株券が発行されない株式会社の株式であって、振替株式ではない株式の質入れに関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 株主が株式に質権を設定する場合には、質権者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録しなければ、質権の効力は生じない。
- 株主名簿に質権者の氏名または名称および住所等の記載または記録をするには、質権を設定した者は、質権者と共同して株式会社に対してそれを請求しなければならない。
- 譲渡制限株式に質権を設定するには、当該譲渡制限株式を発行した株式会社の取締役会または株主総会による承認が必要である。
- 株主名簿に記載または記録された質権者は、債権の弁済期が到来している場合には、当該質権の目的物である株式に対して交付される剰余金の配当(金銭に限る。)を受領し、自己の債権の弁済に充てることができる。
- 株主名簿に記載または記録された質権者は、株主名簿にしたがって株式会社から株主総会の招集通知を受け、自ら議決権を行使することができる。
【答え】:4
【解説】
1・・・誤り
株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じません(会社法146条2項)。
上記反対解釈から、「株券を発行しない株式会社」については、株式に質権を設定する場合、当事者の合意により、質権の効力は生じます。よって、誤りです。
ちなみに、「質権者の氏名または名称および住所を株主名簿に記載または記録しなければ、質権の効力は生じない」旨の規定はありません。
2・・・誤り
株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、「①質権者の氏名又は名称及び住所」および「②質権の目的である株式」を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができます(会社法148条)。
つまり、本問は「質権者と共同して、請求しなければならない」が誤りで、正しくは「単独で、請求できる」です。
3・・・誤り
「譲渡制限株式に質権をつける場合、取締役会や株主総会の承認が必要」という条文は会社法にはありません。
したがって、譲渡制限株式に質権を設定するのに、取締役会や株主総会の承認はいりません。
4・・・正しい
登録株式質権者(株主名簿に記載されている質権者)は、質権を設定した株式に対して支払われる配当を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができます(会社法154条1項)。
よって、本問は正しいです。
5・・・誤り
本問のような規定はないので、誤りです。
令和3年(2021年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政手続法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |