと、裁判所としては判断を避ける傾向にあります。

    そうすると、上告人に上記不利益が生ずる[ ウ:現実の危険 ]があるとはいえず、本件各確認の訴えは、[ エ ]を欠き、不適法であるというべきであるから、これを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができる。

    エ・・・確認の利益

    現実の危険がない以上、訴えは◯◯◯を欠き不適法である。

    これは確認訴訟でのキーワードです。

    確認訴訟とは、一定の法律関係や権利義務の有無について、裁判所にその存否を確定してもらうことを目的とする訴訟です。

    たとえば…

    • 「私にはこの財産に対する所有権があることを確認してほしい」
    • 「この行政処分が無効であることを確認してほしい」

    といった請求をします。

    確認訴訟の要件

    判例・学説を踏まえると、確認訴訟が適法に成立するには次の3つの要件が必要です。

    1. 確認の対象が適切であること
      単なる事実ではなく、「具体的な法律関係・権利義務」が確認の対象でなければなりません。
      例:
      〇「Aに金銭債権があること」
      ✕「事故が起きたことの確認」←単なる事実確認はNG
    2. 現在の法律関係であること
      将来の不確定な事態に備えて確認を求めるだけでは足りません。
      今現在、法的に問題になっている関係である必要があります。
      今回の事案では: → 「将来、臨時国会の召集要求がされるか不確定」 → 「不利益が現実に生じる危険がない」 → よって「確認の利益」がない=不適法
    3. 確認の利益があること
      確認の利益とは、確認を求めることによって、現実に法的地位をめぐる不安を解消し、意味がある結果を得られる必要がある
      つまり、単に「気になるから確認してほしい」というレベルではダメで、裁判を通じて具体的・実質的な意味があるかどうかが問われます。

    今回の判例でも、次のように判断されました。

    • 内閣が召集を遅らせたことに対し、議員が将来のために確認を求めた
    • でもその「不利益」が将来発生するか不確定
    • よって、「確認の利益」がない→訴えは不適法

    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問41|多肢選択

    次の文章は、婚外子の法定相続分を嫡出である子の1/2と定めていた民法規定(以下「本件規定」という)を違憲とした最高裁判所の決定の一部である。空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

    本件規定は、国民生活や身分関係の基本法である民法の一部を構成し、相続という日常的な現象を規律する規定であって、〔問題となった相続が開始した〕平成13年7月から既に約12年もの期間が経過していることからすると、その間に、本件規定の合憲性を前提として、多くの遺産の分割が行われ、更にそれを基に新たな権利関係が形成される事態が広く生じてきていることが容易に推察される。取り分け、本決定の違憲判断は、長期にわたる社会状況の変化に照らし、本件規定がその合理性を失ったことを理由として、その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず、本決定の違憲判断が、[ ア ]としての[ イ ]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ ウ ]を害することになる。[ ウ ]は法に内在する普遍的な要請であり、当裁判所の違憲判断も、その[ ア ]としての[ イ ]を限定し、[ ウ ]の確保との調和を図ることが求められているといわなければならず、このことは、裁判において本件規定を違憲と判断することの適否という点からも問題となり得るところといえる。 以上の観点からすると、既に関係者間において裁判、合意等により[ エ ]なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を[ エ ]なものとするのが相当であるといえる。 (最大決平成25年9月4日民集67巻6号1320頁<文章を一部変更した。>)
    1.公権力  2.事実上の拘束性  3.影響力の行使  4.法的安定性  5.衡平  6.暫定的  7.対話  8.先例  9.法令審査  10.確定的  11.具体的  12.家族法秩序  13.終審裁判所  14.既判力  15.司法積極主義  16.遡及的  17.実質的正義  18.蓋然的  19.公益  20.裁量統制

    >解答と解説はこちら


    【答え】:ア:先例、イ:事実上の拘束性、ウ:法的安定性、エ:確定的
    【解説】
    本件規定は、国民生活や身分関係の基本法である民法の一部を構成し、相続という日常的な現象を規律する規定であって、〔問題となった相続が開始した〕平成13年7月から既に約12年もの期間が経過していることからすると、その間に、本件規定の合憲性を前提として、多くの遺産の分割が行われ、更にそれを基に新たな権利関係が形成される事態が広く生じてきていることが容易に推察される。取り分け、本決定の違憲判断は、長期にわたる社会状況の変化に照らし、本件規定がその合理性を失ったことを理由として、その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず、本決定の違憲判断が、[ア:先例]としての[イ:事実上の拘束性]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ウ:法的安定性]を害することになる。[ウ:法的安定性]は法に内在する普遍的な要請であり、当裁判所の違憲判断も、その[ア:先例]としての[イ:事実上の拘束性]を限定し、[ウ:法的安定性]の確保との調和を図ることが求められているといわなければならず、このことは、裁判において本件規定を違憲と判断することの適否という点からも問題となり得るところといえる。 以上の観点からすると、既に関係者間において裁判、合意等により[エ:確定的]なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を[エ:確定的]なものとするのが相当であるといえる。
    違憲判断は、長期にわたる社会状況の変化に照らし、本件規定がその合理性を失ったことを理由として、その違憲性を当裁判所として初めて明らかにするものである。それにもかかわらず、本決定の違憲判断が、[ ア ]としての[ イ ]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、いわば解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ ウ ]を害することになる。

    ア・・・先例

    「違憲判断が〇〇としての△△という形で…」という表現から、裁判所の判断が将来の判断に影響を与えるという文脈が読み取れます。

    このような性質をもつのは、「先例(判例)」です。特に最高裁の違憲判断は、それ以降の裁判や実務に大きな影響を及ぼします。

    ❌間違いやすい選択肢でいうと、「公権力」や「裁量統制」がありますが、これらは文意に合いません(違憲判断が“公権力”になるわけではない)。

    本決定の違憲判断が、[ ア:先例 ]としての[ イ ]という形で既に行われた遺産の分割等の効力にも影響し、

    イ・・・事実上の拘束性

    判例は厳密には法源ではありませんが、「実務上非常に強い影響力(拘束力)」を持ちます。

    特に最高裁判所の判例には、下級審に対して「事実上の拘束力」があると言われます。

    よって、「事実上の拘束性」が自然に当てはまります。

    間違いやすい選択肢として、「法令審査」や「影響力の行使」などがありますが意味は近いですが文脈に適合しません。

    解決済みの事案にも効果が及ぶとすることは、著しく[ ウ ]を害することになる。

    ウ・・・法的安定性

    解決済みの遺産分割に遡って影響が及ぶとすると、「法律関係が不安定になる」という文脈です。

    このとき重視される法的価値は「法的安定性」です。

    判例の変更や違憲判断がある場合、「法的安定性」と「実質的正義(衡平)」のバランスが常に問題になります。

    間違いやすい選択肢として、「衡平」や「実質的正義」があります。「衡平」や「実質的正義」も価値判断ですが、この文脈では「安定性」を重視しているので不適切です。

    既に関係者間において裁判、合意等により[ エ ]なものとなったといえる法律関係までをも現時点で覆すことは相当ではないが、関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない事案であれば、本決定により違憲無効とされた本件規定の適用を排除した上で法律関係を[ エ ]なものとするのが相当であるといえる。

    エ・・・確定的

    ここでは、「すでに確定している法律関係」と「未確定な法律関係」を区別しています。

    つまり、「すでに協議や裁判で最終的に決着がついているか」が分かれ目です。

    よって「確定的」が最も適切です。

    間違いやすい選択肢として「具体的」「終審裁判所」などがありますが、これらを入れると意味が合いません。

    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問42|多肢選択

    次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

    特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ ア ]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。 土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。 昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[ イ ]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ ウ ]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[ エ ]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[ エ ]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ ウ ]価値を何ら高めるものではなく、その[ エ ]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。
    1.強制徴収  2.特殊利益  3.受忍限度内の  4.財産的  5.適正な  6.社会通念  7.特別の犠牲  8.都市計画  9.合理的  10.市場価格  11.法律により保護された  12.絶対的  13.公用収用  14.所有権  15.反射的  16.権利利益  17.国家補償  18.通常受ける  19.精神的  20.行政上の強制執行

    >解答と解説はこちら


    【答え】:ア:公用収用、イ:通常受ける、ウ:財産的、エ:市場価格
    【解説】
    特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ア:公用収用]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。 土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[イ:通常受ける]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。 昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[イ:通常受ける]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ウ:財産的]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[エ:市場価格]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[エ:市場価格]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ウ:財産的]価値を何ら高めるものではなく、その[エ:市場価格]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。
    特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ ア ]といい

    ア・・・公用収用

    「私人の特定の財産権を強制的に取得」「特定の公益事業の用に供するため」などのキーワードが出てきます。

    このように個人の財産を公共の目的のために強制的に取得する制度を指す法律用語は「公用収用」です。

    他の選択肢(強制徴収、行政上の強制執行など)は税や義務の履行に関する文脈で使われるので不適切です。

    土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めている

    イ・・・通常受ける

    キーワードは「その他土地を収用し、または使用することによって発生する損失」です。

    土地収用法88条では、「通常生ずべき損失」、つまり「当然に受けるであろうと考えられる損失」に対して補償すると定めています。

    判例でも「通常受ける損失」という文言が使われています。

    「特別の犠牲」「特殊利益」など似たような語句もありますが、それらは憲法上の議論や別の補償原則に使われる用語なので不適切です。

    同条にいう「[ イ:通常受ける ]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ ウ ]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。

    ウ・・・財産的

    直前に「経済的」とあるので、それに続くものは同じく「金銭的価値」を表す単語です。

    「精神的」だと補償の対象としてなじまないし、「合理的」「社会通念」などは形容詞的で合わないです。
    判例の言い回しで「経済的・財産的損失」とワンセットで出るので、ここは「財産的」で確定します。

    由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[ エ ]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[ エ ]がその物件の補償されるべき相当な価格となる

    エ・・・市場価格

    文脈は、「文化財的価値が取引価格に反映するかどうか」という話です。

    土地や財産の補償を考えるときに、「相当な価格」というのは結局「市場で取引される価格」によって決まります。

    「市場価格」は経済的価値を表す代表的な用語です。

    他の選択肢(適正な、絶対的など)は抽象的すぎたり、法的用語としてはふさわしくないです。

    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問40|会社法

    会社訴訟に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款に別段の定めがないものとする。

    1. 株主総会の決議の内容が法令に違反するときは、当該株主総会決議の日から3ヵ月以内に、訴えをもってのみ当該決議の取消しを請求することができる。
    2. 会社の設立無効は、会社の成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張できる。
    3. 新株発行無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされた行為は、将来に向かってその効力を失う。
    4. 6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、公開会社に対し、役員等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。
    5. 株式会社の役員の解任の訴えは、当該株式会社および当該解任を請求された役員を被告とする。

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    【答え】:1
    【解説】
    1.株主総会の決議の内容が法令に違反するときは、当該株主総会決議の日から3ヵ月以内に、訴えをもってのみ当該決議の取消しを請求することができる。

    1・・・誤り

    株主総会の決議法令に違反している場合、その決議は無効となります(会社法830条2項)。
    無効な決議に対しては、取消しの訴えを提起する必要はなく、期間の制限もありません。つまり、いつでも・誰でも・どのような手続きでも無効を主張することができます。

    一方、株主総会の決議が定款に違反している場合は、「取消しの訴え」によって対応する必要があり、この場合は決議の日から3ヵ月以内に訴えを提起しなければなりません(会社法831条1項2号)。

    • 法令違反の決議 → 無効(期間制限なし)
    • 定款違反の決議 → 取消し(3ヵ月以内に訴え)
    2.会社の設立無効は、会社の成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張できる。

    2・・・正しい

    会社が設立された後、その設立に重大な瑕疵があったとしても、いつまでも無効を主張できるようにしてしまうと、会社や関係者の法律関係が不安定になります。

    そこで会社法は、設立の無効については、成立の日から2年以内に「設立無効の訴え」を提起することでしか主張できないと定めています(会社法828条1項1号、2項1号)。

    つまり、一般の法律行為と違って、
    「いつでも・誰でも・どのようにでも」無効を主張できるわけではありません。
    会社の安定性と取引の安全を確保するため、期間制限と訴訟手続による限定が設けられているのです。

    3.新株発行無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされた行為は、将来に向かってその効力を失う。

    3・・・正しい

    新株発行無効の訴え」において、裁判所が発行を無効と判断し、その判決が確定した場合でも、すでに成立した法律関係をさかのぼって消すことはしません。つまり、その判決には遡及効(過去にさかのぼる効力)がないのです(会社法839条)。

    このようにして、株式を取得した第三者との間の法律関係や市場の安定性を守るのが目的です。
    したがって、確定判決によって新株発行が無効になったとしても、その効力は将来に向かってのみ発生します。

    本肢は理解した方が良いので、理解すべき部分は個別指導で解説します。

    4.6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、公開会社に対し、役員等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。

    4・・・正しい

    株式会社に損害を与えた役員等に対して、本来その責任を追及すべきなのは会社自身です。
    しかし、会社を代表して訴訟を起こすのは役員自身であるため、その役員が関与している場合、責任追及が行われないおそれがあります。

    そこで会社法は、一定の条件を満たした株主に、代わりに会社へ「責任追及訴訟を起こすよう請求する権利(提訴請求権)」を認めています(会社法847条1項)。

    請求できる株主の条件(公開会社の場合)

    • 6ヵ月前から引き続き株式を保有していること

    この要件を満たす株主であれば、会社に対し、役員等の責任追及訴訟を起こすよう請求できます。
    これにより、会社の内部統制が働かない場合でも、株主によって健全な経営が確保される仕組みになっています。

    5.株式会社の役員の解任の訴えは、当該株式会社および当該解任を請求された役員を被告とする。

    5・・・正しい

    株式会社の役員(取締役・監査役など)は、原則として株主総会の決議によって解任されます(会社法339条1項など)。
    しかし、解任すべき事情があるにもかかわらず、株主総会で解任決議が否決された場合、株主によるコントロールが効かなくなってしまいます。

    そこで、一定の要件を満たす少数株主には、「役員解任の訴え」を提起する権利が認められています(会社法854条)。

    誰を被告にするのか?

    この「役員解任の訴え」は、以下の2者を被告として提起する必要があります(会社法855条)。

    1. 当該株式会社(=会社自身)
    2. 解任を求める対象の役員(=その役員個人)

    これは、役員の地位に関する法的争いであると同時に、会社の機関構成に影響する問題でもあるため、会社と役員の両方が利害関係者になるからです。


    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略

    令和6年・2024|問39|会社法

    株式交換に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

    1. 株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。
    2. 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。
    3. 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。
    4. 株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。
    5. 株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。

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    【答え】:3
    【解説】
    1.株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。

    1・・・誤り

    株式交換とは、ある会社(完全子会社となる会社)がその発行済株式のすべてを、他の会社(完全親会社)に取得させる制度です(会社法2条31号)。

    このとき、株式交換完全親会社になれるのは、株式会社だけではなく、合同会社も含まれます。
    つまり、合同会社も株式交換完全親会社になることが可能です(会社法767条 かっこ書き)。

    2.株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。

    2・・・誤り

    株式交換とは、ある会社が他の会社の発行済株式「すべて」を取得して、その会社を完全子会社にする制度です(会社法2条31号。肢1の解説も参照)。

    したがって、株式の「一部のみ」を取得する形での株式交換は認められていません。

    会社法769条1項でも、株式交換完全親会社は、株式交換の効力発生日に完全子会社の発行済株式「すべて」を取得すると定められています。

    つまり、株式交換は“全部取得”が原則であり、一部取得では成立しません

    3.株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。

    3・・・正しい

    株式交換では、通常、完全子会社となる会社の株主に対して、完全親会社の「株式」を交付します。
    しかし、会社法768条1項2号により、親会社の株式に代えて「金銭・社債・新株予約権」などの他の財産を交付することも認められています。

    このように、対価の内容を柔軟に選べるようになったことを、平成29年の会社法改正では「対価の柔軟化」と呼びます。

    したがって、本肢の内容は正しいといえます。

    4.株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。

    4・・・誤り

    株式交換は、株主総会で特別決議(議決権の2/3以上)によって決定されれば、株主が反対していても実施される強制力のある制度です。

    そのため、少数株主の保護のために、「反対株主には株式の買取請求権」が認められています(会社法797条)。
    つまり、反対する株主は、株式交換完全親会社に対し、自分の株式を公正な価格で買い取るよう請求することができます。

    このような制度は、少数派株主の権利保護として重要な役割を果たしています。

    5.株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。

    5・・・誤り

    株式交換では、対象となるのは株式だけでなく、新株予約権新株予約権付社債も含まれることがあります。
    これは、新株予約権が残っていると、それを行使することで新たな株主が生まれ、完全子会社の状態が崩れてしまう可能性があるためです。

    そのため、新株予約権付社債についても、株式交換完全親会社がそれを引き継ぐことになり、結果として債務者が変更されることになります。

    このような債務者変更によって、社債権者に不利益が生じるおそれがあるため、会社法789条1項3号により、社債権者には「異議を述べる権利」が認められています

    よって、本肢の「異議を述べることはできない」という記述は誤りです。


    令和6年(2024年)過去問

    問1 基礎法学 問31 民法
    問2 基礎法学 問32 民法
    問3 憲法 問33 民法
    問4 憲法 問34 民法
    問5 憲法 問35 民法
    問6 憲法 問36 商法
    問7 憲法 問37 会社法
    問8 行政法 問38 会社法
    問9 行政法 問39 会社法
    問10 行政法 問40 会社法
    問11 行政手続法 問41 多肢選択
    問12 行政手続法 問42 多肢選択
    問13 行政手続法 問43 多肢選択
    問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
    問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
    問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
    問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
    問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
    問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
    問20 国家賠償法 問50 基礎知識
    問21 国家賠償法 問51 基礎知識
    問22 地方自治法 問52 行政書士法
    問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
    問24 地方自治法 問54 基礎知識
    問25 行政法 問55 基礎知識
    問26 公文書管理法 問56 基礎知識
    問27 民法 問57 個人情報保護法
    問28 民法 問58 著作権の関係上省略
    問29 民法 問59 著作権の関係上省略
    問30 民法 問60 著作権の関係上省略