地方自治法が定める公の施設に関する次のア~エの記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。
ア.普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。
イ.普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。
ウ.普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。
エ.普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。
- ア・イ
- ア・エ
- イ・ウ
- イ・エ
- ウ・エ
【答え】:2
【解説】
ア・・・妥当
普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければなりません(地方自治法244条の2第1項)。
よって、妥当です。
イ・・・妥当ではない
普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してしなければなりません(地方自治法244条の4第1項)。
よって、本問は「総務大臣」が妥当ではありません。正しくは「普通地方公共団体の長」です。
ウ・・・妥当ではない
普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なもの(学校や下水道施設等)について、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければなりません(地方自治法244条の2第2項)。
エ・・・妥当
普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはなりません(地方自治法244条3項)。
そして、判例(最判平18.7.14)(裁判要旨)によると
『普通地方公共団体の住民ではないが,その区域内に事務所,事業所,家屋敷等を有し,当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について,当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは,地方自治法244条3項に違反する。』
と判示しています。
よって、本問は妥当です。
令和3年(2021年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政手続法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |