国家公務員と地方公務員の相違について、妥当な記述はどれか。
- 国家公務員については、国家公務員法に、原則として日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定があるが、地方公務員については、地方公務員法に、類似の明文規定は設けられていない。
- 国家公務員による争議行為は、一般的に禁止されているが、地方公務員による争議行為は、地方公務員法上、単純な労務に従事する職員について、一定の範囲で認められている。
- 国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、国家公務員法およびその委任を受けた人事院規則により定められるが、地方公務員については、地方公務員法および条例により定められる。
- 国家公務員の給与や勤務条件の基準は、法律によって定められることとされているが、地方公務員の給与や勤務条件の基準は、議会の同意を得て長によって定められることとされている。
- 国家公務員については、職員団体の結成のみが認められているが、地方公務員については、警察職員および消防職員を除き、労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている。
【解説】
1.国家公務員については、国家公務員法に、原則として日本国籍を有する者のみを任用する旨の規定があるが、地方公務員については、地方公務員法に、類似の明文規定は設けられていない。
1・・・誤り
国家公務員法・地方公務員法のどちらにも、「日本国籍を有する者のみ公務員になれる」といった条文はありません。
したがって、誤りです。
国家公務員法・地方公務員法のどちらにも、「日本国籍を有する者のみ公務員になれる」といった条文はありません。
したがって、誤りです。
2.国家公務員による争議行為は、一般的に禁止されているが、地方公務員による争議行為は、地方公務員法上、単純な労務に従事する職員について、一定の範囲で認められている。
2・・・誤り
国家公務員法では、
「職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法98条2項)。
つまり、国家公務員には争議権(ストライキをする権利)が認められていません。一方、
地方公務員法でも、
「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(地方公務員法37条1項)。
つまり、地方公務員にも争議権が認められていません。
したがって、本肢は誤り。
国家公務員法では、
「職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法98条2項)。
つまり、国家公務員には争議権(ストライキをする権利)が認められていません。一方、
地方公務員法でも、
「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない」とされています(地方公務員法37条1項)。
つまり、地方公務員にも争議権が認められていません。
したがって、本肢は誤り。
3.国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、国家公務員法およびその委任を受けた人事院規則により定められるが、地方公務員については、地方公務員法および条例により定められる。
3・・・正しい
国家法務員法では、
「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法102条1項)。
つまり、国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「国家公務員法と人事院規則」で定められています。一方、
地方公務員法では
「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない」とされています(地方公務員法36条1項)。
また、「職員は、条例で定める政治的行為をしてはならない」とされています(同条2項)。つまり、地方公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「地方公務員法と条例」で定められています。
したがって、本肢は正しい。
国家法務員法では、
「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」とされています(国家公務員法102条1項)。
つまり、国家公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「国家公務員法と人事院規則」で定められています。一方、
地方公務員法では
「職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない」とされています(地方公務員法36条1項)。
また、「職員は、条例で定める政治的行為をしてはならない」とされています(同条2項)。つまり、地方公務員の政治的活動に対する制限の範囲は、「地方公務員法と条例」で定められています。
したがって、本肢は正しい。
4.国家公務員の給与や勤務条件の基準は、法律によって定められることとされているが、地方公務員の給与や勤務条件の基準は、議会の同意を得て長によって定められることとされている。
4・・・誤り
国家公務員法では
「職員の給与は、別に定める法律に基づいてなされ、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給することはできない」とされています(国家公務員法63条)。
つまり、国家公務員の給与の基準は、「法律」で定められています。また、「職員の勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる」と定められています(国家公務員法106条)。
つまり、国家公務員の勤務条件の基準は「人事院規則」で定められています。
よって、誤りです。一方、
地方公務員法では
「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」とされています(地方公務員法24条5項)。
つまり、地方公務員の給与や勤務条件の基準は「条例」で定められています。
よって、「議会の同意を得て長によって定められる」という部分も誤りです。
国家公務員法では
「職員の給与は、別に定める法律に基づいてなされ、これに基づかずには、いかなる金銭又は有価物も支給することはできない」とされています(国家公務員法63条)。
つまり、国家公務員の給与の基準は、「法律」で定められています。また、「職員の勤務条件その他職員の服務に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定めることができる」と定められています(国家公務員法106条)。
つまり、国家公務員の勤務条件の基準は「人事院規則」で定められています。
よって、誤りです。一方、
地方公務員法では
「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」とされています(地方公務員法24条5項)。
つまり、地方公務員の給与や勤務条件の基準は「条例」で定められています。
よって、「議会の同意を得て長によって定められる」という部分も誤りです。
5.国家公務員については、職員団体の結成のみが認められているが、地方公務員については、警察職員および消防職員を除き、労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている。
5・・・誤り
国家公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(国家公務員法108条の2第の2項)。
ただし、警察職員及び海上保安庁又は刑事施設において勤務する職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。一方、
地方公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(地方公務員法52条3項)。
ただし、警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。
本肢は「労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている」が誤りです。
労働組合法の労働組合の結成が認められている旨の規定はありません。
国家公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(国家公務員法108条の2第の2項)。
ただし、警察職員及び海上保安庁又は刑事施設において勤務する職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。一方、
地方公務員法では
「職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる」とされています(地方公務員法52条3項)。
ただし、警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはなりません(同条5項)。
本肢は「労働組合法に基づく労働組合の結成が認められている」が誤りです。
労働組合法の労働組合の結成が認められている旨の規定はありません。
平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 幸福追求権など | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 投票価値の平等 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 内閣 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政調査 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 損失補償 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・経済 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |