現行の選挙制度において、インターネットによる選挙運動が可能となっているものもあるが、次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 候補者が、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって、ホームページや電子メールを利用した選挙期日後の挨拶行為をすることは、可能である。
- 候補者が、選挙運動用のホームページに掲載された文言を選挙期日当日に更新することは、可能である。
- 一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことは、可能である。
- 年齢満18年未満の者が、ホームページや電子メールを用いた選挙運動を行うことは、可能である。
- 候補者が、屋内での演説会開催中に選挙運動用のウェブサイトをスクリーンに映写しながら政策を語ることは、可能ではない。
【解説】
1.候補者が、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって、ホームページや電子メールを利用した選挙期日後の挨拶行為をすることは、可能である。
1・・・妥当
何人も、選挙の期日後において、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって次に掲げる行為をすることができません(公職選挙法178条)。
下記行為は行えない内容です。
何人も、選挙の期日後において、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって次に掲げる行為をすることができません(公職選挙法178条)。
下記行為は行えない内容です。
- 選挙人に対して戸別訪問をすること。
- 自筆の信書及び当選又は落選に関する祝辞、見舞等の答礼のためにする信書並びにインターネット等を利用する方法により頒布される文書図画を除くほか文書図画を頒布し又は掲示すること。
- 新聞紙又は雑誌を利用すること。
- 放送設備を利用して放送すること。
- 当選祝賀会その他の集会を開催すること。
- 自動車を連ね又は隊を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすること。
- 当選に関する答礼のため当選人の氏名又は政党その他の政治団体の名称を言い歩くこと。
2号をみると、「インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画を除く」となっているので、ネット利用してのあいさつ等は行えることになります。
したがって、本肢の通り「候補者が、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって、ホームページや電子メールを利用した選挙期日後の挨拶行為をすることは、可能」です。
2.候補者が、選挙運動用のホームページに掲載された文言を選挙期日当日に更新することは、可能である。
2・・・妥当ではない
選挙運動は、各選挙につき、公職の候補者の届出のあった日から当該選挙の期日の前日までの間しかできません(公職選挙法129条)。そして、候補者が、選挙運動用のホームページに掲載された文言を更新することは選挙運動にあたるので、本肢「選挙期日当日に更新することができる」という記述は妥当でありません。
選挙運動は、各選挙につき、公職の候補者の届出のあった日から当該選挙の期日の前日までの間しかできません(公職選挙法129条)。そして、候補者が、選挙運動用のホームページに掲載された文言を更新することは選挙運動にあたるので、本肢「選挙期日当日に更新することができる」という記述は妥当でありません。
3.一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことは、可能である。
3・・・妥当ではない
選挙においては、公職の候補者や届出政党等は、電子メールを利用する方法により、選挙運動のために使用する文書図画を頒布することができます(公職選挙法142条の4)。
上記は、候補者や政党についてのルールで、一般有権者は適用されません。
そして、一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことは、認められていません。
したがって、「一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことはできない」ので、本肢は妥当ではありません。
選挙においては、公職の候補者や届出政党等は、電子メールを利用する方法により、選挙運動のために使用する文書図画を頒布することができます(公職選挙法142条の4)。
上記は、候補者や政党についてのルールで、一般有権者は適用されません。
そして、一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことは、認められていません。
したがって、「一般の有権者が、電子メールを送信することによる選挙運動を行うことはできない」ので、本肢は妥当ではありません。
4.年齢満18年未満の者が、ホームページや電子メールを用いた選挙運動を行うことは、可能である。
4・・・妥当ではない
年齢満18年未満の者は、選挙運動をすることができません(公職選挙法137条の2)。
よって、未成年者がホームページや電子メールを用いた選挙運動を行うことはできないので、本肢は妥当ではありません。
年齢満18年未満の者は、選挙運動をすることができません(公職選挙法137条の2)。
よって、未成年者がホームページや電子メールを用いた選挙運動を行うことはできないので、本肢は妥当ではありません。
5.候補者が、屋内での演説会開催中に選挙運動用のウェブサイトをスクリーンに映写しながら政策を語ることは、可能ではない。
5・・・妥当ではない
選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの以外は、掲示することができません(公職選挙法143条)。
言い換えると、下記は掲示できます。
選挙運動のために使用する文書図画は、次の各号のいずれかに該当するもの以外は、掲示することができません(公職選挙法143条)。
言い換えると、下記は掲示できます。
- 選挙事務所を表示するために、その場所において使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
- 選挙運動のために使用される自動車又は船舶に取り付けて使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
- 公職の候補者が使用するたすき、胸章及び腕章の類
- 演説会場においてその演説会の開催中使用するポスター、立札、ちようちん及び看板の類
- 屋内の演説会場内においてその演説会の開催中掲示する映写等の類
- 個人演説会告知用ポスター(衆議院小選挙区選出議員、参議院選挙区選出議員又は都道府県知事の選挙の場合に限る。)
- 選挙運動のために使用するポスター(参議院比例代表選出議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者が使用するものに限る。)
したがって、「候補者が、屋内での演説会開催中に選挙運動用のウェブサイトをスクリーンに映写しながら政策を語ることは可能」です。
よって、本肢は妥当ではありません。
平成26年度(2014年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 幸福追求権など | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 投票価値の平等 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 内閣 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政調査 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 損失補償 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・経済 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・情報通信 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |