平成23年度(2011年度)過去問

平成23年・2011|問25|行政法

次の文章は、公務員に対する国の損害賠償責任の成立が争点となった事案の最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]~[エ]に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。
思うに、国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ ア ]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[ イ ]義務…を負うことを定めているが、国の義務は右の…義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ ウ ]義務は、ある法律関係に基づいて[ エ ]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、(後略)。 (最三小判昭和50年2月25日民集29巻2号143頁以下)
  1. ア:品位を保持する イ:身分保障 ウ:危険防止 エ:特別な社会的接触
  2. ア:職務に専念すべき イ:給与支払 ウ:安全配慮 エ:特別な社会的接触
  3. ア:職務に専念すべき イ:身分保障 ウ:安全配慮 エ:特別な権力
  4. ア:品位を保持する イ:給与支払 ウ:安全配慮 エ:特別な権力
  5. ア:職務に専念すべき イ:給与支払 ウ:危険防止 エ:特別な権力
>解答と解説はこちら
【答え】:2【解説】
思うに、国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ア:職務に専念すべき]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[イ:給与支払]義務…を負うことを定めているが、国の義務は右の…義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ウ:安全配慮]義務は、ある法律関係に基づいて[エ:特別な社会的接触]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、(後略)。
ア.イ.国と国家公務員…との間における主要な義務として、法(国家公務員法、自衛隊法)は、公務員が[ ア ]義務…並びに法令及び上司の命令に従うべき義務…を負い、国がこれに対応して公務員に対し[ イ ]義務…を負うことを定めている
ア・・・職務に専念すべき イ・・・給与支払 職員は、原則、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければなりません(国家公務員法101条1項)。 これは、「職務に専念する義務」です。 よって「アには職務に専念すべき」が入ります。一方、職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてもらえます(国家公務員法62条)。 つまり、国は職員(公務員)に対して、給料を支払う義務がある、ということです。 よって「イには給与支払」が入ります。
ウ.エ.国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務…を負っているものと解すべきである。(中略)右のような[ ウ ]義務は、ある法律関係に基づいて[ エ ]の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はなく、
ウ・・・安全配慮義務 エ・・・特別な社会的接触 [ ウ ]義務は、「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務」を指します。つまり、「安全配慮義務」です。したがって、「ウには安全配慮」が入ります。エについての選択肢「特別な権力の関係」とは、一般国民と違って公権力と特殊な関係にあることを言います。例えば、公務員です。「一般国民と国」との関係と、「公務員と国」との関係を考えると、 公務員は一般国民よりも国寄りの立場にあります。 そういった意味で特別な権力関係と言っています。 公務員などは、国寄りの立場の人なので、法律の根拠なく人権も制限されてしまうという考え方をします。 ただ、日本国憲法では基本的人権の尊重の観点から上記考え方は妥当ではないです。 よって、「安全配慮義務は、[ エ ]の関係に入った当事者間において、・・認められる」の「エには特別な社会的接触」が入ります。 「特別な社会的接触の関係」とは、例えば、国の仕事を、民間企業が請け負った場合、国の仕事をした民間企業の担当者に対しても、国は安全配慮義務を負うということです。
令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問24|行政法

公物に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 自然公物については、自然のままにおいて公共の用に供されていると解されるので、公用開始という観念は成り立ちえない。
  2. 公物の公用開始行為は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政法学でいう行政行為の一種である。
  3. 公物の公用廃止については、明示的な廃止処分によることなく、黙示で廃止されたものとみなされることもある。
  4. 私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は当該財産に関する部分について当然に無効となる。
  5. 公用開始後の公物の供用行為が利用者との関係で適正であっても、第三者に対して損害を及ぼせば、当該公物の管理者は損害賠償責任を負う。

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
1.自然公物については、自然のままにおいて公共の用に供されていると解されるので、公用開始という観念は成り立ちえない。
1・・・正しい
「公の営造物」と「公物」は同義(同じもの)で、大きく分けて「自然公物」と「人工公物」があります。
  • 自然公物:河川、湖、沼、海、砂浜等
  • 人工公物:道路、上下水道、庁舎、庁舎内の机・椅子、校舎、公用車、けん銃等

そして
自然公物の場合は、自然のままで、みんなが使っている(公衆の利用に供されてきている)ため、公用開始という観念は成立しません
よって、本肢は正しいです。

一方、人工公物は、いつからみんなが使うことができるのかを明確にする必要があることから、公用開始行為は、行政処分によって行われます。

2.公物の公用開始行為は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政法学でいう行政行為の一種である。
2・・・正しい
公物の公用開始行為」は、特定の私人を名あて人とするものではないが、行政講学上「行政行為の一種」と解されています。
例えば、道路が私道(私人が所有する道路)であっても、公用開始行為により、その私道は、みんなが使うことができる(私道に建物を建てることができなくなる)という効力が生じます。
そこから考えても、行政行為とイメージできます。
3.公物の公用廃止については、明示的な廃止処分によることなく、黙示で廃止されたものとみなされることもある。
3・・・正しい
判例によると、
「公共用財産について、黙示的に公用が廃止されたもの(公用廃止の意思を示さなくても、公用が廃止された)として、取得時効の成立を妨げない(取得時効が成立する可能性はある)。」
と判示しています。※黙示的とは、暗黙のうちに意思や考えを示すこと。よって、本肢は正しいです。
4.私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は当該財産に関する部分について当然に無効となる。
4・・・誤り
私人所有の財産が公物として公用開始の対象に含まれていた場合、公用開始の効力は有効です。
例えば、道路が私道(私人が所有する道路)であっても、公用開始行為により、その私道は、みんなが使うことができる(私道に建物を建てることができなくなる)という効力が生じます。
5.公用開始後の公物の供用行為が利用者との関係で適正であっても、第三者に対して損害を及ぼせば、当該公物の管理者は損害賠償責任を負う。
5・・・正しい
判例によると、
営造物(空港)の利用が一定の限度を超えるため、第三者(空港周辺の住民)が損害を受ける危険性がある場合、国家賠償法2条1項の「営造物の設置又は管理」に瑕疵があるといえる。
このような危険性があるにもかかわらず、これにつき特段の措置を講ずることなく、また、適切な制限を加えないままこれを利用に供し、その結果利用者又は第三者に対して現実に危害が発生したときは、原則、国家賠償法2条1項の規定による責任(損害賠償責任)を免れることができない
と判示しています。よって、本肢は正しいです。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問23|地方自治法

地方自治法の規定する公の施設の指定管理者についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。
  1. 指定管理者として公の施設を管理する法人の指定は、条例自体によってなさなければならないこととされている。
  2. 公の施設の利用料金は、地方公共団体の収入とされ、指定管理者には普通地方公共団体から委託料が支払われることとされている。
  3. 公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定めることとされ、指定管理者が定めることはできない。
  4. 公の施設の使用許可などの行政処分は、地方公共団体の長が行わなければならず、これを指定管理者が行うことは認められていない。
  5. 指定管理者による公の施設の管理の基準及び業務の範囲その他の必要な事項は、条例で定めることとされている。
>解答と解説はこちら
【答え】:5【解説】
1.指定管理者として公の施設を管理する法人の指定は、条例自体によってなさなければならないこととされている。
1・・・妥当ではない 普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければなりません(地方自治法244条の2の6項)。 つまり、「法人(管理者)の指定」自体は、条例ではなく、議会の決議で行います。よって、本肢は妥当ではありません。 この辺りは複雑なので、個別指導で関連ポイントを含めて解説します! まとめて頭に入れれば、整理された知識となり、勘違いや混乱、凡ミスを防げます!
2.公の施設の利用料金は、地方公共団体の収入とされ、指定管理者には普通地方公共団体から委託料が支払われることとされている。
2・・・妥当ではない 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金を当該指定管理者の収入として収受させることができます(地方自治法244条の2の8項)。つまり、公の施設の利用料金は、指定管理者の収入とさせることができるということです。 よって、本肢は妥当ではありません。
3.公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定めることとされ、指定管理者が定めることはできない。
3・・・妥当ではない 公の施設の利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めます。 この場合、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければなりません(地方自治法244条の2の9項)。「公の施設の利用料金は、地方公共団体が条例で定める」は誤りで、 「公の施設の利用料金は、条例で定めにしたがって指定管理者が定める」が正しいです。 また、「指定管理者が定めることはできない」は誤りで 「原則、指定管理者が定める」が正しいです。
4.公の施設の使用許可などの行政処分は、地方公共団体の長が行わなければならず、これを指定管理者が行うことは認められていない。
4・・・妥当ではない 条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めます(地方自治法244条の2の4項)。 上記にしたがって、公の施設の使用許可などの行政処分を指定管理者が行うことも認められています。よって、誤りです。 具体的には、条例で「公の施設の使用許可処分について、指定管理者の業務とする」と決めておけば、指定管理者が行政処分をすることもできます。
5.指定管理者による公の施設の管理の基準及び業務の範囲その他の必要な事項は、条例で定めることとされている。
5・・・妥当 選択肢4の解説の通り、本肢は正しいです。
令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問22|地方自治法

地方自治法の規定する普通地方公共団体の執行機関に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
  2. 地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
  3. 執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
  4. 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
  5. 執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3【解説】
1.地方自治法は、普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、条例の定めるところにより、委員会又は委員を置くと規定している。
1・・・誤り
普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置きます(地方自治法38条の4の1項)。
よって「条例の定めるところ」が誤りで、正しくは「法律の定めるところ」です。
2.地方自治法における執行機関は、行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関をいう。
2・・・誤り
普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う機関です(地方自治法138条の2)。「行政官庁の命を受け、実力をもって執行することを任務とする機関」とは、警察官や消防署員、自衛官などを指し、行政講学上(法律の条文の内容ではなく、学問上の話)の「執行機関」です。

地方自治法における執行機関は、上記条文の内容の通りです。

よって、誤りです。

3.執行機関として置かれる委員会は、法律の定めるところにより法令又は当該普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、規則その他の規程を定めることができる。
3・・・正しい
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができます(地方自治法138条の4の2項)・よって、本肢は正しいです。

簡単に言えば、普通地方公共団体の委員会は、法律の定めに従って、当該委員会の事務の範囲内の規則を定めることができる、ということです。

4.普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限の帰属につき疑義が生じたときは、自らその権限を行使することができる。
4・・・誤り
普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければなりません(地方自治法138条の3の3項)。
つまり、長みずからが権限を行使するのではなく、権限の調整を行う、ということです。よって、誤りです。
5.執行機関としての長、委員会及び委員は、一定の場合、議会において議決すべき事件について専決処分を行うことができる。
5・・・誤り
普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、「普通地方公共団体の長」において、これを専決処分にすることができます(地方自治法180条1項)。
つまり、専決処分を行うことができるのは「長(知事や市町村長)」であって、「委員会、委員」は行うことはできません。よって、誤りです。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問21|地方自治法

次のア~オのうち、地方自治法の定める住民訴訟における請求として行うことができるものはいくつあるか。
ア.公金の支出を行うことを当該普通地方公共団体の長に対して義務付ける請求 イ.執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求 ウ.公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求 エ.違法な公金の支出に関与した職員に対する懲戒処分を懲戒権者に対して求める請求 オ.財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ
  5. 五つ
>解答と解説はこちら
【答え】:3【解説】 住民訴訟で請求できる内容(類型)は下記4つに限ります。 それ以外はできません。
  1. 差止めの請求
  2. 「取消し」又は「無効確認」の請求
  3. 「怠る事実の違法確認」の請求
  4. 相手方に「損害賠償請求」又は「不当利得返還請求」をするよう求める請求
ア.公金の支出を行うことを当該普通地方公共団体の長に対して義務付ける請求
ア・・・住民訴訟で請求できない 義務付けの請求は、上記1~4の類型にありません。 よって、住民訴訟による請求はできません。
イ.執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求
イ・・・住民訴訟で請求できる 「執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求」は、3の「怠る事実の違法確認」の請求に当たります。 よって、住民訴訟で請求できます。
ウ.公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求
ウ・・・住民訴訟で請求できる 「公金の支出の相手方に対して損害賠償請求をすることを執行機関に対して求める請求」は、 4の「相手方に損害賠償請求をするよう求める請求」に該当します。よって、住民訴訟で請求できます。
エ.違法な公金の支出に関与した職員に対する懲戒処分を懲戒権者に対して求める請求
エ・・・住民訴訟で請求できない 「懲戒処分を求める請求」は、上記1~4の類型に該当しません。よって、住民訴訟で請求することはできません。
オ.財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求
オ・・・住民訴訟で請求できる 「財産の管理又は処分のために行われた行政処分の取消し又は無効確認の請求」は、2の「取消し」又は「無効確認」の請求に該当します。 よって、住民訴訟で請求できます。
令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問20|国家賠償法

国家賠償法1条1項の要件をみたす場合の責任の主体に関する次のア~エの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことはない。

イ.都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官の犯罪の捜査の補助に係るものであっても、当該警察官の捜査に起因する私人の損害について、国が国家賠償責任を負うことはない。

ウ.児童福祉法に基づいて、都道府県が要保護児童を社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所させている場合、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県が国家賠償責任を負うことがある。

エ.都道府県の警察官が制服制帽を着用して職務行為を装い強盗した場合、被害者に対し当該都道府県が国家賠償責任を負うことがある。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・エ

>解答と解説はこちら


【答え】:5【解説】
ア.指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことはない。
ア・・・妥当ではない
指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、
判例によると「指定確認検査機関による建築確認に係る建築物について、建築確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、国家賠償責任を負う。」と判示しています。

よって、本肢は妥当ではないです。

イ.都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官の犯罪の捜査の補助に係るものであっても、当該警察官の捜査に起因する私人の損害について、国が国家賠償責任を負うことはない。
イ・・・妥当ではない
判例によると、「都道府県警察の警察官がいわゆる交通犯罪の捜査を行うにつき故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えた場合において国家賠償法1条1項によりその損害の賠償の責めに任ずるのは、原則として当該都道府県であり、国は原則としてその責めを負うものではない。ただし、都道府県の警察官の犯罪捜査が、検察官が自ら行う犯罪の捜査の補助に係るものであるときは、例外的に、国が国家賠償責任を負う
と判示しています。

本肢は例外に当たるので、国が国家賠償責任を負うことになるので、妥当ではないです。

ウ.児童福祉法に基づいて、都道府県が要保護児童を社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所させている場合、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県が国家賠償責任を負うことがある。
ウ・・・妥当
判例によると、「都道府県による児童福祉法の措置に基づき社会福祉法人の設置運営する児童養護施設に入所した児童を養育監護する施設の長及び職員は、国家賠償法1条1項の適用において都道府県の公権力の行使に当たる公務員に該当する。」と判示しています。

よって、当該施設の職員の養育監護行為に起因する児童の損害について、当該事務の帰属する都道府県は、国家賠償責任を負うことがあるので、妥当です。

エ.都道府県の警察官が制服制帽を着用して職務行為を装い強盗した場合、被害者に対し当該都道府県が国家賠償責任を負うことがある。
エ・・・妥当
判例によると、「巡査が、もっぱら自己の利をはかる目的で、制服着用の上、警察官の職務執行をよそおい
被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で同人を射殺したときは、

国家賠償法第1条にいう、公務員がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものと解すべきである。」

と判示しています。

よって、本肢の場合、当該警察官を管理する都道府県が国家賠償責任を負います。

したがって、妥当です。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問19|国家賠償法

国家賠償法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国家賠償法2条にいう「公の営造物」は、民法717条の「土地の工作物」を国家賠償の文脈において表現したものであるから、両者は同じ意味であり、動産はここに含まれないと解されている。
  2. 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるが、無過失責任と結果責任とは異なるので、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負うものとは解されない。
  3. 外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる。
  4. 国家賠償法2条が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、設置又は管理に当る者(設置管理者)とその費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、費用負担者は、設置管理者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、被害者に対する損害賠償責任を負う。
  5. 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるから、公の営造物の設置又は管理の瑕疵の判断にあたっての考慮要素は、事件当時における当該公の営造物の客観的状態に限られる。

>解答と解説はこちら


【答え】:2【解説】
1.国家賠償法2条にいう「公の営造物」は、民法717条の「土地の工作物」を国家賠償の文脈において表現したものであるから、両者は同じ意味であり、動産はここに含まれないと解されている。
1・・・誤り
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責任があります(国賠法2条)。
そして、公の営造物(公物)とは、国または公共団体により公の目的に供される不動産だけでなく動産も含まれます。例えば、判例によると、警察官の拳銃、警察署の公用車、自衛隊の砲弾です。
2.国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるが、無過失責任と結果責任とは異なるので、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負うものとは解されない。
2・・・正しい
県道上に道路管理者の設置した掘穿工事中であることを表示する工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が倒れ、赤色灯が消えたままになって、それが原因で事故が発生じた事案で判例によると、
「事故発生当時、県において設置した工事標識板、バリケード及び赤色灯標柱が道路上に倒れたまま放置されていたのであるから、道路の安全性に欠如があつたといわざるをえないが、それは夜間、しかも事故発生の直前に先行した他車によってひき起こされたものであり、時間的に県において遅滞なくこれを原状に復し道路を安全良好な状態に保つことは不可能であったというべく、このような状況のもとにおいては、県の道路管理に瑕疵がなかったと認めるのが相当である。」
と判示しています。

つまり、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負わない、ということです。

よって正しいです。

3.外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる。
3・・・誤り
国家賠償法は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用します(国賠法6条)。
つまり、相互保証がある場合、国賠法全体について適用されるので、国賠法1条だけでなく、2条も対象です。よって、誤りです。
4.国家賠償法2条が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、設置又は管理に当る者(設置管理者)とその費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、費用負担者は、設置管理者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、被害者に対する損害賠償責任を負う。
4・・・誤り
国賠法2条によって、国又は公共団体が損害賠償責任を負う場合において、「①設置又は管理に当る者(設置管理者)」

②その費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、

費用を負担する者②もまた、その損害賠償責任を負います(国賠法3条)。

設置管理者が注意をしていたかどうかは関係ありません

設置管理者の過失の有無にかかわらず、費用負担者は被害者に対して損害賠償責任を負います。

よって、誤りです。

5.国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるから、公の営造物の設置又は管理の瑕疵の判断にあたっての考慮要素は、事件当時における当該公の営造物の客観的状態に限られる。
5・・・誤り
選択肢2でも解説しましたが、
国賠法2条は、無過失責任を定めたものであるが、「不可抗力ないし回避可能性のない場合であるとき」は、国等は責任を負いません。その際の考慮要素は事件当時における当該公の営造物の客観的状態(設置物に瑕疵があるかどうか)に限らず、時間(瑕疵を直すのために時間的に可能かどうか)についても考慮します。

よって「公の営造物の客観的状態に限られる」は誤りです。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問18|行政事件訴訟法

実質的当事者訴訟に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 実質的当事者訴訟は、行政主体と一般市民との間における対等当事者としての法律関係に関する訴訟のうち、公法上の法律関係に関する訴訟であり、私法上の法律関係に関する訴訟は民事訴訟となる。
  2. 個別法の中に損失補償に関する規定がない場合であっても、憲法に直接基づいて損失補償を請求することが可能だと解されているが、この損失補償請求の訴訟は実質的当事者訴訟に該当する。
  3. 国に対して日本国籍を有することの確認を求める訴えを提起する場合、この確認の訴えは実質的当事者訴訟に該当する。
  4. 実質的当事者訴訟における原告勝訴の判決は、その事件について、被告だけでなく、関係行政機関をも拘束する。
  5. 実質的当事者訴訟の対象となる行政活動については、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。
>解答と解説はこちら
【答え】:5【解説】
1.実質的当事者訴訟は、行政主体と一般市民との間における対等当事者としての法律関係に関する訴訟のうち、公法上の法律関係に関する訴訟であり、私法上の法律関係に関する訴訟は民事訴訟となる。
1・・・正しい実質的当事者訴訟」とは、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいいます(行政事件訴訟法4条)。一方、私法上の法律関係に関する訴訟は民事訴訟となります。 よって、本肢は正しいです。
2.個別法の中に損失補償に関する規定がない場合であっても、憲法に直接基づいて損失補償を請求することが可能だと解されているが、この損失補償請求の訴訟は実質的当事者訴訟に該当する。
2・・・正しい 憲法に直接基づいて「損失補償」を請求することが可能だと解されているが、この損失補償請求の訴訟は、「実質的当事者訴訟」です。よって、本肢は正しいです。 一方、「国家賠償請求」は「民事訴訟」に当たります。
3.国に対して日本国籍を有することの確認を求める訴えを提起する場合、この確認の訴えは実質的当事者訴訟に該当する。
3・・・正しい 国に対して日本国籍を有することの確認を求める訴えを提起する場合、この確認の訴えは実質的当事者訴訟に該当します。
4.実質的当事者訴訟における原告勝訴の判決は、その事件について、被告だけでなく、関係行政機関をも拘束する。
4・・・正しい 実質的当事者訴訟の判決にも拘束力があります(行政事件訴訟法41条1項)。 よって、正しいです。
5.実質的当事者訴訟の対象となる行政活動については、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。
5・・・誤り 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができません行政事件訴訟法44条)。 つまり、仮処分ができないのは、あくまでも「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」です。 それ以外の行政活動なら仮処分をすることも可能です。そして、実質的当事者訴訟でも、公権力の行使等に当たらない場合もあるので、その場合は、仮処分も可能です。
令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問17|行政事件訴訟法

執行停止についての内閣総理大臣の異議についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 内閣総理大臣の異議は、裁判所による執行停止決定の後に述べなければならず、決定を妨げるために決定以前に述べることは許されない。
  2. 内閣総理大臣の異議は、下級裁判所による執行停止決定に対するものでも、最高裁判所に対して述べることとされている。
  3. 内閣総理大臣の異議が執行停止決定に対して述べられたときは、その理由の当否について裁判所に審査権限はなく、裁判所は、必ず決定を取り消さなければならない。
  4. 内閣総理大臣が異議を述べたときは、国会に承認を求めなければならず、これが国会によって否決された場合には、異議を取り消さなければならない。
  5. 内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあり、実際にも用いられた例が少ないため、他の抗告訴訟における仮の救済手続には準用されていない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3【解説】
1.内閣総理大臣の異議は、裁判所による執行停止決定の後に述べなければならず、決定を妨げるために決定以前に述べることは許されない。
1・・・妥当ではない
執行停止の申立てがあった場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができます。執行停止の決定があった後においても、同様に、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができます行政事件訴訟法27条)。よって、内閣総理大臣の異議は、決定以前に述べることも許されるので妥当ではないです。
2.内閣総理大臣の異議は、下級裁判所による執行停止決定に対するものでも、最高裁判所に対して述べることとされている。
2・・・妥当ではない
内閣総理大臣が異議を述べる裁判所は
  • 執行停止の決定前の異議 → 申立てのあった裁判所に対して
  • 執行停止の決定後の異議 → 決定をした裁判所

よって、本肢の「下級裁判所による執行停止決定に対するもの」は「当該下級裁判所」に対して異議を述べなければなりません。

したがって、妥当ではないです。

3.内閣総理大臣の異議が執行停止決定に対して述べられたときは、その理由の当否について裁判所に審査権限はなく、裁判所は、必ず決定を取り消さなければならない。
3・・・妥当
内閣総理大臣の異議があったときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければなりません行政事件訴訟法27条4項)。よって、本肢は正しいです。
4.内閣総理大臣が異議を述べたときは、国会に承認を求めなければならず、これが国会によって否決された場合には、異議を取り消さなければならない。
4・・・妥当ではない
内閣総理大臣が異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければなりません(行政事件訴訟法27条6項)。国会への事後報告だけでよく国会の承認は不要です。

よって、妥当ではないです。

5.内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあり、実際にも用いられた例が少ないため、他の抗告訴訟における仮の救済手続には準用されていない。
5・・・妥当ではない
内閣総理大臣の異議の制度については、違憲ではないかとの疑義もあるが、
仮の義務付け及び仮の差止め」についても、執行停止と同様の機能を有するため、準用しています行政事件訴訟法37条の5の4項)。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問16|行政事件訴訟法

A県収用委員会は、起業者であるB市の申請に基づき、同市の市道の用地として、2,000万円の損失補償によってX所有の土地を収用する旨の収用裁決(権利取得裁決)をなした。この場合についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。
  2. 収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、抗告訴訟である。
  3. Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟を提起すべきこととなる。
  4. Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。
  5. 収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服であるとしても、行政機関相互の争いで、法律上の争訟には当たらないから、B市が出訴することは許されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4【解説】
1.Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなるが、この訴訟は、B市を被告とする形式的当事者訴訟となる。
1・・・妥当ではない
Xが土地の収用そのものを違法として争う場合には、収用裁決の取消しを求めることとなり、この訴訟は、抗告訴訟の一種である取消訴訟です(土地収用法133条1項、行政事件訴訟法3条1項)。
したがって、「形式的当事者訴訟」は誤りです。
2.収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、抗告訴訟である。
2・・・妥当ではない
収用裁決が無効な場合には、Xは、その無効を前提として、B市を被告として土地の所有権の確認訴訟を提起できるが、この訴訟は、争点訴訟(民事訴訟)です(行政事件訴訟法45条)。
したがって、抗告訴訟ではありません。
3.Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟を提起すべきこととなる。
3・・・妥当ではない
Xが収用裁決に示された損失補償の額に不服がある場合には、B市を被告として、損失補償を増額する裁決を求める「形式的当事者訴訟」を提起すべきです(土地収用法133条2項、3項、行政事件訴訟法4条)。したがって、「A県を被告として、損失補償を増額する裁決を求める義務付け訴訟」は誤りです。
4.Xが収用裁決に示された損失補償の増額を求める訴訟を提起する場合については、裁決書が送達された日から法定の期間内に提起しなければならない。
4・・・妥当
収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に提起しなければなりません(土地収用法133条2項)。よって、本肢は妥当です。
5.収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服であるとしても、行政機関相互の争いで、法律上の争訟には当たらないから、B市が出訴することは許されない。
5・・・妥当ではない
収用裁決に示された損失補償の額について、高額に過ぎるとしてB市が不服である場合、Xを被告として、減額請求の訴え(形式的当事者訴訟をすることはできます。よって、本肢は誤りです。

令和6年・2024年行政書士試験対策の個別指導はこちら

平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略