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賃貸借

賃貸借とは?

賃貸借とは、貸主はモノを貸して賃料をもらい、逆に、借主は賃料を払ってモノを借りるという貸主と借主の間での契約です。

少し難しい言い方をすれば、貸主が、借主に対して「モノの使用及び収益をさせること」を約束し、借主は、これに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約束することです(民法601条)。

賃貸借の存続期間

賃貸借の存続期間は、最長50年です。50年を超えることができません。もし、契約で50年より長い期間を定めたときは、50年となります(民法601条1項)。

そして、賃貸借の存続期間は、更新することができます。更新後の契約期間も、更新の時から50年を超えることができません(民法601条2項)。

賃貸人・賃借人の権利・義務

賃貸人の修繕義務・賃借人による費用償還請求

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条1項本文)。

 

ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人は修繕義務を負いません(民法606条1項ただし書)。

賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができません(民法606条2項)。たとえ、賃借人が反対したとしても、賃貸人は修繕することができます

必要費について

もし、修繕が必要にも関わらず賃貸人が修繕せず、賃借人が業者に頼んで修繕費用を支出した場合必要費(修繕費:目的物の使用に必要な費用)は直ちに賃貸人に請求することができます(民法608条1項)。

有益費について

賃借人が目的物の価値を増加させるための費用(有益費)を支出した場合、賃貸借終了の時に、目的物の価格の増加が現存している場合に限って、賃貸人は、「支出された費用」または「増価額」のいずれかを選択し、賃借人に支払う義務を負います(民法608条2項、196条2項)。

例えば、建物を借りて、エアコンを設置した場合、原則、「エアコンの設置費用」もしくは「エアコンの価値部分」のいずれかを賃借人に支払う義務を負います。(実務的には、特約で有益費について請求できない旨をつけている場合が多いです)

賃借人の通知義務

賃借物に修繕の必要性があるとき、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければなりません(民法615条)。

ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、通知は不要です。

原状回復義務・目的物の返還義務

賃借人は、契約が終了したときに、賃貸人に目的物を返還しなければなりません。

また、賃借人は、目的物を受け取った後に生じた損傷を回復させる義務を負います。ただし「通常損耗」と「経年劣化による損傷」は賃借人は負担しません(責任を免れる)。

また、損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるときにも賃借人は負担しません(責任を免れる)。

通常損耗」とは、通常の生活に必要に行為を行っていて生じた損傷です。
例えば、テレビの後部壁面の黒ずみや家具を設置したことで床、カーペットがへこんだり、跡が付いたりした場合、賃借人は負担せず、賃貸人負担となります。

経年劣化」とは、時間とともに品質が低下することを言います。
例えば、 雨風・湿気・温度変化・日照などによる品質の低下だけでなく、通常の方法で使い続けることによる摩滅、汚れ等の損耗も経年劣化として、賃借人は責任を負わず、賃貸人負担となります。

賃料の支払時期

賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければなりません(民法616条本文)。つまり、後払いです。(不動産賃貸では、通常、特約で前払いにしている場合が多いです。)

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民法テキストの目次

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参考条文

(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

(賃貸借の存続期間)
第604条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

(賃貸人による修繕等)
第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
2 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

(賃借人の意思に反する保存行為)
第607条 賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃借人による修繕)
第607条の2 賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

(賃借人による費用の償還請求)
第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
2 賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
第611条 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
2 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃料の支払時期)
第614条 賃料は、動産、建物及び宅地については毎月末に、その他の土地については毎年末に、支払わなければならない。ただし、収穫の季節があるものについては、その季節の後に遅滞なく支払わなければならない。

(賃借人の通知義務)
第615条 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。ただし、賃貸人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(賃借人による使用及び収益)
第616条 第五百九十四条第一項の規定は、賃貸借について準用する。

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