令和6年度(2024年度)過去問

令和7年・2025|問50|基礎知識

自由貿易体制と関税に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。

  1. 第二次世界大戦後に「関税および貿易に関する一般協定」(GATT)が締結され、現在では世界貿易機関(WTO)が設立されている。
  2. 環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が離脱した後、新たにアジア太平洋経済協力(APEC)として締結された。
  3. 輸入の急増によって国内産業に重大な損害を与える、あるいは与える恐れがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等を行うことを、セーフガードと呼ぶ。
  4. 関税以外の手段で行われる、自由貿易を妨げる障害を総称して非関税障壁と呼ぶ。
  5. 国内産業保護のために、相殺関税やアンチダンピング関税が用いられることもある。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
1.第二次世界大戦後に「関税および貿易に関する一般協定」(GATT)が締結され、現在では世界貿易機関(WTO)が設立されている。

1.妥当である

第二次世界大戦の背景には保護貿易主義が一因となっていたという反省から、自由貿易の促進を目的としてGATTが1948年に発足しました。その後、計8回にわたる多角的貿易交渉(ラウンド)を通じて世界貿易の発展に貢献し、1995年にWTOへと発展解消されています。

※「GATT」とは、「関税および貿易に関する一般協定」の略称で、自由貿易の促進を目的とした多国間の国際協定です。
※「WTO」とは、「世界貿易機関」の略称で、GATTを引き継ぐ形で設立された国際機関です。貿易ルールの策定や貿易紛争の解決を担っています。
※「多角的貿易交渉(ラウンド)」とは、GATT加盟国が一堂に会して関税引き下げ等を交渉する会議のことです。

2.環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が離脱した後、新たにアジア太平洋経済協力(APEC)として締結された。

2.妥当でない

TPPを離脱したのは日本ではなくアメリカです。アメリカ離脱後、残った11ヵ国によってCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)が締結されました。またAPECはTPPとは別の枠組みであり、両者を混同しないよう注意が必要です。

※「TPP」とは、「環太平洋経済連携協定」の略称で、太平洋を囲む国々の間で関税撤廃・貿易自由化を目指した協定です。
※「CPTPP」とは、アメリカ離脱後に残った11ヵ国で締結された協定で、「TPP11」とも呼ばれます。
※「APEC」とは、「アジア太平洋経済協力」の略称で、TPPとは別の、アジア太平洋地域の経済協力を目的とするフォーラムです。

3.輸入の急増によって国内産業に重大な損害を与える、あるいは与える恐れがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等を行うことを、セーフガードと呼ぶ。

3.妥当である

輸入の急増によって国内産業に重大な損害が生じる、または生じるおそれがある場合に、輸入数量制限や関税引き上げ等の緊急措置を発動できる制度をセーフガード(緊急関税制度)といいます。1994年GATT第19条およびWTOセーフガード協定に基づいており、内外価格差の範囲内で緊急関税を課すことができます

※「セーフガード」とは、輸入急増から国内産業を守るための緊急措置の総称です。「緊急輸入制限」とも呼ばれます。

4.関税以外の手段で行われる、自由貿易を妨げる障害を総称して非関税障壁と呼ぶ。

4.妥当である

非関税障壁とは、関税以外の方法で自由貿易を妨げる障害の総称です。輸入手続きの煩雑化、輸入品の検査要求、数量制限、国内産業への助成金などが代表例です。一方、輸入品に高い関税をかけることは関税障壁といいます。非関税障壁は原則として認められていませんが、現実には様々な形で存在しています。

※「非関税障壁」とは、関税以外の手段(数量制限・検査要件・補助金など)によって輸入を制限し、自由貿易を妨げる措置の総称です。

5.国内産業保護のために、相殺関税やアンチダンピング関税が用いられることもある。

5.妥当である

非関税障壁とは、関税以外の方法で自由貿易を妨げる障害の総称です。輸入手続きの煩雑化、輸入品の検査要求、数量制限、国内産業への助成金などが代表例です。一方、輸入品に高い関税をかけることは関税障壁といいます。非関税障壁は原則として認められていませんが、現実には様々な形で存在しています。

※「非関税障壁」とは、関税以外の手段(数量制限・検査要件・補助金など)によって輸入を制限し、自由貿易を妨げる措置の総称です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問1|基礎法学

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

まず「者」、「物」そして「もの」の使い分け方であるが、このうち「者」とは、自然人にせよ法人にせよ、原則として法律上の[ ア ]を有する主体のことを指す用語である。これに対し「物」というのは、権利の客体となる[ イ ]であって、「者」が指すような法律上の[ ア ]を有する主体以外のものを指す。(・・・中略・・・)

次に「もの」には三つの用法があり、第一は抽象的なものを指す場合(ただし、「者」や「物」にあたる場合は、これらが優先して使われる)であり、第二は[ ア ]のない社団や財団を指す場合で、時によりこれに自然人や法人を含めて指すこともある。第三として、あるものに更に要件を重ねて規定する場合に用いる。たとえば自然環境保全法第17条第5項第2号は原生自然環境保全地域内における行為を制限する規定の適用除外を掲げ、「通常の管理行為または軽易な行為のうち、原生自然環境保全地域における自然環境の保全に支障を及ぼすおそれがないもので環境省令で定めるもの」としているが、この場合の「おそれがないもの」の「もの」は上記の[ ウ ]の用法であり、また「環境省令で定めるもの」の「もの」は[ エ ]の使い方である。

(出典 山本庸幸「実務立法技術」2006年から<文章を一部省略した。>)

  1. ア:人格 イ:有体物 ウ:第三 エ:第一
  2. ア:実体 イ:所有物 ウ:第二 エ:第一
  3. ア:人格 イ:有体物 ウ:第一 エ:第三
  4. ア:実体 イ:所有物 ウ:第三 エ:第一
  5. ア:資格 イ:有体物 ウ:第二 エ:第三

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1. 「者」と「物」の区別(ア・イ)
法律の世界では、主役(主体)と脇役(客体)を厳格に使い分けます。

[ ア ]人格(権利能力)
「者」という漢字は、人間(自然人)や会社(法人)など、自ら契約を結んだり裁判を起こしたりできる法律上の主体に使われます。これを「人格(法的人格)」を持っていると言います。

[ イ ]有体物
「物」という漢字は、民法上「有体物(ゆうたいぶつ)」を指すのが原則です。電気などの管理可能なエネルギーも含まれますが、基本的には「人格を持たない、権利の対象となるもの」です。

2. 「もの」の3つの用法(ウ・エ)
ひらがなの「もの」は、漢字の「者」や「物」に当てはまらない広い概念をカバーします。

第一の用法(抽象的・一般概念)
「おそれがないもの」の「もの」は、「事態」や「状態」という抽象的な概念を指しています。したがって[ ウ ]には第一が入ります。

第二の用法(権利能力なき社団など)
「権利能力なき社団(例:同窓会やサークル)」などは、法的には「者(人格)」ではありませんが、人間が集まっています。これらを指す際に「もの」が使われます。

第三の用法(要件の重ね掛け)
「……のうち、……であって、……なもの」というように、条件をどんどん絞り込んでいく時に使われます。問題文の「環境省令で定めるもの」は、直前の条件をさらに限定しているため、[ エ ]には第三が入ります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問2|基礎法学

裁判員制度に関する次の記述のうち、裁判員法* の規定に照らし、誤っているものはどれか。 (注)* 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

  1. 裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、くじその他の作為が加わらない方法で選任される。
  2. 一定の事由があれば、検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対して、選任された裁判員の解任の請求をすることができる。
  3. 裁判員は、地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続に参加する。
  4. 裁判員の関与する判断は、合議体を構成する裁判官の意見を聞いた上で、裁判員の過半数の意見によって行われる。
  5. 裁判員が、その関与する判断のための評議の秘密を漏らしたときは、当該裁判員は、刑罰を科される。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、くじその他の作為が加わらない方法で選任される。

1.正しい

裁判員法13条は、「裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、この節の定めるところにより選任するものとする」と規定しています。

選任はくじその他の作為が加わらない方法(裁判員法26条以下)によって行われ、特定の者を恣意的に選ぶことがないよう手続が設けられています。

2.一定の事由があれば、検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対して、選任された裁判員の解任の請求をすることができる。

2.正しい

裁判員法41条1項は、「検察官、被告人または弁護人は、裁判所に対し、次の各号のいずれかに該当することを理由として裁判員または補充裁判員の解任を請求することができる」と定めています。

解任事由としては、不公平な裁判をするおそれがある場合や、裁判員の義務に違反した場合などが挙げられます(41条1項各号)。当事者(検察官・被告人・弁護人)が解任を請求できる制度が設けられている点が重要です。

3.裁判員は、地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続に参加する。

3.正しい

裁判員法2条1項により、裁判員が参加するのは地方裁判所で行われる一定の刑事裁判の訴訟手続です。

対象となる事件は、①死刑または無期の懲役・禁錮に当たる罪に係る事件、②法定合議事件(裁判所法26条2項2号)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件です(2条1項1号・2号)。高等裁判所・簡易裁判所では裁判員は参加しません。

4.裁判員の関与する判断は、合議体を構成する裁判官の意見を聞いた上で、裁判員の過半数の意見によって行われる。

4.誤り

裁判員が関与する判断は、「裁判員の過半数の意見」によって行われるのではありません。

裁判員法67条1項は、「裁判所としての判断は、裁判官および裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による」と定めています。

これは、裁判官・裁判員の全員(合計9人)のうちの過半数(5人以上)の意見によることを意味し、かつその過半数の中に裁判官1人以上および裁判員1人以上が含まれていなければなりません。

「裁判員だけの過半数」や「裁判官の意見を聞いた上で裁判員が過半数で決定する」という仕組みではなく、裁判官と裁判員が対等に評議に参加した上での合算による多数決という点が重要です。

※裁判員裁判の合議体の構成は、裁判官3人+裁判員6人が原則です(裁判員法2条2項)。

5.裁判員が、その関与する判断のための評議の秘密を漏らしたときは、当該裁判員は、刑罰を科される。

5.正しい

裁判員法108条は、裁判員または補充裁判員であった者が評議の秘密を漏らした場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処すると定めています。

評議の秘密として守秘義務が課されるのは、①評議の経過、②各裁判員・裁判官の意見、③その多少の数です(裁判員法70条1項)。評議の自由な意見表明を保護し、公正な審理を担保するための制度です。

なお、守秘義務は退任後も続く(終身義務)点も重要です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問3|憲法

法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。
  2. 所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。
  3. 女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。
  4. 子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。
  5. 憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.尊属殺を通常の殺人よりも高度の道義的非難に値するものとみなし、その刑罰を通常の殺人よりも加重する規定については、社会的身分による差別を行うものとして、通常よりも厳格な基準でその合憲性が審査されなければならない。

1.妥当でない

本肢は、尊属殺重罰規定違憲判決(最大判昭和48年4月4日)に関する記述ですが、二点において誤りがあります。

第一に、尊属という地位は「社会的身分」にはあたらないと解されています。尊属(父母・祖父母等)の殺害が通常の殺人より高度の社会的道義的非難を受けることは不合理ではなく、加重処罰の立法目的自体は合憲とされました。

第二に、違憲の根拠は「社会的身分による差別」ではなく、刑罰の程度が立法目的達成の手段として均衡を失している(死刑または無期懲役のみで執行猶予も認めない点)という点でした。「通常より厳格な審査基準」を採用したものでもありません。

2.所得税の賦課・徴収に際して、給与所得者と自営業者等との間で異なる取り扱いを行う法律の規定については、それが人種・信条・性別など憲法14条1項の列挙する事由による差別に該当しないので、立法者の裁量を広く認めることができる。

2.妥当でない

本肢は、大島訴訟(最大判昭和60年3月27日)に関する記述ですが、「立法者の裁量を広く認める」という部分が判例の立場と異なります。

同判決は、租税法律の制定・改廃において立法者の裁量が認められるとしつつも、それが「著しく不合理であることが明らかでない限り」合憲という基準を示したものであり、「立法裁量を広く認める」と断言したものではありません。

また、憲法14条1項の後段列挙事由(人種・信条・性別等)は例示であり、これに該当しないからといって直ちに合憲となるわけではなく、合理的区別かどうかによって判断されます。

3.女性のみに再婚禁止期間を定めた民法の規定の合憲性を判断する際には、性別による差別が憲法24条にいう個人の尊厳と深く関わるため、性別以外による法的取り扱いの区別に比べて厳格な基準で審査が行われなければならない。

3.妥当でない

本肢は、再婚禁止期間違憲判決(最大判平成27年12月16日)に関する記述です。

同判決は、100日を超える再婚禁止期間の部分を違憲としましたが、その審査にあたって「性別以外による区別より厳格な審査基準」を採用するとは明示していません。判例は「過剰な制約を課すことが合理性を欠く」という比較衡量的な判断を行っており、いわゆる厳格審査基準(やむを得ない目的・必要最小限の手段)を明示的に採用したものではありません。

なお、同判決は100日以内の部分は合憲(父性推定の重複を避ける目的に合理性あり)、100日を超える部分は違憲と判断しました。

4.子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、権利を保障すべきだという考えが確立されてきており、嫡出でない子の法定相続分を差別する規定の合理性は失われている。

4.妥当である

本肢は、非嫡出子相続分規定違憲決定(最大決平成25年9月4日)の趣旨に関する記述です。

同決定は、「子にとって自ら選択・修正する余地のない事柄(出生の事情)を理由にその子に不利益を及ぼすことは許されない」という考え方が社会に確立してきたとして、嫡出子と非嫡出子の法定相続分を区別していた旧民法900条4号ただし書きを憲法14条1項に違反すると判断しました。

平成7年の最大決では合憲とされていましたが、社会情勢の変化・諸外国の立法動向・子の権利条約等を踏まえ、その合理性が失われたと判断が変更されたものです。この決定を受けて民法は改正されました。

5.憲法25条の定める生存権は個人の尊厳と密接に関係する権利であり、これに関係する法的取り扱いの区別の合憲性については、立法者がその裁量を踰越していないか厳格かつ慎重に審査されなければならない。

5.妥当でない

生存権(憲法25条)に関連する法的取り扱いの合憲性審査については、朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)等の判例が示す審査基準が基準となります。

これらの判例は、社会保障立法においては立法者に広い裁量が認められ、「著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と認められる場合」にのみ違憲とするという緩やかな審査基準を採用しています。

「厳格かつ慎重に審査」という本肢の記述は、これとは逆の方向であり、判例の立場と合致しません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問4|憲法

取材・報道の自由に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。
  2. 報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。
  3. 不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。
  4. 報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。
  5. 報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.公正な刑事裁判の実現を保障するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度の制約をこうむることとなってもやむを得ない。

1.妥当である

本肢は、博多駅テレビフィルム提出命令事件(最大決昭和44年11月26日)の趣旨に関する記述です。

同決定は、報道機関の取材の自由も憲法21条の精神に照らし十分尊重に値するとしつつも、公正な刑事裁判の実現のためには報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められる場合、取材の自由がある程度の制約を受けることもやむを得ないと判示しました。

取材の自由は絶対無制限ではなく、公正な裁判という重大な公益との比較衡量により制限が認められる場合があることを示した重要判例です。

2.報道機関の取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れなくても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪する等、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱する。

2.妥当である

本肢は、外務省秘密漏洩事件(最決昭和53年5月31日)の判示内容に関する記述です。

同決定は、取材の自由は憲法21条の精神に照らし尊重されるべきであるとしながら、取材の手段・方法が一般の刑罰法令に触れない場合であっても、取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躪するなど、法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認できない態様である場合には、正当な取材活動の範囲を逸脱すると判示しました。

取材の自由はその手段・方法においても制約があることを明示した判例です。

3.不法行為の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存し、当然に認められるものではない。

3.妥当である

本肢は、サンケイ新聞事件(最判昭和62年4月24日)の判示内容に関する記述です。

同判決は、意見広告に対する反論文の無料掲載を求める反論権について、不法行為(名誉毀損等)の成立を前提としない反論権は、特に公的事項に関する批判的記事の掲載をちゅうちょさせ、憲法が保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれがあるとして、法律の根拠なしに当然に認めることはできないと判示しました。

反論権が認められるのは不法行為の成立が前提となる場合に限られるという重要な判断です。

4.報道の公共性、報道のための取材の自由に対する配慮に基づき、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷におけるメモの採取を許可したとしても、法の下の平等には反しない。

4.妥当である

本肢は、レペタ事件(最大判平成元年3月8日)の判示内容に関する記述です。

同判決は、法廷でのメモ採取を司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ許可し、一般傍聴人には禁止した裁判長の措置について、報道の公共性および取材の自由に対する配慮に基づくものであり、憲法14条1項(法の下の平等)に反しないと判示しました。

報道関係者と一般傍聴人を区別することには合理的な理由があるとして、平等原則違反を否定した事例です。

5.報道関係者の取材源は、それがみだりに開示されると将来の自由で円滑な取材活動に一定の支障は生じうるが、公正な裁判の実現のためには取材源を明らかにする必要があり、民事訴訟法上の証言拒絶が認められうる職業の秘密には該当しない。

5.妥当でない

本肢は、取材源秘匿事件(最決平成18年10月3日)に関する記述です。同決定は本肢とは逆の判断を示しています。

同決定は、報道関係者の取材源は、民事訴訟法197条1項3号の「職業の秘密」に該当し得ると判示しました。取材源が明らかにされると将来の自由で円滑な取材活動に重大な支障が生じ、報道機関の社会的機能が損なわれることから、取材源に係る証言の拒絶が認められる場合があるとしたものです。

本肢は「職業の秘密には該当しない」と述べており、判例の立場と正反対であるため妥当ではありません。

※「職業の秘密」(民訴法197条1項3号)とは、職業の性質上その業務において知り得た情報で、秘密として保護するに値するものをいいます。取材源はこれに該当し得るとされています。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問5|憲法

国会の召集に関する次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。

憲法は、国会について[ ア ]制を採用し、内閣がその召集を実質的に決定する権限を有するものとした上で、52条、53条および54条1項において、常会、[ イ ]会および[ ウ ]会の召集時期等について規定している。そのうち憲法53条は、前段において、内閣は、[ イ ]会召集決定をすることができると規定し、後段において、いずれかの議院の総議員の1/4以上による[ イ ]会召集要求があれば、内閣は、[ イ ]会召集決定をしなければならない旨を規定している。これは、国会と内閣との間における権限の分配という観点から、内閣が[ イ ]会召集決定をすることとしつつ、これがされない場合においても、国会の[ ア ]を開始して国会による国政の根幹に関わる広範な権能の行使を可能とするため、各議院を組織する一定数以上の議員に対して[ イ ]会召集要求をする権限を付与するとともに、この[ イ ]会召集要求がされた場合には、内閣が[ イ ]会召集決定をする義務を負うこととしたものと解されるのであって、個々の国会議員の[ イ ]会召集要求に係る[ エ ]を保障したものとは解されない。

.(最三小判令和5年9月12日民集77巻6号1515頁)

  1. ア:会期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権限または権能
  2. ア:立法期 イ:臨時 ウ:特別 エ:権限または権能
  3. ア:会期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権利または利益
  4. ア:立法期 イ:特別 ウ:臨時 エ:権限または権能
  5. ア:会期 イ:臨時 ウ:特別 エ:権利または利益

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

本問は、最三小判令和5年9月12日(民集77巻6号1515頁)を素材とした空欄補充問題です。各空欄を順に検討します。

【ア:会期】

日本国憲法は、国会について「会期」制を採用しています。会期制とは、国会が活動できる期間(会期)をあらかじめ定め、その間に限り国会が立法等の権能を行使できる制度です。「立法期」という概念は憲法上存在しません。

【イ:臨時、ウ:特別】

憲法が定める国会の種類と根拠条文は以下の通りです。

52条:常会(通常国会、毎年1回1月に召集)、53条:臨時会(臨時国会、内閣が召集決定。いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば内閣に召集義務が生じる)、54条1項:特別会(特別国会、衆議院解散後の総選挙後30日以内に召集)。

したがって、53条が規定するのは「臨時」会(イ)であり、54条1項が規定するのは「特別」会(ウ)です。

【エ:権利または利益】

令和5年最高裁判決は、憲法53条後段の臨時会召集要求の趣旨について、「国会と内閣の権限分配」という観点から内閣に召集義務を課したものと解した上で、「個々の国会議員の臨時会召集要求に係る権利または利益を保障したものとは解されない」と判示しました。

これにより、召集義務違反を理由とした国家賠償請求(個々の議員の権利・利益侵害を根拠とするもの)は認められないとされました。「権限または権能」は議院・内閣の憲法上の権能を指す概念であり、個々の議員の私的権利を意味する「権利または利益」とは異なります。エには後者が入ります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問6|憲法

内閣総理大臣に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。
  2. 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。
  3. 内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。
  4. 国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
  5. 法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.内閣総理大臣は、大日本帝国憲法では内閣の首長と位置づけられていたが、実際の運用では、他の国務大臣と対等な地位にあるものとして扱われていた。

1.妥当でない

大日本帝国憲法(明治憲法)には、内閣や内閣総理大臣に関する規定はなく、内閣総理大臣の地位は「内閣官制」(明治22年の勅令)によって定められていました。

内閣官制上、内閣総理大臣は各大臣の「首班」と位置づけられてはいましたが、これは手続き的な意味での首位にすぎず、実質的には「同輩中の首席」に過ぎませんでした。天皇への輔弼(助言)関係では、内閣総理大臣も他の国務大臣と同格の扱いであり、現行憲法のような強い内閣の首長としての地位は認められていませんでした

本肢は「内閣の首長と位置づけられていた」としている点が誤りです。

2.内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決により指名されるが、衆参両院で指名の議決が異なった場合には、衆議院の議決が優越する。

2.妥当でない

憲法67条1項は、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と定めています。「衆議院議員の中から」指名するとは規定されておらず、参議院議員から指名することも憲法上は認められています(戦後は実例がありませんが)。

また、衆参両院で指名の議決が異なった場合に衆議院の議決が優越することは正しい(同条2項・3項)ですが、前段の「衆議院議員の中から」という記述が誤りであるため、本肢全体として妥当ではありません。

3.内閣総理大臣に事故のあるときは、予め指定された国務大臣が臨時にその職務を行うが、その場合でも、衆議院の解散のような内閣総理大臣に一身専属的な権限は行使できないと解されている。

3.妥当でない

内閣法9条は、内閣総理大臣に事故があるときは、あらかじめ指定された国務大臣が臨時に職務を行うと規定しています。

一般論としては、臨時代理は内閣総理大臣のすべての職務を行うことになります。ただし、国会において指名されたという内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については、臨時代理は行使できないとも解されています。

もっとも、衆議院の解散は内閣総理大臣の一身専属的な権限ではなく、閣議決定に基づく内閣の行為(天皇の国事行為:憲法7条3号)であることから、これを「一身専属的な権限」と分類した点が正確ではありません。臨時代理による衆議院の解散も実務上は認められ得るとされています。

※「一身専属的な権限」の典型例としては、国務大臣の任命・罷免(憲法68条)や閣議の主宰などが挙げられます。

4.国務大臣は、内閣総理大臣の同意がなければ、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された国務大臣は、内閣総理大臣の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

4.妥当でない

本肢の記述は、国会議員の不逮捕特権憲法50条)を国務大臣に転用したような内容ですが、憲法には国務大臣についてこのような規定はありません

不逮捕特権は、議会の審議権を保護するために国会議員に認められたものです。国務大臣が国会議員を兼ねている場合は議員としての不逮捕特権が及びますが、内閣総理大臣の同意や要求を要件とする国務大臣独自の不逮捕・釈放規定は憲法に存在しません

5.法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

5.妥当である

憲法74条は、「法律および政令には、すべて主任の国務大臣が署名し内閣総理大臣が連署することを必要とする」と定めています。

主任の国務大臣の署名は、当該法律・政令の執行について担当大臣が責任を負うことを明示するものです。内閣総理大臣の連署は、内閣全体としての意思決定を確認する意味を持ちます。

「法律および政令」のすべてに署名・連署が必要とされている点が重要で、例外はありません。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問7|憲法

法令の形式に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 皇室典範は、皇室会議が定める規則であるが、憲法の授権により、皇位の継承や摂政など、本来は法律で定めるべき事項を規定することができる。
  2. 衆参各議院の規則は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を広く規定しており、本会議における議事や議決の定足数、議事を非公開にするための要件などの議事に関する重要事項も、専ら各議院の規則が定めている。
  3. 憲法は、内閣が定める政令についてのみ、法律の委任を条件に罰則を設けることを認めているので、各省大臣が定める省令については、法律の委任によって罰則を設けることはできない。
  4. 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について規則を定める権限を有するが、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
  5. 会計検査院は、憲法上独立性が保障された機関であることから内部組織に関する自律権が認められており、その組織・権限は専ら会計検査院自身が定める規則によって規定される。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.皇室典範は、皇室会議が定める規則であるが、憲法の授権により、皇位の継承や摂政など、本来は法律で定めるべき事項を規定することができる。

1.妥当でない

皇室典範は皇室会議が定める規則ではなく国会の議決した法律です。

憲法2条は「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めており、皇室典範の制定・改正には通常の法律と同様に国会の議決が必要です。

皇室会議は、皇室典範に基づいて設置された合議機関(皇族・議長等で構成)であり、皇室典範を制定する機関ではありません。皇室典範が法律である以上、その改正は国会のみが行えます。

※「皇室会議」とは、皇室典範の定めにより、皇族の身分に関する重要事項(皇族離脱の許可など)を議決する機関で、衆参両議院の議長・副議長、最高裁長官・裁判官等で構成されます。

2.衆参各議院の規則は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を広く規定しており、本会議における議事や議決の定足数、議事を非公開にするための要件などの議事に関する重要事項も、専ら各議院の規則が定めている。

2.妥当でない

議事手続の重要事項の中には、議院規則ではなく憲法に直接規定されているものがあります。

例えば、本会議の定足数は「総議員の3分の1以上」憲法56条1項)、秘密会を開くには「出席議員の3分の2以上の多数による議決」が必要憲法57条1項)などが憲法本文に明記されています。

各議院の規則制定権(憲法58条2項)は、会議その他の手続および内部の規律に関する事項を対象としますが、憲法が直接定めた事項については規則で変更することはできません。実際の議院規則は、国会法の施行細則を定めるような形になっています。

3.憲法は、内閣が定める政令についてのみ、法律の委任を条件に罰則を設けることを認めているので、各省大臣が定める省令については、法律の委任によって罰則を設けることはできない。

3.妥当でない

憲法73条6号ただし書きは、政令について「特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない」と定めています。つまり法律の委任があれば政令に罰則を設けることができます

そして、各省大臣が定める省令についても、国家行政組織法12条3項により「法律の委任がなければ、罰則を設け、または義務を課し、もしくは国民の権利を制限する規定を設けることができない」と定められており、裏を返せば法律の委任があれば省令にも罰則を設けることができます

憲法73条6号ただし書きは政令のみを明文で規定していますが、省令を含む命令一般が法律の委任により罰則を設けられることは、国家行政組織法上認められており、本肢の「省令については罰則を設けることができない」は誤りです。

4.最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について規則を定める権限を有するが、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。

4.妥当である

憲法77条1項は、最高裁判所が「訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律および司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する」と定めています。

さらに同条3項は、「最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる」と規定しています。

規則制定権の委任を明文で認めているのは、各下級裁判所の実情に応じた柔軟な規律を可能にするためです。本肢の記述は77条1項・3項に合致しており、妥当です。

5.会計検査院は、憲法上独立性が保障された機関であることから内部組織に関する自律権が認められており、その組織・権限は専ら会計検査院自身が定める規則によって規定される。

5.妥当でない

会計検査院の組織・権限について、憲法90条2項は「会計検査院の組織および権限は、法律でこれを定める」と規定しています。「会計検査院自身が定める規則」によるのではなく、国会が制定する法律(会計検査院法)によって定められます。

会計検査院は、内閣から独立した地位を有する機関であり(会計検査院法1条)、内閣の統轄の下には置かれていません。しかし、この独立性は、会計検査院が独自に規則によって自己の組織・権限を定められることを意味するのではなく、内閣の指揮命令を受けずに職権を行使できるという意味での独立性です。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問8|行政法

行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 瑕疵なく成立した授益的処分について、事後の事情の変化を理由に講学上の撤回をすることは、かかる撤回ができる旨を定める明文の規定が法律または条例にあるときに限られる。
  2. 重大かつ明白な瑕疵を有する処分は当然に無効とされるが、処分の瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決まる。
  3. 一定の争訟手続に従って当事者を手続に関与せしめ、紛争の終局的解決を図ることを目的とする処分であっても、当該処分をした行政庁は、特別の規定がない限り、当該処分を取り消すことができる。
  4. 既になされた授益的処分について、講学上の職権取消しができるのは、当該授益的処分の成立時に違法があるときに限られ、不当があるにすぎない場合は除外される。
  5. 処分の成立時点において瑕疵があった場合、事後の事情の変化により当該瑕疵が解消するに至ったとしても、その瑕疵は治癒されることはなく、当該処分はそれを理由として取り消されるか、または当然に無効であるとされる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2
【解説】
1.瑕疵なく成立した授益的処分について、事後の事情の変化を理由に講学上の撤回をすることは、かかる撤回ができる旨を定める明文の規定が法律または条例にあるときに限られる。

1.妥当でない

授益的処分の講学上の撤回には、必ずしも法律または条例の明文の根拠は必要ありません。

判例・通説によれば、相手方の被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合には、明文の規定がなくても撤回が許容されます。

もっとも、授益的処分の撤回は相手方の信頼保護の観点から制限されるため、撤回の必要性と相手方の不利益を比較衡量する必要があります。法令の根拠なしに当然に撤回できるわけではなく、あくまで公益上の必要性が相手方の不利益を上回る場合に限られます。

※「撤回」とは、瑕疵なく有効に成立した行政行為について、事後の事情変更により効力を維持することが公益上不適当となった場合に、その効果を将来に向かって失わせることをいいます。過去に遡る「取消し」と区別されます。

2.重大かつ明白な瑕疵を有する処分は当然に無効とされるが、処分の瑕疵が明白であるかどうかは、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決まる。

2.妥当である

行政処分が当然無効とされるためには、処分に重大かつ明白な瑕疵が必要です。

最判昭和36年3月7日は、瑕疵が「明白」であるかどうかの判断基準について、「処分の外形上、客観的に、誤認が一見看取し得るものであるかどうかにより決すべき」と判示しました。主観的事情ではなく、外形上・客観的に判断される点が重要です。

この「重大明白説」は、行政処分の無効・取消しの区別に関する判例の基本的立場として、試験上最も重要な判例の一つです。

※「重大な瑕疵」とは、処分の根幹的要件を欠くことを意味し、「明白な瑕疵」とは、外形上客観的に誤認が一見して看取できることを意味します。両要件を満たす場合に初めて当然無効となります。

3.一定の争訟手続に従って当事者を手続に関与せしめ、紛争の終局的解決を図ることを目的とする処分であっても、当該処分をした行政庁は、特別の規定がない限り、当該処分を取り消すことができる。

3.妥当でない

本肢は不可変更力に関する問題です。

審査請求に対する裁決など、争訟裁断行為(一定の争訟手続に従って当事者を関与させ、紛争の終局的解決を図る処分)には、例外的に不可変更力が認められます。これは、行政庁自身が職権でその処分を取り消し・変更することができないという効力です。

本肢は「特別の規定がない限り取り消すことができる」と述べていますが、これは一般の行政処分に関する記述であり、争訟裁断行為については逆に「特別の規定がない限り、行政庁自らは取り消すことができない」が正確な説明です。

※「不可変更力」は、裁決・審決など紛争解決を目的とした行政行為について、行政庁自身による自己拘束を意味します。司法上の確定判決に類似した効力として位置づけられます。

4.既になされた授益的処分について、講学上の職権取消しができるのは、当該授益的処分の成立時に違法があるときに限られ、不当があるにすぎない場合は除外される。

4.妥当でない

行政行為の職権取消しは、処分の成立時に違法があった場合に限られず、不当(法律的には問題がないが合目的性に欠ける場合)があると認められる場合にも行うことができます。

これは、行政庁は処分の適法性だけでなく合目的性(行政目的に適合しているか)についても責任を負うためです。なお、裁判所による司法審査は違法性のみを対象としますが、行政庁自身による職権取消しは違法・不当の双方を対象とします。

ただし、授益的処分を職権取消しする場合は、相手方の信頼保護の観点から、取消しの必要性と相手方の不利益を比較衡量する必要があります。

5.処分の成立時点において瑕疵があった場合、事後の事情の変化により当該瑕疵が解消するに至ったとしても、その瑕疵は治癒されることはなく、当該処分はそれを理由として取り消されるか、または当然に無効であるとされる。

5.妥当でない

行政法上、瑕疵の治癒の法理が認められています。成立時点で瑕疵があった行政行為であっても、事後の事情変化によって当初欠けていた適法要件が実質的に充足された場合には、当該行政行為を適法と扱うことが判例上認められています。

本肢は「事後に瑕疵が解消しても治癒されることはない」と述べていますが、これは誤りです。瑕疵の治癒が認められる典型例として、理由の追完(処分後に理由が付加・補充される場合)や手続上の瑕疵が後に補われる場合が挙げられます。

※「瑕疵の治癒」が認められるかどうかは、行政の法律適合性の要請と法的安定性・相手方の信頼保護のバランスから個別に判断されます。重大な瑕疵がある場合には治癒が認められないこともあります。

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

令和7年・2025|問9|行政法

行政罰に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 (注)* 私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律

ア.財団法人の理事の就任に関する登記が法定期間内に行われなかったことに対して科される過料は、非訟事件手続法に基づく手続によって科されるが、中立性のある裁判所によって、当事者の陳述の機会を設けた上で科されるものであり、かつ即時抗告も可能であることから、憲法上の適正手続の要請に反しているとはいえない。

イ.カルテル行為を行ったことによって独占禁止法* 違反被告事件において罰金刑が確定している者に対し、さらに独占禁止法の規定に基づき課徴金の納付を命ずることは、課徴金を課せられるべき違反者の行為を犯罪とし、それに対する刑罰として、これを課する趣旨でないことは明らかであるから、二重処罰の禁止には違反しない。

ウ.所得税の確定申告において虚偽記載を行い所得税を脱税したことにより、懲役刑と罰金刑を併科された者に対して、さらに重加算税を科すことは、重加算税が申告納税を怠った者に対し、その行為の反社会性ないし反道徳性に着目し、これに対する制裁として科せられるものでもあるから、二重処罰の禁止に抵触する。

エ.刑事裁判において正当な理由がなく証言を拒んだ場合に、刑事訴訟法に基づき裁判官により秩序罰として科される過料と、同法に基づき通常の刑事手続により科される罰金は、法廷秩序の維持という点で目的が共通しているから、両者を併科することは許されない。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】
ア.財団法人の理事の就任に関する登記が法定期間内に行われなかったことに対して科される過料は、非訟事件手続法に基づく手続によって科されるが、中立性のある裁判所によって、当事者の陳述の機会を設けた上で科されるものであり、かつ即時抗告も可能であることから、憲法上の適正手続の要請に反しているとはいえない。

ア.妥当である

財団法人の理事就任登記の懈怠に対する過料について、最大決昭和41年12月27日は、憲法31条に違反しないと判示しました。

その理由として、①非訟事件手続法上、原則として当事者の陳述を聴く機会が設けられていること、②例外的に陳述なしで裁判した場合でも異議申立てにより改めて陳述を聴く機会が保障されること、③即時抗告が認められており、抗告には執行停止の効力があること、を挙げています。

過料は刑事罰ではなく秩序罰であるため、刑事訴訟手続と同一の手続は要求されませんが、告知・弁解・防御の機会が十分に保障されていることから、憲法上の適正手続の要請に反しないとされています。

※「秩序罰」とは、行政上の軽微な義務違反に対して科される制裁で、刑罰とは性質が異なります。刑事手続によらず、裁判所の非訟事件手続または行政庁の処分によって科されます。

イ.カルテル行為を行ったことによって独占禁止法* 違反被告事件において罰金刑が確定している者に対し、さらに独占禁止法の規定に基づき課徴金の納付を命ずることは、課徴金を課せられるべき違反者の行為を犯罪とし、それに対する刑罰として、これを課する趣旨でないことは明らかであるから、二重処罰の禁止には違反しない。

イ.妥当である

罰金刑が確定した後に課徴金を重ねて課すことが憲法39条の二重処罰の禁止に違反するか否かについては、課徴金の法的性質が問題となります。

課徴金は、カルテル等の違反行為によって得た不当な利益を剥奪し、違反行為を抑止することを目的とする行政上の措置であり、犯罪に対する制裁として科す刑罰とは趣旨・性質が根本的に異なります

この考え方は、追徴税と罰金の併科について「追徴税は過少申告・不申告を防止し適正な納税を確保するための行政上の措置であり、刑罰たる罰金とは性質が異なる」として合憲とした最大判昭和33年4月30日の法理と同様です。課徴金も同様に、刑罰とは別個の目的・性質を持つことから、二重処罰の禁止には違反しません

ウ.所得税の確定申告において虚偽記載を行い所得税を脱税したことにより、懲役刑と罰金刑を併科された者に対して、さらに重加算税を科すことは、重加算税が申告納税を怠った者に対し、その行為の反社会性ないし反道徳性に着目し、これに対する制裁として科せられるものでもあるから、二重処罰の禁止に抵触する。

ウ.妥当でない

重加算税と刑事罰(懲役・罰金)の併科が憲法39条の二重処罰の禁止に反するかについて、判例は違反しないと判断しています(最大判昭和33年4月30日の法理)。

重加算税は、申告義務違反の発生を防止し、適正な申告納税を確保するための行政上の制裁です。本肢は「行為の反社会性・反道徳性に着目した制裁」であるから二重処罰に抵触すると述べていますが、判例の立場はこれとは異なります。

重加算税は、犯罪に対する刑罰とは目的・性質・手続のいずれも異なる行政上の措置であるため、刑事罰との併科は憲法39条に違反しません。

※「重加算税」とは、仮装・隠蔽による申告義務違反に対して課される附帯税の一種で、通常の過少申告加算税より重い割合(35%または40%)が課されます。

エ.刑事裁判において正当な理由がなく証言を拒んだ場合に、刑事訴訟法に基づき裁判官により秩序罰として科される過料と、同法に基づき通常の刑事手続により科される罰金は、法廷秩序の維持という点で目的が共通しているから、両者を併科することは許されない。

エ.妥当でない

刑事訴訟法上の秩序罰としての過料と、刑罰としての罰金は、法廷秩序維持という点で共通する面があるとしても、目的・要件・手続が異なります

過料(秩序罰)は、法廷秩序を直接乱した行為に対して裁判官が迅速に課す行政的制裁であるのに対し、罰金は刑事手続を経て科される刑罰です。両者はその法的性質を異にするため、憲法39条の二重処罰禁止の趣旨は及ばず、両者の併科は許されます

 


令和7年(2025年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法・多肢選択
問12 個人情報保護法 問42 行政法・多肢選択
問13 行政手続法 問43 行政法・多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 行政法 問52 基礎知識
問23 地方自治法 問53 行政書士法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 情報公開法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 基礎知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略