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行政手続法11条:複数の行政庁が関与する処分

例えば、申請者Aが、X市とY市に関連する申請を行った。X市とY市は互いに、他の行政庁の判断を見て、処分をしようと思い、どちらの処分も遅延することがあると、申請者Aとしては困ります。そのため、他の関連申請が審査中であることを理由に、許認可等を遅延させることをしてはならないとしています。

また、関連する複数の行政庁は、お互いが協力しながら申請に対する審査するよう努力義務としています。

(複数の行政庁が関与する処分)
行政手続法第11条 行政庁は、申請の処理をするに当たり、他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させるようなことをしてはならない。
2 一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合においては、当該複数の行政庁は、必要に応じ、相互に連絡をとり、当該申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努めるものとする。

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行政手続法10条:公聴会の開催等

例えば、原子力発電所の原子炉の設置許可をすると、周辺住民の権利利益に影響を及ぼす場合があります。そういった場合、周辺住民の意見を聴くために、公聴会等を開くよう努力しなければなりません。

努力義務なので、必ずしも公聴会を開く必要はありません。必要に応じて公聴会を開きます。

公聴会とは、意見を聴くための会合・集会のことを言います。

(公聴会の開催等)
行政手続法第10条 行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。

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行政手続法9条:情報の提供

国民が、申請を行ったらいつ頃までに処分されるのかを知りたいですよね?

そのため、申請者が「いつまでに処分が下されますか?」と聞くと、行政庁は、「審査がどれくらい進んでいるのか」および「いつごろ処分が下されるのか」を示すよう努力しなければなりません。つまり絶対に示さなければならないわけではないので注意しましょう!=義務ではない。

行政手続法(情報の提供)
第9条 行政庁は、申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。
2 行政庁は、申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項その他の申請に必要な情報の提供に努めなければならない。

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行政手続法8条:理由の提示

行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合原則として、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません
つまり、なぜ、申請が拒否されるのかを申請者に理由を伝える必要があります

ただし、例外として、「許認可の要件や審査基準」が明確で、かつ、申請が、この要件や審査基準に適合しないことが明らかな場合、申請者の求めがあったときにこれを示せば足ります。
言いかえると、適合しないことが明らかなときは、求めがない場合は理由を示さなくてよいです。

そして、拒否する処分を書面で行う場合理由の提示も書面で行わなければなりません。

(理由の提示)
第8条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
2 前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

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行政手続法5条:審査基準

例えば、あなたが、宅地建物取引業の免許を受けるために、東京都知事に申請をすると、東京都知事(行政庁)は、東京都知事が定めた審査基準にしたがって、許可か不許可かを審査します。そして、行政手続法5条では、この申請された際の「審査基準」についての内容が規定されています。

審査基準のポイント

  • まず、審査基準は行政庁が定めます。これは義務です。
  • 審査基準は、できる限り具体的なものとしなければなりません。
  • 行政庁は、原則として、「申請の提出先とされている機関の事務所」に、審査基準を公にしておかなければなりません(義務)
    ただし、例外として、行政上特別の支障がある場合は、公にしなくてもよいです。

「公にする」とは、公開しておくという意味です。

審査基準は公にする必要があるのか?

原則 公にしなければならない
例外 行政上特別の支障がある場合は、公にしなくてもよい

行政手続法(審査基準)
第5条 行政庁は、審査基準を定めるものとする
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない

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行政手続法4条:国の機関等に対する処分等の適用除外

処分行政指導及び届出といった行政手続きは、行政機関と国民の間だけでなく、行政機関と行政機関の間でも行われます。

下記の場合は、行政手続法が適用されません。

行政機関間で行政手続法が適用除外となる場合

行政指導 行政手続法は一切適用されない
処分 行政機関または行政主体がその「固有の資格」で処分の名あて人になるものは、行政手続法が適用されない
届出 行政機関または行政主体がその「固有の資格」で届出すべきものは、行政手続法が適用されない

固有の資格とは?

「固有の資格」とは、「行政機関の立場で」「行政主体として」といった意味です。言い換えると、「一般私人(国民)が立てないような立場」を言います。

例えば、市町村の合併や分離の届出は、市町村(行政主体)の立場で行っており、一般私人が立てない立場で届出をするので、「固有の資格」と言えます。よって、行政手続法の適用はありません。

一方、市バスの事業免許は、地方公共団体が、私人と同様の立場で処分を受けるので、「固有の資格」ではありません。よって、行政手続法の適用対象となります。市バスの事業免許は、私人でも立てる立場です。

国の機関等に対する処分等の適用除外
第4条 国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。

<<行政手続法3条:適用除外 | 行政手続法5条:審査基準>>

行政手続法3条:適用除外

行政手続法の適用除外については、行政書士試験では、覚えておかないといけない部分です。行政不服審査法の適用除外と混乱しやすい部分なので、対比しながら覚えていくとよいでしょう!

行政手続法が適用されないのは、下記の通りです。

  1. 国会若しくは地方議会の議決によってされる処分
  2. 裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
  3. 国会若しくは地方議会の議決又は同意等を経てされる処分
  4. 検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
  5. 刑事事件に関する検察官等がする処分及び行政指導
  6. 国税又は地方税の犯則事件に関する処分及び行政指導
    金融商品取引の犯則事件に関する処分及び行政指導
  7. 学校講習所訓練所又は研修所で、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
  8. 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
  9. 公務員に対する処分及び行政指導
    (例えば、懲戒処分(懲罰)・・・免職・停職・減給・戒告
    分限処分・・・降任・免職・休職・降級)
  10. 外国人の出入国難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
  11. 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分(例えば、行政書士試験の結果等)
  12. 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分及び行政指導
  13. 公衆衛生、環境保全、防疫、保安のために、警察官若しくは海上保安官等によってされる処分及び行政指導
  14. 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導行政調査も含む
  15. 審査請求再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
  16. 行政手続法の聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導

行政手続法と行政不服審査法の適用除外の違い

行政手続法のみ適用除外の内容 9.公務員の懲戒処分
10.難民認定
12.利害の反する者の利害調整を目的とした処分
13.公衆衛生・環境保全・防疫・保安のための処分
14.報告または物件提出等の情報収集を目的とした処分
15.不服申立て(審査請求・再調査請求)による裁決・決定
16.聴聞・弁明の機会付与手続き(意見陳述の手続き)において法令に基づいてされる処分
不服審査法のみ適用除外の内容 当事者の法律関係を確認し、又は形成する処分で、その処分に関する訴えにおいて当事者の一方が被告となるもの

行政手続法における地方公共団体の適用除外

地方公共団体について、行政手続法が適用されないものは下記内容です。

  1. 地方公共団体の機関がする処分で、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る
  2. 行政指導
  3. 地方公共団体の機関に対する届出で、その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る
  4. 地方公共団体の機関が命令等を定める行為

1と3について、地方公共団体の機関がする処分および届出について、その根拠となる規定が法律に置かれているものは、行政手続法が適用されます。

(適用除外)
第3条 次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第4章の2までの規定は、適用しない。
一 国会の両院若しくは一院又は議会の議決によってされる処分
二 裁判所若しくは裁判官の裁判により、又は裁判の執行としてされる処分
三 国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得た上でされるべきものとされている処分
四 検査官会議で決すべきものとされている処分及び会計検査の際にされる行政指導
五 刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分及び行政指導
六 国税又は地方税の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて国税庁長官、国税局長、税務署長、国税庁、国税局若しくは税務署の当該職員、税関長、税関職員又は徴税吏員(他の法令の規定に基づいてこれらの職員の職務を行う者を含む。)がする処分及び行政指導並びに金融商品取引の犯則事件に関する法令(他の法令において準用する場合を含む。)に基づいて証券取引等監視委員会、その職員(当該法令においてその職員とみなされる者を含む。)、財務局長又は財務支局長がする処分及び行政指導
七 学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対してされる処分及び行政指導
八 刑務所、少年刑務所、拘置所、留置施設、海上保安留置施設、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するためにされる処分及び行政指導
九 公務員(国家公務員法第二条第一項に規定する国家公務員及び地方公務員法第三条第一項に規定する地方公務員をいう。以下同じ。)又は公務員であった者に対してその職務又は身分に関してされる処分及び行政指導
十 外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導
十一 専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
十二 相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として法令の規定に基づいてされる裁定その他の処分(その双方を名宛人とするものに限る。)及び行政指導
十三 公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
十四 報告又は物件の提出を命ずる処分その他その職務の遂行上必要な情報の収集を直接の目的としてされる処分及び行政指導
十五 審査請求、再調査の請求その他の不服申立てに対する行政庁の裁決、決定その他の処分
十六 前号に規定する処分の手続又は第三章に規定する聴聞若しくは弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において法令に基づいてされる処分及び行政指導
2 次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。
一 法律の施行期日について定める政令
二 恩赦に関する命令
三 命令又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令又は規則
四 法律の規定に基づき施設、区間、地域その他これらに類するものを指定する命令又は規則
五 公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について定める命令等
六 審査基準、処分基準又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの
3 第一項各号及び前項各号に掲げるもののほか、地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条第七号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章から第6章までの規定は、適用しない。

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行政手続法2条:定義

行政手続法における言葉の定義が2条の内容です。この言葉の定義は行政書士試験でも非常に重要で、頻出部分です。これが分かっていないと、行政書士試験に合格するのは難しいので、絶対押さえておきましょう!

法令とは?

法令とは、下記4つ言います。

  • 法律
  • 法律に基づく命令(告示を含む。)
  • 条例
  • 地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む)

【注意点】
地方公共団体の条例」や「地方公共団体の執行機関の規則」も「法令」に含まれる

処分とは?

処分とは、「行政庁の処分」その他「公権力の行使に当たる行為」をいいます。

【注意点】
審査請求再調査請求不服申立てに対する「裁決・決定」は、処分に当たらない=行政手続法は適用されない

そもそも行政手続法の適用対象は、「①処分」「②行政指導」「③届出」「④命令等(命令制定手続き)」の4つです。上記裁決・決定は上記①~④に当てはまらないので、行政手続法の対象ではないということです。

申請とは?

申請とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものを言います。

【注意点】
行政庁の応答がない、単に「届出」をするだけの行為は申請ではないです。

不利益処分とは?

不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分を言います。

【注意点】

  • 不特定多数の者を名あて人とする場合は、不利益処分ではない
    ※「名あて人」とは、処分の相手方のことです。
  • 権利を与える行為は、不利益処分ではない。

不利益処分に該当しないもの

  1. 事実上の行為立入検査等及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
  2. 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分(=申請に対する処分は第2章:申請に対する処分以降が適用)
  3. 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
  4. 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの(死亡等の届出等により免許を取消す行為)

※「行政指導」、「行政指導に従わない場合の公表」も不利益処分の対象外です。なぜなら、「行政指導」および「行政指導に従わない場合の公表」は、義務を課していないし、権利の制限もないから。

行政機関とは?

行政機関とは、

  • 「法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関」又は「これらの機関の職員」
  • 「宮内庁」および「これらに置かれる機関」又は「これらの機関の職員」
  • 「内閣府の外局として置かれる委員会及び庁」および「これらに置かれる機関」又は「これらの機関の職員」
  • 「国の行政機関(省、委員会及び庁)」および「これらに置かれる機関」又は「これらの機関の職員」
  • 会計検査院」および「これらに置かれる機関」又は「これらの機関の職員」
  • 地方公共団体の機関(議会を除く。)

行政指導とは?

行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものを言います。

【注意点】

届出とは?

届出とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)を言います。

【注意点】

  • 「届出」に「申請」は含まれない
  • 婚姻の届出」は行政手続法の申請」に当たる

命令等とは?

「命令等」とは、内閣又は行政機関が定める次に掲げるものを言います。

  1. 法律に基づく命令」又は「法律に基づく規則
  2. 審査基準
  3. 処分基準不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。)
  4. 行政指導指針同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。)

上記、処分基準の内容、行政指導指針の内容も、行政書士試験で出題されるので、ここまでしっかり頭に入れておきましょう!

この命令等は、行政手続法39条の意見公募手続きにも関連してくるので、絶対に覚えましょう!

命令等に関する法規命令・行政規則の区分

1.法律に基づく命令又は規則 外部に対して法的拘束力を有する「法規命令
2.審査基準、3.処分基準、4.行政指導指針 外部に対して法的拘束力を有さない「行政規則
  • 「審査基準と処分基準」は行政規則なので、違反する処分をしても当然に違反とはならない
  • 法律に基づく命令」とは、「政令(内閣制定)」や「省令(各省大臣制定)

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行政手続法1条:目的

行政手続法は、行政書士試験でも、必ず得点しないといけない部分です。そのためにも、しっかり条文を頭に入れると同時に、行政不服審査法との違いなども含めて対比して頭に入れていきましょう!

(目的等)
第1条 この法律は、処分行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第46条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

2 処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

行政手続法は、
・「①処分」「②行政指導」「③届出」に関する手続
・「④命令等」を定める手続
に関する法律です。

つまり、行政手続法の対象は「①処分」「②行政指導」「③届出」「④命令等(命令制定手続)」の4つということです。

上記4つの言葉の定義は、しっかり押さえておきましょう!

そして、
行政手続法は、
行政運営における公正の確保透明性の向上を図ることで
国民の権利利益の保護することが目的です。

つまり、行政手続のルールを定めることで、行政運営を公正して、また、行政運営の透明性が図れます。

っということは、国民の権利利益も保護されますよね!

この行政手続法1条では、上記目的をしっかり覚えましょう!

行政手続法1条の注意点

  • 地方公共団体については「法律を根拠とする処分届出」のみ行政手続法の適用
  • 国の機関がする行政指導」、「国の機関が定める命令等」は行政手続法が適用
    地方公共団がする行政指導命令を定める手続きは行政手続法が適用されない

>>行政手続法2条:定義

適正手続の原則(デュープロセス)

適正手続の原則とは、行政法では「行政活動はその内容が正しいだけでなく、手続きも適正でなければならない」という原則です。
そして、実際、行政書士試験の「憲法」や「行政手続法」の分野でもよく出題される部分なのでしっかり頭に入れておきましょう!
憲法31条は,「何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない」と定めています。この「適正手続きの原則」を「デュープロセス」と言います。そして、この「適正手続の保障(デュー・プロセス条項)」は古くはイギリス中世のマグナ・カルタにまで遡ります。

適正手続の保障のポイント

  • 憲法31条の規定が行政手続にも適用されるかについて、31条の保障が及ぶと解する場合があっても行政手続は、刑事手続とはその性質において差異があるので、必ずしも適用・準用されるわけではない
  • 行政手続の適正性について、その一部が法律により保障されている。具体的には、不利益処分を行う場合、事前に告知、弁解、防御の機会(意見陳述権)が与えられている。

行政法の一般原則

信義誠実の原則
権利濫用の禁止
比例原則
平等原則
適正手続の原則

法律による行政の原理

法律の法規創造力 国民の権利義務に関するルールは法律のみ定めることができ、行政機関は、法律の授権なく法規を作れない
法律の優位 行政活動は法律に違反してはならず、違反したら、取消されたり、無効となる
法律の留保 一定の行政の活動が行われるためには、法律の根拠・授権が必要