次の文章の空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
国民投票制には種々の方法があるが、普通にこれを[ ア ]、[ イ ]及び[ ウ ]の三種に大別する。[ ア ]という言葉は、通俗には広く国民投票一般を意味するもののようにも用いられているが、その語の本来の意義は、代表者たる議会が一度議決した事柄を、主権者たる国民が確認又は否認して終局的に決定するということであって、国民表決という訳語も必ずしも正確ではない。・・・(中略)・・・。[ ア ]が議会の為したことの過誤を是正する手段であるのに対して、[ イ ]は議会が為さないことの怠慢を補完する方法である。即ち議会が国民の要望を採り上げないで、必要な立法を怠っている場合に、国民自ら法律案を提出し国民の投票によってその可否を決する制度である。・・・(中略)・・・。[ ウ ]即ち公務員を国民の投票によって罷免する制度は、元来選挙と表裏を成して人の問題を決定するもので、[ エ ]を前提とするものであるから、厳密な意味における[ オ ]ではないけれども、その思想及び制度の歴史に於いて他の国民投票制と形影相伴って発達して来たのみならず、その実行の方法に於いても、概ね共通しているから、通常やはり国民投票制の一種として取り扱われている。
(出典 河村又介「新憲法と民主主義」1948年から<原文の表記の一部を改めた。>」
- ア:レファレンダム イ:国民発案 ウ:国民拒否 エ:命令委任 オ:プレビシット
- ア:イニシアティブ イ:国民拒否 ウ:不信任投票 エ:直接民主制 オ:代議制
- ア:レファレンダム イ:国民発案 ウ:国民拒否 エ:代議制 オ:直接民主制
- ア:イニシアティブ イ:国民拒否 ウ:解職投票 エ:プレビシット オ:命令委任
- ア:レファレンダム イ:国民発案 ウ:解職投票 エ:代議制 オ:直接民主制
【答え】:5
【解説】
ア・・・レファレンダム
「国民投票」を意味する語句として正しいものは「レファレンダム」です。
「レファレンダム」とは、 憲法改正や法律の制定など重大な事項を定めるに際して、直接に国民投票によって賛否を求める制度。直接民主制の一形態で、日本では、憲法改正の際の国民投票や、地方自治特別法についての住民投票がレファレンダムに当たります。
政治における「イニシアチブ(国民発案ともいう)」とは、「国家・住民の発案権」を言います。
国や地方自治体の政治で、国民または住民の発言を認めることが「イニシアチブ」です。
必要な立法を怠っている場合に、国民自ら法律案を提出することを「イニシアチブ(国民発案ともいう)」と言います。つまり、イには「国民発案」が入ります。
議会が仕事をしない(立法を作らない)といった、怠慢の状況の際に、国民自らが「このような法律を作るのはどうでしょうか?」と法律案を提出して、国民投票によってその可否を決する制度が「国民発案」です。
ウ・・・ 解職投票
「公務員を国民の投票によって罷免する制度」は「解職投票」です。
「不信任投票」新たに選出される候補者の信任を問うものです。
一方、解職投票は、既に任命されている者の解職を問うものである点で異なります。
エ・・・代議制
「代議制」は、選挙によって選ばれた代表者が国民の代表として政治を行うシステムです。ここで、選ばれた代表者を国民が罷免(やめさせる)のが「解職投票」です。
つまり、解職制度は、代議制を前提とするものと言えます。
分かりやすく言えば、「代議制で代表者を選んで → 解職投票で、選んだ代表者をやめさせる」という関係です。
オ・・・直接民主
「解職投票は代議制を前提とするものであるため、厳密な意味における[ オ ]ではない。」と言っています。
代議制とは、国民が政治を行う代表者を選んで、その代表者が政治の意思決定を行います。
一方、直接民主制は、国民が自ら政治の意思決定を行います。例えば、国民投票や住民投票です。
つまり、「解職投票は代議制を前提とするものであるため、厳密な意味における[ オ:直接民主制 ]ではない。」ということです。
【参考知識】
「プレビシット」とは国民投票のことですが「レファレンダム(国民投票)」と少し異なる部分があります。
プレビシットは、政府や立法府がある政策を採用する前に、国民の意見を問い合わせる手段です。
一方、レファレンダムは、政府や立法府がある政策を採用した後に、国民による投票を行うことで、その政策の承認を得るかどうかを決定する手段です。
令和3年(2021年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政手続法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 基礎知識 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |