令和3年・2021|問1|基礎法学

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

そもそも、刑罰は[ ア ]的に科すべきものであるか([ ア ]刑論)あるいは[ イ ]を目的として科すべきものであるか(目的刑論)が、いわゆる刑法理論の争いである。
[ ア ]刑論すなわち絶対論では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。しかして、刑罰は、国家がこの原理に基づいてその権力を振るうもので、同時にこれによって国家ないし法律の権威が全うされるというのである。
これに対して、[ イ ]論すなわち相対論においては、[ イ ]の必要に基づきて国家は刑罰を行うというのである。たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

(出典 牧野英一「法律に於ける正義と公平」1920年から<適宜新かな新漢字に修正した。>)

  1. ア:応報 イ:社会防衛 ウ:故意犯 エ:仮執行
  2. ア:教育 イ:社会防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予
  3. ア:応報 イ:国家防衛 ウ:故意犯 エ:仮執行
  4. ア:教育 イ:国家防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予
  5. ア:応報 イ:社会防衛 ウ:累犯 エ:執行猶予

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【答え】:5

【解説】

ア.そもそも、刑罰は[ ア ]的に科すべきものであるか([ ア ]刑論)あるいは[ イ ]を目的として科すべきものであるか(目的刑論)が、いわゆる刑法理論の争いである。
[ ア ]刑論すなわち絶対論では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。

ア・・・応報

[ ア ]刑論・・・では、善因に善果あるべきが如く、悪因に悪果あるべきは当然とするのである。」ということから、「善い原因・要因には、善い結果」が、「悪い原因・要因には、悪い結果」が起こるのは当然と言っています。これは「因果応報」のことなので、アには「応報」が入ります。

イ.[ イ ]論すなわち相対論においては、[ イ ]の必要に基づきて国家は刑罰を行うというのである。たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

イ・・・社会防衛

「国家防衛」とは、外敵の侵略から国家を防衛することです。一方、

「社会防衛」とは、犯罪から社会を防衛することを意味します。

よって、イには「社会防衛」が入ります。

ウ.たとい小さな犯罪といえども、それが[ ウ ]となれば重く罰する必要があろう。

ウ・・・累犯

たとえ、小さい犯罪でも、重い罰を科す必要があるのは、「故意犯:わざと罪を犯した」か「累犯:何度も罪を犯した」かのどちらかです。

刑法38条1項では「罪を犯す意思がない行為(故意ではない)は、原則、罰しない。」と規定しています。つまり、「故意でなければ、原則、罰がなく、逆に、故意であれば、罰がある」ということです。これは、「故意となれば罪を重くする」というわけではなく、故意となれば罪となる」ということです。つまり、ウには「故意」を入れるよりも「累犯」を入れた方が妥当ということです。

何度も犯罪を犯す者(再犯者・累犯者)については、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下となります(刑法57条・59条)。これは、刑が重くなっているので、エには「累犯」が入ります。

【再犯と累犯の違い】 第1の犯罪について「懲役刑」の「執行を終わり若しくはその執行の免除を得た」後、「5年以内に更に第2の犯罪を犯し」、それが有期懲役の場合が「再犯」です。さらに、そのような犯罪が3回以上続く場合「累犯」です。

エ.たとい重い犯罪といえども、それが偶発的な犯罪であるならば、刑の[ エ ]ということにしてよかろうというのである。

エ・・・執行猶予

仮執行宣言」とは、民事訴訟の判決に付随して出すことのできる裁判で、当該判決が確定する前でも執行することのできる効力を与えるものです。そして、「仮執行」は仮執行宣言に基づいて、強制執行することです。つまり、仮執行は「民事訴訟」の話で、今回の問題文の内容は、「刑事訴訟」の内容です。よって、「仮執行」を入れるのは妥当ではないです。

一方、判例によると「犯罪が単発的、偶発的なものである」場合、執行猶予となるケースもあるとしています。つまり、「執行猶予」が入ります。


令和3年(2021年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政手続法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 一般知識
問18 行政事件訴訟法 問48 一般知識
問19 行政事件訴訟法 問49 一般知識
問20 国家賠償法 問50 一般知識
問21 国家賠償法 問51 一般知識
問22 地方自治法 問52 一般知識
問23 地方自治法 問53 一般知識
問24 地方自治法 問54 一般知識
問25 行政法 問55 一般知識
問26 行政法 問56 一般知識
問27 民法 問57 一般知識
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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