2011年過去問

平成23年・2011|問14|行政不服審査法

行政不服審査法に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 行政不服審査制度は「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としているので、同法に基づく不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られる。
  2. 行政不服審査制度は行政権自身が自己の行為を見直すしくみであるので、行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも、当該違法について不服申立てを行うことができる。
  3. 行政不服審査の代理人となるには、法定の資格が必要とされるので、不服申立ての代理人は、当該資格を有する者であることを書面で証明しなければならない。
  4. 申立人について補佐が必要とされることがあるので、審理員は、申立人から口頭意見陳述において補佐人を同行したい旨の申し出があった場合には、これを許可することができる。
  5. 行政不服審査制度は「行政の適正な運営を確保する」ことを目的としているので、不服申立ての結果によって行政運営上の影響を受ける可能性のある関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている。

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【答え】:4【解説】
1.行政不服審査制度は「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としているので、同法に基づく不服申立てを行うことができるのは、日本国籍を有する者に限られる。
1・・・妥当ではない
行政不服審査法について、外国籍の者を排除する規定はありません。よって、本肢は誤りです。ちなみに、行政不服審査法の目的は下記の通りです。

行政不服審査法1条
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

2.行政不服審査制度は行政権自身が自己の行為を見直すしくみであるので、行政権の活動に違法な点があると知った者は誰でも、当該違法について不服申立てを行うことができる。
2・・・妥当ではない
行政不服審査法における不服申立適格(誰が不服申立てをすることができるか)については、判例によると、「法律上保護された利益を有する者」としています。したがって「誰でも不服申し立てを行うことができる」は誤りです。
3.行政不服審査の代理人となるには、法定の資格が必要とされるので、不服申立ての代理人は、当該資格を有する者であることを書面で証明しなければならない。
3・・・妥当ではない
審査請求は、代理人によってすることができます(行政不服審査法12条)。そして、代理人の資格については、規定されていない(誰でも代理人になることができる)ので、「法定の資格が必要」は誤りです。
もちろん、代理人は委任状といった書面は必要です。
4.申立人について補佐が必要とされることがあるので、審理員は、申立人から口頭意見陳述において補佐人を同行したい旨の申し出があった場合には、これを許可することができる。
4・・・妥当
口頭意見陳述において、申立人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができます(行政不服審査法31条3項)。
よって本肢は妥当です。
5.行政不服審査制度は「行政の適正な運営を確保する」ことを目的としているので、不服申立ての結果によって行政運営上の影響を受ける可能性のある関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている。
5・・・妥当ではない
利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。)は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができます(行政不服審査法13条1項)。この利害関係人に「関係行政機関」は含まれません。したがって、「関係行政機関には、当該手続への参加を申し立てることが認められている」は妥当ではありません。関係行政機関の参加が認められているのは「行政事件訴訟」の場合です(行政事件訴訟法23条)。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問12|行政手続法

行政手続法に規定されている内容についての次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 不利益処分について行政機関が定める処分基準は、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
  2. 行政機関が行政指導指針を定めるときには、これが行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない。
  3. 行政機関が法律に基づく命令を定める場合には、当該命令がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
  4. 行政機関は、不利益処分について処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
  5. 行政機関は法律に基づく命令を定めた後においても、当該命令の実施状況や社会経済情勢の変化等を勘案し、その内容について検討を加えるよう努めなければならない。

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【答え】:2【解説】
1.不利益処分について行政機関が定める処分基準は、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
1・・・正しい
行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければなりません(行政手続法12条2項)。
2.行政機関が行政指導指針を定めるときには、これが行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない。
2・・・誤り
命令等制定機関は、命令等(行政指導指針も含む)を定めようとする場合には、当該命令等の案等を定めて広く一般の意見を求めなければなりません(行政手続法39条1項)。
上記公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければなりません(同条2項)。よって、「行政指導の相手方の利害に重大な影響を及ぼす場合に限り、意見公募の手続をとらなければならない」は誤りです。

命令等(行政指導指針等)を定める場合、原則として、意見公募手続きは必要です。

3.行政機関が法律に基づく命令を定める場合には、当該命令がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
3・・・正しい
命令等を定める機関(命令等制定機関)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければなりません行政手続法38条)。よって、本肢は正しいです。
4.行政機関は、不利益処分について処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
4・・・正しい
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければなりません行政手続法12条1項)。
よって、本肢は正しいです。ちなみに審査基準については必ず定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き公にしておかなければなりません行政手続法5条1項3項)。
5.行政機関は法律に基づく命令を定めた後においても、当該命令の実施状況や社会経済情勢の変化等を勘案し、その内容について検討を加えるよう努めなければならない。
5・・・正しい
命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければなりません行政手続法38条2項)。
よって、本肢は正しいです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問13|行政手続法

行政手続法の定める用語の定義についての次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分 : 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの。
  2. 不利益処分 : 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
  3. 届出 : 行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。
  4. 行政指導 : 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定又は不特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。
  5. 審査基準 :  申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。

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【答え】:5【解説】
1.処分 : 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為で、審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの。
1・・・誤り
処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(行政手続法2条2号)。よって、「審査請求・再調査の請求その他の不服申立てに対する裁決・決定を含むもの」が誤りです。
2.不利益処分 : 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
2・・・誤り
不利益処分」とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、申請に対する拒否処分は除きます行政手続法2条4号ロ)。よって、「又は申請を拒否する処分」が誤りです。
3.届出 : 行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの。
3・・・誤り
届出」とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいいます(行政手続法2条7号)。本肢は「行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」が誤りです。

「行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」は「申請」に当たります。

4.行政指導 : 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定又は不特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの。
4・・・誤り
行政指導」とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(行政手続法2条6号)。本肢は「不特定の者」が誤りです。
不特定の者に対する指導等は行政指導には当たりません
5.審査基準 :  申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準。
5・・・正しい
審査基準」とは、申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいいます(行政手続法2条8号ロ)。よって、本肢は正しいです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問11|行政手続法

次の記述のうち、行政手続法に規定されている内容として正しいものはどれか。
  1. 行政庁は、申請に対する拒否処分及び不利益処分のいずれの場合においても、これを書面でするときは、当該処分の理由を書面で示さなければならない。
  2. 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、聴聞の期日及び場所を通知しなければならないが、差し迫った必要がある場合には、書面によらず口頭でこれを行うことができる。
  3. 行政庁は、申請に対する処分については、審査基準を定めるものとされ、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない。
  4. 弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が弁明を記載した書面ですることを認めたときを除き、口頭で行うものとされている。
  5. 行政庁は、申請に係る審査が標準処理期間を超える場合には、申請者および利害関係者に対して、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを書面で通知しなければならない。
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【答え】:1【解説】
1.行政庁は、申請に対する拒否処分及び不利益処分のいずれの場合においても、これを書面でするときは、当該処分の理由を書面で示さなければならない。
1・・・正しい 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、原則、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません。そして拒否処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければなりません(行政手続法8条)。また、行政庁は、不利益処分をする場合には、原則、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければなりません。そして、不利益処分を書面でするときは、理由は、書面により示さなければなりません(行政手続法14条)。よって、本肢は正しいです。
2.行政庁は、聴聞を行うに当たっては、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、聴聞の期日及び場所を通知しなければならないが、差し迫った必要がある場合には、書面によらず口頭でこれを行うことができる。
2・・・誤り 行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、一定事項を書面により通知しなければなりません(行政手続法15条1項)。 口頭で聴聞の通知ができる旨の規定はないので誤りです。
3.行政庁は、申請に対する処分については、審査基準を定めるものとされ、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない。
3・・・誤り 行政庁は、審査基準を定めなければならず、行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければなりません(行政手続法5条1項3項)。本肢のように「申請に対する処分について、申請者から求めがあった場合は、これを書面で交付しなければならない」という規定はありません。 よって、誤りです。
4.弁明の機会の付与における弁明は、行政庁が弁明を記載した書面ですることを認めたときを除き、口頭で行うものとされている。
4・・・誤り 弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(弁明書)を提出して行わなければなりません(行政手続法29条)。よって、本肢は「原則口頭、例外的に書面」となっているので誤りです。 正しくは「原則書面、例外的に口頭」です。
5.行政庁は、申請に係る審査が標準処理期間を超える場合には、申請者および利害関係者に対して、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを書面で通知しなければならない。
5・・・誤り 行政手続法では、「標準処理期間を超える場合の処理の仕方」について規定していません。 よって、本肢は誤りです。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問10|行政法

次のア~オのうち、伝統的に行政裁量が広く認められると解されてきた行政行為の組合せとして、最も適切なものはどれか。

ア.道路交通法に基づく自動車の運転免許

イ.電気事業法に基づく電気事業の許可

ウ.建築基準法に基づく建築確認

エ.食品衛生法に基づく飲食店の営業許可

オ.公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許

  1. ア・オ
  2. イ・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:3

【解説】

行政講学上の「特許」は行政裁量が広く「許可」は、行政裁量が狭く「確認」は行政裁量がないと解されています。

ア.道路交通法に基づく自動車の運転免許
ア・・・広く認められてはいない
自動車の運転免許は「許可」に当たります。
よって、行政裁量は狭いため、広く認められてはいません。
イ.電気事業法に基づく電気事業の許可
イ・・・広く認められている
電気事業の許可は「特許」に当たります。
よって、行政裁量は広く認められています
ウ.建築基準法に基づく建築確認
ウ・・・広く認められてはいない
建築確認は「確認」に当たります。
よって、行政裁量はありません
したがって、広く認められてはいません。
エ.食品衛生法に基づく飲食店の営業許可
エ・・・広く認められてはいない
飲食店の営業許可は「許可」に当たります。
よって、行政裁量は狭いため、広く認められてはいません。
オ.公有水面埋立法に基づく公有水面の埋立免許
オ・・・広く認められている
公有水面の埋立免許は「特許」に当たります。
よって、行政裁量は広く認められています

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問9|行政法

行政立法についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
  2. 各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
  3. 内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
  4. 各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
  5. 政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。

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【答え】:2【解説】
1.省令は、各省大臣が発することとされているが、政令は、内閣総理大臣が閣議を経て発することとされている。
1・・・妥当ではない
各省大臣は、主任の行政事務について、それぞれその機関の命令として省令を発することができます(国家行政組織法12条)。
一方、内閣は、この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定します(憲法73条6号)。
また、内閣は、閣議によって職権を行います(内閣法4条)。つまり、本肢は「内閣総理大臣」が誤りで、

「政令は、内閣が閣議を経て発することとされている」が正しいです。

2.各省の外局として置かれる各庁の長や各委員会は、規則その他の特別の命令を発することができるが、これについては、それぞれの設置法などの法律に別の定めを要する。
2・・・妥当
各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、規則その他の特別の命令を自ら発することができます(国家行政組織法13条1項)。
よって、本肢は正しいです。
3.内閣に置かれる内閣府の長である内閣官房長官は、内閣府の命令である内閣府令を発することができる。
3・・・妥当ではない
内閣府の長は、内閣総理大臣です(内閣府設置法6条)。
よって、「内閣官房長官」は妥当ではありません。また、内閣総理大臣は、「内閣府の命令である内閣府令」を発することができます。
4.各省大臣などは、その所掌事務について公示を必要とするときは、告示を発することができるが、これが法規としての性格を有することはない。
4・・・妥当ではない
各省大臣各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができます(国家行政組織法14条1項)。告示とは、公の機関が決定した事項を公式に一般に知らせることをいいます。
そして、告示の方法は、国の場合は官報に、地方公共団体の場合は公報で行います。

そして、高等学校学習指導要領(告示の一種)は、法規としての性質を有する、とした判例もあります。
よって、「これ(告示)が法規としての性格を有することはない」は妥当ではありません。

5.政令及び省令には、法律の委任があれば、罰則を設けることができるが、各庁の長や各委員会が発する規則などには、罰則を設けることは認められていない。
5・・・妥当ではない
政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができません憲法73条6号)。また、
省令には、法律の委任がなければ罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません国家行政組織法12条3項)。

つまり、前半部分は正しいです。

各庁の長や各委員会が発する規則には、法律の委任がなければ罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができません国家行政組織法13条2項)。

よって、後半部分が妥当ではありません。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問7|憲法・法の下の平等

次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、妥当なものはどれか。
被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。 本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、法律上他の事由に基づく選挙と異なつた取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。 (東京高判昭和59年10月19日行集35巻10号1693頁以下)
  1. この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場にたっている。
  2. 内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。
  3. この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。
  4. 本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。
  5. この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。
>解答と解説はこちら
【答え】:5【解説】
被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。 本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、法律上他の事由に基づく選挙と異なつた取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。
上記を分かりやすく解説すると、
  1. 「内閣の衆議院解散権の行使に基づいて、選挙は行われる」ということは誰もが知る事実です。
  2. 一票の較差の是正を行うべき合理的期間は、合理的に十分だと判断できる期間内にすべきである
  3. だから、その期間が経過した以上、憲法に違反するものといわざるをえない。
  4. 上記期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、無効である。
  5. その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは仕方がない。
  6. 上記とは逆に、「内閣の解散権を確保するため」に、上記無効である選挙を、あえて、有効にすることは本末転倒だから、非難されるであろう。
1.この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場にたっている。
1・・・妥当ではない 上記解説の通り、「衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ」とは言っていません。 よって、妥当ではないです。
2.内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。
2・・・妥当ではない 選挙の効力に関する訴訟は、高等裁判所が第一審を管轄します(公職選挙法217条)、本肢の事案は「高等裁判所の判決文」の一節なので、本件は「第一審判決」です。 よって、妥当ではないです。
3.この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。
3・・・妥当ではない 「政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ」とは言っていません。選挙自体無効なのだから、内閣の解散権が事実上制約されても仕方がない、と言っています。 よって、妥当ではないです。
4.本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。
4・・・妥当ではない公職選挙法の定める選挙訴訟」は「民衆訴訟」です。 よって、妥当ではありません。「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいいます(行政事件訴訟法5条)。
5.この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。
5・・・妥当 一番上の解説の2、3から「一票の較差の是正を行うべき合理的期間は、合理的に十分だと判断できる期間内にすべきである」「だから、その期間が経過した以上、憲法に違反するものといわざるをえない。」 と解説した通り、 この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっています。 よって、妥当です。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問6|憲法・国会

憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。
  2. この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。
  3. 政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。
  4. 議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。
  5. 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

 

【解説】
1.憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。
1・・・妥当ではない
明治憲法(大日本帝国憲法)では、議会及び議員が「全国民の代表」という考え方はしていませんでした。むしろ、「天皇」中心の考え方です。
2.憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。
2・・・妥当ではない
憲法43条1項の「全国民の代表」は命令委任ではなく、自由委任と解されています。
よって、誤りです。
  • 自由委任とは「選挙区や後援団体の意思に拘束されず、自己の信念に従って行動できる」ということです。
  • 命令委任とは「選挙区や後援団体の意思に拘束され、それらの意思を忠実に行動する」ということです。
3.政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。
3・・・妥当ではない
「議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されない」は誤りです。実際、「党議拘束」というものがあります。党議拘束とは、議案の賛否について政党、会派の決めた方針に議員が拘束されることを言います。
ただ、これは、法律で定められているのでなく、政党内部のルールですが実際、重要案件でこれに反した行動をとると党内懲罰の対象となったりするケースもあります。
4.議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。
4・・・妥当
選択肢2でも触れた内容です。
憲法43条の「代表」の意味については、全国民のためを思って行動をすれば、それが国民の意思と異なっていたとしてもよい、つまり、選挙区や後援団体の意思に拘束されず、自己の信念に従って行動できるということです。これを「自由委任の原則」と言います。よって、本肢は妥当です。
5.選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。
5・・・妥当ではない
議員は所属政党から離脱しただけでは議員としての資格は失いません
よって、妥当ではありません。議院の資格を失うのは、例えば、比例代表選出議員が当選後、当選時の所属政党以外の政党に所属することとなったとき等です(国会法109条、公職選挙法99条の2)

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問5|憲法・表現の自由

写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ、これに収録された作品のいくつかが刑法175条にいう「わいせつ」な図画に該当するとして、検察官によって起訴された。自分が無罪であることを確信するAは、裁判の場で自らの口から「表現の自由」を主張できるように、慌てて憲法の勉強を始め、努力の甲斐あって次の1~5のような考え方が存在することを知ることができた。このうち、本件の事案において主張するものとして、最も適しない考え方はどれか。
  1. わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。
  2. 表現の自由は「公共の福祉」によって制約されると考える場合であっても、これは他人の人権との矛盾・衝突を調整するための内在的制約と解すべきである。
  3. 憲法21条2項前段が「検閲の禁止」を定めているように、表現活動の事前抑制は原則として憲法上許されない。
  4. 表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合には、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。
  5. 文書の芸術的・思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで刑罰を科するのは違憲である。
>解答と解説はこちら
【答え】:3【解説】
1.わいせつ表現についても、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつの定義を厳格にしぼり、規制が及ぶ範囲をできるだけ限定していく必要がある。
1・・・Aの主張に適する 「わいせつ表現」の範囲を限定して狭くすることで、Aの作品集が「わいせつ表現」に該当しない可能性が高くなります。その結果、 規制される範囲の中に作品集が入らなければ当然Aは無罪だから、この内容を主張するのは理にかなっています。 自分が無罪であることを確信するAは、「表現の自由」を主張できるようになります。 よって、本肢はAの主張に適します。
2.表現の自由は「公共の福祉」によって制約されると考える場合であっても、これは他人の人権との矛盾・衝突を調整するための内在的制約と解すべきである。
2・・・Aの主張に適する 人権と人権とが矛盾衝突する場合に、それぞれの人権を一定の限度で制約せざるを得えません。その最小限度の制約が「内在的制約」です。つまり、「公共の福祉」によって制約される場合に「内在的制約」と解することで、 最小限度の制約にとどめることができ、そうすることで、写真家Aが自らの作品集も表現の自由によって、保護される可能性も高まります。 よって、 自分が無罪であることを確信するAは、「表現の自由」を主張できるようになります。 よって、本肢はAの主張に適します。
3.憲法21条2項前段が「検閲の禁止」を定めているように、表現活動の事前抑制は原則として憲法上許されない。
3・・・Aの主張に適しない 憲法上、検閲は禁止されています。そして、検閲とは、「発表前に審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること」です。 本問の場合「写真家Aが自らの作品集をある出版社から発売したところ」という記述から、写真集をすでに発表しています。 したがって、検閲の禁止を主張しても意味はありません。 よって、本肢はAの主張に適しません。
4.表現の自由に対する規制が過度に広汎な場合には、当事者は、仮想の第三者に法令が適用されたときに違憲となりうることを理由に、法令全体の違憲性を主張できる。
4・・・Aの主張に適する 処分根拠や規制範囲について条文が過度に広範な場合、その条文全部が違憲無効となります(過度広汎性ゆえに無効の法理)。これをAが主張すれば、Aを罰する根拠がなくなるので、Aの主張に適します。
5.文書の芸術的・思想的価値と、文書によって生じる法的利益の侵害とを衡量して、前者の重要性が後者を上回るときにまで刑罰を科するのは違憲である。
5・・・Aの主張に適する 「文書の芸術的・思想的価値」と、「文書によって生じる法的利益の侵害」とを衡量して(比べて)、前者(芸術的・思想的価値)の重要性が後者を上回る場合、Aは「表現の自由」を主張できるようになり、刑罰を科するのは違憲であると主張もできます。よって、本肢はAの主張に適します。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略

平成23年・2011|問4|憲法・参政権

Aは、日本国籍を有しない外国人であるが、出生以来日本に居住しており、永住資格を取得している。Aは、その居住する地域に密着して暮らす住民であれば、外国人であっても地方自治体の参政権を与えるべきであり、国が立法による参政権付与を怠ってきたのは違憲ではないか、と考えている。Aは、訴訟を起こして裁判所にあらためて憲法判断を求めることができないか、かつて行政書士試験を受けたことのある友人Bに相談したところ、Bは昔の受験勉強の記憶を頼りに、次の1~5の見解を述べた。このうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 国民の選挙権の制限は、そのような制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、憲法上許されず、これは立法の不作為による場合であっても同様であると解されている。
  2. 国が立法を怠ってきたことの違憲性を裁判所に認定してもらうために、国家賠償法による国への損害賠償請求が行われることがあるが、最高裁はこれまで立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっている。
  3. 憲法の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも等しく及ぶものと考えられており、政治活動の自由についても、外国人の地位にかんがみて相当でないものを除き外国人にも保障される。
  4. 憲法93条2項で地方公共団体の長や議会議員などを選挙することとされた「住民」とは、その地方公共団体に住所を有する日本国民のみを指している。
  5. 仮に立法によって外国人に対して地方参政権を認めることができるとしても、その実現は基本的に立法裁量の問題である。

>解答と解説はこちら


【答え】:2【解説】
1.国民の選挙権の制限は、そのような制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、憲法上許されず、これは立法の不作為による場合であっても同様であると解されている。
1・・・妥当
判例によると、「自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権について一定の制限をすることは別として、国民の選挙権又はその行使を制限することは原則として許されない。

国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。・・・

また、このことは、国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置を執らないという不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合についても、同様である。」

と判示しています。

つまり、国民の選挙権の制限なしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、国民の選挙権の制限は憲法上許されません

また、立法の不作為も同様に、選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが著しく困難であると認められる場合でない限り、国民の選挙権についての立法を制定しない場合は憲法上許されません

よって、本肢は妥当です。

2.国が立法を怠ってきたことの違憲性を裁判所に認定してもらうために、国家賠償法による国への損害賠償請求が行われることがあるが、最高裁はこれまで立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容されないという立場をとっている。
2・・・妥当ではない
選択肢1と同様の判例によると「本件事案について、国会議員の立法行為又は立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けるものというべきである。」

と判示しています。

つまり、最高裁は、立法不作為を理由とした国家賠償請求は認容しているので、本肢は妥当ではありません。

3.憲法の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも等しく及ぶものと考えられており、政治活動の自由についても、外国人の地位にかんがみて相当でないものを除き外国人にも保障される。
3・・・妥当
判例によると、「基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、

政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除きその保障が及ぶものと解するのが、相当である。」

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

4.憲法93条2項で地方公共団体の長や議会議員などを選挙することとされた「住民」とは、その地方公共団体に住所を有する日本国民のみを指している。
4・・・妥当
判例によると、『憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。』

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

5.仮に立法によって外国人に対して地方参政権を認めることができるとしても、その実現は基本的に立法裁量の問題である。
5・・・妥当
判例によると「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」

と判示しています。

つまり、法律を制定すれば、外国人の地方参政権を認めることはでき、憲法上禁止されていない、ということです。
よって、その実現は基本的に立法裁量による、ということです。

したがって、妥当です。

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平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 新しい人権 問33 民法・債権
問4 参政権 問34 民法:債権
問5 精神的自由 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 法の下の平等 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 法改正により削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 行政法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:物権 問60 著作権の関係上省略