１・・・妥当ではない

留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければなりません（民法298条1項）。

そして、注意義務の重さは、「善良な管理者の注意（善管注意義務）」の方が重く、

「自己の財産と同一の注意義務」の方が軽いです。

よって、本問は「軽減」が妥当ではなく、正しくは「加重」です。

２・・・妥当ではない

留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができません（民法298条2項本文）。

もし、留置権者が上記規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができます（民法298条3項）。

よって、本問は「留置権は直ちに消滅する」が妥当ではないです。正しくは「留置権の消滅を請求できる」です。

３・・・妥当

判例（最判昭46.7.16）によると

『 建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながら右建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、その者は、民法295条2項の類推適用により、右費用の償還請求権に基づいて右建物に留置権を行使することはできない。』

と判示しています。

よって、本肢は妥当です。

４・・・妥当ではない

５・・・妥当ではない

判例（最判昭43.11.21）によると

『 不動産の二重売買において、第二の買主（F）のため所有権移転登記がされた場合、第一の買主（E）は、第二の買主（F）の右不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもつて、留置権を主張することは許されない。』

と判示しています。

よって、本問は「できる」が妥当ではなく、正しくは「できない」です。