許可の申請手続において、行政庁Yは審査基準を公にしないまま手続を進めて、結果として申請者Xに許可を与えなかった。この事例に関する次の記述のうち、行政手続法の条文に照らし、正しいものはどれか。
- Yは公聴会を開催してXの意見を聞く法的義務を負うことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
- 行政庁が審査基準を公にすることは努力義務に過ぎないことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
- Xは情報公開法(注)に基づき情報公開請求をして審査基準を閲覧できることから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
- 審査基準は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りることから、Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
- 審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
(注)行政機関の保有する情報の公開に関する法律
【解説】
1.Yは公聴会を開催してXの意見を聞く法的義務を負うことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
1・・・誤り
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが 当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、 必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により 当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
つまり、公聴会を開催してXの意見を聞くことは任意であり、法的義務はありません。
よって、誤りです。審査基準については、行政庁は、必ず定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません(行政手続法5条1項3項)。
つまり、Yが審査基準を公にしなかったことは、行政上特別支障がなかったのであれば違法となります。
行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが 当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、 必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により 当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければなりません(行政手続法10条)。
つまり、公聴会を開催してXの意見を聞くことは任意であり、法的義務はありません。
よって、誤りです。審査基準については、行政庁は、必ず定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません(行政手続法5条1項3項)。
つまり、Yが審査基準を公にしなかったことは、行政上特別支障がなかったのであれば違法となります。
2.行政庁が審査基準を公にすることは努力義務に過ぎないことから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
2・・・誤り
選択肢1の審査基準に解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です。
努力義務ではないので、誤りです。
選択肢1の審査基準に解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です。
努力義務ではないので、誤りです。
3.Xは情報公開法(注)に基づき情報公開請求をして審査基準を閲覧できることから、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
3・・・誤り
選択肢1の解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です(例外は選択肢5)。
したがって、本肢の「Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない」というのは、誤りです。
選択肢1の解説の通り、行政庁が審査基準を公にすることは義務です(例外は選択肢5)。
したがって、本肢の「Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない」というのは、誤りです。
4.審査基準は、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りることから、Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
4・・・誤り
これも、選択肢1の解説の通り、「Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかった」というのは違法です。
これも、選択肢1の解説の通り、「Xが審査基準の提示をYに求めなかったのであれば、Yが審査基準を公にしなかった」というのは違法です。
5.審査基準を公にすると行政上特別の支障が生じるのであれば、Yが審査基準を公にしなかったことも違法とはならない。
5・・・正しい
選択肢1の解説の通り、審査基準について、行政上特別支障があるのであれば、公にしなかったとしても違法にはなりません。
選択肢1の解説の通り、審査基準について、行政上特別支障があるのであれば、公にしなかったとしても違法にはなりません。
平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説
| 問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
|---|---|---|---|
| 問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
| 問3 | 幸福追求権など | 問33 | 民法:債権 |
| 問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
| 問5 | 投票価値の平等 | 問35 | 民法:親族 |
| 問6 | 内閣 | 問36 | 商法 |
| 問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
| 問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
| 問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
| 問10 | 行政調査 | 問40 | 会社法 |
| 問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
| 問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
| 問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
| 問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
| 問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
| 問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
| 問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
| 問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
| 問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
| 問20 | 損失補償 | 問50 | 基礎知識・経済 |
| 問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
| 問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・経済 |
| 問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
| 問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
| 問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
| 問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
| 問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
| 問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
| 問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
| 問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |



