平成23年度(2011年度)過去問

平成23年・2011|問48|基礎知識・政治

日本の地方自治に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 明治憲法のもとでは地方自治は認められておらず、市町村は国の行政区画であった。そのため、市町村長は、市町村会の推薦と府県知事の内奏をもとに、内務大臣によって任命されていた。
  2. 全国的な規模で市町村合併が大幅に進められたのは、明治維新以降4回ある。それぞれの時期に合わせて、「明治の大合併」「大正の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」と呼ばれることがある。
  3. 第二次世界大戦中には、激しい空襲により市役所・町村役場は機能を喪失したため、市町村は廃止された。それに代わり、防空・配給や本土決戦のために、都市部には町内会、農村部には系統農会が組織された。
  4. 第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しているが、首長その他の執行機関が国の指揮監督のもとに国の機関として行う機関委任事務があった。しかし、機関委任事務制度は地方自治法の改正により廃止された。
  5. 1990年代後半以降、市町村合併や公共事業などについて、住民が自ら投票によって意思を表明する住民投票が、条例に基づいて行われた。こうした流れを受けて、条例なしでも住民投票が行えるように、住民投票法が制定された。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.明治憲法のもとでは地方自治は認められておらず、市町村は国の行政区画であった。そのため、市町村長は、市町村会の推薦と府県知事の内奏をもとに、内務大臣によって任命されていた。
1・・・妥当ではない
明治憲法には地方自治に関する規定はなく、憲法上の保障はありませんでした。しかし、地方自治自体は認められていました。そして、市町村長の選出方法については
  • 市長は市会の推薦を受けて内務大臣が任命
  • 町村長は町村会において推薦し府県知事が任命していました。

よって、本肢は「地方自治は認められておらず」「町村長は内務大臣によって任命」の2つが妥当ではないです。

2.全国的な規模で市町村合併が大幅に進められたのは、明治維新以降4回ある。それぞれの時期に合わせて、「明治の大合併」「大正の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」と呼ばれることがある。
2・・・妥当ではない
明治維新以降3回の市町村の大合併がありました。それは、「明治の大合併」「昭和の大合併」「平成の大合併」の3回で、

「大正の大合併」はありません

よって、妥当ではありません。

3.第二次世界大戦中には、激しい空襲により市役所・町村役場は機能を喪失したため、市町村は廃止された。それに代わり、防空・配給や本土決戦のために、都市部には町内会、農村部には系統農会が組織された。
3・・・妥当ではない
第二次世界大戦中に、市町村が廃止された事実はありません。よって、妥当ではないです。ちなみに、「系統農会」とは、今でいう「農協」です。1899年の農会法によって公認された農業団体で、町村・郡・府県と系統的に設けられたことから、系統農会とも言います。
4.第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しているが、首長その他の執行機関が国の指揮監督のもとに国の機関として行う機関委任事務があった。しかし、機関委任事務制度は地方自治法の改正により廃止された。
4・・・妥当
第二次世界大戦後の自治体は、住民から直接公選される首長・議会を有しています。そして、地方公共団体の首長(都道府県知事、市町村長)等が法令に基いて国から委任され、「国の機関」として処理する事務(機関委任事務)がありました。

しかし、平成11年(1999)の地方自治法改正により、機関委任事務は廃止され、
現在、地方公共団体の事務は「法定受託事務」と「自治事務」の2つとなりました。

5.1990年代後半以降、市町村合併や公共事業などについて、住民が自ら投票によって意思を表明する住民投票が、条例に基づいて行われた。こうした流れを受けて、条例なしでも住民投票が行えるように、住民投票法が制定された。
5・・・妥当ではない
住民投票法という法律はありません。よって、本肢は妥当ではありません。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問46|民法・記述式

作家Yに雇用されている秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限しか付与されていなかったが、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した。しかし、Xは、Aに事務機器を購入する権限があるものと信じて取引をし、Yに代金の支払いを請求したところ、Yはその支払いを拒絶した。このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。この場合において、Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。「Xは、Yに対して、」に続けて、考えられる請求内容を二つ、40字程度で記述しなさい。
>解答と解説はこちら
【答え】:権限外の表見代理に基づき代金支払いの請求をするか、使用者責任に基づき損害賠償請求をする。(44字) 【解説】 問題文の状況を整理します。
  • 秘書Aは、作家Yに雇用されている
  • 秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限を与えられている(代理人A、本人Y)
  • 秘書Aは、Yに無断でXからYのために50万円相当の事務機器を購入した
  • 事務機器の売主Xは、Aの無権代理について善意無過失
  • 事務機器の売主Xは、Yに対して支払い請求をしたが、Yはその支払いを拒絶した
状況状況において このようなYの支払い拒絶を不当と考えたXは、Yに対して、支払いの請求、およびそれに代わる請求について検討した。 Xは、どのような根拠に基づき、いかなる請求をすればよいか。 下記2つを検討します。
  1. 秘書Aは、作家Yに雇用されていることから、Yの「使用者責任」を検討
  2. 秘書Aは無権代理を行っていることから、「表見代理」を検討

使用者責任

ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条1項)。 「事務機器の購入」は事業の執行としてなされた行為で、それによって、Xが代金を受領できないというのは、損害を受けていることになります。 よって、使用者責任を追及することは可能です。 したがって、 Xは、Yに対して、使用者責任に基づき損害賠償請求をすればよいです。

表見代理

  • 秘書Aは、Y名義で5万円以下のYの日用品を購入する権限を与えられていて
  • 権限外の行為(事務機器の購入)を行っています。
  • また、Xは善意無過失です。
よって、表見代理に基づいて、代金支払いの請求をすればよいです。 上記2つをまとめると、 「Xは、Yに対して、」権限外の表見代理に基づき代金支払いの請求をするか、使用者責任に基づき損害賠償請求をする。(44字)
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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問45|民法・記述式

Aの抵当権(登記済み)が存する甲土地をその所有者Bから買い受け、甲土地の所有権移転登記を済ませたCは、同抵当権を消滅させたいと思っている。抵当権が消滅する場合としては、被担保債権または抵当権の消滅時効のほかに、Cが、Bの債権者である抵当権者Aに対し被担保債権額の全部をBのために弁済することが考えられるが、そのほかに、抵当権が消滅する場合を二つ、40字程度で記述しなさい。

>解答と解説はこちら

【答え】:CがAに対して抵当権消滅請求をした場合及びCがAの請求に応じて甲土地の代価を弁済した場合。(45字)

【解説】

問題文の状況は

  • 所有者Bの甲土地(抵当権の設定あり:抵当権者A)
  • Cは上記甲土地を購入し、移転登記済

上記状況で、Cは同抵当権を消滅させたいと思っています。

抵当権が消滅する場合としては、下記2つがあると書かれています。

  1. 被担保債権または抵当権の消滅時効
  2. Cが、Bの債権者である抵当権者Aに対し被担保債権額の全部をBのために弁済する

上記2つ以外に抵当権が消滅する場合を2つ考えよ、という質問です。

抵当権を消滅させる方法として考えられるのは

抵当権消滅請求と②代価弁済です。

これを、40字でまとめます。

CがAに対して抵当権消滅請求をした場合及びCがAの請求に応じて甲土地の代価を弁済した場合。(45字)

「抵当権消滅請求」と「代価弁済」の違いについては、個別指導で解説します!

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問44|行政法・記述式

以下に引用する消防法29条1項による消防吏員・消防団員の活動(「破壊消防」と呼ばれることがある)は、行政法学上のある行為形式(行為類型)に属するものと解されている。その行為形式は、どのような名称で呼ばれ、どのような内容のものと説明されているか。40字程度で記述しなさい。

消防法29条1項
消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に直接実力を行使するもの。(44字)
即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に実力行使するもの。(41字)【解説】

本問の質問内容は、

「消防吏員又は消防団員は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。」

上記、消防吏員・消防団員の活動(行為形式・行為類型)がどのような名称で呼ばれているか?

どのような内容のものか?

上記2点です。

消防吏員・消防団員の活動(行為形式・行為類型)がどのような名称で呼ばれているか?

まず、行政法学上の行為形式(行為類型)には、下記のようなものがあります。

そして、本問の内容は、即時強制に当たります。

どのような内容のものか?

即時強制とは、義務を命じる余裕のない緊急の必要がある場合に、行政機関が、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に実力行使することを言います。

以上をまとめると

即時強制と呼ばれ、国民に義務を課することなく、国民の身体や財産に直接実力を行使するもの。(44字)

または、

即時強制と呼ばれ、義務の不履行を前提とせずに、国民の身体や財産に実力行使するもの。(41字)

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問43|行政法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。 行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。
1:併合提起された訴訟 2:速やか 3:救済の必要 4:差止め 5:義務存在確認 6:相当の期間内 7:職務執行命令 8:公の利益に対する障害 9:公益上の必要 10:代執行 11:重大な損害 12:義務付け 13:回復困難な損害 14:迅速 15:償うことのできない損害 16:本案 17:標準処理期間内 18:訴えの利益の消滅 19:手続の執行 20:合理的な期間内
>解答と解説はこちら
【答え】:ア:6、イ:12、ウ:15、エ:16
【解説】
行政と私人との間の法的紛争が訴訟となるのは、行政が何かを行った作為の場合だけではなく、何も行わない不作為の場合もありうる。このような行政の不作為についてどのような訴訟で私人が救済を求めるかは、行政救済法の領域における大きな問題である。 行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ア:相当の期間内]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。しかしこの訴訟類型は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[イ:義務付け]訴訟の提起を認め、またその[イ:義務付け]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ウ:償うことのできない損害]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[エ:本案]について理由があるとみえるときは、仮の[イ:義務付け]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[イ:義務付け]訴訟を提起することができることになった。
「最判昭59.12.18」の詳細解説はこちら>>
ア.行政事件訴訟法の定める抗告訴訟の中で、同法の制定当初からこの不作為に対する訴訟類型として存在したのは、行政庁が法令に基づく申請に対し、[ ア ]に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める「不作為の違法確認の訴え」であった。
ア・・・相当の期間内 アは、不作為の違法確認の訴えの内容です。「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいいます(行政事件訴訟法3条5項)。よって、「アには相当の期間内」が入ります。
イ.ウ.エ.しかしこの訴訟類型(不作為の違法確認の訴え)は、申請に対して何らかの処分をすることを促すにとどまる消極的なものであるため、救済手段としての効果は限定されたものであった。そこで、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、このような場合について、[ イ ]訴訟の提起を認め、またその[ イ ]訴訟にかかる処分又は裁決がされないことにより生ずる[ ウ ]を避けるため緊急の必要があり、かつ、[ エ ]について理由があるとみえるときは、仮の[ イ ]による救済が可能となった。またこのほか、この改正によって、申請に対する処分以外の処分についても[ イ ]訴訟を提起することができることになった。
イ・・・義務付け ウ・・・償うことのできない損害 エ・・・本案 「不作為の違法確認の訴え」だけでは、不作為が違法かどうかの確認しかしないので、救済手段として弱いです。 原告としては、許可処分といった一定の処分が欲しいわけです。そのため、平成16年の行政事件訴訟法の改正によって、 「義務付け訴訟」を認めました。したがって、「イには義務付け」が入ります。 さらに、義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる「償うことのできない損害」を避けるため緊急の必要があり、かつ、「本案」について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(仮の義務付け)ができます(行政事件訴訟法37条の5の1項)。 よって、「ウには償うことのできない損害」「エには本案」が入ります。
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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問42|行政法

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

・・・課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ ア ]ならしめるものと解するのが相当である。

(最一小判昭和48年4月26日民集27巻3号629頁以下)

1:審査庁 2:違法 3:除斥期間 4:確定 5:当然無効 6:裁量 7:納税者 8:失効 9:第三者 10:遡及 11:裁定 12:出訴期間 13:消滅 14:失権 15:時効 16:不可争 17:取消し 18:公益 19:公権 20:不法

>解答と解説はこちら


【答え】:ア:5、イ:12、ウ:9、エ:16

 

【解説】

・・・課税処分につき[ア:当然無効]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[イ:出訴期間]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ウ:第三者]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による[エ:不可争]的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を[ア:当然無効]ならしめるものと解するのが相当である。

ア.課税処分につき[ ア ]の場合を認めるとしても、このような処分については、・・・[ イ ]の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけである

ア・・・当然無効
イ・・・出訴期間「課税処分について〇〇を認めたらいつまでも争うことができる」と書いてあります。課税処分が無効であれば、出訴期間はないので、いつまでも争えます。

よって、「アには当然無効」が入ります。

また、「イには出訴期間」が入ります。

ウ.課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する[ ウ ]の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、・・・

ウ・・・第三者
課税処分が「課税庁と被課税者との間」にのみ存在するものであれば、第三者は関係ないので、第三者の保護を考慮する必要はありません。よって、「ウには第三者」が入ります。

エ.不服申立期間の徒過による[ エ ]的効果の発生、、、

エ・・・不可争力
不服申立期間が過ぎると、争うことができなくなります。よって、「エには不可争」が入ります。不可争的効果=不可争力です。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問41|憲法

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ ア ]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ ア ]が必要となってくる。表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ ウ ]と呼ぶことができよう。この[ ウ ]が表現の[ ア ]として用いられるときには、[ エ ]に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。 もとより、道路のような公共用物と、[ イ ]が自由に出入りすることのできる[ ア ]とはいえ、私的な[ エ ]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ ウ ]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[ エ ]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。(最三小判昭和59年12月18日刑集38巻12号3026頁以下に付された伊藤正己裁判官の補足意見をもとに作成した)
1:手段 2:とらわれの聴衆 3:ガバメント・スピーチ 4:時間 5:一般公衆 6:プライバシー 7:公共の福祉 8:敵対的聴衆 9:フェア・コメント 10:デモ参加者 11:パブリック・フォーラム 12:内容 13:警察官 14:思想の自由市場 15:方法論 16:管理権  17:権力関係 18:社会的権力 19:場 20:現実的悪意の法理
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【答え】:ア:19、イ:5、ウ:11、エ:16 【解説】
ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ア:場]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ア:場]が必要となってくる。表現の[ア:場]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[イ:一般公衆]が自由に出入りできる[ア:場]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ア:場]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ウ:パブリック・フォーラム]と呼ぶことができよう。この[ウ:パブリック・フォーラム]が表現の[ア:場]として用いられるときには、[エ:管理権]に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。 もとより、道路のような公共用物と、[イ:一般公衆]が自由に出入りすることのできる[ア:場]とはいえ、私的な[エ:管理権]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ウ:パブリック・フォーラム]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[エ:管理権]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。
ア.イ.ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の[ ア ]を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の[ ア ]が必要となってくる。表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。
ア・・・場 「表現の[ ア ]が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。」 上記から、表現をする「場所や手段」がなければ、相手に表現を伝達することができません。 そして、その例として「道路、公園、広場」となっているので、「手段」ではなく「アには場」が入ることが分かります。さらに、「[ イ ]が自由に出入りできる[ ア ]は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の[ ア ]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。」 ということから、「イには一般公衆」が入ります。道路や公園、広場は、誰でも自由に出入りできる場所だからです。
ウ.表現の[ア:場]として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを[ ウ ]と呼ぶことができよう。
ウ・・・パブリック・フォーラム 公園、広場、公会堂、道路などの公の施設は、それぞれ本来の目的をもっているが、同時に集会により一定の表現を行う場所としても有用であり、これをパブリック・フォーラムと言います。よって、「ウにはパブリック・フォーラム」が入ります。
エ.道路のような公共用物と、[イ:一般公衆]が自由に出入りすることのできる[ア:場]とはいえ、私的な[ エ ]に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、[ウ:パブリック・フォーラム]たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と[ エ ]とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。
エ・・・管理権 公共の場を、私的に利用することは、パブリックフォーラムとしての性質が異なります。私的に利用するということは、私的な管理権に服すると言い換えることができます。よって、「エには管理権」が入ります。
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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問40|会社法・剰余金

会社法上の公開会社の剰余金の配当に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
  2. 剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。
  3. 指名委員会等設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。
  4. 配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。
  5. 剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5
【解説】
1.剰余金の配当は、確定した計算書類およびこれに準ずる計算書類を基礎に、同一事業年度内に何度でも行うことができる。
1・・・正しい
株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができます(会社法453条)。
剰余金の配当について、回数制限はないので、何度行っても大丈夫です。
2.剰余金の配当について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されない。
2・・・正しい
公開会社である株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません(会社法109条1項:株主平等の原則)。
よって、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款に定めることは、株主平等原則に反して許されません。
3.指名委員会等設置会社は、株主総会の承認に代えて、取締役会で剰余金の配当を決定することができる旨の定款の定めを置くことができる。
3・・・正しい
指名委員会等設置会社には取締役会を置かなければなりません(会社法327条1項4号)
そして、取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(中間配当)をすることができる旨を定款で定めることができ、実際に、中間配当を行う場合、取締役会の決議が必要です(会社法454条5項)。よって、本肢は正しいです。
4.配当される財産は金銭に限定されないが、現物でのみ配当する場合には、株主総会の特別決議が必要である。
4・・・正しい
配当財産が金銭以外の財産であるときは、株式会社は、株主総会の特別決議によらなければなりません(会社法454条4項、309条2項10号)。よって、本肢は正しいです。
5.剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
5・・・誤り
株主は、その有する株式につき「①剰余金の配当を受ける権利」「②残余財産の分配を受ける権利」「③株主総会における議決権」その他この法律の規定により認められた権利を有します(会社法105条1項)。そして、上記①と②の両方の権利を全部与えない旨の定款の定めは無効です。本肢は。①剰余金配当請求権のみ付与しない旨の定めなので、定款に置くことは許されます。

よって、誤りです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問39|会社法・委員会設置会社

監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社以外の株式会社における取締役に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  1. 取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。
  2. 取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。
  3. 取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。
  4. 業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。
  5. 取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。
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【答え】:5  【解説】
1.取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができる。
1・・・正しい 監査等委員である取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができません(会社法331条3項)。また、指名委員会等設置会社の監査委員は、指名委員会等設置会社若しくはその子会社の執行役若しくは業務執行取締役又は指名委員会等設置会社の子会社の会計参与若しくは支配人その他の使用人を兼ねることができません(会社法400条4項)。上記2つは、委員会設置会社の監査を専門とする取締役の話です。本問は、委員会設置会社以外の株式会社なので、取締役は、当該会社の支配人その他の使用人を兼任することができます。よって、正しいです。
2.取締役会設置会社の代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていない。
2・・・正しい 取締役会設置会社については、原則、代表取締役が業務を執行します。 また、代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定された者も、業務を執行します(会社法363条1項)。したがって、代表取締役以外の取締役には、当該会社の代表権も業務執行権も当然には与えられていません。 「取締役会の決議によって選定された者」のみ業務を執行できます。
3.取締役会設置会社以外の会社の取締役は、代表取締役が他に選定されても、業務執行権は当然には消滅しない。
3・・・正しい 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。)の業務を執行します(会社法348条)。よって、代表取締役が他に選定されても、取締役会設置会社以外の会社の取締役は、業務執行権は当然には消滅しません。業務執行権が消滅するのは、業務執行権が消滅する旨が定款に定められていた場合です。
4.業務執行権のない子会社の取締役は、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができる。
4・・・正しい 社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の①業務執行取締役若しくは②執行役又は③支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいいます(会社法2条15号)。したがって、「業務執行権のない子会社の取締役」であれば、親会社の株主総会決議にもとづき、親会社の社外取締役を兼任することができます。よって正しいです。一方、 「業務執行権がある子会社の取締役」は、親会社の社外取締役にはなれません。
5.取締役会決議により特別取締役に選定された取締役は、取締役会決議のうち特定事項の決定にのみ専念し、それ以外の決議事項の決定には加わらない。
5・・・誤り 「委員会設置会社を除く取締役会設置会社」において、①取締役の数が6人以上で、かつ、②取締役のうち1人以上が社外取締役である場合、取締役会は、「重要な財産の処分及び譲受け」および「多額の借財」についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の特別取締役をもって行うことができる旨を「取締役会」で定めることができます(会社法373条1項)。 言い換えると、「a)重要な財産の処分及び譲受け」および「b)多額の借財」についての議決権を持つ取締役が特別取締役です。つまり、特別取締役は、「特別取締役」兼「取締役」なので、a)・b)以外の決議事項の決定にも加わることができます。よって、誤りです。
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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問38|会社法・株式取得

株式取得に関する次の記述のうち、会社法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
  2. 譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
  3. 承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
  4. 株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
  5. 合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。

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【答え】:1

 

【解説】
1.株式会社は、合併および会社分割などの一般承継による株式の取得について、定款において、当該会社の承認を要する旨の定めをすることができる。
1・・・妥当ではない
合併および会社分割などの一般承継の場合、株式の売買による取得とは異なり、「会社の承認を要する旨の定め」をすることができません。よって、妥当ではありません。
2.譲渡制限株式の譲渡を承認するか否かの決定は、定款に別段の定めがない限り、取締役会設置会社では取締役会の決議を要し、それ以外の会社では株主総会の決議を要する。
2・・・妥当
譲渡制限株式の譲渡について、株主からの承認の請求等があった場合、譲渡を承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません。ただし、定款に別段の定めがある場合は、定款の定めに従います(会社法139条1項)。よって、本肢は妥当です。
3.承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である。
3・・・妥当
判例によると、承認を受けないでなされた譲渡制限株式の譲渡は、当該株式会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡の当事者間では有効である、としています。
よって、本肢は妥当です。
4.株式会社が子会社以外の特定の株主から自己株式を有償で取得する場合には、取得する株式の数および特定の株主から自己株式を取得することなどについて、株主総会の特別決議を要する。
4・・・妥当
株式会社が特定の株主との合意により当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、株主総会の特別決議によって、次に掲げる事項を定めなければなりません(会社法156条1項、309条2項2号)。よって、本肢は妥当です。
5.合併後消滅する会社から親会社株式を子会社が承継する場合、子会社は、親会社株式を取得することができるが、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
5・・・妥当
子会社は、原則、その親会社である株式会社の株式を取得してはなりません会社法135条)。
ただし、例外として、合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合は、例外的に親会社の株式を取得できます(同条2項2号)。
この場合、子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分(売却等)しなければなりません(同条3項)。

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問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略