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行政不服審査法66条:審査請求に関する規定の準用

審査請求の規定が、再審査請求に準用されないもの

下記内容は審査請求のルールですが、下記審査請求のルールは再審査請求にも適用されません

第9条第3項 審理員指名の例外機関への除外規定
第18条
第1項・2項
審査請求期間
第19条第3項 不作為についての審査請求書の記載事項
第19条第5項
1号・2号
再調査請求の年月日
決定を経ないことについての正当な理由
第22条 誤った教示をした場合の救済
第25条第2項 執行停止
第29条2~5項 弁明書の提出
第30条第1項 反論書の提出
第41条第2項
第1号イ及びロ
審理手続の終結
弁明書の未提出、反論書の未提出
第43条 行政不服審査会等への諮問
第45条 処分についての審査請求の却下又は棄却
第46条 処分についての審査請求の認容
第47条 事実上の行為についての審査請求の認容
第48条 不利益変更の禁止
第49条 不作為についての審査請求の裁決
第50条
第1項・2項
裁決の方式

再審査庁が、審理員指名の例外機関(例えば内閣府等)である場合には、下記規定は適用されません

第17条 審理員となるべき者の名簿
第40条 審理員による執行停止の意見書の提出
第42条 審理員意見書
第50条第2項 諮問を要しない場合の裁決書への審理員意見書の添付

(審査請求に関する規定の準用)
行政不服審査法第66条 第二章(第9条第3項、第18条(第3項を除く。)、第19条第3項並びに第5項第1号及び第2号、第22条、第25条第2項、第29条(第1項を除く。)、第30条第1項、第41条第2項第1号イ及びロ、第四節、第45条から第49条まで並びに第50条第3項を除く。)の規定は、再審査請求について準用する。この場合において、別表第三の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
2 再審査庁が前項において準用する第九条第1項各号に掲げる機関である場合には、前項において準用する第17条、第40条、第42条及び第50条第2項の規定は、適用しない。

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行政機関とは?

行政機関とは?

行政主体のために意思決定、意思表示、執行などを行う担当者や部署を言います。

行政機関には、上記の通り、行政庁、諮問機関、参与機関、監査機関、執行機関、補助機関があります。勉強を進める中ですべて覚えていきましょう!

行政庁とは?

行政庁とは、行政主体の法律上の意思を決定し、外部に表示する権限を有する機関を言います。これは、行政書士試験でそのまま出題される場合もあるので、上記文言を覚えておきましょう!

行政庁とは、例えば、都道府県知事市町村長、財務大臣、金融庁長官、警察署長、税務署長、建築主事等です。イメージとしては、各組織のトップです。会社で言えば、社長や支店長です。何らかの意思決定をするのは、組織の下の人ではなく、トップですよね!このトップが行政庁です。

そして、行政庁には、独任制合議制の2つがあります。

独任制の行政庁

上記事例は、すべて「独任制の行政庁」です。なぜなら、知事や市町村長、財務大臣などは、すべて一人の人が担当しているからです。そして、この一人の人が決断をして決定したことを外部に表示します。

合議制の行政庁

一方、「合議制の行政庁」もあります。例えば、公正取引委員会、公安委員会、教育委員会、人事院、会計検査院等です。これらの行政庁は、複数の人が集まった組織で、意見交換(話し合い)をして、意思決定を行います。

諮問機関とは?

諮問(しもん)とは、専門家に意見を求めることを言います。つまり、諮問機関とは、特定の問題に関して審議や調査を行い、行政庁に対して意見を言う機関(組織)です。

そして、諮問機関の意見は、行政庁を拘束しません。つまり、知事等が、諮問機関に意見を求めて、諮問機関がそれに対してアドバイス(答申)をしたとしても、そのアドバイスと違った意思決定をしてもよいということです。

この点は、参与機関と違う点なので、行政書士試験でも出題されます。

諮問機関の例として、法制審議会、中央教育審議会、社会保障制度審議会、地方制度調査会等がありますが、覚える必要はありません。

参与機関とは?

参与機関とは、専門家の集まりで、特定の行政業務に精通している有識者の集まりで、この点は諮問機関と同様です。

違うところは、参与機関の意見は、行政庁を拘束します。つまり、知事等は、参与機関の意見を無視した意思決定を行うことができないということです。

参与機関の例として、電波監理審議会、検察官適格審査会等がありますが、これも覚えなくて大丈夫です。

諮問機関 行政庁を拘束しない
参与機関 行政庁を拘束する

監査機関とは?

監査機関とは、行政機関の事務や会計などを検査し、業務が適正に行われているかを監査する機関です。例えば、国の会計監査を行う会計監査院、地方公共団体の監査委員等があります。

行政書士試験の問題として、監査機関がどこかを問う問題が出題される確率は低いので、覚える必要はないです。

執行機関とは?

執行機関とは、行政庁が決定した事柄を「実力行使」する機関です。

実力行使とは、①税金を滞納する国民に対して、資産の差押えをしたり、②火災が発生している建物に放水したり、③悪いことをしている人を現行犯逮捕したりすることを言います。
執行機関の具体例として、①の徴税職員、②の消防官、③の警察官等がいます。

行政書士試験対策としては、頭の片隅に置いておくくらいで大丈夫です。

補助機関とは?

補助機関とは、行政庁やその他の行政機関の職務の補助する機関を指し、日常的な事務仕事を行う担当者のイメージです。行政庁以外(トップ以外)の人とも言えます。

補助機関の具体例としては、副大臣、副知事、副市長、課長、一般職員です。

執行機関とよく似ていますが、補助機関は実力行使をしない点で異なります。

「行政機関」の行政書士試験対策

行政機関について、詳しく出題される問題はあまりないですが、イメージとして持っておかないと行政書士の過去問を解いて行く中でまったく理解できない状況に陥ってしまいます。

そのため、基礎知識として、ある程度頭に入れておきましょう。

過去問を解きながら、分からないときはこのページで確認すればよいでしょう!

行政手続法7条:申請に対する審査、応答

例えば、あなたが、宅建業の免許の申請を東京都知事に申請した場合、東京都知事は、申請が事務所に到達したら遅滞なく審査をしなければなりません。

審査については、審査基準に基づいて行います。

そして、「申請書の記載事項に不備がない」「法律で定められた期間内に申請された」といった形式上の要件に適合している場合、東京都知事(行政庁)は、審査基準にしたがって、許可や不許可の処分を行います。

一方、上記形式上の要件に適合しない場合、例えば、記載事項に漏れがあったり、添付書類が不足している場合、「相当の期間を定めて当該申請の補正を求めるか」又は「申請を拒否しなければなりません」

申請に対する審査、応答のポイント

  • 行政庁は、申請が事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない
  • 申請に不備があれば、行政庁は、「補正」or「拒否」を選択して、どちらかを行う

行政手続法と行政不服審査法の補正の違い

行政手続法 補正を求めるもしくは申請拒否
行政不服審査法 相当期間を定め補正を命じなければならない(行政不服審査法23条

(申請に対する審査、応答)
第7条 行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることその他の法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。

<<行政手続法6条:標準処理期間 | 行政手続法8条:理由の提示>>

差止めの訴え(抗告訴訟の一種)

行政事件訴訟法の類型でも勉強した通り、主観訴訟の中の抗告訴訟の一つに「差止めの訴え」があります。

主観訴訟とは、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して違法でないかと不服がある場合の訴訟です。

差止めの訴えとは?

差止めの訴え差止め訴訟)とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟を言います。

上記「処分や裁決がされようとしている場合」に行う訴訟なので、処分や裁決がされる前に提起するものだということです。行政書士の試験ではここが非常に重要です。

例えば、Aが建物を建築したが、甲県が「この建物は違法建築物です。直してくれませんか?」という行政指導をAに対して行った。しかし、Aは違法建築物ではないと思っていた。このまま放っておくと、除去命令の処分をされかねません。そのためAは甲県に対して、除去命令をしないように差止めの訴えを提起することができます。

差止め訴訟の訴訟要件

差止め訴訟を提起できる要件は下記3つです。すべて満たした場合に適法となり審理されます。いずれか一つでも満たさない場合は、不適法として却下されます。

非申請型の義務付け訴訟と同じ訴訟要件です。

  1. 一定の処分や裁決がなされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあること
  2. その損害を避けるため他に適当な方法がないこと
  3. 行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者であること

差止め訴訟の勝訴要件

差止め訴訟で原告が勝訴するためには下記2つのいずれかを満たす必要があります。

  1. 行政庁がその処分をすべきでないことが明らかであること
  2. 行政庁がその処分をすることが裁量権の逸脱・濫用となると認められること

上記のいずれかを満たせば、認容判決(原告勝訴)となり、どちらも満たさない場合は棄却判決(原告敗訴)となります。

<<義務付けの訴え | 仮の義務付け・仮の差止め>>

行政手続法15条:聴聞の通知の方式

行政手続法15条の内容は、行政書士試験では、頻出ではないです。ただし、条文に記載されているので出題されてもおかしくないようです。具体的な「聴聞の通知内容」よりも、2項の「教示の内容」の方が出題されやすいです。なので、2項をしっかり覚えておきましょう!それでは、内容に入っていきます。

行政庁は、聴聞を行うに当たって、聴聞を行う日までに、相当な期間をおいて、「不利益処分の名あて人となるべき者」に対して、下記内容を書面により通知しなければなりません。下図の「①当事者に通知」の部分です。

聴聞手続きの流れ

聴聞の通知内容

①予定される不利益処分の内容根拠法令の条項
②不利益処分の原因となる事実
③聴聞の期日および場所
④聴聞に関する事務を所掌する組織の名称・所在地

①とは、例えば、
予定される不利益処分の内容とは、「行政書士の登録を取消す」
根拠法令の条項とは、「行政書士法第6条の5」です。

②とは、例えば
不正登録の事実

③とは、聴聞を行う日にちと、聴聞を行う場所

④とは、聴聞を行う組織で、行政書士の取消の場合、都道府県の担当部署と、その所在地です。例えば、総務部等です。

通知書で教示すべき内容

教示(きょうじ)とは、「教えること」「伝えること」です。

行政庁は、上記、聴聞の通知内容に加えて、「不利益処分の名あて人となるべき者」に対して、下記内容を伝えないといけません。

聴聞に出頭せずに、陳述書および証拠書類提出することができる
②聴聞が終結するまでの間、不利益処分の原因となる事実を証する資料閲覧を求めることができること

不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合

「不利益処分の名あて人となるべき者」の所在が判明しない場合、行政庁は、上記聴聞の通知を行うことができません。そのため、「聴聞の通知の内容を記載した書面をいつでもその者に交付する旨」を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。

つまり、聴聞の通知を通知せずに、掲示板に掲示することで行えるということです。

そして、掲示を始めた日から2週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなします

(聴聞の通知の方式)
行政手続法第15条 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二 不利益処分の原因となる事実
三 聴聞の期日及び場所
四 聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地

2 前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。
一 聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
二 聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

3 行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

<<行政手続法14条:不利益処分の理由の提示 | 行政手続法16条:聴聞の代理人>>

行政手続法19条:聴聞の主宰


ここで解説するのは、聴聞手続きの「②主宰者の指名」です。

①当事者の通知はこちら>>

聴聞手続きの流れ

主宰者

聴聞の主宰者については、行政手続法17条でも解説しましたが、ここで再復習します。

聴聞は行政庁が指名する職員・その他政令で定める者が主宰します。

行政書士試験では「行政庁が指名する職員」が聴聞を主宰する点が出題されます。

そして、不利益処分を担当した者も主宰者になれるので注意しましょう。

上記「その他政令で定める者」については、分からなくても問題ございません。

聴聞の主宰者になれない者

① 当該聴聞の当事者又は参加人
② ①の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
③ ①の代理人又は補佐人
④ 以前①~③であった者
⑤ ①の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
⑥ 参加人以外の関係人

※「当事者」とは、「聴聞の通知を受けた者」=「不利益処分の名あて人」のことです。

(聴聞の主宰)
第19条 聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない。
一 当該聴聞の当事者又は参加人
二 前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族又は同居の親族
三 第一号に規定する者の代理人又は次条第三項に規定する補佐人
四 前三号に規定する者であった者
五 第一号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
六 参加人以外の関係人

<<行政手続法18条:文書等の閲覧 | 行政手続法20条:聴聞の期日における審理の方式>>

行政手続法17条:聴聞の参加人・主宰者

行政手続法17条については、「聴聞の参加人」についての内容ですが、「主宰者」についても合わせて勉強します。参加人とは?主宰者とは?基本的な内容なので、頭に入れておきましょう!この参加人や主宰者の定義が行政書士試験で出題されることはあまりないですが、当然知っていることを前提として出題されるので、参加人と主宰者がどういった人かは分かるようにしておきましょう!

参加人とは?

聴聞手続で登場する人物の一人として「参加人」がいます。参加人とは、「当事者以外の者で、不利益処分につき利害関係を有する者のうち、聴聞手続に参加する者を指します。例えば、大規模な工場について操業停止処分(不利益処分)がなされた場合、工場に勤務していた従業員は利害関係人と言えます。

そして、この利害関係人が参加人になるためには、主宰者の職権または主宰者の許可が必要です。主宰者の職権および主宰者が許可がない場合、利害関係人であっても、聴聞に参加することができません。

参加人も、当事者同様、代理人を選任でき、当事者の規定(聴聞の代理人の資格の証明聴聞の代理人が行える行為)が適用されます。

主宰者とは?

主宰者とは、行政庁が指名する職員その他政令で定める者を指します。

つまり、不利益処分を行った行政庁が、指名した担当者が主宰者です。

簡単に言えば、聴聞手続きの司会者・運営者といったイメージです。

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

(参加人)
行政手続法第17条 第19条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第2項第6号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
2 前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、代理人を選任することができる。
3 前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは、「参加人」と読み替えるものとする。

<<行政手続法16条:聴聞の代理人 | 行政手続法18条:文書等の閲覧>>

行政手続法18条:文書等の閲覧

行政手続法18条の「聴聞における文書等の閲覧請求」については、行政書士試験の行政手続法でも出題される部分です。注意点もありますので、しっかり頭に入れておきましょう!

また、下図から、聴聞手続きの流れのどの部分を勉強しているかも分かるようにしておきましょう!

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

③参加人の許可はこちら>>>

当事者および参加人は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結するまでの間、行政庁に対し、当該事案についてした「調査結果に関する調書」や「不利益処分の原因となる事実を証する資料」の閲覧を請求することができます(文書の閲覧請求)。

この文書の閲覧請求に対し、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるとき正当な理由がなければ、閲覧を拒むことはできません。

原則 行政庁は、事案についてした調査の結果・調書その他の資料などの閲覧を拒むことができない。
例外 第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときは、行政庁は文書などの閲覧を拒むことができる。
【注意点】理由の提示は不要

(文書等の閲覧)
第18条 当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第24条第3項において「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 前項の規定は、当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。
3 行政庁は、前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。

<<行政手続法17条:聴聞の参加人・主宰者 | 行政手続法19条:聴聞の主宰>>

行政手続法20条:聴聞の期日における審理の方式

行政手続法20条は、聴聞手続きの中心となる部分です。実際、聴聞手続きがどのように行われるかが規定されています。そして、内容自体も多いので、一つ一つ頭に入れていきましょう。聴聞手続きの流れの①~④はそれぞれ、下記リンクから学習していただき、本ページでは、⑤聴聞の主宰・審理~⑨意見陳述の要請、証拠書類の提出要請までの内容を解説します。

聴聞手続きの流れ

①当事者の通知はこちら>>

②主宰者の指名はこちら>>

③参加人の許可はこちら>>>

④文書の閲覧請求はこちら>>>

⑤聴聞の主宰および審理

⑥まず、初めに、最初の聴聞の日に、主宰者が、行政庁の職員に、「予定される不利益処分の内容」及び「根拠となる法令の条項」並びに「その原因となる事実」を説明させます。つまり、出頭した行政庁の職員が説明します。

⑦当事者又は参加人は、聴聞の日に出頭して、意見を述べたり(口頭意見陳述)、証拠書類等を提出したり、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問したりできます。

【注意点】「意見を述べること」「証拠書類を提出すること」は主宰者の許可は不要ですが、行政庁職員に対する質問は主宰者の許可が必要です。

⑧当事者又は参加人は、聴聞の日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出することができます。

⑨主宰者は、必要があると認めるときは、
「当事者若しくは参加人」に対し質問をしたり
意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促したり
行政庁の職員に対し説明を求めたりすることができます。

聴聞は公開?それとも非公開?

原則 聴聞の審理は非公開
例外 行政庁が公開することを相当と認めるときは、聴聞の審理を公開

(聴聞の期日における審理の方式)
行政手続法第20条 主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2 当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3 前項の場合において、当事者又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5 主宰者は、当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。
6 聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

<<行政手続法19条:聴聞の主宰 | 行政手続法21条:陳述書等の提出>>

行政手続法24条:聴聞調書及び報告書

行政手続法24条の聴聞調書及び報告書は、行政書士試験でも頻出なのでしっかり頭に入れておきましょう!

主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書(聴聞調書)を作成し、
「当事者および参加人の陳述の要旨」を明らかにしなければなりません。

聴聞調書は、聴聞の期日ごとに作成し、審理が行われなかった場合は、聴聞の終結後速やかに作成しなければなりません。

そして、聴聞終結後速やかに報告書を作成し、聴聞調書とともに、行政庁に提出しなければなりません。この点は下図の、⑩の内容です。

聴聞手続きの流れ

聴聞の報告書

聴聞の報告書には、不利益処分の原因となる事実に対する当事者などの主張に理由があるかどうか、主宰者の意見を記載しなければなりません。

つまり、「当事者の主張・反論に理由があるから、不利益処分は不当だと思います!」とか「当事者の主張・反論には理由がないので、不利益処分は妥当だと思います!」といった意見を記載します。

(聴聞調書及び報告書)
第24条 主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2 前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3 主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4 当事者又は参加人は、第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。

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