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事務管理

事務管理とは?

「事務管理」とは、法律上義務がないにも関わらず、他人のために事務を処理する行為を言います。

例えば、Aは甲建物を所有しており、隣人Bがいたとします。

Aが遠方に旅行に行っているときに台風が来て、甲建物の屋根が破損して雨漏りがひどい状況となっていた。この場合、「Bが屋根を修理をすること」または「Bが修理業者に屋根の修理を頼むこと」が事務管理です。

上記事例において、「Bを管理者」「Aを本人」といいます。

事務管理の成立要件

  1. 管理者Bに、法律上、事務処理の義務がないこと
  2. 他人(本人A)のためにする意思を有すること
  3. 他人(本人A)の事務を管理すること
  4. 本人Aの意思や利益に反することが明らかでないこと

事務管理の違法性の阻却

阻却(そきゃく)とは、「妨げられる、しりぞけられる」という意味で、「違法性がなくなる」ということです。

事務管理は本人の承諾なく、勝手に本人の財産等を干渉するものなので、外形上、財産等を侵害しています。

しかし、事務管理が成立することで、違法性がなくなり、事務管理を行ったとしても、不法行為責任は問われません

もっとも、管理方法が不適切なために本人に損害が生じた場合、善管注意義務違反を理由に責任追及される可能性はあります。

管理者の通知義務

管理者が事務管理を始めた場合、管理者は、遅滞なく本人に「事務管理を始めたこと」を通知しなければなりません(民法699条本文)。

ただし、本人が既にこれを知っているときは、管理者は通知しなくてもよいです(民法699条ただし書)。

管理者による事務管理の継続

管理者は、「本人又はその相続人若しくは法定代理人」が管理をすることができるようになるまで、事務管理を継続しなければなりません(民法700条本文)。

ただし、事務管理の継続が「本人の意思に反し」、又は「本人に不利であることが明らかであるとき」は、事務管理の継続義務はありません(民法700条ただし書)。

管理者による費用の償還請求

管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができます(民法702条1項)。

管理者が自己の名で第三者と契約締結した場合

管理者Bは、事務を処理するために、第三者(例えば修理業者)と請負契約等を締結した場合、本人Aに対し、「自己Bに代わってその弁済(報酬の支払い)をしてください!」と請求することができます(民法702条2項)。

管理者が本人の名で第三者と契約締結した場合

管理者Bは、事務を処理するために、「本人の代理人として」または「本人Aの名において」、第三者(例えば修理業者)と請負契約等を締結した場合、無権代理となります。

そのため、「表見代理の成立」または「本人の追認」がない限り本人に効果は帰属しません(最判昭36.11.30)。

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民法テキストの目次

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参考条文

(事務管理)
第697条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

(緊急事務管理)
第689条 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。

(管理者の通知義務)
第699条 管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。

(管理者による事務管理の継続)
第700条 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。

(委任の規定の準用)
第701条 第六百四十五条から第六百四十七条までの規定は、事務管理について準用する。

(管理者による費用の償還請求等)
第702条 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
2 第六百五十条第二項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
3 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する。

(受任者による費用等の償還請求等)
第650条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

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