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行政不服審査法32条:証拠書類等の提出

審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができます。

一方、処分庁は、「処分の理由となる事実を証する書類」等を提出することができます。

つまり、審査請求人・参加人も処分庁もそれぞれの言い分を主張するための書類を提出できるということです。

そして、審理員が期間を定めた場合、その期間内に提出しないといけません。

証拠書類とは?

証拠書類等とは、自らの主張を根拠付ける事実が存在することを明らかにするものを証拠といい、契約書帳簿等といった、その証拠が記載されている文書などを証拠書類等といいます。 審査請求人や、原処分庁に所属する担当者等が、担当審判官等からの質問に対して話した内容(答述)も証拠となります。

(証拠書類等の提出)
行政不服審査法第32条 審査請求人又は参加人は、証拠書類又は証拠物を提出することができる。
2 処分庁等は、当該処分の理由となる事実を証する書類その他の物件を提出することができる。
3 前二項の場合において、審理員が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

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行政不服審査法31条:口頭意見陳述

行政不服審査法の審査請求を行うと、審査請求人や参加人は「口頭で意見を述べさせてください!」と申立てをすれば、原則、審理員は、意見を述べる機会を与えなければなりません。(義務

ただし、例外として、申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合は、意見を述べる機会を与える必要はありません

例えば、感染症により、病院から出ることができない場合、口頭意見陳述の機会を与えなる必要はありません。

原則 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えなければならない
例外 審理員は、口頭意見陳述の機会を与えることが困難な場合、機会を与えなくてもよい

意見陳述の場所と期日

上記の通り、口頭意見陳述をしたい旨の申立てがあった場合、審理員は、口頭意見陳述を行う場所日時(期日)を定めて、処分庁や審査請求人や参加人等の審理関係人全員を招集しなければなりません。

補佐人と出頭

補佐人とは、審査請求人に付き添って意見陳述の期日に出頭し、その陳述を補佐する者をいいます。自分の意見をうまくまとめられない場合等に弁護士等を補佐人として一緒に、意見陳述の場所に行って、補佐人に助けを求めることができます。

この補佐人と出頭する場合、審理員の許可を得る必要があります。

口頭意見陳述の制限

申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合、審理員は意見陳述を制限することができます。

つまり、審理員は、申立人が関係ないことを話す場合は意見陳述をやめてもらうことができます。

処分庁への質問

審理員の許可を得れば、申立人は、口頭意見陳述に際し、審査請求に係る事件に関し、処分庁に対して、質問できます。

(口頭意見陳述)
行政不服審査法第31条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(以下この条及び第41条第2項第2号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
2 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。
3 口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
4 口頭意見陳述において、審理員は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
5 口頭意見陳述に際し、申立人は、審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。

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行政不服審査法30条:反論書等の提出

行政不服審査法30条は、下記5の処分庁の弁明に対して、6の審査請求人が反論書を提出するときのルールです。審査請求の流れは、行政書士試験でも頻繁に出題される部分です。しっかり流れを頭に入れましょう!

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。
  6. 審査請求人は反論書を提出します。


反論書の提出と意見書の提出

審理員は、弁明書を審査請求人と参加人に送付し、審査請求人は、処分庁の弁明書に記載された内容に対する反論書を提出することができます。また、参加人意見書を提出することができます。

そして、審理員が、反論書や意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、審査請求人や参加人はその期間内にこれを提出しなければなりません。

反論書および意見書を処分庁に送付

審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に送付しなければなりません。

また、審理員は、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁に送付しなければなりません。

(反論書等の提出)
行政不服審査法第30条 審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
2 参加人は、審査請求に係る事件に関する意見を記載した書面(第40条及び第42条第一項を除き、以下「意見書」という。)を提出することができる。この場合において、審理員が、意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
3 審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。

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行政不服審査法29条:弁明書の提出

行政不服審査法29条は、下記5の処分庁が審理員に弁明書を提出するときのルールです。審査請求の流れは、行政書士試験でも頻繁に出題される部分です。しっかり流れを頭に入れましょう!

審査請求から裁決までの流れ

処分が行われ、その処分に不服があると、下記流れで審査請求が行われます。

  1. 審査請求人は審査請求書を審査庁に提出します。
  2. 審査庁は審査請求書に不備がないかを審査します。
  3. 不備がなければ審査庁は、審査請求の手続きを担当する審理員を指名します。
  4. 審理員は処分庁に審査請求書を送付します。
  5. 処分庁は審理員に弁明書を提出します。


処分庁に審査請求書を送付

3.審理員が指名されると、4.審理員は、直ちに審査請求書などを処分庁に送付します。

ただし、処分庁が審査庁となる場合、審査庁(処分庁)自身、審査請求人から審査請求書を受け取っているため、処分庁への送付は不要となっているわけです。

弁明書の提出

5.審理員は、相当期間を定めて、処分庁に対して「弁明書を提出してください!」と求めます。

そして、処分庁が審理員に対して弁明書を提出したら、審理員は審査請求人や参加人に対して弁明書を送付しなければなりません。

弁明書とは?

処分を下した処分庁が、処分の内容が正当であることを説明するための文書です。

弁明書の記載事項

「処分についての審査請求に対する弁明書」には「処分の内容及び理由」を弁明書に記載し

「不作為についての審査請求に対する弁明書」には「処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由」を弁明書に記載します。

 

(弁明書の提出)
行政不服審査法第29条 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。
2 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求めるものとする。
3 処分庁等は、前項の弁明書に、次の各号の区分に応じ、当該各号に定める事項を記載しなければならない。
一 処分についての審査請求に対する弁明書 処分の内容及び理由
二 不作為についての審査請求に対する弁明書 処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由
4 処分庁が次に掲げる書面を保有する場合には、前項第一号に掲げる弁明書にこれを添付するものとする。
一 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第24条第一項の調書及び同条第三項の報告書
二 行政手続法第29条第一項に規定する弁明書
5 審理員は、処分庁等から弁明書の提出があったときは、これを審査請求人及び参加人に送付しなければならない。

<<行政不服審査法28条:審理手続の計画的進行 | 行政不服審査法30条:反論書等の提出>>

行政不服審査法28条:審理手続の計画的進行

行政不服審査法第28条の「審理手続の計画的進行」について、条文をそのまま覚えるだけで大丈夫です。行政書士試験でもそのまま出題されます。

審査請求人参加人及び処分庁等並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。

この計画的進行は義務であることも併せて覚えておきましょう!

(審理手続の計画的進行)
行政不服審査法第28条 審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。

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行政不服審査法27条:審査請求の取下げ

審査請求人は、審査請求の裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができます。

そして、審査請求の取り下げについては、書面で行う必要があります。口頭では行えません

関連ポイントとして覚えていただきたいのが、行政不服審査法12条の代理人や総代の審査請求の取り下げです。この点は、行政書士試験でも出題されます。

審査請求における総代と代理人の違い

審査請求の総代 審査請求の取り下げはできない
審査請求の代理人 特別の委任があれば取り下げできる

(審査請求の取下げ)
行政不服審査法第27条 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。
2 審査請求の取下げは、書面でしなければならない。

<<行政不服審査法26条:執行停止の取消し | 行政不服審査法28条:審理手続の計画的進行>>

行政不服審査法26条:執行停止の取消し

行政不服審査法25条にある執行停止が行われた後に、この「執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき」「事情が変更したとき」審査庁は執行停止を取り消すことができます。執行停止を取り消すことで、引き続き処分庁は、処分の執行を行えるようになります。

公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき

例えば、違法建築物の所有者が、市長から除去命令を受けた。当該命令に不満を持ち、執行停止の申立てを行いました。

しかし、違法建築物が今にも倒壊しそうで、近隣住宅の被害や前面道路の通行人に被害が及ぶことが明らかな場合、執行停止の取消しを行うことができ、除去命令に従わない場合、代執行を行うことも可能です。

事情変更とは

例えば、あなたが、自分の住む市の施設の使用許可を申請して、不許可処分を受けた。その処分に不満を持ち、執行停止の申立てを行いました。

その施設は、その市に住む住民しか使うことができない条例がありました。

その後、あなたが別の市に引っ越すことによって、使用許可申請自体できないこととなるので、執行停止の取消しを行うことができます。

(執行停止の取消し)
行政不服審査法第26条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

<<行政不服審査法25条:執行停止 | 行政不服審査法27条:審査請求の取下げ>>

行政不服審査法25条:執行停止

行政不服審査法25条の執行停止のルールについては、非常にややこしいです。しかし、行政書士試験ではよく出題されるので、しっかり勉強しましょう!合否の分かれ目となる条文となります。

執行不停止の原則

行政庁の行った処分については、審査請求をしたとしても、処分の効力、処分の執行、手続きの続行は妨げられません。つまり、審査請求をしても、処分の効力は引き続き有効で、処分の執行を行われる可能性もあるし、処分の手続きも続きます。これを「執行不停止の原則」と言います。

例えば、Aが違法建築物を建築し、B市長が、建物の除去命令をした。Aが除去命令に不服があるとして、審査請求をしたとしても、除去命令の効力は有効なので、Aは建物を除去する義務があります。また、そのまま放っておくと、B市長が代執行を行い、建物を強制的に除去(=処分の執行)を行うこともあり得ます。

執行停止の手続き

執行停止の手続きについては、「審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁である場合」と「審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁でない場合」の2つで異なります。

審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁である場合

審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁である場合とは、例えば、処分庁がA市長、上級行政庁がB知事で、審査庁がB知事の場合です。また、処分庁がB知事で、審査庁もB知事の場合です。

この場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で執行停止ができます。

執行停止できる内容は、処分の効力の停止処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止だけでなく「その他の措置」をとることができます。

その他の措置とは、処分の内容を、免許取消処分から業務停止処分に変更するなどの措置です。

審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁でない場合

審査庁が処分庁の上級行政庁または処分庁でない場合とは、審査庁が「〇〇審査会」といった第三者機関(専門機関)の場合です。

この場合、審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができます。

ただし、処分の効力の停止処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止の措置をとることはできるが、それ以外の措置をとることはできません

つまり、〇〇審査会は、処分の内容の変更等はできないということです。

執行停止の要件

審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければなりません(義務)。これは、審査請求人の権利利益を保護するためです。

ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、審査庁は、執行停止は行いません

重大な損害を生ずるか否かを判断基準

重大な損害を生ずるか否かは、「損害の回復の困難の程度」を考慮するものとし、「損害の性質及び程度」並びに「処分の内容及び性質」をも勘案します。

※勘案するとは、複数のことをよく考え合わせることです。

処分の効力停止ができない場合

処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、処分の効力の停止はできません。

例えば、Aが違法建築物を建築し、B市長が、建物の除去命令をした場合、処分の効力・処分の執行・手続きの続行とは下記内容です。

  1. 処分の効力=除去命令自体
  2. 処分の執行=代執行により建物を強制的に除去すること
  3. 手続きの続行=上記代執行の手続きのこと

2や3は、1の処分の効力があることを前提に行います。そのため、1の処分の効力を停止させると、自動的に2、3も停止します。一方、2の処分の執行を停止させる場合、2のみを停止させて、1の処分の効力は停止しません。

そのため、2の処分の執行停止で目的達成ができる場合は、あえて、1の処分の効力を停止させる必要はないので、そのような場合は、1の処分効力停止はできないということです。

執行停止の決定は速やかに行う

下記1または2の場合、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければなりません。

  1. 執行停止の申立てがあったとき
  2. 審理員から第40条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき

 

(執行停止)
行政不服審査法第25条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第2項から第4項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第40条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

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行政不服審査法22条:誤った教示をした場合の救済

行政不服審査法22条の「誤った教示をした場合の救済方法」については、下記3つのパターンがあります。それぞれについて、どのように処理するかを覚えましょう!行政書士試験でも頻出ですし、また、混乱しやすい部分でもあるので、下記具体例を使いながら勉強すると効率的です。出題されたら解けるようにしましょう!

処分庁が誤って審査庁でない行政庁を審査庁として教示した場合

例えば、処分庁A、審査庁Bとします。処分庁Aは、処分相手に対して「審査庁はBです」と教示(教えること)しなければならないにも関わらず、間違って「審査庁はCです」と教示してしまった。

この場合、処分相手(審査請求人)は、Cに対して審査請求をしてしまいます。こういった場合、審査請求を受けたCは、処分庁Aまたは審査庁Bに審査請求書を送付し、その旨を審査請求人に通知しなければなりません。

再調査の請求をすることができないにも関わらず、誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合

再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書を審査庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければなりません。そして、この場合、再調査請求は法律上できないので、初めから審査請求がされたものとみなします

審査請求と再調査の請求の両方ができる場合において、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示しなかった場合

上記の場合において、処分相手が、審査請求ができないと勘違いをして、再調査請求をした場合、再調査請求人は、「審査請求に変えてください!」と申立てができます。

もし、審査請求に変えるよう申立てがあった場合、処分庁は、速やかに、再調査の請求書等を審査庁に送付しなければなりません。

そして、送付を受けた審査庁は、速やかに、その旨を「再調査請求人」及び「再調査の請求に参加する者」に通知しなければなりません。

そして、上記申立てがあった場合、初めから審査請求がされたものとみなします

行政庁がすべき教示をしなかった場合(行政不服審査法83条)>>

(誤った教示をした場合の救済)
行政不服審査法第22条 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
2 前項の規定により処分庁に審査請求書が送付されたときは、処分庁は、速やかに、これを審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
3 第一項の処分のうち、再調査の請求をすることができない処分につき、処分庁が誤って再調査の請求をすることができる旨を教示した場合において、当該処分庁に再調査の請求がされたときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書(第61条において読み替えて準用する第19条に規定する再調査の請求書をいう。以下この条において同じ。)又は再調査の請求録取書(第61条において準用する第20条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下この条において同じ。)を審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を再調査の請求人に通知しなければならない。
4 再調査の請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示しなかった場合において、当該処分庁に再調査の請求がされた場合であって、再調査の請求人から申立てがあったときは、処分庁は、速やかに、再調査の請求書又は再調査の請求録取書及び関係書類その他の物件を審査庁となるべき行政庁に送付しなければならない。この場合において、その送付を受けた行政庁は、速やかに、その旨を再調査の請求人及び第61条において読み替えて準用する第13条第1項又は第2項の規定により当該再調査の請求に参加する者に通知しなければならない。
5 前各項の規定により審査請求書又は再調査の請求書若しくは再調査の請求録取書が審査庁となるべき行政庁に送付されたときは、初めから審査庁となるべき行政庁に審査請求がされたものとみなす。

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行政不服審査法24条:審理手続を経ないでする却下裁決

行政不服審査法23条の審査請求書の記載内容に不備があり、審査庁が定めた相当期間(補正期間)内に補正をしない場合、審査庁は、審理手続きを行わずに、却下をすることができます。

また、補正をすることができないことが明らかな場合も同様に却下できます。

却下と棄却の違い

この2つの違いについてよく行政書士試験で出題されるので必ず頭に入れておきましょう!

却下 手続の不備など、不適法な場合に、審理をせずに門前払いをすること
棄却 手続の不備はなく適法に行われているため、審理はするが、請求に理由がないとして請求などを退けること

(審理手続を経ないでする却下裁決)
行政不服審査法第24条 前条の場合において、審査請求人が同条の期間内に不備を補正しないときは、審査庁は、次節に規定する審理手続を経ないで、第45条第1項又は第49条第1項の規定に基づき、裁決で、当該審査請求を却下することができる。
2 審査請求が不適法であって補正することができないことが明らかなときも、前項と同様とする。

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