民法のテキスト

事務管理

事務管理とは?

「事務管理」とは、法律上義務がないにも関わらず、他人のために事務を処理する行為を言います。

例えば、Aは甲建物を所有しており、隣人Bがいたとします。

Aが遠方に旅行に行っているときに台風が来て、甲建物の屋根が破損して雨漏りがひどい状況となっていた。この場合、「Bが屋根を修理をすること」または「Bが修理業者に屋根の修理を頼むこと」が事務管理です。

上記事例において、「Bを管理者」「Aを本人」といいます。

事務管理の成立要件

  1. 管理者Bに、法律上、事務処理の義務がないこと
  2. 他人(本人A)のためにする意思を有すること
  3. 他人(本人A)の事務を管理すること
  4. 本人Aの意思や利益に反することが明らかでないこと

事務管理の違法性の阻却

阻却(そきゃく)とは、「妨げられる、しりぞけられる」という意味で、「違法性がなくなる」ということです。

事務管理は本人の承諾なく、勝手に本人の財産等を干渉するものなので、外形上、財産等を侵害しています。

しかし、事務管理が成立することで、違法性がなくなり、事務管理を行ったとしても、不法行為責任は問われません

もっとも、管理方法が不適切なために本人に損害が生じた場合、善管注意義務違反を理由に責任追及される可能性はあります。

管理者の通知義務

管理者が事務管理を始めた場合、管理者は、遅滞なく本人に「事務管理を始めたこと」を通知しなければなりません(民法699条本文)。

ただし、本人が既にこれを知っているときは、管理者は通知しなくてもよいです(民法699条ただし書)。

管理者による事務管理の継続

管理者は、「本人又はその相続人若しくは法定代理人」が管理をすることができるようになるまで、事務管理を継続しなければなりません(民法700条本文)。

ただし、事務管理の継続が「本人の意思に反し」、又は「本人に不利であることが明らかであるとき」は、事務管理の継続義務はありません(民法700条ただし書)。

管理者による費用の償還請求

管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができます(民法702条1項)。

管理者が自己の名で第三者と契約締結した場合

管理者Bは、事務を処理するために、第三者(例えば修理業者)と請負契約等を締結した場合、本人Aに対し、「自己Bに代わってその弁済(報酬の支払い)をしてください!」と請求することができます(民法702条2項)。

管理者が本人の名で第三者と契約締結した場合

管理者Bは、事務を処理するために、「本人の代理人として」または「本人Aの名において」、第三者(例えば修理業者)と請負契約等を締結した場合、無権代理となります。

そのため、「表見代理の成立」または「本人の追認」がない限り本人に効果は帰属しません(最判昭36.11.30)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(事務管理)
第697条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

(緊急事務管理)
第689条 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。

(管理者の通知義務)
第699条 管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(管理者による事務管理の継続)
第700条 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。

(委任の規定の準用)
第701条 第六百四十五条から第六百四十七条までの規定は、事務管理について準用する。

(管理者による費用の償還請求等)
第702条 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
2 第六百五十条第二項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
3 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する。

(受任者による費用等の償還請求等)
第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

組合

組合とは?

組合契約は、各当事者がお金や労務等を出資をして共同の事業を営むことを約することによって、効力が生じます(民法667条)。

組合には、「マンションの管理組合」のように法人ではない組合もあれば、「マンションの管理組合法人や農業協同組合」のように法人の組合もあります。

組合財産の共有

組合の財産は、組合員全員の共有となります(民法668条)。

条文では「共有」となっていますが、一般的な「共有」と異なり「各組合員は持分の処分ができない」などの一定の制限があるため、講学上、「合有」という呼び方をします。

業務の決定・執行の方法

組合の業務は、組合員の過半数をもって決定します。そして、執行は、各組合員が行います(民法670条1項)。

■業務執行者がいる場合

そして、「組合の業務の決定及び執行」は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができ(同条2項)、委任を受けた者を「業務執行者」と呼びます。

業務執行者がいる場合、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定します。そして、執行は、各業務執行者が行います(同条3項)。

なお、業務執行者がいる場合であっても、総組合員の同意によって業務の決定ができるし、また、総組合員が執行することもできます(同条4項)。

組合の常務は、上記1項~4項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができます(同条5項本文)。

※「組合の常務」とは、日常、反復継続して行われる事務です。例えば、漁業組合であれば、魚を売ったりする行為は常務ですし、農協(農業協同組合)であれば、農産物を販売する行為も常務です。あと事務作業も常務です。

ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、単独で行うことはできません(同条5項ただし書)。

業務執行組合員の辞任・解任

業務執行組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができません。また、業務執行組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができます(民法672条)。

詳細解説は個別指導で解説します。

組合員の「組合の業務」・「財産状況に関する検査」

各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができます(民法673条)。

組合員の損益分配の割合

損益分配の割合を定めなかったとき

損益(損失と利益)の割合は、各組合員の出資の価額に応じて配分します(民法674条1項)。

損益分配の割合を定めたとき

損益分配の割合を定めた場合、その定めに従います。

もし「利益又は損失についてのみ」分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定します(民法674条2項)。

利益又は損失の片方だけ分配の割合を定めていた場合は、利益及び損失で共通であるものと推定する旨を規定しています。

「推定」なので、もしこれと異なる割合が定められていたことを証明したら、その証明された割合に従います。

なお、特定の組合員だけが利益を取得して、他の組合員が損失だけを負担するような定めは無効とされます。

ただ、特定の組合員が損失を全く負担せず、利益の一部を取得する定めは、この組合員の労務が貴重で、その者を加入させることが相当である場合には有効とされています(大判明44.12.26)。

組合員の加入

組合員は、①全員の同意によって、又は②組合契約の定めで、新たに組合員を加入させることができます(民法677条の2第1項)。

組合の成立後に加入した上記組合員は、加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負いません(民法677条の2第2項)。

組合員の脱退

「①組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき」、又は「②ある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたとき」は、各組合員は、いつでも脱退することができます(民法678条1項本文)。

ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない(民法678条1項ただし書)。

「組合の存続期間を定めた場合」であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができます(民法678条2項)。

脱退した組合員の持分の払戻し

組合員が脱退すると、脱退した組合員に財産の一部を払い戻します。その時の基準となる時点は「脱退した時」です(民法681条1項)。

脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができます(民法681条2項)。

脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができます(民法681条3項)。

組合の解散事由

組合は、下記のいずれかの事由にがいとうすると解散します(民法682条)。

  1. 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
  2. 組合契約で定めた存続期間の満了
  3. 組合契約で定めた解散の事由の発生
  4. 総組合員の同意

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(組合契約)
第677条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2 出資は、労務をその目的とすることができる。

(組合財産の共有)
第668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

(業務の決定及び執行の方法)
第670条 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
2 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
3 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
4 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。
5 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

(委任の規定の準用)
第671条 第六百四十四条から第六百五十条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する。

(業務執行組合員の辞任及び解任)
第672条 組合契約の定めるところにより一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
2 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる。

(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
第673条 各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。

(組合員の損益分配の割合)
第674条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

(組合員の加入)
第677条の2 組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。
2 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

(組合員の脱退)
第678条 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
2 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

(脱退した組合員の持分の払戻し)
第681条 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。
2 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
3 脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。

(組合の解散事由)
第682条 組合は、次に掲げる事由によって解散する。
一 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
二 組合契約で定めた存続期間の満了
三 組合契約で定めた解散の事由の発生
四 総組合員の同意

請負

請負とは?

請負契約は、請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者(依頼者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約を言います(民法632条)。

請負契約は、有償で、双務契約であり、諾成契約です。

請負の報酬

報酬の支払時期

請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法633条本文)。つまり、「仕事の完成」と「報酬の支払い」が同時履行の関係ではなく「目的物の引渡し」と「報酬の支払い」が道理履行の関係があります

注文者が受ける利益の割合に応じた報酬

注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき、または、②請負が仕事の完成前に解除されたとき

請負人が既に行った仕事の結果のうち可分な部分を注文者に引き渡すことによって注文者が利益を受けるときは、その部分は、仕事が完成したとみなし、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができます(民法634条)。

請負契約の解除

注文者による契約の解除

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約解除ができます(民法641条)。

注文者についての破産手続の開始による解除

注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができます(民法642条本文)。

ただし、仕事を完成した後は、請負人は契約解除ができません(民法642条ただし書き)。

完成した目的物の所有権の帰属

請負の目的物が完成した場合の所有権については、

1.まず、当事者間で特約があれば、その特約に従います。

2.次に特約がない場合、「材料の全部又は主要部分の提供者」が誰かを考えます。
材料の全部又は主要部分の提供者」が注文者であれば、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭7.5.9)。
材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であり、かつ請負代金の支払いがほとんど支払われていない場合、目的物の所有権は請負人に帰属します(大判大3.12.26)。

もし、「材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であっても、請負代金の大部分または全部を支払っている場合は、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭18.7.20、最判昭44.9.12)。

請負人の担保責任の制限

請負契約によって完成したモノに欠陥(契約不適合)があった場合、注文者は、請負人に対して「契約不適合責任」を追及することができます。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(請負)
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

(請負人の担保責任の制限)
第636条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第637条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

(注文者による契約の解除)
第641条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

(注文者についての破産手続の開始による解除)
第642条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
2 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
3 第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

寄託

寄託とは?

寄託は、受寄者(じゅきしゃ)が寄託者(きたくしゃ)の物を保管することを約束し、寄託者がこれを承諾することによって成立する契約です(民法657条)。

受寄者は、物を預かる人(保管する人)
寄託者は、物を預ける人です。

受寄者の義務

自己の財産と同一の注意義務(無償の場合)

無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負います(民法659条)。

自己の財産に対するのと同一の注意」と「善管注意義務」の違い個別指導で解説します。

善管注意義務(有償の場合)

報酬のある受寄者は、委託者に物を返還をするまで(保管中は)、善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければなりません(民法400条)。

 

寄託物の返還義務

■寄託物の返還時期を定めた場合
  • 寄託者は、いつでもその返還を請求することができます(民法662条1項)。→ただし、受寄者が期限前の返還請求によって損害を受けたときは、寄託者に対し、損害賠償請求ができます(民法662条2項)。
  • 受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない(民法663条2項)。
■返還時期を定めなかった場合
  • 寄託者は、いつでもその返還を請求することができます(民法662条1項)。
  • 受寄者も、いつでもその返還をすることができます(民法663条1項)。
  • (寄託物の返還の時期)
    第六百六十三条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
    2 返還の時期の定めがあるときは、

寄託者の義務

費用の前払い義務

保管費用を要するときは、寄託者は、受寄者の請求があったら、その費用を前払いしなければなりません(民法665条、649条)。

費用償還義務

受寄者が、前払いを受けていない費用について、保管するのに必要と認められる費用を支出したときは、受寄者は、寄託者に対し、その「費用」及び「支出の日以後におけるその利息」の償還を請求することができます(民法665条、650条1項)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(寄託)
第657条 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等)
第657条の2 寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。

(寄託物の使用及び第三者による保管)
第658条 受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
2 受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
3 再受寄者は、寄託者に対して、その権限の範囲内において、受寄者と同一の権利を有し、義務を負う。

(無報酬の受寄者の注意義務)
第659条 無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

(受寄者の通知義務等)
第660条 寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。ただし、寄託者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
2 第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。ただし、受寄者が前項の通知をした場合又は同項ただし書の規定によりその通知を要しない場合において、その寄託物をその第三者に引き渡すべき旨を命ずる確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。)があったときであって、その第三者にその寄託物を引き渡したときは、この限りでない。
3 受寄者は、前項の規定により寄託者に対して寄託物を返還しなければならない場合には、寄託者にその寄託物を引き渡したことによって第三者に損害が生じたときであっても、その賠償の責任を負わない。

(寄託者による損害賠償)
第661条 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。

(寄託者による返還請求等)
第662条 当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
2 前項に規定する場合において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。

(寄託物の返還の時期)
第663条 当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2 返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。

(寄託物の返還の場所)
第664条 寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。

(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
第664条の2 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
2 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(委任の規定の準用)
第665条 第六百四十六条から第六百四十八条まで、第六百四十九条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、寄託について準用する。

委任

委任とは?

委任は、委任者が法律行為をすることを相手方に委託し、受任者がこれを承諾することによって、成立します(民法643条)。つまり、諾成契約です。

請負との違いについては個別指導で解説します。

受任者の義務

受任者は、委任者に対して下記義務を負います。

受任者の善管注意義務

受任者は、委任契約の内容に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。

そして、受任者が復受任者を選任するためには、①委任者の許諾、又は②やむを得ない事由が必要です(民法644条の2)。

受任者の報告義務

  1. 委任者の請求があるときは、受任者は、いつでも委任事務の処理の状況を報告しなければなりません(民法645条)。
  2. 委任が終了した後は、受任者は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない(民法645条)。

つまり、「委任者から請求があった場合」と「委任が終了した場合」に、受任者は、委任者に対して事務に関する報告が必要です。

受任者の受取物の引渡義務

受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の委任者に引き渡さなければなりません。また、受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利委任者に移転しなければなりません(民法646条)。

具体例は個別指導で解説します。

受任者の金銭消費についての責任

受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければなりません。また、損害があるときは、損害賠償責任も負います(民法647条)。

委任者の責任

委任者は受任者に対して下記義務を負います。

委任者の報酬支払義務

委任契約で、報酬支払の特約がある場合、委任者は受任者に対して報酬を支払う義務が発生します(民法648条1項)。

もし、報酬支払の特約がなければ、委任者は報酬の支払い義務は生じません。

■受任者はいつ報酬を請求できるか?

原則、委任事務を履行した後でなければ、報酬を請求することができません。つまり、原則、後払いです(民法648条2項)。

ただし、報酬時期を特約したのであれば、それに従います。

■また、下記場合、委任者は、受任者に対して、既にした履行の割合に応じて報酬を支払わなければいけません(民法648条3項)。

  1. 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき
  2. 委任が履行の中途で終了したとき。

成果等に対する報酬

いわゆる「成果報酬」の特約をした場合、①その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法648条の2)。

②引渡しが不要な場合、成果が完成した時に報酬を支払わなければなりません。

費用の前払義務

委任事務を処理するについて費用(例えば、交通費等)を要するときは、委任者は、受任者の請求があったら、その費用を前払いしなければなりません(民法649条)。

費用の償還義務

受任者が、前払いを受けていない費用について、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、受任者は、委任者に対し、その「費用」及び「支出の日以後におけるその利息」の償還を請求することができます(民法650条1項)。

委任の終了

委任契約は下記事由によって終了します(民法651条、653条)。

死亡 破産手続開始決定 後見開始の審判 合意解除
委任者 終了 終了 終了しない 終了
受任者 終了 終了 終了 終了

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

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参考条文

(委任)
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(復受任者の選任等)
第644条の2 受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
2 代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

(受任者による報告)
第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(受任者による受取物の引渡し等)
第646条 受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2 受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

(受任者の金銭の消費についての責任)
第647条 受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

(受任者の報酬)
第648条 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2 受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3 受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
二 委任が履行の中途で終了したとき。

(成果等に対する報酬)
第648条の2 委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。
2 第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

(受任者による費用の前払請求)
第649条 委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

(受任者による費用等の償還請求等)
第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

(委任の解除)
第651条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

(委任の解除の効力)
第652条 第六百二十条の規定は、委任について準用する。

(委任の終了事由)
第653条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

(委任の終了後の処分)
第六百五十四条 委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
第655条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

貸人の地位の移転(賃貸人の変更)

賃貸人の変更とは?

例えば、アパートの所有者A(賃貸人)が、B(賃借人)にアパートの一室を貸していたとします。その後。Aがアパートを第三者Cに売却すると、アパートの所有者がAからCに変わります。

これによって、賃貸人がAからCに変更します。これが「賃貸人の変更」です。

賃借権の対抗要件

上記具体例の通り、賃貸人がAからCに変更になった場合、賃借人Bは新賃貸人Cに対して、「不動産の賃貸借」をどのような場合に対抗できるか?

民法では、賃借権を登記したときは、新賃貸人Cに対抗することができるとしています(民法605条)。

もっとも、建物の賃借権は、賃借権の登記がなくても、建物の引き渡しがあれば、新賃貸人に建物賃借権を対抗できます(借地借家法31条)。つまり、上記具体例では、賃借人Bは、「賃借権の登記」もしくは「建物の引渡し」によって、新賃貸人Cに対抗できます。

また、建物所有の土地の賃借権の場合、借地上の土地の建物を登記していれば、土地の賃借人は、土地の賃貸人(地主)に対抗できます(借地借家法10条1項)。

賃貸人の地位移転

上記具体例の通り、賃貸している不動産を譲渡することができます。これにより、賃貸人が変更となるのですが、どういった場合に「賃貸人の地位」が新しい賃貸人(所有者)に移転するかが問題です。

言い換えると、どういった場合に新賃貸人Cが、賃借人Bに賃貸人であることを主張できるかが問題です。

賃借人Bが賃貸借の対抗要件を備えている状況で、不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、新賃貸人Cに移転します(民法605条の2第1項)。

この場合、賃借人Bの承諾は不要です。

敷金返還債務、必要費・有益費償還債務の移転

上記のように「賃貸人の地位が移転(賃貸人が変更)」すると、敷金返還債務や必要費償還債務、有益費償還債務も、新賃貸人Cに移転します(民法605条の2第1項)。

具体例については個別指導で解説します!

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(不動産賃貸借の対抗力)
第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

(不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の2 前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第605条の3 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

転貸・賃借権の譲渡

転貸・賃借権の譲渡とは?

「転貸」とは、賃借人が賃貸人から借りている物を第三者に又貸しをすることです。

「賃借権の譲渡」とは、賃借権を第三者に譲ることです。

違いについては個別指導で解説します。

転貸・賃借権の要件と無断転貸

転貸や賃借権を譲渡するためには、「賃貸人の承諾」が必要です(民法612条1項)

もし、賃借人が無断で第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができます(民法612条2項)。

これは、賃貸人と賃借人の信頼関係を基礎として賃貸借契約が成立しているからであり、信頼関係を破壊するような行為(背信的行為)をしたら、契約解除できるということです。

言い換えれば、親族に転貸した場合等、信頼関係を壊す行為とは言えない場合(背信的行為と認められない場合)は契約解除できないとしています(最判昭289.25)。

賃借権譲渡の効果

賃借権の移転

賃貸人Aと賃借人Bが賃貸借契約を締結し(AB間での契約)、賃借人Bが第三者Dに賃借権を譲渡した場合、賃借人Bは賃貸借契約からは離脱し、AD間の契約となります。

敷金返還請求権は移転しない

賃借人Bが、新賃借人Dに賃借権を譲渡した場合、旧賃借人Bが賃貸人Aに預けた敷金は、旧賃借人BがAに対して返還請求できます。敷金返還請求権は新賃借人Dに移転しません

賃料の支払い関係

賃貸人Aとして、賃借人Bが第三者Dに対して賃借権を譲渡すると、AはDに対してのみ賃料を請求することができます

賃貸借契約から離脱したBに対しては賃料を請求できません。

転貸の効果

賃借料と転借料の支払い関係

賃貸人A→賃借人B→転借人Cという状況では、Aは、BにもCにも賃料を請求できます。

ただし「AB間の賃料」と「BC間の転借料」が異なるとき、Cは、賃料と転借料の低い方を賃貸人Aに支払えばよいです。

賃貸借と転貸の関係

賃貸借契約が解除となった場合、転貸借契約はどうなるのか?

これは、賃貸借契約の解除の理由(①合意解除、②債務不履行による解除)によって異なります。

①合意解除

賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができません(民法613条3項本文)。つまり、賃貸借契約が解除されても、当然に転貸借契約が解除とはなりません

②債務不履行による解除

解除の当時、賃貸人が、賃借人の債務不履行により(賃借人の賃料不払いによって)解除権を有していたときは、賃貸人が転借人に返還請求をした時に転貸借契約も終了となります(民法613条3項ただし書き)。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第612条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。

賃貸借

賃貸借とは?

賃貸借とは、貸主はモノを貸して賃料をもらい、逆に、借主は賃料を払ってモノを借りるという貸主と借主の間での契約です。

少し難しい言い方をすれば、貸主が、借主に対して「モノの使用及び収益をさせること」を約束し、借主は、これに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約束することです(民法601条)。

賃貸借の存続期間

賃貸借の存続期間は、最長50年です。50年を超えることができません。もし、契約で50年より長い期間を定めたときは、50年となります(民法601条1項)。

そして、賃貸借の存続期間は、更新することができます。更新後の契約期間も、更新の時から50年を超えることができません(民法601条2項)。

賃貸人・賃借人の権利・義務

賃貸人の修繕義務・賃借人による費用償還請求

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条1項本文)。

 

ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負いません(民法606条1項ただし書)。

賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができません(民法606条2項)。たとえ、賃借人が反対したとしても、賃貸人は修繕することができます

必要費について

もし、修繕が必要にも関わらず賃貸人が修繕せず、賃借人が業者に頼んで修繕費用を支出した場合必要費(修繕費:目的物の使用に必要な費用)は直ちに賃貸人に請求することができます(民法608条1項)。

有益費について

賃借人が目的物の価値を増加させるための費用(有益費)を支出した場合、賃貸借終了の時に、目的物の価格の増加が現存している場合に限って、賃貸人は、「支出された費用」または「増価額」のいずれかを選択し、賃借人に支払う義務を負います(民法608条2項、196条2項)。

例えば、建物を借りて、エアコンを設置した場合、原則、「エアコンの設置費用」もしくは「エアコンの価値部分」のいずれかを賃借人に支払う義務を負います。(実務的には、特約で有益費について請求できない旨をつけている場合が多いです)

賃借人の通知義務

賃借物に修繕の必要性があるとき、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければなりません(民法615条)。

ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、通知は不要です。

原状回復義務・目的物の返還義務

賃借人は、契約が終了したときに、賃貸人に目的物を返還しなければなりません。

また、賃借人は、目的物を受け取った後に生じた損傷を回復させる義務を負います。ただし「通常損耗」と「経年劣化による損傷」は賃借人は負担しません(責任を免れる)。

また、損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときにも賃借人は負担しません(責任を免れる)。

通常損耗」とは、通常の生活に必要に行為を行っていて生じた損傷です。
例えば、テレビの後部壁面の黒ずみや家具を設置したことで床、カーペットがへこんだり、跡が付いたりした場合、賃借人は負担せず、賃貸人負担となります。

経年劣化」とは、時間とともに品質が低下することを言います。
例えば、 雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化として、賃借人は責任を負わず、賃貸人負担となります。

賃料の支払時期

賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければなりません(民法616条本文)。つまり、後払いです。(不動産賃貸では、通常、特約で前払いにしている場合が多いです。)

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

(賃貸借の存続期間)
第604条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

(賃借人の意思に反する保存行為)
第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃借人による修繕)
第607条の2 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

(賃借人による費用の償還請求)
第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第611条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃料の支払時期)
第614条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

(賃借人の通知義務)
第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(賃借人による使用及び収益)
第616条 第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。

契約不適合責任

契約不適合責任とは?

売買契約において、売主が買主に引き渡したモノや権利に何らかの欠陥があった場合、売主は買主に対して様々な責任を負います。

この責任を「契約不適合責任」と言います。この契約不適合責任の内容を一つ一つ見ていきます。

買主の追完請求権

引き渡された目的物が「種類、品質又は数量」に関して契約の内容に適合しないもの(不適合)であるとき、
買主は、売主に対し、原則として、目的物の修補代替物の引渡し又は不足分の引渡しといった「履行の追完請求」ができます(民法第562条1項本文)。

ただし、例外として、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法で履行の追完ができます(民法第562条1項ただし書)。

また、上記不適合が、買主の責めに帰すべき事由によるとき、買主は、履行の追完請求ができません(民法第562条2項)。

具体例は個別指導で解説します。

買主の代金減額請求権

引き渡された目的物が「種類、品質又は数量」に関して契約の内容に適合しないもの(不適合)であるとき、
買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金減額請求ができます(民法563条1項)。

上記1項の規定にかかわらず、下記1~4の場合には、買主は、無催告で、直ちに代金減額請求ができます(民法563条2項)。

  1. 履行の追完が不能であるとき
  2. 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
  3. 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき
  4. 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

そして、1項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、買主は、代金減額請求ができません(民法563条3項)。

具体例は個別指導で解説します。

買主の損害賠償請求および解除権

売主が買主に引き渡したモノに契約不適合があった場合、買主は売主に対して追完請求や代金減額請求ができるだけでなく

債務不履行に基づく損害賠償請求」や「契約解除」を行うこともできます(民法564条)。

移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任

「売主が買主に移転した権利」が契約の内容に適合しない場合(一部他人物売買で一部を権利移転しない場合も含む。)についても、上記「追完請求権」「代金減額請求権」「損害賠償請求権」「解除権」を行使することができます(民法565条)。

例えば、「売った不動産に地上権・地役権・質権・対抗力のある賃借権等が付着していた場合」や「一部他人物売買の場合」です。

契約不適合責任の期間制限

売主が「種類又は品質」に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合、原則、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、「履行の追完請求」、「代金減額請求」、「損害賠償請求」及び「契約の解除」をすることができなくなります(民法566条本文)。

ただし、例外として、売主が引渡しの時にその不適合を知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかったとき(重過失)は、上記通知をしなかったとしても、「履行の追完請求」、「代金減額請求」、「損害賠償請求」及び「契約の解除」をすることができます。

細かいルールについては個別指導で解説します!

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

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参考条文

(買主の追完請求権)
第562条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(買主の代金減額請求権)
第563条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任)
第565条 前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第566条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

売買

売買とは?

売買とは、売主が「モノや権利」を買主に渡すことを約束し、買主が代金を支払うことを約束することで成立し、売買の効力が生じます。

例えば、売主が買主に200万円で自動車を売買するとすると。
売主が買主に自動車を引渡すことを約束し
買主が売主に200万円を支払うことを約束することで成立します。

手付とは?

手付とは、売買契約を交わす時に、買主が売主に対して渡すお金を言います。

そして、手付には「解約手付」「証約手付」「違約手付」の3種類があります。

解約手付」は、あとで契約解除できる権利を置いておく(留保する)ための手付です。

  • 買主から解除する場合、売主に渡した手付金を放棄して(手付金を売主にあげて)解除することができます(民法557条)。
  • 売主から解除する場合、買主が履行に着手するまでは、手付の倍額を買主に渡して(償還して)解除することができます(民法557条)。

具体例は個別指導で解説します。

証約手付」は、契約が成立した証拠のための手付です。

違約手付」は、債務不履行があると没収される手付です。

売買契約に関する費用

売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担(折半)します(民法558条)。

例えば、契約書を作成するための費用としては、「印刷費用」、「契約書に貼付する収入印紙の費用」、「公正証書で売買契約を締結するときは公証人に対する費用」等があります。

売主の義務

車や不動産などの売買を行う場合、売主は、登録や登記を買主に移転して、買主が対抗要件を備えるようにさせる義務を負います。(民法560条)

他人物売買も有効ですが、他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売ったときはは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。

理解学習について

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民法テキストの目次

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参考条文

(売買)
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(売買の一方の予約)
第556条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。

(手付)
第557条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。

(売買契約に関する費用)
第558条 売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。

(有償契約への準用)
第559条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

(権利移転の対抗要件に係る売主の義務)
第560条 売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。

(他人の権利の売買における売主の義務)
第561条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。